ソウルの春のレビュー・感想・評価
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改めて韓国映画の製作力に脱帽する
実際の事件を基に、一部フィクションを交えながら、ノワールアクションの傑作「アシュラ」などのキム・ソンス監督が、ファン・ジョンミンとチョン・ウソンという実力派のスター俳優を再び主演に迎え、見る者の魂を揺さぶるエンターテインメント作品、荘厳な歴史大作に昇華させており、改めて韓国映画の製作力に脱帽します。
独裁者の座を狙う男チョン・ドゥグァンを、特殊メイクを3~4時間かけて施した薄毛姿に変貌して演じたファン・ジョンミンの迫力は圧巻です。この男へ激しい怒りを抱くと同時に、人間としての欲望むきだしの暴走っぷりに引き込まれてしまうことでしょう。
対するチョン・ウソンは、無欲で軍人としての使命感にあふれる信念を貫く男イ・テシンを好演し、彼を応援せずにはいられません。「アシュラ」でも共演をしたこの2人が新たなケミストリーを発揮している本作は必見です。
韓国の現代史を学べる優れた社会派映画がまた1本
韓国の1970年代後半から四半世紀にわたる政治経済と民主化運動の激動期を題材にした社会派の劇映画が、ここ10年ほどコンスタントに製作され日本でも公開されている。もともと韓国史に関心を持ち続けているとか大学で専攻したとかの一部は別として、私も含む大半の日本人観客にとってはほとんど知られていなかった壮絶な権力闘争や社会的大事件を、サスペンスやアクションなどの娯楽作を通じて学べるのはありがたい。
邦題の「ソウルの春」とは、朴正煕大統領が暗殺された1979年10月26日の直後から翌1980年5月までの民主化の機運が盛り上がった時期を指すが、映画の主題はその期間中に起きた1979年12月12日の「粛軍クーデター」だ。この事件については、どんな衝突が起き、誰が死んだかといった結果はわかっていても、クーデターを起こした側と体制を守ろうとする側の間でどういったやり取りがあったのかなどの記録がほとんど残っていないそうで、そうした歴史の裏側を創作で補完し、実在の主要人物らも架空の名前に置き換えられている。対立軸となるのは、クーデターを率いるチョン・ドゥグァン保安司令官(ファン・ジョンミン)と、守る側の首都警備司令官イ・テシン(チョン・ウソン)の2人。そのうちの1人はのちに日本でも政治家としてよく知られるようになる人物がモデルなので、事前にもとの人物の名前を知らない方がスリリングな対決の成り行きをはらはらしながら楽しめるかもしれない。
こうしたジャンルの韓国映画の近年の充実ぶりには改めて感心させられる。この手の映画をあまり知らなかったがこれから観てみたいという方のために、扱った題材の年代順に主だった作品を並べてみる。
1. 1979年の朴正煕大統領暗殺事件を実録で描いた「KCIA 南山の部長たち」(2019年製作、以下同)
2. 民衆デモに軍が発砲するなどして多数の死傷者を出した1980年5月の光州事件を、庶民とジャーナリストの視点で描いた「タクシー運転手 約束は海を越えて」(2017年)
3. 軍事政権下の1981年に社会運動家らを弾圧した冤罪事件を担当することになった青年弁護士の奮闘を描く「弁護人」(2013年)
4. 粛軍クーデター、光州事件、1983年当時の韓国大統領の暗殺を図ったビルマ・ラングーン爆弾テロなどをフィクショナライズした数々の重大事件の裏で、韓国情報機関に入り込んだ北朝鮮スパイと摘発する側が繰り広げる命懸けの攻防を描く「ハント」(2022年)
5. 政治家で民主化運動家の金大中が国家権力により自宅軟禁された1985年の史実をフィクショナライズし、政治家と彼を監視する諜報員の正義を描いた「偽りの隣人 ある諜報員の告白」(2020年)
6. 1987年6月の大規模な民主化運動「6月民主抗争」の機運が高まる一因になった警察署内での大学生の拷問死と、真実を明らかにしようとする記者らの奮闘を描く「1987、ある闘いの真実」(2017年)
7. 1990年代に韓国軍情報部員が事業家に扮して北朝鮮に潜入し工作活動を行った史実をフィクショナライズして描く「工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男」(2018年)
