箱男のレビュー・感想・評価
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シニアの私、大パニック
久しぶりに石井岳龍監督の作品鑑賞。正直言ってまったくつまらなかった。というか理解出来ない作品。原作(安部公房)未読のせいかもしれないが…。佐藤浩一、永瀬正敏、浅野忠信という良い役者が出ているが、もったいない感じがした。私が、高校生の時に観た同監督、脚本の「高校大パニック」(←浅野温子がかわいい)が、この監督のベストだと思う。(←自分が同じ高校生だったということがあるかもしれないが…)シニア料金鑑賞だが、お金と時間を無駄にしてしまいパニックった自分に泣けました。
閉ざされた世界に混沌の空間が拡がる!
先日、四国へ旅行に行った際に、この映画の予告編を見ました。『香川県で公開するのは、当映画館だけ』と言う宣伝文句?に、俄然興味はあったのですが・・・ この映画に関しての情報は全く無くて、配信とかWOWOWでやったら見ようって思ってました。ところが・・・ 地元の映画館で公開しているのをみかけて、即、鑑賞に至りました。 やっぱり、マイナーな映画なんだろうな。モノの見事に観客は、自分の他に1名の計2名だけでした。 ところが、映画が始まった途端、長い瞬きをしてしまった。 ハッと我に返ったら、えっ、主役が永瀬正敏さん!浅野忠信さんも出てる。佐藤浩市さんも出てる。 マイナーな映画だと思ってたけど、一流どころが出ている結構な作品なんだとビックリ! でもね・・・ まぁ、最初を見逃しているせいもあるんだろうけど、内容はチンプンカンプン。何故、“箱の中“に拘るのか? 何か、深い意味を持っているようにも思えるんだけど・・・ とにかく、箱を被ったままの対決は、滑稽にしか見えなかった。 おっと、言い忘れてた。白本彩菜さんも最高でした。芸達者な皆さんに絡まれ?ながらも、見事な肢体を拝ませてもらいました。ホンッと綺麗な女優さんでした。
原作への無理解
あの名作『砂の女』(勅使河原宏監督)に並ぼうというのはずいぶん図々しい人だと思いながらも好奇心は黙しがたく、映画館に行ったのだが噴飯ものだった。 石井監督は箱男をコスプレの一種くらいにしか考えてない。だからつまらないバトルシーン(しかも画面が暗くて迫力なし)を延々と撮っているのだろうと思う。箱男は変身ヒーローものでもないし、戦隊ものでもない。 そもそも箱男というのは都会の中で孤独でありたい、自分のテリトリーには誰にも入ってきてほしくない、という欲望と同時に、誰かとつながっていたいという願望とを併せ持った矛盾そのものの存在である。そして、この矛盾は現代にもそのままつながっているし、世界中の人が理解出来るテーマだ。 なのに、何だろう、この無理解さは。 頭を使って生きてこなかった人間の、底の浅さが100%表われた作品である。 しかも、原作にない「軍医」どの(佐藤浩市)は途中から出てこなくなるし。 だったら、最初から出してくるなと言いたい。 またこれは日本映画全体の問題だが、とにかくセットがしょぼい。 しょぼすぎるから暗くして誤魔化そうとしているのだろうが、そんなのは観客にとっては迷惑以外の何ものでもないし、予算がなくてもきちんとセットやロケをやっている監督はいくらでもいる。 とにかく増上慢というか、自己肥大というか、こんなものを安部公房原作とか言ったらダメですよ。
中毒性あり これはこっそり1人で観る映画です
