ドリーム・シナリオのレビュー・感想・評価
全179件中、161~179件目を表示
アイデアは冴えてるが…
全体的に作りこみが甘いと思った。
主人公は一瞬人気者になるだけで後はただただ避けられて不幸になっていくが、あまりにも救いがなさすぎるように感じた。夢共有装置の実現などというぶっ飛び展開を用意するなら、そこで主人公が報われてハッピーエンドという形にしても良かったのではないか。カタルシス、来るか…!、来るか…!と思わせて結局最後まで来ないのではどうやっても消化不良になってしまう。
また、編集もやや冗長だと言わざるを得なかった。主人公の不遇さを伝えるための描写が多すぎて、「もう状況分かったからストーリー進めてよ!」となってしまった。
さらに、主人公のキャラもややぼんやりとしているように感じた。冴えない感じを醸してる割にはいい感じの奥さんがいてうまくやってるようだし、可愛い子にキスまでしてもらえるし、本を書くと口では言いながらなかなか書かない口達者なところがあるのかなと思いきや大学ではちゃんとしたポジションを得て学生ともそこそこ仲良くできているし、結局主人公をどういう人物として描きたかったのかがよく分からなかった。不器用さ加減が中途半端だからキャラクターとしてはやはり薄味になってしまう。報われないおじさんを描くならジョーカー並みに振り切らないと面白くない。
ストーリー展開もやややりっぱなし感が否めない。結局女の子とヤッた夢の再現に中途半端に付き合ってあげたのは何で?既婚だからダメと思ってるならそもそも家まで行かないでしょ?キスもしないでしょ?何の意味があったの?夢共有装置の実現に寄与したのになぜ全く評価されてないの?離婚したっぽく見えるけど最後は結局どうなったの?何でそんなことしないといけなかったの?風評被害が落ち着いたら一緒に居ても奥さんに火の粉は飛んでこないのでは?
ちゃんとそういうところに理由を用意しないから違和感が残ってしまう。
自分は海外版の予告編が出た時からこの作品をずっと楽しみにしており、海外の公開から1年経った今やっとこの作品が見れるのかと期待して観に行っただけにこの仕上がりなのは非常に残念に思った。
面白そうに見える割にロッテントマトの評価が微妙だった事にも何だか納得してしまった。
不思議な空気感を味わうためには良いが。
安心安全のA24作品といった感じ。アリ・アスターが絡んでる割にはおとなしめかな。
ある男(主人公)が不特定多数の夢に出てくるようになる。理由は全く不明。夢の中で起こっている出来事に対して、主人公は基本的に不干渉でそこに居るだけ(一部例外あり)
↓
世の中がざわつき始める
↓
主人公をビジネスに利用しようとする人間が出てくる
↓
きっかけは不明だが夢の中の主人公が危害を加えるようになってくる
↓
現実世界で主人公が迫害されるようになる
↓
結果的に娘や自分を守ろうとする妻と、自身がどうにか助かりたい主人公家で家庭不和が起こる。だが憎み合っているわけではない。
↓
理由は不明だが皆が主人公を夢に見なくなる
↓
事件をきっかけに主人公の教え子たち(夢の被害者でもある)が他人の夢に干渉できる機械『ノリオ(だったか?)』を作り出す(干渉するには相手の同意が必要らしい)
↓
理想と現実の乖離に狂いそうになる主人公はノリオを使い、夢の中で妻との時を過ごすが、最終的に空へ浮かんで消えていく。
要約して書いたところで何の意味も分かりませんでした。どうして夢に現れ、そして消えたのかという点に関しては一切の説明はなく謎のまま。まぁそこら辺の訳わからん感じはA24らしいと言えばらしい。
ついにニコラス・ケイジが出てくるようになったのかということに対しては、正直複雑な心境だった。
何が何だか、さっぱり
ノリオにお任せ
ドリーム・シナリオ(映画の記憶2024/11/22)
スリラーともホラーとも言えるだろうが個人的にはどちらでもなかったな。
空想ヒューマンものにしか感じなかった。
(色々ホラーとか観すぎてるから感度鈍ってるかもしれないのでスリラーと感じる人にはスリラーかと)
ニコラス・ケイジもさすがにおじいちゃんだね。演技は役ともマッチしてたかと。
でも主人公は被害者だよね。別に本人が悪いわけじゃないのに。村八分とはこのこと。
唯一若い娘との絡みの設定はほんとうらやましいと思ってしまったけどねw
アリ・アスターが考えたのか知らんが、ノリオから先の設定は構想途中で入れたのかな?
