「うっかり告白したら…」告白 コンフェッション 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
うっかり告白したら…
ある大学の山岳部OB。
16年前に遭難死したさゆりの供養の為に、毎年慰霊登山をする浅井とジヨン。
その年の登山中、ジヨンが足を負傷。猛吹雪にも。
死を覚悟したジヨンはある告白をする。俺がさゆりを殺した、と。
その時山小屋を見つけ、難を逃れる。
が、二人の間に不穏な空気が…。
衝撃の告白をしてしまった者、聞いてしまった者。
遭難は免れたが、別の修羅場が…。
登場人物はほとんど二人。ワン・シチュエーション。
腕と実力のある監督と役者でなければ務まらない。
山下敦弘監督と、生田斗真&ヤン・イクチュンの演技合戦。
最初から最後まで、緊迫感が一切途切れない心理サスペンスを期待したのだが…。
ちょっと期待したものと違ったかな…。
山小屋に避難してきて最初はいい。
あんな告白を言った/聞いてしまった。
気が気でない。それは言動も。
スマホを落としたというジヨン。が、持っていた。見つかったと言うが…。
何処かに電話を。“一人だけ”って…? スマホを貸して貰おうとするが、バッテリー切れだという…。
ナイフに執拗にこだわる。
俺を殺そうとしているのか…。
さゆりと付き合っていたという浅井。
ジヨンの言動はさらに異常に。
そして遂に…!
修羅場。
殺意を持って襲い来るジヨン。ヤン・イクチュンの恐演は『シャイニング』のジャック・ニコルソンのよう。
それはそれで恐ろしいし、見ものだが、これって完全ホラーじゃん…。
実力派二人が熱演するヒリヒリするほどの疑心暗鬼サスペンスだと思ってたのに…。
このままで終わったら、期待外れ。
終盤はちと捻ってきた。
浅井にも秘密が。さゆりを妊娠させていた。
父親になる決意が無かった浅井にとって、さゆりが死んだ事はある意味好都合。
それを知るや、ジヨンはますます狂気に。
追い詰められた浅井は別室へ追い詰められる。そこで堪え忍んでいると、救助隊がやって来た。
助けを求めに出ると、救助隊員がジヨンに。幻覚か…?
首を締めるジヨン。
意識朦朧の中、浅井はある罪を思い出す…。
あの時、ジヨンがさゆりの首を絞めた後、さゆりは息を吹き返した。さゆりは死んでいなかったのだ。
さゆりを殺したのは…。
首を締めるジヨンの顔がさゆりの顔に見え…。
目を覚ます浅井。
全ては恐怖からの夢だった…って、まさかの夢オチ!?
が、安堵した浅井がうっかり口を滑らした事から…。
やがて本当の救助隊がやって来る。
彼らが見たものは…。
ホラーパート以上のバッドエンド。
最低のゲス野郎は浅井だった…。
生田斗真もヤン・イクチュンもさすがの演技力は見せつける。
尺は74分と見易いが、幾ら原作コミックも一巻だけとは言え、74分の尺の中に原作の全てが濃縮されているとは原作未読でもそれとなく分かる。
ちょい調べてみたら、ヤン・イクチュンの役が元々日本人なのに韓国人改変の謎…。
それなりには面白いが、山下監督も本領発揮とは言えず。やっつけ仕事だった…?
奈緒ちゃんが二度も殺されて(しかも絞殺!)可哀想…。