【私はこの映画が大好きです!】とみんなの前で言えません。だから箱に入って【この映画好き!】と呟く私です。安部公房だけあってかなり難解。友人、恋人と一緒に観たあと会話がなくなると思いますので・・マズくて食べたの後悔してもいつかまた食べたくなる様な中毒性ある映画です。人って確かにパーソナルスペースの枠の中、閉じこもって自分の世界に浸る事・またはSOSとしての隠れ場など、自分らしさを取り戻すため1人の空間が必要です。また、覗く・覗かれる行為や精神的、肉体的に閉じ込める行為を【箱】というフィルターから個としての社会の生きづらさを感じさせます。この映画を見終わると【映画館】という【箱】の中から箱男の行動を監視しているような、逆に箱男に覗かれているのか・・不思議な気持ちでした。正直、採算度外視?とも思えるこの映画、よくこんなに色男の俳優さん達が引き受けたなぁ〜と思いながらも【いい男は箱好き】なんぞ格言を考える私でした。
脳みそは外して
何と言っても安部公房原作なのだからと、映画館に入ると同時に脳みそを外してスクリーンと向かいあった。すると、二人の箱男が追い掛けっこをする中盤辺りまではバカバカしくて面白く観られたのだが、徐々に言葉で説明する様な重苦しさが感じられる様になり、終盤は完全に心が離れていた。特に、ラストシーンの呟きは、「それを言葉にしたら何もかも台無しだろ」と力が抜けてしまった。 僕にはやはり「芸術」は向かないようで。
本物になれない
永瀬正敏さん、浅野忠信さんの共演と聞いて 「この組み合わせは、懐かしいなぁ」と思いました。 それもそのはず・・・ 本作は、1997年に映画制作が決まったが撮影できず、 27年の時が過ぎ、ようやく実現した企画。 この頃と言えば「鮫肌男と桃尻女」や「PARTY7」 TVドラマでは「私立探偵 濱マイク」などの作品が作られ、 二人も良く共演されていましたね。 なので、ストーリも変わった感じだろうなぁと思い映画館へ。 予想通り、難しすぎました(泣) 「単なる変態映画やん。。。 でも、どこか面白く、ついつい入り込んでしまう」 箱男(わたし)に永瀬正敏さん、 ニセ医者の浅野忠信さん、 ヒロインの葉子に、白本彩奈さん、 軍医の佐藤浩市さん この4者を中心に、 摩訶不思議な物語が展開されます。 箱男は、段ボールを頭から被り、 一方的に世界を覗き見る事で、 完全な孤立、完全な孤独を得て、 社会から完全に独立した存在となります。 そこへ、 箱男の存在を乗っ取ろうとするニセ医者、 完全犯罪に利用しようと企む軍医、 箱男を魅了する謎の女・葉子が現れ、 箱男の静寂の時間が一変します・・・ 箱男が移動する時のコミカルな動きと、 箱男と贋箱男のバトルは、 可愛さが出ており笑えますね。 なぜ、箱男が生まれたのか、 箱男の世界には何があるのか、 謎は多いですが、 時折、箱男は「本物にはなれない」とつぶやきます。 箱男の”わたし”は、初代ではないため、 ❝本物の箱男❞になるために奔走しているようでした。 現代は、ネットを通じて、 誰もが匿名で情報発信できる社会であり、 スマホやPCの画面を見ている風景が まるで、箱男が覗き見ているようだ との考察もありますが、 本作を通じて、 「本物とは・・・ オリジナルを超える存在になる? オリジナルの想いを理解できる?」 ことなのか? そんな事を考えさせられる作品でした。
嫌な予感はしていましたが
難解サブカル映画にしたかったのかと思いますが、台詞がなんだか陳腐だなぁと思ってしまいました。難解なのと訳が分からないのとは違うよなぁと。ただダラダラと長く、もっとコンパクトにまとめられていたらもう少し高い評価になったかもしれません。演出もお洒落だろう、すごいだろうというのが途中から透けて見えてしまってなんだか…久しぶりに苦痛に感じた映画でした。白本彩奈さんはとても美しかったです。
予習必須
原作を半分も理解できていないので不安でしたが、大当たりでした。冒頭、ラストの演出に鳥肌たちました。これは劇場で見ないと衝撃が半減すると思います。原作中に挿入されている写真も採用されており、読んだことがある人ならグッときます。 しかし、原作を知らずに見ていたら多分途中で退出していたと思います。観る前にある程度この作品について調べた方がいいです。原作は構成がとても読みづらいので注意ですが…
箱男とは…?
