劇場公開日 2024年8月23日

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箱男のレビュー・感想・評価

全129件中、1~20件目を表示

3.5どっぷり浸って、感じたい怪作

2024年8月29日
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鑑賞方法:試写会

段ボール箱に小さく空いた長方形の隙間。そこから世間を臨む二つの瞳。我々は果たしてこの不気味な物体を見つめている側なのか、それともじっと見られている側なのか---。安部公房が73年に著した奇妙すぎる小説が、50年経つ今なお、攻めの姿勢を忘れぬ衝撃作として存立し続けているのは驚きだ。この映画の制作過程では27年前にドイツでの撮影休止という予期せぬトラブルが生じたとか。その苦難を乗り越えていざ完成体に達した本作は、リアルな泥臭さと、観る者を煙に巻くトリッキーさ、差し込まれる緩急、そして我々が石井岳龍という名を聞くときにいつも体にほとばしる電流を併せ持った文字通りの怪作となった。永瀬と浅野による「ELECTRIC DRAGON」が進化を遂げたかのような宿命の対峙もシュールで味わい深い。観客を選ぶ作品ではあろうが、文学から受け継がれし魂を感覚的に昇華させた映像版として、どっぷり浸って感じたい一作だ。

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牛津厚信

4.5安部公房の半世紀前の前衛小説を、石井岳龍監督が合理的に再構築しモダナイズした渾身の娯楽作

2024年8月27日
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鑑賞方法:試写会

笑える

興奮

知的

安部公房の1973年の小説「箱男」は代表作の1つとして知られるが、恥ずかしながら未読だったので本編鑑賞前にあわてて読んだ。登場人物は多くないにもかかわらず、視点が入れ替わったり、モノローグと手記が混在したり、誰による語りなのかが曖昧になっていったりと、一筋縄ではいかない相当に難解な小説だ。ノンリニアの語りというか、するすると読み進むことを敢えて拒み、読者に都度立ち止まって考えることを求めるかのような仕掛けとでも言えるだろうか。

さて石井岳龍監督は、作家本人から映画化の許諾を得て、1997年に日独合作としての製作決定を経てハンブルクで巨大セットを組むも、資金上の問題でクランクイン前日に中止に追い込まれたという。そこからさらに四半世紀を経て企画が再始動、現代日本の都会に舞台を移し、以前の企画でメインキャストだった永瀬正敏と佐藤浩市、さらに浅野忠信も加わり、ついに完成させた執念の作品だ。

「『箱男』は娯楽にしてほしい」との原作者の意向をくみ、永瀬が段ボール箱をかぶって扮する箱男がにわかに走り出したり、浅野が演じるニセ医者との格闘があったりと、共同脚本も担った石井監督はアクションシーンでストーリーを牽引するエンタテインメントへと昇華させた。原作小説が現代のネット社会を予見したとも評されるアイデンティティの喪失という問題提起を、映画ではアクションの主体としての身体性を強調することによって単にわかりやすくするだけでなく、失われゆくアイデンティティを取り戻す可能性と希望をも提示しているように感じた。

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高森 郁哉

2.0CX「最後から二番目の恋」長倉えりな役、白本彩奈が出演しているので...

2025年7月26日
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鑑賞方法:VOD

CX「最後から二番目の恋」長倉えりな役、白本彩奈が出演しているので鑑賞。
私も箱に入らないと、この作品の魅力は理解出来ない。観る人の感性に委ねるタイプの映画です。

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ホンマサ

1.5オチが安直すぎる

2025年7月21日
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最後のセリフが全てを台無しにしたと思う。
すごい癖があるキャラしかいないしよく映画化したと思ったのに、最後の一言のオチで平凡な映画に成り下がった

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ボイス

2.0安部公房

2025年6月27日
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鑑賞方法:VOD

難しい

予想通り、全く分からなかった。
単なるダンボールの箱をかぶって、世の中を見ることが理解できないので仕方がない。
分かる人がうらやましい。

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いやよセブン

1.5分からない私がアホなのかも・・・

2025年5月21日
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鑑賞方法:映画館

難しい

意味が分からなすぎて、私がアホだから?!と
思いましたが
「?」だった方も多くいらしたようで安心しました(^^;)

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にょろろん

3.0原作に近い映像化

2025年5月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

難しい

原作が難解すぎるので、映像化したらどうなるかと思っていたが、さすが石井岳龍監督。原作のストーリーや雰囲気を可能な限り映像化してたと思う。俳優陣の演技もすごい。特殊な設定だから演技が下手だとコントになるところをしっかり成立させていた。
私は原作ファンとしてスタンディングオベーションを送りたい。

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セツ

2.5頭隠しても、Siriがお見通し。

2025年5月3日
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鑑賞方法:映画館

何十年も眠っていた企画を掘り起こしたのだから、多少時代錯誤(古臭さ)はあるが、充分に衝撃的なアングラ作品だ。

見ているのか見られているのか、孤立したその箱の中が世界なのか。
スマートフォンの普及や社会の多様性重視のおかげで、すっかり身近なテーマとなってしまった、孤独感との向き合い方。
怖いものは、顔を覆った手の指の隙間から覗き見るくらいが丁度良い。

