ドリーム・シナリオのレビュー・感想・評価
全32件中、1~20件目を表示
悪夢を見ていたのは誰?
夢が発端となるおかしなことに巻き込まれる主人公ポール。話が進むにつれて、そのおかしなことは全てポールが見ていた夢でした、という終わり方かと思ったら、そんな単純なものではなかったですね。
最初は彼に関わったことのある人の夢に出てきたのが、その偶然が重なったことでSNSでバズり、関わりのない人も彼を意識するようになって夢に見るようになり、一部のフェイク投稿に引っ張られて、夢で彼が襲って来る人に変化し、ポール自身も周囲に巻き込まれたことで、その状況を意識したことで、関連した夢を見始め、そのうち夢か現実かの区別がつかなくなっていったところで、夢を見ていたのは、本来傍観者であった観客ではないかということに気づかされます。
夢なんて、自分の意思で見られるものでもなく、目が覚めた時に必ずしも覚えているとも限らないもの。「天狗裁き」という落語がありますが、夢の内容で責任を問われるという理不尽な流れは似ています。夢なんて意識的に操れるものなんかじゃないのにね。
「バズり」の無責任さ
都市伝説ThisManで世界中に顔が知られているおじさんが実在していたらきっとこんな感じ。
普通に暮らしてる普通のおじさんが自分の意図しない所からバズって、有名になって、メディアに踊らされ、調子に乗って、勝手に加害者にされて、誹謗中傷されて、家族も傷付けられ、何も悪いことはしてないのに何故か謝罪して、本人はそこから動けなくなり、外野は何事も無かったかのように元の日常に戻る。
毎日毎日何かしらで起こる「バズり」の責任なんて誰も取ってくれない。注目を浴びることは気持ち良いかもしれない、自分の可能性が広がるかもしれない、けれど
その現象に対して責任を取ってくれる人は誰もいない。
それは夢でも現実でも同じこと
沢山の人々の夢に男がでるが
彼は何をするわけでもない
だが突然彼は夢の中で凶暴になる
原因が承認要求か性衝動なのか分からん
彼は現実にはしていない行為の夢で理不尽に厭われ、迫害される
そして愛する家族にも否定されるのだ
現実が悪夢と化した足掻きの末、彼が夢に出ることはなくなるが、元の暮らしに戻ることもできない
喪失感のまま終わる、宙に浮いていく彼は妻の夢だとしても
火のないところから立つ煙
ある中年男性(主人公ポール)が突如として不特定多数の人物の夢に登場し、夢を見た人々に翻弄させられる物語。
いい夢に出てくればいい奴、悪い夢に出てくれば悪者扱いされ、主人公にはどうすることもできない。夢に影響されているのが、若者ばかりなところも気になる。現代の過剰なSNSの印象操作を端的に示しているのだろうか。
ホラー要素もあるが、コメディ色も強め。無音のシーンでいきなりおならの音が響いたときは、クスッと笑ってしまったが、周り(劇場内他2名)が笑っていなかったので、少し気まずい空気になってしまった。
ストーリー自体は分かりやすく、難解な部分的はない。ただ、結末は特にひねりはなく、尻つぼみな印象となった。
不憫兎に角不憫😂
あのニコラスケイジの夢の中でなんもしないところが、SNSで何となく好感度もなんも無いのにちょっと気に止まってメモ代わりにいいね押しちゃう感じに近くていいなと。んでその男が自分とお互い同士存在しているだけで干渉し合わなかったのに、自我を持ってどちらかが干渉しだすと大抵良くない火が起こるところなんてSNSそっくり。夢とか無意識の領域に入ってくる辺りがSNSの広告以上に嫌だけど、夢と現実のシーンの違いは分かりやすいのに地続き感のある撮り方が不思議で面白く見れました。
不可抗力すぎて可哀想なのにあまり同情心を呼ばないキャラクターがナイスでした。そんな中、奥さんとラブラブなのがとても救いになります。そう、自分の周りとの関係が築けていれば人は大丈夫なんだよと思わせてくれる。
そして警戒心と不安に怯える表情がコミカルに見えるところが流石のニコラスケイジ!