8. 1997年に韓国で実際に起きた通貨危機の裏側を、危機を回避すべく対策チームで奮闘する女性主人公、危機を予見して大儲けを企む金融コンサル、ピンチに陥る町工場経営者という3者の視点で描く「国家が破産する日」(2019年)
こうしてまとめると、2017年以降に同ジャンルの映画が急に増えてきた印象を受ける。作り手側の激動の四半世紀をとらえ直して若い世代にも伝えていこうという思いから力作が生まれ、そうした思いが観客に共有されて大ヒットにつながり、興行的成功がまた新たな社会派映画の製作を後押しする好循環が続いているのだろうか。邦画でも現代の政治経済や国防・自衛隊などとリンクした意欲作をもっと観たいと願うが、お国柄の違いもあって当面は難しそうだ。
ひとりの男の危険な企ては一体どこへ、どこまで転がっていくのか
本作を観ながら、かつて胸を引き裂かれた『ペパーミント・キャンディ』『タクシー運転手』『殺人の追憶』『1987、ある闘いの真実』『KCIA 南山の部長たち』などの映画の時代背景が蘇ってきた。それらと直接的に繋がっていなくとも、韓国の現代史を織りなすパズルの重要部として本作は存在する。あえてフィクションを交えることでよりリアルに、歴史の闇を明るみに引きずり出した怪作というべきか。何よりもファン・ジョンミン演じる独裁的な男の立ち振る舞い、刻一刻とうごめく内面、垣間見せる狂気的な側面に、鑑賞中はもうずっと歯ぎしりしっぱなし。対するチョン・ウソンが映り込むとその精悍な姿に安心感や正のパワーの広がりを感じるわけだが、それも束の間。みるみるうちオセロの石がひっくり返っていく状況の激変ぶりに唖然とせずにいられなかった。軍事サスペンスとしてのうねりといい、人間ドラマとしての骨太さといい、かなり見応えがある。
ヤクザ映画やないかい
いや違うんですけど、こんなことが一部フィクションをまじえているとはいえ、現実に起こったとは信じられないし、かなり最近の出来事なのに映画にできるんかいという二重の驚きがありました。
国の恥とも言える部分をちゃんと映画にして世に問うことができる韓国の社会の方が成熟しているのではないかちょっとだけとうらやましく感じました。
❇️『ハゲ散らかした兄貴の悪役と強心臓最高‼️』
ソウルの春
❇️『権力が二転三転しとってもスリリング🫨』
★彡階級の判断で決定が左右される恐怖。
1979年
🇰🇷韓国
️㊙️どんな話なの❓
『1979年に朴正煕大統領暗殺で民主化運動が活発になる傾向をまた軍の独裁政治に戻すために反乱軍がクーデターを起こす。』
★彡韓国民主主義の存亡のかかった内戦実話モチーフドラマ!
◉82D点。
★彡手に汗握る攻防やハッタリ戦術の展開で最後に勝つのはどっちなのか⁈凄く楽しめた。
ジョンミン兄貴!悪役もキマってるね👍
🟢感想。
1️⃣『ハゲ散らかした兄貴の強靭な心臓に圧巻』
★彡こんな心の強さが私も欲しいよ。兄貴!
2️⃣『軍隊の階級身分圧の決定版!』
★彡悪いのはどっちか?とかではない!
誰が命令したかで市民の命が左右される怖さを感じた。
3️⃣『将棋の様な駆け引き一手の攻防がエグい!』
★彡先の読めないスリリングな展開が凄い!
🪖🫵🥾🛩️📝
レベル高っっ
劇場で観たかった。
劇場で観たかった。韓国のこの時期のクーデターについてはそれなりに知っていたと思っていたが、実にスリリングでショッキングな映画だった。韓国人にとっては尚更だろう。
僕が知らなかったのは
-クーデターが無血ではなかったこと
-如何にも軍人という見た目の全斗煥と違い常にスーツを着ていたイメージの盧泰愚(愚か、という名前を持つ人間は世の中にさほど居ないだろう)が全斗煥の腹心の軍人だったこと
イ・テシンはさぞかし無念だっただろう。無能な上司と私利私欲に塗れた同僚に囲まれて本当に可哀想だった。こういう経緯で誕生したクズ大統領の知世が8年も続き、その後愚かな(?)後輩の世が更に5年とは、本当にお気の毒としか言いようがない。こういう過去があるので韓国人が軍人を信用出来ないのは宜なるかな。ハナ会はどうなったのだろうか?韓国人の友人は(多分)居ないし、韓国旅行には2度と行きたくないし、韓国料理も特に好きな訳ではないが、韓国映画はよく観る。正直平均を取れば日本映画よりも遥かに出来は良いと思うので。韓国映画を数多く観てきたがこの作品はトップクラス、そして、それから実話ベースというのがいつもながら韓国の凄い(褒めている訳ではない、当然ながら)所。今度こそ(❓)学習効果を見せてもらいたい。イ・テシンの為にも。
「無能な上司や上官」を描くのが巧みさが必見
難しかった
疲れた…
…スゴい!