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や

3.0「箱男を意識するものは、箱男になる」

2025年4月13日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

楽しい

難しい

斬新

 段ボール箱をすっぽり被り、街をさまよう箱男。カメラマンだった男は、箱男を倒し自ら箱男となる。しかし彼をつけ狙う偽医者と軍医が現れ。
 70年代当時の前衛作品を、現代人がどう描きどう観るか興味がありました。今でも通ずるものと納得。箱男は、君だ、観客だ、皆だ。
 機敏な動きを見せる永瀬正敏、浅野忠信と佐藤浩市の戦い、とても楽しい絵面で笑わずにいれません。

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sironabe

3.0何ともシュールなおもしろさはあったが、マニアック過ぎて共感できなか...

2025年4月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

何ともシュールなおもしろさはあったが、マニアック過ぎて共感できなかった。
「本物の箱男」になるための争いや苦悩がメインテーマのようだったが、そもそもそんなものになりたいとは全く思わないので。
「わたし」が最後にやり残したこととは何だったのか。
謎めいたニセ看護師の女性を抱きたかっただけのような気がした。

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省二

0.5これは酷い

2025年2月12日
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安部公房の作品は文章で読み解いてこそ面白いのであって、実写化するべきではないと思いました。

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S.J

2.5よくわからないが、箱男が動くとコミカル

2025年2月9日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

原作は読んでいない

活字で読むとまた違った世界観になるのかもしれないけれど
映像で見ると、よくわからない

でも箱をかぶって逃げたり、倒れたりしていると
キャラものみたいでかわいい(そんな意図はないのだろうけど)

これはまぁ、「え?」って思わす、
なんかわからないけど、インパクトのある映画だと思えばアリかも。

以前観た、同監督の「狂い咲きサンダーロード」も「え?」とは思ったけど
なんだか激しいエネルギーは伝わってきたから
映画ってそういうものかも。

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くまっち

3.5箱男は誰だ

2025年2月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

石井岳龍×永瀬正敏「箱男」観了。前半渋川清彦が大暴れしている時点で、おおっ、これはぶっ飛んだ箱男にするつもりか?バーストシティ!と思ったが、後半は結構原作にそった内省的で人類補完計画的な展開になってました。箱男は誰だ!

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ピンボール

2.5勇気に拍手です。

2024年10月26日
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鑑賞方法:映画館

知的

難しい

「砂の女」の感動をもう一度と、勝手に期待しての観賞でした。
可笑しくも、悲しくも、涙する事もなく、自らの感受性に疑問を感じさせてくれました。観るところを見落としたのか、感じる取る力がなかったのか。商業映画としてこの小説で挑戦した勇気には関心しました。

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ankh

2.5妄想なぞなぞ映画

2024年10月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

箱男に憧れた男性が箱男になりかわろうとする話…なんだけど、いろんな要素が混ざり合ってよくわからない映画になっていると思う。
もっと映画向けに面白くできたんじゃないかな?
小説原作は内容によって見せ方を工夫しないと観客に意図が伝わらないと思う。

おじさんだらけの中で若い女優が一人っていう絵がキツイ。
白本彩奈さんのヌードが綺麗だった。

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ひとふで

2.5ひさびさにこの監督の作品をみたが、狂咲の頃のような感動はなかった

2024年10月5日
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鑑賞方法:映画館

ひさびさにこの監督の作品をみたが、狂咲の頃のような感動はなかった

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Takagi

3.0箱を通して自分を見つめる

2024年10月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

箱に入りたくなった。普段見ている景色が違って見える気がする。そんなことを思わせてしまう作品。理性がなくなり、欲望そのままに解放される。蛹の例えはなるほど。己の理性も欲望も手記も、ぜんぶどろどろに溶けて一体になって新たな何かになる。女性はまさに細すぎない肉体美で見惚れた。いるだけでエロティシズム。

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いつこ

3.0【今でも前衛的】

2024年9月29日
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鑑賞方法:映画館

中高生の頃にハマって読んでた「壁-S・カルマ氏の犯罪」「砂の女」「他人の顔」「無関係な死」「燃えつきた地図」「箱男」他の小説に戯曲、懐かしい!