SNSのいいねボタンの安心感と肯定度の高いいいねって名前って日頃からなんだかなぁって思ってたけど、ボタンを押すくらいには見たよボタンでもういいじゃん。お前の事見たよボタンなら少しは無礼もはたらけなかろう。
ニコラスケイジは自身がミーム化した時の経験をフルに活かしたとパンフレットで語っていて、一周回って嫌な経験がこの映画に昇華されてニコラスケイジにとってはある意味ハッピーエンド。
個人的には好き
個人的には好きな作品だった
理不尽に他者から攻撃されたり自由を奪われ挙句の果てに謝罪をさせられ、家族にまで同調圧力受ける
現代社会におけるネットリンチを風刺した作品で個人的には笑いながら楽しめたわ
今夜ニコラス·ケイジが夢の中に出てきませんよーに(/--)/。 着想とキャンセルカルチャー(この言葉初めて知った)批判は良い。夢でもしぃ逢え~たら~♪ ブキミなこと~ね~~ 𝄽 by本田美奈子?
今回は,みんな大好きニコラス・ケイジ♪ヽ(´▽`)/
知り合いの夢の中だけでなく、見ず知らずの他人の夢にまで頻繁に現れるようになり人気者になっていく。ここまではコメディで,けっこう笑える。
しかし、夢の中で、夢を見ている本人を殺したりして、嫌われ者になっていく。 悪夢だけど夢の中の事だから現実には何もしてないし,されてもない。 なのに、まるでもう犯罪者扱いで、なんかスリラーみたくなってくる。
ニコラス・ケ~イジ ♪ヽ(´▽`)/
自身は何もしてないのに人気者として祭り上げられ,これまた何もしてないのに地面に突き落とされてしまう。
結局、始めからから良いことも悪いことも何もしてないのに、なんと社会から排除されてしまう。
「何てこったい、いったいワシが何をしたと言うんじゃ」 ( ̄□ ̄;)!! by ニコラス·ケイジ
ここいらへんは、キャンセルカルチャー批判だと思う。
昔から、著名人や企業·団体の発言や行動が問題視され、ボイコットや不買運動につながることはあった。
しかし、昨今はSNSの普及により、排除や排斥の言動が行き過ぎてるように思う。
して,我らがニコラス·ケイジ君♪ヽ(´▽`)/
けっしてSNSで誹謗·中傷が拡散されたワケではなく、不特定多数の人々が勝手に見た夢による社会からの排除である。だから、余計やり過ぎと理不尽さが強調されてる感じがした。
まあでも,そこいらへんはニコラス・ケイジだから仕方がないのかな,と妙に納得してしまう (^^)。 「すまん、ニコラス・ケイジ」
何度も何度も同じ悪夢を見て意識に刷り込まれてしまうのは、似た意見のSNSやブログを何度も何度も見て考えが凝り固まってしまうのと同じだと思う。
だけど、何度も同じ悪夢を見たからといって、それによって人々が考えや意識、行動を変えるのはおかしいと思う。だから、この映画にはSNSで人々の考えや意識、行動が変わる事への皮肉や風刺、警鐘が込められてるのかもしれない。
というわけで、キャンセルカルチャー批判とSNSへの警鐘を鳴らしたかったのだから、ニコラス選手がなぜ夢に現れたかはどうでもイイ話なのでその理由は描かれない。
「ええ~、SNS批判とか,そんなこたあどうでもイイから、ニコニコケージが夢に出てきた理由を知りたーい。なぜ描かんのじゃあ。消化不良ぉ~」、と思った。
映画には関係ない話
最近のGoogle検索は最初に ”AIによる概要” というのが出てきてすごく助かる。 全く知らない言葉の時は、WikipediaよりこのAIによる概要のほうが簡潔でわかりやすい。
