劇場公開日 2024年11月22日

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ドリーム・シナリオのレビュー・感想・評価

全176件中、1~20件目を表示

5.0全シーンが面白くてストレスフルな、中年男性が陥る袋小路問題

2024年11月30日
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主人公が大学の講義で語るシマウマの生態についてのエピソードが、この作品の基本理念を象徴している。群れの中にいることで、努めて目立たず、我が身の安全を確保したいが、自分がいるクラスタの中では認められたい、モテたい、チヤホヤされたい。しかし評価されるに足るものはというと、まだ一文字も書いていない論文だったりする。ああ、小さな不満を蓄積させながら、つまらない毎日に甘んじている自分たちになんと突き刺さる映画か(もちろん本物のシマウマは野生の王国で必死にサバイバルしてると思うけども)。

もうひとつ重要なのは、これが中年男性の映画であること。仮に主人公の性別を置き換えても、困ったひとの映画であることは変わりないが、おそらくこんな人もいる、という話になったように思う。中年男性が(無自覚であっても)どんな圧を発し、周囲を不安にさせるのか。いや、悪気はないのに!というのもひとつの正しさだし、そうであっても権威的な立場から社会に及ぼしてきた影響の積み重ねがあって、個人のささやかな望みが破綻する物語でも、中年男性にまつわる社会現象のシミュレーションとして機能している。

そこが監督の前作でSNS世代の承認欲求のこじらせを描いたブラックコメディ『シック・オブ・マイセルフ』と大きく違う部分だし、こちらのほうが複雑に絡み合った問題の根深さがあらわになっていて、じゃあどうせいっちゅうねん!と叫びたくなる一歩手前の問題提起として非常に優れている。そしても全シーンが面白くて美しくて哀しくて愚かしくて、繰り返し観ることで編集の冴えにも惚れ惚れするばかりです。

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村山章

4.0またしてもケイジの脚本選びのうまさ際立つ

2024年11月26日
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鑑賞方法:試写会

脚本や演出が良いのか、ニコラス・ケイジが巧いのか。ケイジが我が身を顧みずとことんかっこ悪く不運な役柄を演じる時、そこにはなんとも言えない魔法が立ち現れる。あるいは、彼のバランスの効いた飾らない存在感が脚本の面白さをより際立たせるのか。ともかく本作は『The PIG』『マッシヴ・タレント』に続き、ここ数年で際立つ彼の脚本選びの才覚が最も花開いた出色の作。ボルグリ監督の『シック・オブ・マイセルフ』を見ればこの作り手が一つの着火点から居心地悪くも目が離せない不条理世界を生み出せる才人なのは一目瞭然だが、今回はその語り口を深化させ、どこかチャーリー・カウフマン的香りすら漂わせつつ、ケイジで遊び、祭り上げ、叩き落とす。彼の魅力を熟知した演出の巧さ。そしてケイジのリアクションの妙。当初、誰もが抱く「なぜ?」という感覚も気にならなくなるほど、彼の魅力と一つの事案に揺れる社会状況を見事に凝縮させた秀作だ。

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牛津厚信

4.0フェイクの拡散に着想を得てSNSの功罪をからめた不条理コメディに、ニコケイのトホホ感が絶妙

2024年11月25日
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鑑賞方法:試写会

笑える

怖い

昨年日本公開の「マッシブ・タレント」のレビューで「ニコケイ、第2黄金期の幕開けとなるか」と書いたが、この最新作でのニコラス・ケイジもお馴染みの困惑気味の表情が絶妙にはまっていて、好調を維持しているようで嬉しい。ほぼ予備知識なしで観始め、チャーリー・カウフマン脚本っぽい話だなと感じ、まず「マルコヴィッチの穴」が思い浮かび、ああそういえば「アダプテーション」ではニコケイが双子の二役で主演していたなと。

鑑賞後に資料で監督・脚本が「シック・オブ・マイセルフ」のクリストファー・ボルグリだと知り、同作で扱ったSNSや動画共有サービスの功罪がこの「ドリーム・シナリオ」にもつながっていたのかと得心。

私自身は知らなかったが、ある男が大勢の夢の中に現れるという話には元ネタがある。2009年頃にイタリア人のマーケティング専門家が創作した「大勢の夢に同じ男(This Man)が出てくる話」を、フィクションであることを伏せてゲリラマーケティングの一環として拡散させネット上で大いに話題になり、事実として報じるメディアまであったそう(Wikipediaに「This Man」の項が設けられ、経緯が紹介されている)。今年6月公開の邦画「THIS MAN」もこの元ネタから着想しているので、同作と「ドリーム・シナリオ」を両方観た人なら似た設定だと気づいただろう。