半世紀前の作品だが色褪せるどころか今こそ考察が必要なテーマ。時代背景が現代設定でやや違和感があった(勿論それを狙ったのだろうが)のと、エンディングはもうちょい観る者の解釈に委ねる演出が作風と合ってる感じはした。

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Chang Koh

1.5説明不足によって変態趣味のカオスと化した「アヴァンギャルドな映画」

2024年9月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

原作者安部公房の生誕100年。その作者が『箱男』の映画化を唯一認めるものの、クランクイン直前に頓挫してしまった経緯。その監督による数十年を要した執念の映画化。
当時のキャストと有名俳優が名を列ねる豪華さ。

『砂の女』しか読んだことないものの、「安部公房ワールド」に魅了された筆者は心弾ませ映画を鑑賞した。

ところがどうだろう….スクリーンからは脈略のないストーリーと中年男たちの変態趣味が恥ずかしげもなく映し出されていただけだった。

冗談はここまでにしておいて、少しレビューらしいことを書いて見よう。
この映画を観て、後日原作の方を読むと自分がどうして楽しめなかったのか分かった。
原作は「前衛的作品」として知られているものの、箱男に魅了される理由や命を狙われる訳、作品のテーマである「都市と人の帰属の問題」などが書かれているが、映画ではいきなり「ワッペン乞食」との死闘が繰り広げられ、それが箱男の使命なのだと謎の達観をしている。
また、看護婦に魅了されていく箱男が彼女の足のスタイルを覚えていたということも、彼女と出会う前から箱の中に女性の足のスケッチが数枚貼ってあるおかげで、そういった性癖なのだと誤解させる。

プロットはおおむね原作通りなのだが、原作よりも言葉が少なすぎ、演出もいたずらに登場人物の意図を感じさせないようにわざと混乱させるようなカオスさを感じた。だから、鑑賞してる側としては何がどうなっているのか理解が追いつかなかった。
原作を読んでると自然と理解できるし、楽しめるのだろう。どうもそれが前提となっているように思える。
こういった作品が好きな人は好きなのだろう。単に合わなかったのだ。

それでも、終盤のシーンは誰しも箱男になるというメッセージ性を感じれたし、ダンボールを被りながらのアクションは唯一楽しめたところであった。

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シローキイ

3.5シュールな現代の寓話

2024年9月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

興奮

難しい

 前置き無しに冒頭から”箱男”の視点でドラマが始まるという、ちょっと入り込みずらい内容ながら、不思議と引き込まれてしまうのは、この”箱男”にどこか現代の風刺を見てしまうからだろう。匿名性を保持しながら世間を観察する彼は、昨今のSNSや監視社会を彷彿とさせる。もっとも、箱男は他者に危害を加えたり誹謗中傷するようなことはしない。ただ大人しく傍観者に徹するだけなので人畜無害という言い方もできる。ただ、世間を冷ややかに見つめるその眼差しにはどこか薄気味悪さを覚えた。

 安部公房の原作(未読)が発表されたのは1973年ということなので、当時はまだインターネットもない時代である。こうした穿った解釈は作者の狙いから外れたものかもしれないが、作品というものは時代と共に捉え方も変化するものである。敢えて今、映画化した意味。そこを想像するのは面白いと思う。

 また、箱男には引きこもりの暗喩も見て取れた。人間関係が希薄な現代においてディスコミュニケーションの問題は深刻だ。そうした提示も透けて見えてくる。

 他にも、箱男の生態については色々と考察出来て面白い。
 箱男はなろうとしてなれるものではなく、前の箱男を倒して引き継ぐものらしい。まるで一子相伝、秘奥義のごとき厳粛さであるが、これが本作にバトルアクションのような要素を持ち込んでいるのが面白い。
 また、箱男は外の世界を眺めながら日がな一日妄想をノートに書き綴っている。それにどんな意味があるのか分からないが、何となく小説家・安部公房の自己投影のように見えた。

 監督、脚本は石井岳龍。実は本作は1997年に映画化される予定だったが、その時は様々な問題で製作が頓挫してしまったらしい。そう考えると、今回は27年越しの執念の映画化ということで感慨もひとしおだろう。

 元来、アヴァンギャルドな作風を得意とする氏だけに、今回のシュールな世界観は正にうってつけという感じがした。妄想も入り混じった虚実混濁した展開は、観る人を選ぶかもしれないが、そこも含めて作品のユニークさに繋がっていると思う。

 欲を言えば、初期時代のようなパンキッシュな演出をもっと観てみたかったが、そこはそれ。むしろ意識的にコメディタッチを優先した所に大胆さも覚える。例えば、箱男こと”わたし”とニセ医者のやり取りには何度笑わされたことか。

 二人の間で繰り広げられる看護師・葉子を巡る愛憎ドラマも、どこか無邪気さが感じられて微笑ましい。ニセ医者と葉子のエロティックな行為を”わたし”が覗き見するシーンなどは、コメディとして観れば傑作ではなかろうか。
 ちなみに、本作は”見る、見られる関係”のエロティズムにも迫っており、このシーンはその最たるものと言える。

 そして、この”見る、見られる関係”はラストのオチにも繋がっていく。第4の壁を破るのはデッドプールだけではない。日本には箱男がいた…とニヤリとさせられた。

 キャスト陣では、ニセ医者を演じた浅野忠信の妙演が印象に残った。彼は本作のコメディテイストの要を担っており、ここまで嬉々とした演技は見たことが無かったので新鮮だった。

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ありの
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