タイトルからも、ポスター、予告からもわかる奇怪さに見るか悩んだものの、その奇怪さに負け鑑賞。 恐らく今年鑑賞する作品の中でも、奇怪さ上位の作品。 「内と外」とか「自分と他人」とか「見る、見られる」とかなんか話してるテーマ的な部分はなんとか汲み取れた気がするけど、なんだか肝心な部分には理解が追いつかなかったというか…見事に作品に飲み込まれ、気がつけば打ち上げられてたような感じ。 そんな作品なので、しばらくはこの作品なんだったんだろ…と呆気にとられながらも数日かけて理解したいような作品でもあった。 万人受けする作品ではないとは思うけど、一風変わった何か刺激とか欲しいときにはおすすめかも。 「走る!戦う!箱男!」 究極の世捨人な感じだし、お世辞にも清潔とは言えない感じだけど、箱から足だけひょこっと出して駆け回る箱男のビジュアルはなんだか愛嬌がある。 本気?出した時はもっと足が伸びて頭身高くならって事は、あれって中腰ってことかな?俳優さん大変だったろうなぁ… そんなどことなくコミカルな箱男同士が戦う場面はやっぱりなんだか少し愛嬌があって、面白かった。 階段転げ落ちるのとかもうただのダンボールじゃん。 ワッペン小僧 「白本彩奈さん」 本作ヒロインどころ演じた白本さん。 容姿もとても綺麗だけど、本作においてはなんだか声が魅力的な感じだった。 演技も淡々とした雰囲気が本作ではなんだかとてもあっていた気がする。 本作ラブシーンというか、箱男の性癖全開のシーンもあるが、よくやるなぁって感じ。 そんなシーンを必死に覗く箱男並みに自分も食い入ってみてしまっていた気がする。 「終盤の演出」 終盤はなんだか人との境界が曖昧になるような話だったりえ?人類補完計画はじまってる?って感じ。 そしてスクリーンの長方形が箱の中から覗く光景だなぁなんて見てたら、いつの間にかスクリーンから客席を撮ったような映像になり、見てると思ってたら、見られてた的な… なんだかこのあたりも旧劇のエヴァ終盤の実写演出っぽい感じだった。 「で箱男って?」 奇怪な作品だけど、一応箱男とは何か、つまりそれは…という答えは提示される。 スクリーンの四角がそのままのぞき穴の四角になっているところでなんとなく察してしまったし、観客席を映すシーンでほぼ確信できたので、ラストのセリフはいらなかったかなぁという気もする。映画館の空間も1つの大きな箱で、スクリーンを通していろんな世界を覗き見てる感じだもんなぁ… 本作、時代でいうと2024年現在より少し前、スマホ普及前だと思うけど、現代においてはのぞき穴はスマホの画面な気もする。 大枠はなんだか捉えられたような気もするけど、あれってなんなの?なんだったんだ?って部分もやはり多い作品。 狭い空間が結構好きな自分的には結構あのくらいの箱空間好きかもしれないと思ったりもしたので、結構箱男素質あるかもしれない。
箱から飛び出せ!
長い。 つまらない独りよがりの現代アートを延々と観させられた気分。 美術館なら興味ない作品はすぐ切り上げられるが、映画なので2時間我慢。 とにかくウジウジしている。 これが若い永瀬さんなら、自己の確定が出来てないという前提があり、まだ良かったのかもしれないが、還暦近いオッサンがウジウジしててイライラする。 若くて綺麗な女性が、なぜかおっさん達と過ごしてるのも意味不明だし。 浅野さんも佐藤さんも、色々はっちゃけててよくこの役受けたなという印象。 これを難解などと言ってほしく無い。独りよがりの、人にわからせようとしてないただのボンクラとしか思えない作品。 内容がつまらないので、箱は洗濯機の箱なのかぁとか、あんなに浣腸したら即出るやろとか、葉子役の人キレイだな〜とか、箱同士で戦ってるスタントの人上手いな〜等、本筋と無関係なところを見てやり過ごした。 一緒に行った人は映画好きの40歳男だが「人生で1番つまらないくらいの映画だった」とのこと。 箱から、飛び出せ!