製作に名を連ねたアリ・アスターとも、主人公が不条理な状況に陥っていく恐怖をシニカルなユーモアも交えて描くセンスが似ていて、互いに共感するところがあるのだろうか。ボルグリ監督の次回作「THE DRAMA」(ゼンデイヤ、ロバート・パティンソン、「リコリス・ピザ」のアラナ・ハイムが出演)もA24とアリ・アスターの製作だそうで、今から楽しみだ。

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高森 郁哉

4.5ニコケイ

2025年6月15日
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鑑賞方法:VOD

もしこんな事が自分に起こったらめちゃくちゃ怖いと思った

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ゆうき

3.0夢に遊ばれる輩たち

2025年6月8日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

単純

ニコラス・ケイジ主演の情報しかなく観た。
(観る前に、できるだけ前情報を入れないで、先入観なく
楽しみたいという発見を期待している。)
開始30分頃までは楽しんでみた。
ただ、これが限界だろう。
監督はクリストファー・ボルグリ、『シック・オブ・マイ
セルフ』の人。
あの映画も転結が弱かった。この監督には
脚本のサポートに他のストーリーテラーが必要。
製作のアリ・アスターは売れっ子でアイデアも枯渇して
他に手がまわらない、のだろうね。
この手の不可思議なお噺映画は転結に注目されるから、
起承だけのアイデアだけだと楽しめない。

夢は自分が刺激した脳の映像。
デジャブは認知心理学的説明と
生理学的な説明(脳の海馬傍回という場所で、一時的な異
常が起こること)が説かれるが、明確にはまだ解明されて
いない。
面白い題材だが、限界を突破して新たなる世界観を表現
するクリエーターを、映画界も見つけてほしい。
(僕はスピリチュアルな世界観がすきで、デジャブも己で
多く経験している。
でも、ソレでしかない。
広がりも羽ばたきもない。
ただの凡人に夢を操ることなんて、できない。
デジャブ自体、自分の世界でしかないのだ。)

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なかじwithみゆ

4.0※このレビュー閲覧注意

2025年6月3日
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※注意
あらすじや設定を知らずに観ると一番面白いタイプの映画
なので、まだ知らないという方は今すぐ読むのはやめて下さい!
そしてサブスクにGO!!

ニコラス・ケイジ演じる大学教授のポール
自分の研究論文を書籍化したいという夢を持っている彼だが、それは長年叶わず通常運転の毎日を繰り返していた

そんな彼に思いもよらぬ大きな変化が訪れる
最初は「町でよく顔をさされるようになったなぁ」ぐらいだったのだが、なんと世界的規模で
同時多発的にポールが登場する夢をみる人が続出しはじめたというのだ

自分の意思が及ばぬところで顔と名前が(主に顔)売れていくポール
彼に悲喜こもごもの物語が始まってしまった・・・

ゴールデン・グローブ賞を参考にすると今作はコメディに分類されるらしい

たしかに大学教授でありながらどこか情けない
ポールの姿や、展開のあれこれはコメディチックだ

しかしそれ以上に、人間社会で生きる人なら誰しもが分かるリアルな物語でもある

作中で問われる
「シマウマはなぜ白黒模様なのか?」
私達も🦓でないとは言い切れない

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作務衣もん

2.5ニコラス・ケイジさん、最高だよ

2025年5月13日
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鑑賞方法:映画館

今日のキネカ大森の名画座は 「B級俳優と思われがちなニコラスケイジの真価を観よ。」という(受け取り方によっては失礼な)企画で、「ドリーム・シナリオ」と「マッシブ・タレント」の二本立て。 失礼な、と書いたが、そもそも「マッシブ・タレント」の前宣伝文句が「君はまだ、本当のニコラス・ケイジを知らない」だから、みんなそう思っているのは否めないかもね。しかし、俺はこの企画のおかげで真のニコラス・ケイジさんを、憑依型俳優の真価を観たよ。