タイトルなし(ネタバレ)
エンタメ作品として最高に楽しめた
ジョン・ファンミ氏の怪演がすごかった
計算高くて欲深い主人公を演じ切っています
癖強のゴリ押しリーダーシップで周りを散々振り回しつつも
どこか憎めない印象を感じさせるのはジョン・ファンミ氏ならではの巧さなのでは‥
チョン・ウソン氏演じる正義感の塊みたいなイ・テシン将軍がめちゃくちゃカッコいい
彼の無念さを想うと悲しい
奥さんがいい人で愛情表現に安心感が滲んでいて
ハードな人間ドラマに良きアクセントを与えてくれた
史実を基にしている作品なので
結果は分かっていても
最後までハラハラドキドキの連続でした
良き作品でした
おもしろかったです
思ったよりも流血シーン少なめなのもよかったです
1970~80年代の韓国
朴正煕大統領暗殺事件の後、民主化が期待されるも全斗煥・盧泰愚による軍事クーデターで、軍事政権が誕生する。
この事件を覚えている私は、結末もわかっていることから暗鬱な気持ちになった。
このあと光州事件が起きるのだが、韓国の人たちはどう思ったのかなぁ。
1970年代末に韓国民主主義の存亡を揺るがした実在の事件を基にフィ...
1970年代末に韓国民主主義の存亡を揺るがした実在の事件を基にフィクションを交えながら映画化し、韓国で2023年の観客動員数第1位となる大ヒットを記録したドラマ。
1979年10月26日、独裁者と言われた韓国大統領が側近に暗殺され、国中に衝撃が走った。民主化を期待する国民の声が高まるなか、暗殺事件の合同捜査本部長に就任したチョン・ドゥグァン保安司令官は新たな独裁者の座を狙い、陸軍内の秘密組織「ハナ会」の将校たちを率いて同年12月12日にクーデターを決行する。一方、高潔な軍人として知られる首都警備司令官イ・テシンは、部下の中にハナ会のメンバーが潜む圧倒的不利な状況に置かれながらも、軍人としての信念に基づいてチョン・ドゥグァンの暴走を阻止するべく立ち上がる。
「工作 黒金星と呼ばれた男」のファン・ジョンミンがチョン・ドゥグァン役、「無垢なる証人」のチョン・ウソンがイ・テシン役で共演し、「アシュラ」でも2人と組んだキム・ソンス監督がメガホンをとった。
ソウルの春
2023/韓国
配給:クロックワークス
如何にしてこんな奴を大統領にしてしまったか
1979年10月26日、独裁者パク・チョンヒ大統領が暗殺される。民主化の機運が高まる中で、チョン・ドゥグァン保安司令官は軍内の秘密組織「ハナ会」を率いて、粛軍クーデターを決行。彼と対立する首都司令官イ・テシン少将は、それを阻止しようと。
独裁者が暗殺されたのもつかの間、再び独裁者が生まれた韓国の悲劇。プラハの春に因んだ、ソウルの春。しかしどちらもその後は夏ではなく、再び冬へ。何度も阻止できそうなところがあったものの、できなかったのが残念でならない。韓国は、さらに7年民主化が遠のくことに。ソウルオリンピック開催の決定するなどしていた、チョン大統領がそこまで独裁政治をしていたとは知りませんでした。
物語の終盤の、緻密でヒリヒリした緊迫感がすごい。分刻み秒刻みの克明な時系列の描写に驚きました。「日本のいちばん長い日」を思い出しました。
🇰🇷の謎
パク大統領暗殺後、の話。
前日弾の作品でパク大統領だったイ•ソンミンさんが
可哀想な参謀総長役。
首都警備司令官イ•テシン役がチョン•ウソンさんなので
勝つと思ってた。
保安司令官チョン•ドゥグァン役ファン•ジョンミンさん、
悪役もエゲツなく上手いなぁ。
あ、悪役ではないかもしれない。
ノ•テゴン役、パク•ヘジュンさん、
この人もクセある役ばかり。
他にもたくさんいらっしゃって役職もたくさんあり、
自国🇯🇵のことも皆目理解できていないのに、
外国🇰🇷の軍部組織など理解できる筈も無く。
また理解できていないからかと思いますが、
タクシー🚕の作品、光州事件にしても、
パク大統領暗殺事件にしても、
本作にしても、
現代もなお、戦国時代のように武力行使して
自国民同士で闘うのがわかりません。
流れ弾が当たったとかではなく、
軍隊が民間人を狙い撃ちしたり、
上の命令だからと軍隊同士で撃ち合いしたり、
戦争そのもの。
そして、ちゃっかり国の大統領におさまる。
本作では何を訴えたかったのでしょう?
🇰🇷を引っ張っている人間とは、
こういうヤツらだと言いたかったのでしょうか。
ただ、🇰🇷大統領の末路が決して幸せではない訳が
ちょっとわかったような気はしました。
当時、軍事政権だったようで、🇰🇷民は嫌でしょうね。
民意を逸らす為に、反日に目を向けさせるのでしょうか。
軍政と民政
リアル・ジョーカー。
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