タイパは良くなったが、自分で色々調べる能力が低下してアホが加速してしまいそうでチトこわい。
ニコラス・ケイジさん、ごめんなさい。
いやー
これ現代社会に対しての凄い問題作なのですが
そのテーマ性以上に
「ニコラス・ケイジが酷い目にあっている」
のが観ていて楽しくてたまりません。
(といっても、隣にニコラス・ケイジがいても虐めたりしませんが)
ニコラス・ケイジさん、ごめんなさい。
と、今自分の人間性に疑問だらけです。
けっこうよかった
SNSで大バズりしたせいでその後大炎上して、ニコラスケイジが選挙前の斎藤知事くらい蛇蝎のごとく嫌われる。奥さんに謝れと言われて生配信すると、泣いて謝っているのに自己中心的すぎると言って奥さんに怒られる。最初はもっぱら奥さんの方から好き好き言われていたのに、どんどん嫌われてかわいそう。奥さんと別れて子どもとも別居生活で、仕事も失い、いいことが一つもなくて、気の毒すぎて悲しい気持ちになる。
そもそもそんなに悪い人でもない一般人のできごとで、夢はないにしてもSNS社会では現実でもあり得ることだ。飛躍しすぎて現実離れしていれば、いくらなんでもないわ、と安心できるのだけど、非常に抑制された表現であり得る形だけで描いているので恐ろしい。
閑話:結婚すると報告した息子に親父は説いた「
自分に非が無くても謝る事が出来ないなら、オマエは結婚の準備が出来ていない」というショート動画を思い出しました。
休題:劇中の謝罪配信したところで「これで家族との関係は修復されるのかな?」と予想したのですが...。やっぱり謝らなければ良かったのかそれとももっと早く謝れば良かったのか、謝る道理、謝るタイミング、謝る方法、どうすれば良かったのかその答えが今もわかりません。謝るということが何と難しいことか。
最後のあの機械は蛇足だったかな、と思いました。"機械使いました"は寂しいですねぇ、それを意図したのかも知れませんが。
"原理が解明されネイチャー誌に寄稿された"ぐらいに留めておいて、教授は自力?で他人の夢に現れる事が出来る世界で唯一の人間なのですから、初めて意図的に他人(妻)の夢に入り込むことに成功したのかそれとも只の夢だったのか、曖昧にして言及しない方がロマンを感じます。
学校会社職種役職、人生の節目の都度"夢のシナリオ"を描いて来ても思い通りには行かないのですが、思い通りじゃなくても人生のシナリオで出会う人達には「おはよう」「ありがとう」「ごめんなさい」ぐらいは素直に言いたいもんですね。
A24でもダメだったかあ、、、刑事
相変わらずのニコラス刑事。演技としては素晴らしいよ。あの中年教授のあやふやさをちゃんと出してるし、あの表情は味がある。
それでも作品全体でみると、穴がありすぎる。それも味だと言われればら成功と言えるんだろうけど。でもニコラス刑事作品はいつもこんなだよなあ。ポンコツが過ぎる、、、作品に恵まれないというかね。可哀想なニコラス刑事。
着想はきっと都市伝説の「This man」でしょう。これは面白い。んで、そこからの膨らませ方だよね。
ぼくとつな男。でも野心はある。それが一躍脚光を浴び、さあ、そこからは?と言う流れもまあ、わかる。
でも、その後の展開だよね。女性との絡みも、その気があるのかないのかはっきりしないし。それも普段は真面目ないい夫というキャラのせいにしたいんだろうけど。でもその割にはラスト妻の不貞をちらつかせてる。妻の存在は唯一の味方なんじゃないの?
