「アイデアは冴えてるが…」ドリーム・シナリオ almarkさんの映画レビュー(感想・評価)
アイデアは冴えてるが…
全体的に作りこみが甘いと思った。
主人公は一瞬人気者になるだけで後はただただ避けられて不幸になっていくが、あまりにも救いがなさすぎるように感じた。夢共有装置の実現などというぶっ飛び展開を用意するなら、そこで主人公が報われてハッピーエンドという形にしても良かったのではないか。カタルシス、来るか…!、来るか…!と思わせて結局最後まで来ないのではどうやっても消化不良になってしまう。
また、編集もやや冗長だと言わざるを得なかった。主人公の不遇さを伝えるための描写が多すぎて、「もう状況分かったからストーリー進めてよ!」となってしまった。
さらに、主人公のキャラもややぼんやりとしているように感じた。冴えない感じを醸してる割にはいい感じの奥さんがいてうまくやってるようだし、可愛い子にキスまでしてもらえるし、本を書くと口では言いながらなかなか書かない口達者なところがあるのかなと思いきや大学ではちゃんとしたポジションを得て学生ともそこそこ仲良くできているし、結局主人公をどういう人物として描きたかったのかがよく分からなかった。不器用さ加減が中途半端だからキャラクターとしてはやはり薄味になってしまう。報われないおじさんを描くならジョーカー並みに振り切らないと面白くない。
ストーリー展開もやややりっぱなし感が否めない。結局女の子とヤッた夢の再現に中途半端に付き合ってあげたのは何で?既婚だからダメと思ってるならそもそも家まで行かないでしょ?キスもしないでしょ?何の意味があったの?夢共有装置の実現に寄与したのになぜ全く評価されてないの?離婚したっぽく見えるけど最後は結局どうなったの?何でそんなことしないといけなかったの?風評被害が落ち着いたら一緒に居ても奥さんに火の粉は飛んでこないのでは?
ちゃんとそういうところに理由を用意しないから違和感が残ってしまう。
自分は海外版の予告編が出た時からこの作品をずっと楽しみにしており、海外の公開から1年経った今やっとこの作品が見れるのかと期待して観に行っただけにこの仕上がりなのは非常に残念に思った。
面白そうに見える割にロッテントマトの評価が微妙だった事にも何だか納得してしまった。