最後のシーンが始めから決まってたら別だが、急にノリオの話に転換したのが気になった、ああいうことアリ・アスターが最初から考えるのかなぁとw
※思い過ごしかもしれんので、個人的想像です。
ただ、最後のフラグ回収は綺麗で良いとは思う。
観てる側がもっと精神的に来るやつを期待してしまっていたので、評価は低め。
※話自体はすんなり入ってくるし、最後は全部が全部じゃないけど、いい話ですよ。
(個人的評価5.5点/10点中)
妻との成り行き
劇場でトレーラーを観て、その奇抜な設定と異様な雰囲気に期待いっぱいで楽しみにしていた本作品。リピータークーポンを使い、公開初日の丸の内ピカデリーへ。平日午前中ですがそこそこの客入りで、A24は日本にも固定ファンを着実に増やしているようです。
と言うことで、本作を観た私の感想は「予想に違わず面白かった」ですが、やはり万人受けというわけではなく「A24らしい」カルトムービー。正直、一度観ただけでは理解しきれませんでしたが、それでも不思議と納得度は高い。「夢」と言う身近だけど謎の多い現象を利用したギミックは、想像しやすいからこそゾッとします。そして、唐突な場面転換や不意に入り込むサブリミナルを狙っているような映像など編集も独特で、時折「今観ているのは夢か現実か」迷わせるシーンも、なかなかに巧妙で安心できません。とは言え、ギミックはあくまで要素の一つであり、一番の見所は「人間」そのもの。そこはやはりA24作品として裏切りません。
大きく3部に分けられる構成ですが、「様々な距離感の他者たち」の反応を、その状況の変化に応じて丁寧、且つ絶妙に表していて全く違和感を感じません。当然、一番近しい存在である妻・ジャネットとの成り行きは目が離せません。平凡なくせに妙に見栄っ張りで、ついつい状況に流されがちなポール(ニコラス・ケイジ)。前半、そんな夫・ポールをとても愛しているジャネットの気持ちがこれ以上なく伝わってくる夫婦のやり取りがあるからこそ、中盤以降の急展開に二人の関係性も変化していき、そして最後のシーンに至るまで印象深く観続けることが出来ます。ジャネットを演じるジュリアンヌ・ニコルソン、正直今まであまり印象に残っていない俳優でしたが、参りました。とても素晴らしいです。
なお、それぞれは短いシーンとは言え、直接的な暴力シーンや血飛沫などゴア描写もあるため、その手が苦手な方は要注意。ただ、その観点については目を覆うほどの怖さはありません。前述したようにむしろ怖いのは「普通の人たち」のふるまい。そして、それに応じてあの手この手でリアクションするポールを演じるニコラス・ケイジがめちゃくちゃ巧くて面白い。一時期はB級映画に出まくっていましたが、それは多額の借金を返済するためだったそうで今は無事に完済。確かに最近はユニークなアイディアの作品を選び、自ら製作の立場でも加わっていて本気を感じます。もし、どこかの時点で止まったまま彼に諦めてしまった方、本作は必見ですよ。
まさかデビッド・バーンのスーツで涙
ニコラス・ケイジって、色んな作品に出てますよね、最近はヒーロー映画なんかでもちら見できたし・・・という思いは自分だけじゃなかったのかなぁと思っていたのですが、この作品もそういった軽いノリかなと思いながら見に来たんですが、想像以上に笑えて感動的で─何よりもニコラス・ケイジのパフォーマンスが素晴らしすぎます。
映像はアメリカ映画らしいカット割りの多さと、リアルなカメラワークでかなり引き込まれました。
内容も相当おもろかったなぁ。予想通りの展開、そしてそれを遥かに超える物語。
斬新なのに、非常にナチュラル。自由な発想でもって、ショッキングな演出もあり、それでいて笑える─まさに演技と映像、そして発想の結実を感じる作品でした。
現代における思わぬ展開、そしてその理不尽さや、これから起こり得るようなバーチャルと等々しっかりその危うさまでも感じつつ、そして感動。
あのスーツは本当に・・・笑えたんですが、泣けました。
本当にスリラー映画なのか?