確かに理由も分からず始まって理由も分からず終わるっていうのは「ホラー」の基本だけどさ。終わった理由っぽいのが後付け感が強くてね、、、
あまりにも説明が足らなくて。勿論そういう後味の悪さも映画の「味」になることは承知してる。だから「訳わかんない」とは言わない。
でもね、消化不良なんだよね。どんでん返しでもなんでもいいから、最後「ああ、そうなんだ」っておもいたかった、というのが正直な感想。「ミッドサマー」や「ポーはおそれている」のような強烈なインパクトはなかったなあ。ま、だからこそニコラス刑事の演技の味が濃くなってたように感じたんだけど。
でも、こんだけ語ってしまうってことは印象に残ってるってことなのか?あれ?術中にはめられた?えー!😅
ラストシーンにズキュンと
予備知識なしで見始めたので
最初はニコラスケイジのあの狙ってかどうかわからない後ろ姿の髪型も相まって憎めないシュールな笑いで観ていたのが突然、本人は何もしていないのに
嫌われ憎まれていくという不条理な怖さに包まれていく。
『何もしていない』はずが
周りの憎しみや排除によりポールの怒りを呼び起こし
実際に危険な人物へと変わってしまう
人間の残酷さや恐ろしさを描いた映画、、
と思いきやラストシーンでは
他人の夢に出たことで人生を変えられたはずのポールが
別れた妻の夢に出たいと強くつよく毎晩願い
怪しい機械(ノリオ)を身につけて眠りに落ちる
その夢の中ではトーキングヘッズの仮装をしたポールが
肩幅の異様に広い滑稽な背広を着て
炎に包まれたヒロインを救いにいく
切なく滑稽な愛のラストシーンに心を奪われました
社会に翻弄される中年男性の悲哀
復活の兆しを見せるニコラス・ケイジの最新作。
多くの人の夢に出ることで有名人となったものの、夢の中の行動がエスカレートしていくというお話で、中年男性の危機と絡めて展開されます。
女性に誘惑されても応えられず、家族には迷惑をかけ、職場にも居場所をなくし、異国の地に旅立つ。
全体的に抑制の効いた脚本と演出で、ハリウッド本流ならもっと主人公をアゲて落として、とコメディ的な味付けをするでしょうが、本作は不条理な災厄の中で追い込まれる1人の男を淡々と描くフランス映画のような味付けです。
ラストは主人公の願いは叶うものの、シビアな現実は変わらないという皮肉な結末に涙。
夢中さ、きみに。
ひたすらにポールが可哀想だった。
影やドッペルゲンガーが悪さをする話は見たことあるが、夢だと取り押さえも出来ないからお手上げです。
確かにちょっと調子に乗ったかもしれないし、嫌がらせに反抗もした。
でも、すべて一般的な感覚の範疇だと思う。
そもそも望んで他人の夢に出てるわけでもなく、止めることも出来ない。
かといって受け手側の嫌悪感も生理的なものだから、これも防ぎようがない。
(もう少し理性的に対応しろとは思うが)
最終的には自分に襲われる悪夢まで見るなんて。
悪夢に切り替わった起点はモリーとの“再現”に思えるが、関連性は不明。
それ以前に、面識のない段階からモリーにだけ“行動”した理由もまったく分からない。
ポールはあんな美人相手にちゃんと途中で引き返すし、奥さんも嫉妬心バリバリでいい夫婦なのに…
最後は素敵なシーンなんだろうけど、肩幅が気になってずっと笑ってた。
なんだか唐突に終息したのは肩透かしだったし、個人的にはノリオの部分は丸々いらない。
勝手に夢に広告流されるとか嫌すぎる。
そこ以外はリアルではあるんだけど、リアル過ぎて映画としての面白みにはやや欠けた。
アイデアは面白かったし、自分だったらと思うと恐ろしい話ではある。
念願の出版は叶ったものの、今後もまだまだ“イメージ”には振り回されそうね。
WARNING
他人の夢の中に自分が現れ、最初はただ見ているだけだったのに、夢の中で徐々に危害を加えていく…とネットでのバズりで陥る現象を立体化させたような作品でした。
クリストファー監督の前作が整形によって有名になり、それと同時進行で自分が沼にハマっていく「シック・オブ・マイセルフ」だったのでそのテーマを扱うという点では信頼しかありませんでした。
夢に出てくる男という共通点では「THIS MAN」が真っ先に浮かびますが、あれは夢に見たら速攻で殺しにくるので即効性がありすぎます。今作は遅効性です。
いや〜生々しい生々しい。
