劇場公開日 2024年6月14日

「作り手の想いは通じない」数分間のエールを フリントさんの映画レビュー(感想・評価)

作り手の想いは通じない

2024年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

難しい

幸せ

MV作って先生を辞めさせる話

CGがゲームキャラぽっくてなんだか新しいなと思いました。
いかにも若者向けと言うか鮮やかでポップで軽いイメージが新鮮でしたね。
製作者さん達のことは全く存じ上げていないが、ニコニコ動画やYoutubeの手作りMADとかを見たことが切っ掛けクリエーター目指したのかな?
好きな事を見つけて突き詰めて映画にするなんてすごい行動力だ。

ストーリーはほぼほぼ予告編のままで、凄い歌い手と出会って創作意欲が爆発して、挫折して奮起して・・・。
もうちょっと捻りがほしかったと言いますか、ストレートすぎて感動も高揚もあまり感じられなかったかな。

あまり青春物語に耐性のない若者が見るならある程度は感動できるかもだけど、モノづくり系のストーリとしてはありきたりだったかも。

作り手のイメージが受け手には100%通じるわけじゃない事、受け取り方しだいで意味なんて変わる事ってのが一番心に残った。

作品は世に出たら作者の物ではなく受け取り手の物になるって聞いたことがあるけどまさにそれ。

先生の曲を聴いて感じた事を主人公は自分なりに表現したけれど、拒絶されてしまう。
確かに自分のイメージとあまりに違っていたら嫌な気持ちなるかもしれないけれど、だったら丸投げするのもどうなんだろう?
ネット創作あるあるで連絡を疎かにしてクリエーターが暴走しちゃうなんて事はしょっちゅうだからこれからの作り手への注意喚起にしたかったのかな?

よりよい物を作るなら報連相をしっかりしてイメージ共有や協力し合うのがベストですね。

ストーリーでの不満点は別に些細な事なんだけれど、自分が一番残念だったのは主人公が作り直したMVが視覚メッセージ多くて歌詞がまったく頭に入ってこなかったことですね。ものが良かっただけに本当に残念だった。これは自分の脳スペックが低いからかもですが、画で内容は察せるんだけれど歌詞に込められた意味を自分なりに理解したかったのに出来なかったなぁ。MV作りって奥が深くて難しいんだね。

何はともあれこの作品はエールを贈る事の大事さや、贈られる喜び、そして創作の楽しさがにじみ出ている点はよかった。
レビューを書くこと位しかできない自分ではありますが、エールを贈られたからには、感謝したいし応援したいなと思いました。

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劇中セリフより

「あれは夢を諦めた自分に歌った歌なんだよ」

才能があっても芽吹かなない辛さはわからないかも知れないけれど挫折の経験がある主人公が、熟読して何度も聞いた歌詞からそのメッセージを読み取れないってことは、どちらかに問題があるのではないだろうか…。
人に意思を伝えるってのは本当に難しい事なんだね。

フリント