『マルコヴィッチの穴』に迫る奇抜なコンセプトは最高、だが…
クリストファー・ボルグリ監督作品は初めて。16mmフィルムで撮影されたという本作。まず、ファーストシーンから柔らかで落ち着いた映像美に惹かれる。撮影監督はだれだろうと思ったら、コゴナダ監督作『アフター・ヤン』なども手がけたベンジャミン・ローブだった。なるほど、本作のなんともやるせないラストシーンの風合いもどこか『アフター・ヤン』を思わせる。
それ以上に劇中、幾度も思い浮かんだのが、アリ・アスター監督の『ボーはおそれている』とトッド・フィールド監督の『TAR/ター』の2作品。
前者については、主人公が平凡な俗物(それに加え極度の心配性でもあるが…)で、事態の推移になすすべもなく流されていくようにみえるところが、本作でニコラス・ケイジ演じる主人公のキャラに相通ずる。
また後者においては、音楽院で教鞭をとる主人公が学生から抗議されるところや、惨めな境遇に身を落としていく点などが、本作で生徒らの反応に振り回される大学教授の主人公とダブってみえる。
そんな本作だが、ストーリーは波乱万丈のキャリアとともに今やミーム化したニコラス・ケイジに当て書きされたかと思えるほど。見事に彼のハマリ役となっている。そもそも、「みんなの夢に出てくるニコラス・ケイジ」というあまりに突飛なコンセプトだけで、映画の半分以上は「勝った」といえるだろう。『マルコヴィッチの穴』にも迫る奇抜さは掴みとして申し分ない。
そこらをニヤつきながら観ていると、これまでやらかしてきた我が身のみっともなくも恥ずかしい「過去」(※広告会社のおねえさんのシーンではないよ)が時折フラッシュバックし、思わず赤面するはめに。いや、これは私だけか?(苦笑)
一方、「SNSでバズらせ、上げて落とす」といった社会的風潮を皮肉った描写などは終始、紋切り型だし、ありがちな見栄や嫉妬、承認欲求に振り回される主人公と妻のスタンスもまた最後まで変わることがない。うむむ、なにかイマイチ食い足りない。
たとえば、『ボーはおそれている』に出てきた「風呂場の天井に張りついていた男」や「巨大なち●●ん」、『MEN 同じ顔の男たち』の「出産を繰り返す男」、『ゲット・アウト』の「深夜に全力疾走で向かってくる男」——そんな不条理なインパクト、もうひと押しが劇中にほしかった。監督のニンじゃないよと言ってしまえば、それまでだけど。
もうひとつ。後半にでてくる『エターナル・サンシャイン』みたいな設定がやや唐突で、肝心のラストスパートに向けてやや迷走気味にも感じられた。このことがせっかくのオチの切なさ・ほろ苦さを減じてしまった感はいなめない。
以上、試写会にて鑑賞。
重力と群れ="その他大勢"凡人の夢の実現と現代社会の弊害、そして自分の力の遠く及ばない大きいものに対する挫折と諦め
助けずに見ているだけ…教授が作家になるための"適応戦略"はまず有名になること?夢の実現(叶い方)が希望(理想)と違うことへの注文(不満・憤り)!最強最大のミーム化アイコン俳優=我らがニコケイのために書かれたような役柄で、ニコケイのハイテンション演技とは異なる名演が引っ張る。
ここで質問、Q."自分が話題になって浮かれることってそんなにダメなことですか"?隠しきれない喜びによるニヤケ顔などニコケイの繊細な演技が、ポール・マシューズというこの等身大にダサく(アリくらい)小さくみみっちくも、決して悪人ではない人間を共感性たっぷりに演じている。そして、嬉しくて浮かれたり、(スマートじゃない反応で)ついつい調子乗っちゃったりする、それが普通の反応だから。自身が何よりミーム化しているニコケイ本人がこの役を演じるという必然性(ニコケイ顔だらけのエプロン買ったことあります!!)、この上ないハマり役キャスティング!しかも自身で本作の製作も務めているので、コレはもうお墨付き?