”覗き 覗かれ 箱男 抽象的かと思いきや 結構具体的“ 期待度○鑑賞後の満足度○
①安部公房さんの小説で読んだことがあり、観たことがある映画化作品は『砂の女』しかありません。 ②難解で前衛的な小説家というイメージがあるので、本作も難解だろうなあ、と思いつつ映画館に乗り込んだ次第。 ③最初は70年代のアングラ映画というか前衛映画みたいな感じで始まって、あの頃の時代・映画へのオマージュかな、と思っていたら、そのうち永瀬正敏演じる「箱男」と渋川清彦扮するようわからんオッサンとのアクション・シーンが有って「箱男」(あの出てる足の長さからすると箱の中では屈んでいる?)観てて何か可笑しくて(その後も出てくる「箱男」vs「箱男」の対決シーン)、“もしかしてコメディ?”などと思ってしまった。 その後は何か火曜サスペンス劇場みたいになった感じだった(この当たりで寝落ちしちゃったのでよく覚えてない)。 ③ハッキリ目が覚めてからは、前衛的というか独特の表現方法やカットの多用、ようわからんシーンの連続だったけれども、恐らくこういうところにオチを持ってくるのだろう、と思っていたら正にそういう終わり方になったので余り難解だったという印象ではない。 ④
中の中の中
癖の塊。何言ってんのか全く分からない。しかも、画面が暗すぎるから何やってんのかも全く分からない。おじさんがダンボールの中に入って女の人の脚を覗いたり、今日あったことを分厚いノートにメモ書きしたり、そんなことしていたら、医者のおじさんに箱男の座を奪われそうになる。そんなストーリー? んー、考えてもよく分からないけど、永瀬正敏、浅野忠信、渋川清彦、佐藤浩市というそうそうたるメンツが集まってすることが箱に入るという、その奇妙さがなんだか可笑しくて笑っちゃう。一応この作品に込められたメッセージみたいなのは何となく受け取れたけど、個人的に楽しめた要素はそれよりビジュアルかな笑 言ってることは理解できなくとも、何となくで良さは伝わってきたし、この作品でしか体感し得ないワクワクがあった。原作はどんなものなのか全く分からない、というかこの作品が文章だけで構成されていて果たして面白いのか、自分には想像つかないけど、十数年の月日を経て制作が動き出し、こうして映画化されたのには意味があるようにも思えた。最後まで退屈せずに読める自信はないけど、これは一度原作も手に取ってみたい。どんなこと考えたらこんなのが生まれるのか。鬼才の脳は不思議ばかり。 ミステリー?ホラー?サスペンス?ジャンルレスで我が道を行く感じは好きだったし、原作ファンにはあまり好感を得ていないようだけど、箱男アクションは意外にも軽快で笑っちゃったし楽しかった。 だけど、これを面白いと言うのには自分の経験とか価値観とか色々と足りない気がした。敷居が高い、というとちょっと違うけど、知らない世界すぎて置いていかれるばかりだった。なんかでも、こういう作品が評価される世の中であって欲しいなという気もしたりしなかったり...。
これはR18やろ。
待て待て待て。何これ?心理?いや、怖すぎる。初めの10分くらいはまだ何とか観られたけど、もう途中から全然ついていけませんでした。お手上げです。降参です。私には無理です。怖いです。 そもそも孤独を好みながらも、完全なる孤立ができない変態のおっさんが箱の中から世間を覗き見るって話やんな?あれは何のバトルを見せられたん?趣旨の迷走振りがエグすぎる。ずっと箱の中から目の前を通りすぎる他人のちょっとした出来事や、女子の生足や、都会の喧騒を見続ける、ただそれだけの話でよかったのに。 キャストに関しては不満ないけど渋川清彦のワッペン乞食はネーミング酷すぎる。もうなんなん、ほんま。
ガムテの扱いがなっとらん
そもそも27年前に石井聰亙が撮ろうとしてクランクイン前日にポシャッタことなどこれから映画を観る我々には全く関係ないことなのである。路上生活者の段ボールがモチーフかも知れないが物語としては「覗き」がメインテーマであろう。それなのに全くエロチックで無いしコメディにもなっていない。「狂い咲きサンダーロード」を撮った監督としてもはや何をやっても許されるレジェンドなのに「パンク侍、斬られて候」のような狂った「祭感」が無いのが残念。撮影監督に浦田秀穂を選んだことが間違いではないだろうか?気取ってないでもっとやれよと思うのだ。
変人とは"なる"ものではなく"なっている"ものである。
人を変人かどうかを決めるのは自分では無く他者、周囲の人々である。日本は同調圧力が強く枠組みから外れる事を異常なまでに恐れる反面、人とは違う自分だけの特別な人生を歩みたい"何者"かになりたいと願う人間が大勢いる。特別な自分が平凡な人生を送る人々俯瞰して"観察"するという理想に反し、現実は世間から変人というレッテルを貼られ、置いていかれ、社会に参加出来ず、観察する事しか出来なくなるのである。自室という"箱"に引きこもった若者がどうなるのか、大半はそのまま引き篭もり続けるのである。昭和の小説である箱男には鬱屈した人間に対してもまだ希望が感じられる、平成を経て令和に至った今、小説より残酷な未来が待ち受けているのだ。
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