ただ、本作「ドリーム・シナリオ」は、こっわ(怖)。 映画自体は(俺にとっては)困りものでした。パッとしない生物学の大学教授の主人公は、突然、いろいろな人の夢に現れるようになり一躍時の人として大人気になるが、しばらくして夢の中の主人公が乱暴やら殺人やらと、ひどいことばかりを各自の夢の中でし始める。それとともに、なんの責任もないはずの本人が大変な状況に陥っていく、という話。

世界が一段階覚醒するときに (本作で言えば、人類が、他人の夢に出現する技術を発見し確立する、そのタイミングで)、最初のひとりには悲劇が起きているかもしれないよ、という話なのかな。例えれば、「ふぐが美味いということを人類が知る際に、肝を食って死んだ男(人類に「肝は食ってはいけない」と知らしめた男)の話とでもいうのだろうか。

何もしていないのに自分の存在が人々を不安にするという苦境。自分もまた悪夢の中で自分に襲われるようになっても誰の同情も得られない苦境。

いや、観ていて救いがないわ。イヤホラ(イヤな気持ちにさせられるホラー)だわ。苦手だわ。というわけで、ニコラスケイジさんは見事だったけど俺の評価点は低いわ。ごめんね。

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CB

4.5不思議なジャンル

2025年5月11日
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アザラシ3

4.0可哀想すぎる

2025年4月30日
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シックオブマイセルフの監督だったのね。知らずに見たけど、この軽やかにイヤな感じを描くの最高ですね。ポールの現実の行動はみんなの夢に影響している前提なのかな?全然普通の小市民だけど、それゆえにすべての行動が聖人君子な訳じゃない、だからそれをあげつらわれたら後ろめたい気持ちになるよね。でもそんなのポールだけじゃないから可哀想。この監督大好きなのですが、悲しいのは現代をとらえすぎてて多分10年後にはもう目も当てられないほど古くさく感じちゃうだろうなってところ。

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三毛猫泣太郎

3.0夢が現実を壊していくとき

2025年4月29日
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鑑賞方法:VOD

あらすじ

平凡な大学教授ポールは、ある日を境に、なぜか世界中の人々の夢に現れるようになる。
最初は無害な存在として人気を集めるが、次第に夢の中で人々を恐怖に陥れる存在へと変わっていく。
やがてその影響は現実にも及び、ポールの私生活も少しずつ壊れていく――。

感想

とても不思議なお話だった。
これはホラーなのか、そうじゃないのか、よくわからない。
有名になるけれど、いつしか悪夢の中の嫌な存在になり、
それが現実にも影響して、人を傷つけてしまう。
そして、自分の私生活も壊してしまう、悲しい結果に向かっていく。
本当に不思議で、説明しきれないまま、ふと見終わっていた、そんな映画だった。

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shin

3.0あまりに悲惨

2025年4月26日
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鑑賞方法:VOD

1人の男が世界中の人の夢の中に出現するという面白いアイディア。
途中でポールも言っていたが、本人は何ひとつ悪いことをしていないのに、あんなに切ないラストになってしまうのは、あまりに悲惨。

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ABCD

2.5平凡な大学教授が夢に現れ暴力を振るったり、エッチなことしたり、何だ...

2025年4月22日
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鑑賞方法:VOD

平凡な大学教授が夢に現れ暴力を振るったり、エッチなことしたり、何だかよくわからない作品。
最後まで楽しく観れました。

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ホンマサ

3.5不思議と、退屈はしない

2025年4月12日
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鑑賞方法:VOD

ラストどうなるのか、期待させるが何も起きない笑
が、不思議と退屈はしない。

ニコラスにしては、顔芸が無い

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髭と筋肉とハゲ

3.0ニコラス映画にハズレなし

2025年4月12日
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と言いたい所だが、今作はどうか。

プライムビデオで配信されていたので、ニコラスケイジってだけで視聴した。
結果色々と気になる部分はあったが楽しめた。

おそらく世界的に有名になったイタリア発の都市伝説「This Man」が元ネタなのかな?
ゲリラ・マーケティングの一環として考案した都市伝説らしいが、まさにそれを彷彿とさせるシーンが数々あった。