みんなが自分の夢を見て、自分のことを話題にする。人が自分に関心を示しては、群がってくる。最初はそれだけで一目瞭然なほどいたく喜んだ様子で嬉しそうだけど、途中から「あくまで(この人気に乗じて)自分は本を出したい!」のだと主張・注文が増えていく。そして、そこ辺りから悪夢のトリガーになっていくような、現実と夢が作用し合った作りが巧い。…からの安定にノリノリな普段のニコケイも少し垣間見えての、今の時代を反映した容赦ないキャンセルカルチャー(村八分私刑タイム)が待っている。また、冒頭から作品前半の何もしないで静観しているだけという夢出演も、作品中盤・後半に大変になってからの自分のことで精一杯で、家族への被害・迷惑にまで気を回せていない様子に繋がっている。
最初の方の旧友に問い詰めるシーンから共感できて、このキャラクター好きと思えた。コメディとは、観客が登場人物に対して"バカだなぁ~"と下に見られることができるから笑えるのであり、それが作品がうまく機能するかの鍵でもあるが、その点で本作のニコケイは上述の通りこの理不尽極まりない目に遭う不憫な役柄を感情の揺れ動き、その機微まで完璧にモノにして演じきっている。という意味でも -- 観客ウケがすごく良さそうな作品というわけではないし、特にゴリゴリB級C級の高カロリーなニコケイが好きな人にはハマらない気もするが -- 本作の製作前から「ニコケイの夢くらい見たことあるわ!」というハードフリークなニコケイ・ファンにもオススメしたい立派な"ニコケイ映画"!
重力と一緒。A24 ✕ アリ・アスター製作 ✕『シック・オブ・マイセルフ』クリストファー・ボルグリ脚本監督 = ある日勝手に宙に祭り上げられて中身の伴わない(身の丈に合わない)空っぽな名声や人気に踊らされては、突然容赦ないほど無慈悲に真っ逆さまへ突き落とされる、そんな不条理なドリーム・スリラーあるいは現代を象徴するようなブラック・コメディ。『シック・オブ・マイセルフ(訳 : 自分にうんざり)』未見ながら、そのタイトルやプロットから推察するに、恐らく本作と通ずる作家性とも言えるような一貫した監督のテーマなのだろう。
少し浮かれては現実に引き戻される、その連続こそ人生か。書きたい・書くぞと言いつつ、いつまでも書けない主人公に痛いほど共感。思い願う夢も、眠っているときに見る夢も、自分で思い通りの脚本を書けたらいいのに!よくできている映画だなと感じた。そして、差異を伴う反復イメージングシステム…現実ならよかった。なんともやるせない気持ちになってしまう。
Thoughts? 意図は?ソーツ社
スプライト、オバマ元大統領→インテリ層
娘ウサギ→アリス
P.S. ジャパンプレミアという名の試写会で一足先に鑑賞。応募数が1000くらいと従来よりかなり多かったらしく当たってラッキー。司会進行にはこういう系の映画イベントに欠かせない奥浜レイラさん、最近でも『リアル・ペイン』でも見たよ(そしてこの仕事やってみたい)。あと、本作と関係なくトーキング・ヘッズは一番と言っていいくらい大好き!!!!!!!!!! ニコケイと言ったらやっぱり『LONGLEGS』も早く観たいな〜とそこは脚じゃなくて(←やかましいわ!)首を長くして日本公開持たれるのである。
現代風の怖さ
神経質×ニコラス・ケイジ=いつもの
全179件中、161~179件目を表示