有名税とはこういう事だというのを突きつけてくるような作品で、バズりを経験したことのない自分でもそういう物事の擬似体験をスクリーンを通して味わっているようで体が妙に重かったです。
SNSで他人の褌(既存の映像を投稿しただけとか、バズった投稿を真似たり)でいいね稼ぎしてる輩の気持ちが全く理解できないですし、簡単に素性をバラしてしまって特定されたりとかされて怖くないのかな?としょっちゅう考えてしまう中で自分は何もやっていないのに世間から注目されて日常生活が壊れてしまったポールは察するにあまりあります。
生徒が怖がるから教壇に立つなとか、保護者の意見もあって娘の発表会に来るなとか、飲食店にいるだけで他の客が怖がるから帰れとか、ぶん殴られたりだとか、とにかく不憫な目に合いまくっててそればっかりは怒っていいよと思うのと同時に変装とかはしないのかな?と思うところもありました。
ポールの人間性にもしっかり問題があり、もちろん可哀想な目に遭ってるので共感できるところはありつつも、持て囃されたらしっかり調子に乗っちゃうのはまだしも自分優先で動いているあまりに家族に迷惑をかけてしまっているのは本末顛倒だよなと思うところがありました。
プライドが高すぎるあまり、謝罪動画に見せかけて俺は悪くない!悪くないぞー!と声高らかに動画で全世界に発信してしまったもんですからそりゃ家族から顰蹙を買うわなと思いました。
不本意とはいえ娘の学校の教師に危害を加えてしまったのが吉と出たのか凶と出たのか、ポールは夢に登場しなくなり、夢に登場するというものに着想を得た頭のえらーい奴らが他人の夢に登場する事ができるアイテムを作るというなんたる発想力。
夢フルエンサーが出てきたり、脳内に直接広告を届けるといった形を生み出しており、ポールが負のイメージを背負ってるだなんだ言ってみたりとこれまた他人の褌でどすこいどすこいしてますし、絶対に悪用するやつ出てくるじゃんとは思いつつも目の前の事が成功しているから周りは別に見ないかと不思議と納得してしまうのは現代人だからでしょうか。
ポール自身もそのアイテムを使ってみては良くない夢を見てしまって散々な目に遭いつつも、家族と過ごす時間を描きながら最後はプカリプカリ…なんとも不思議な終わり方はこの映画らしくて良かったと思います。
A24にしてはまだ見やすい作りでしたし、SNSを日常的にやってる人はかなり頷きが止まらない作品なんじゃないかなって思いました。
鑑賞日 11/25
鑑賞時間 15:50〜17:45
座席 H-3
不条理ニコラス
集団ヒステリーのように右往左往する現代特有の世論を、ニコラスケイジが猫背や卵型のハゲ頭を駆使して、これでもかと演じ切ります。
カットのつなぎ目が小気味良く、台詞回しや映像も洗練されています。
軽妙なコメディのようで、恐ろしい映画でもありました。
普段、自己防衛的に自分ならどうするかということを妄想しながら映画を観ることが多いのですが、効き目なしでした。
この映画のような筋書で元カノに「夢のことを記事にしていい?」と言われたら、普通に「いいよ」と言うと思います。
私が一番怖かったのは、他人の夢に出てきたのがポールだという証明は、誰にもできないということです。客観性が全く存在せず、証明できないことがベースになって、それが現実を破壊していく。謂れのないことでどんどん責められ、最終的には「悪人」にされるまで燃やされる。この、キャンセルカルチャーをやる側の滑稽さ、やられる側の怖さと逃げ場のなさが、これでもかと表現されています。
どういうオチがつくのかと思っていたら、まさかの集合意識デバイス爆誕で、シマウマの話をしていた進化学専門のポールが、自分が群れからはぐれて食い荒らされた挙句、人間の『進歩』にいっちょかみするという急展開でしたが、そこで終わりでなくて本当に良かったと思います。
ラストを締めくくるのは、冒頭ならいつでも実現できたはずの、妻にとっての最良の思い出。気づいたら、夢の中でしか会えなくなっている。ポールが選ぶのは、自分の見たい夢ではなく、あくまで相手の好きな夢。この切なさと優しさが、それまで情けなくしか見えなかったニコケイのビジュアルにマッチしていて、泣けてきます。
結構辛口なドタバタホラーが、ニコケイのふんわりしたビジュアルで緩和される、ココナツミルクの入ったカレーみたいな映画でした。