シーンの切り替わりや演出が良く。
コメディ系の雰囲気を出しながらホラーを感じる少し不気味な演出の切り替えが上手かった。

やっぱニコラスの演技は良い。
哀愁があり、素朴だが、一方で変質的な一面や不気味な雰囲気を醸し出す。

ポールと言う人物にハマってたように見えた。
ストーリーとしてはあまり捻りは感じられないが、ストレートな構成で割と好感が持てた。

ただこの現象についての説明はなく、それを匂わせる様な観る人間に少し想像させるようなヒントもない。
なのでなぜそれがポールだけに起こったかも考える余地もない。

ただそれが起こり人々に影響を与える人間になった。
ってだけ。

どちらかと言うとみんなの夢に出てくるオッサンと言うアイディア先行型の映画だなとはおもった。

まぁ普通に観てればそんなのは気にならないし
非常にエンタメしてて良かった。
お勧めできます。

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Flagman

3.0顔がデカい

2025年4月6日
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気持ち悪いだけで
あまり想像しにくいストーリー
だいたい「夢」を扱うのは元から
反則だと考えている…

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mamagamasako2

2.5優れた物語性を含んでいるし洗練されている

2025年3月29日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

驚く

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ねこたま

3.5ニコラスケイジの演技好き

2025年3月28日
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鑑賞方法:VOD

怖い

バズって調子に乗って
炎上して転落して
何もかも失って
結局は当たり前のようにあったものが
幸せだったんだなって気づく
手遅れだったけど

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kamenomusashi

4.5不条理劇・・・ニコラス・ケイジが禿げである必要はない。

2025年3月26日
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鑑賞方法:VOD

カフカが「審判」を書いたのが1914年~1915年。
あらがうことの出来ない「不条理」と言う言葉の恐怖。
そして1941年、オーソン・ウェルズ」の「市民ケーン」
テリー・ギリアムの「未来世紀ブラジル」「12モンキーズ」
そしてコーエン兄弟の「バートン・フィンク」
それらの難解な名作を平易にしたような作品。
それなりに新鮮で面白かった。
どうしてもSNSで時代の寵児に祭り上げられた人間を
連想してしまう所が残念だ。

何百万人の夢の中に現れる男・ポール(ニコラス・ケイジ)
はじめは無害で愛らしい人気者が、ある日を境に、
夢の中で《暴力を振るったり》《レイプ》《殺人》などを始める。
世間は好感→嫌悪→排除(削除)
と言う流れでポールに襲いかかってくる。
ポールは初めから終わりまで一貫して《無力》で《無抵抗》で、
流されるままだ。
映画スターやアイドルなども、実態のない《人気》に踊らされ、
浮かれていると、たちまち悪評判を流されて、忘れ去られる。
ニコラス・ケイジの浮き沈みの激しい私生活や人生も加わって、
なんともピッタリな主人公の苦味・渋味・である。
先に挙げた名作に及びもつかないのは、
映像のすっきりしたデザイン、
画一的な登場人物、
スタイリッシュ映像の綺麗さと味気なさ、
特徴のない音楽、
そして何よりラスト。
やはりポールが現実や仮想世界と戦って、
とことん傷つくとか、破滅するとか、偶像化するとか、
インパクト有る不条理なラストが必要だった。
小市民ではなくて、
アウトローの悪のヒーローが良いと思う。
(かなりお行儀良いラストだった)

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琥珀糖

3.5浅はかな人間と消費社会

2025年3月23日
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悲しい

怖い

知的

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Omi

3.5情報共有社会の暗黒面?

2025年3月23日
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鑑賞方法:VOD

怖い

興奮

知的

それとも人間の本性であり限界なのか?

自分ではコントロール不能なシチュエーションで社会的な評価がコロコロと変わっていく恐怖を描いた映画だと思いました。
その背景にあるのはSNSによる情報共有だと。
同じシチュエーションで舞台がSNSの普及前の世界であったなら…
新たな集団ヒステリーの恐怖を感じました。

社会の評価につられて仕事に影響が生じ、友人や、家族との関係まで影響を受ける。
すべてが本人には全くコントロール不能な状況によるものであると万人が認識しているにもかかわらず、主人公本人が悪であるかのような社会的合意が形成されていゆきます。

けれど鑑賞後に思いました。
主人公が感じた理不尽さに胸が痛みますが、一方でPTSDにより彼を嫌悪する人々の心情も理解できると。
そして痴漢冤罪事件や、古くは魔女狩りを考えると必ずしもSNSが悪ではない、ただ影響範囲と速度がかつてとは違っているだけではないかと…

集団ヒステリーというのは防ぐ方法がない、人間が持って生まれた本能なのかも知れないという新たな恐怖が胸裏に浮かびました。

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さとうきび
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