「史実の暗黒」デビルズ・バス Keysさんの映画レビュー(感想・評価)
史実の暗黒
本作は“ホラー風”の外装を纏った、中世メンタルヘルス史の暗黒ドキュメントと言っていい。
魔女狩り映画のようでいて、魔女は出てこない。悪魔も出てこない。
出てくるのは、ただ“社会の無理解”と“時代の残酷”だけである。
観客を驚かせる工夫も、泣かせる演出もない。
だが、その“何もしないこと”こそが最大の演出だ。
中世の鬱は、現代と違って相談窓口がない。
カウンセラーではなく牧師、医師ではなく迷信、そして薬ではなく“祈りと沈黙”が処方される。
この映画は、それがどれほど危うく、破滅的だったかを可視化してしまう。
ちなみに私は視聴後の帰路、コンビニに寄ってアイスを買った。
アイスは偉大だ。
凍らせた冷たく甘いお菓子を、私はいつでも気の赴くままに貪ることができる。
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