※この後続けて、IMAXでインターステラ―を観たのですが、宇宙空間で無音になるときに、鬼肩幅スーツのニコケイが薄っすら暗闇に浮かんだ気がして涙腺が緩むという、貴重な体験をしました。
鑑賞動機:あらすじ9割、復活後ニコラス・ケイジ1割
掲載されて初めて業績ですからね。さっさと論文書けばよかったのにね。まあでもNature に掲載なら、悔しいのはわかるけど。
『マルコヴィッチの穴』をぱっと連想した。全然違う話ではあるが、突拍子もないアイデアと「何でそうなるの?」という理解不能の展開、微妙にしょぼいというか情けない登場人物とか、何となく。
ディープフェイク動画で炎上しちゃったみたいな不条理感。でも選択を必ず間違えると、どこか自業自得とも思ってしまうのは、ケイジのダメキャラ演技がすごいからなのか。
好みとしては、もう少し理に落ちてほしかったけど。
冴えない大学教授
ニコラスが久々に日本のスクリーンに登場したので鑑賞した、冴えない大学教授が急に本人の意思と反してバズり人気者であれよあれよと言う間に意思と反して嫌われ者に…ニコラスは何もしていないのからいつものポカーン顔。結局とても可哀想なニコラスで終わるお話、好きだけど。
潜在意識が明晰夢を見せて、それがシェアされる世界線のお話でしたね
2024.11.25 字幕 イオンシネマ京都桂川
2023年のアメリカ映画(102分、G)
夢の中に現れる教授が不条理に晒される様子を描いたスリラー映画
監督&脚本はクリストファー・ボルグリ
物語の舞台はカナダのどこかの地方都市(ロケ地はカナダのオンタリオ州トロント)
オスラー大学にて進化生物学の教鞭を取っている教授のポール・マシューズ(ニコラス・ケイジ)は、妻ジャネット(ジュリアンヌ・ニコルソン)と長年連れ添い、ハンナ(ジェシカ・クレメント)とソフィ(リリー・バード)の二人の娘を授かっていた
ハンナは高校に入って彼氏ができたようで、妹のソフィは中学校で演劇部に入っていた
ある日のこと、ソフィが「自分の夢の中にパパが出てきた」と言い出す
聞けば「ソフィが宙に浮いてどこかに連れ去られようとしているのに、パパはただ突っ立っているだけだった」と言う
何もしないことに引っ掛かりを覚えるポールだったが、夢の話だと意に介さなかった
その後、観劇に出向いた夫婦は、その帰り際にポールの元カノのクレア(Marnie McPhail)と遭遇する
彼女は「あなたの夢を見る」と言い、「何もせずにただ突っ立っている」と続けた
クレアはユング心理学を題材にした記事を書こうと考えていて、ポールが夢に出てきたと言う話を書きたいと言い出す
ポールは何も考えずにOKを出すものの、それが思わぬ事態を引き起こすことになった
それは、彼女以外にも多くの人がポールが出てくる夢を見ていて、ただ突っ立っているだけだと言い、それは瞬く間にネット上で拡散されてしまうのである
映画は、何もしないはずの夢の中のポールが徐々に何かをし始める様子が描かれていく
ポールに興味を持った企業が接触し、アシスタントのモリー(ディラン・ゲルラ)は「夢の中のポールは積極的に動いて、二人はセックスした」と言い出す
その再現をするために彼女の部屋に出向いたポールは、そこで失態を演じて退散することになる
だが、その日を境に、多くの人の夢の中で「ポールが人を殺し始め、それに恐れをなした学生たちは授業をボイコットし始める」のである
物語は、自分の知らないうちに誰かの加害者になっていると言うもので、一次情報が悪用されていく現代風刺にも見えてくる
だが、それよりも「夢をコントロールすること」が主体となっていて、それぞれが見ている夢は深層心理の現れになっている
当初ポールが何もしなかったのは、ポール自身に無関心であると言う受け手の感覚があり、さらにポール自身がそれらの夢に無関心だったと言うものが共鳴していた
だが、自分が積極的にセックスをしたと聞かされ、それによって他人に影響を与えることを感じ取ってしまう
モリー自身はポールを好意的に見ていたが、それ以外の人物、特に生徒などは自分の生殺与奪を決める存在だったこともあって、恐怖が増幅されている
キノコの夢を見ていたアンディ(David Klein)は大男(Stephen R.Hart)ではなくポールに殺される夢を見るし、グレタ(Star Slade)は地震が起きる中でポールに襲われると言う夢を見る
そうした先にソフィも父から襲われる夢を見てしまうのだが、これはSNSなどで拡散された「人を殺すポール」の話を聞きすぎてイメージしてしまったのではないだろうか
ポール自身もハンターになった自分自身に襲われる夢を見ていて、これは妻の言う軽率な行動というものを理解し始めたことが原因だろう
最終的にポールは妻娘と別れることになり、そして彼の能力を解析して作られたデバイス「ノリオ」にて、妻の夢に現れようと考える
それがラストシーンへと繋がっていた
夢を覚え、それをコントロールすることを明晰夢というのだが、これは潜在意識が夢に影響を与え、自分自身の願望や恐れなどが映像化されている状態だと言える
ノリオはそれを増幅させることができ、それはより自分の夢をコントロールしやすい状況へと繋がっていく
さらに夢によって人間の世界はある程度干渉しあっていることがわかり、それが相手の夢に入り込むことができるようになっていた
夢の中にダイレクトに現れて商品のPRをするというシークエンスがその世界線であり、その延長線上にノリオが開発されている
実際に干渉し合う夢の世界において、明晰夢的な操作が可能かはわからないが、そう言った世界においてでしかポールの魂は救えないということなので、ハッピーエンドに見えるバッドエンドなのかなと思った
いずれにせよ、前半はわかりやすいスリラーなのだが、ノリオが登場する近未来的な話になると一気に意味がわからない作品になっていたように思う
映画のテーマが「意図しない改変」で、これはポールの著書のタイトルにも現れていて、フランス語訳だから意訳されていた、みたいな感じになっていた
「夢のシナリオ(Dream Scenario)」というタイトルが「Je suis ton cauchemar(私の悪夢)」になっているのもその一環であり、自分自身が発信した情報(本)ですら、人を介在すると歪曲されてしまう怖さがある
それをわかった上で情報(本)と付き合うかどうかを受け手(読み手)のリテラシーとするかは微妙なところだが、今の世の中には自分で考えないとダメな情報で溢れているとも言える
妻にだけ現れなかったのは、友人で学長のブレッド(ティム・メビウス)同様に、夢そのものに興味がないからのように思える
彼らは登場人物の中で長い付き合いがあって継続しているキャラなので、15年以上の付き合い(妹は見るけど姉は見ない)があれば、夢の中には出てこないのかな、と感じた
I Dreamed a Dream
既視感(デジャヴ)
一度も体験した事の無いものを
体験した事のように感じること
ではどこでそれを体験したか
についてはハッキリと思い出せず
主に夢がベースになることが多い
脳内の情報処理のプロセスの
錯誤であるとされている
毎度イマイチわかりづらい
意識高い系ムービーでおなじみの
A24系プロダクションの作品
どうだったか
本人の知らず知らず有名人になり
知らず知らず嫌悪されていき
現実世界を脅かしていく
まさにこれって
ネットインフルエンサーの
暗喩ですよね
まあネットインフルエンサーの
場合は炎上した結果イメージが変わる
という自らの行いが原因であることが
殆どでしょうが
結局ポールが他人の夢に出てくる理由は
最後までハッキリしていない部分が
違いがありますが
当初の夢に出てくるポールは
何もせず立っているだけ
それで有名になるのですが
ポールが大学教授として
生物学の研究を本にする事が
夢だったのをパクられて
激高した瞬間から
夢の中のポールが凶行し始め
次第に人々は現実世界のポールを
糾弾し始めます
でもポールにはどうしようも
ありません
他人の夢の中で自分がどんな
事をしでかしているのかも
わかりゃしない
映画の終盤にポールを
利用してビジネスにしようとした
会社が夢の中で企業広告を行える
ブレスレットを発表します
ポールの体験を商品化したような
感じですがこれもネットっぽいですよね
あったこともない人と繋がってしまう
ということの恐ろしさみたいのを
とらえるとなかなか面白いんですが
ちょっとホラー表現が物足りない感じも
しました
夢の中の荒唐無稽な表現が正直弱い
決定的に現実世界と違う感じが
もう少しあってもと思いました
あの最近のAI生成動画みたいな
わけのわからなさをね
全32件中、1~20件目を表示