「B級映画として見るなら十分値するが、韓国では放送可能かな?(後述)」告白 コンフェッション yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
B級映画として見るなら十分値するが、韓国では放送可能かな?(後述)
今年200本目(合計1,292本目/今月(2024年5月度)34本目)。
(前の作品 「ソイレント・グリーン」→この作品「告白 コンフェッション」→次の作品「」)
いわゆる雪山の中で遭難して遭難小屋の中で起きるアクションもの。80分ほどと短いのは映画が「肥大化している」今日においては評価できるといったところでしょう。仕事帰りなどでさくっと一本みたいなと思えば推せる作品です。
ただそのことはストーリーが少ないか理解しがたい(ストーリーを詰め込みすぎると消化不良を起こす)状況のいずれかで、この遭難小屋、妙なまでに面積があるのか、その中でのアクションがどれだけフロアあるの?みたいな(描写では2階建てのように見えるが、もはや裏ワールドがあるのかというくらいに面積が広そう)状況で、そこが追いにくいのがちょっと難といったところでしょうか。
なお、公式サイトなどで何も書かれていませんが、エンディングロールのはじまりに韓国語タイトルも出ます。日韓合作などではないようですが趣旨的に韓国で放映できるか微妙な点があります(この点後述)。
採点にあたっては以下を考慮したものです。
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(減点0.2/事務管理に関する考察がやや雑)
事務管理(697条)の管理者は本人のために最善をつくす善管注意義務を負います(この映画の場合は緊急事務管理とも見えますが、微妙)。なお、事務管理は「相手方の利益になる行動」一般であればそれが結果的に自分をも利益にする行為(この映画の場合、かついで2人で遭難小屋に行く行為が、自身にとっても利益になる行為にあたる)であっても構いません(それを「中間事務管理」といったりします)。
もっとも大雪がふっている中で善管注意義務も限界がある点は理解するものの、いわゆる自死を図ろうとする場合は本人の意思に反しても事務管理を継続できるというのが判例ですから(大審院のころの判例)、ややまずいかなと思える点があります。
※ この事務管理の論点は0.2固定幅で、無権代理が絡むと0.3固定。
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(参考/減点なし/韓国での登山事情)
この映画、「実質的には」韓国映画とも言いうるし、韓国語タイトルもエンディングロールに出ますから、韓国でも放送はできそう…ですが、日韓は実は文化がこの点、かなり違います。
日韓ともに居住可能な面積が極端に狭く山岳地帯が多いのは共通しているのですが、韓国は低い山がとても多く、コロナ事情においても「登山」は常にベスト5には入る趣味です。標高400~600mの山がとても多く、そのためこの映画のような事情が発生せず、また発生しないことを前提に「入場は何時まで」「退場は何時以降から何時まで」と決まっていて、それを超えると行政(あえていえば消防・救急行政?)が動き出すというシステムです。つまり、日帰りが最初から前提で、したがって映画のような雪山に登るような文化がもともとありません。日本では一時期「山ガール」だったかが流行ったと思いますが、韓国では日本以上に「山に行く」というのは普通にあります。ただ、それは400~600mほどのピクニックかちょっとした運動で行く程度の山になります。
一方、韓国に高い山が一切ないのかというと、2000mに準じる山が2つあります。韓国の最高峰は漢拏(ハルラ)山(1947m/済州島)、韓国本土(島を除く)としても、智異(チリ)山(1915m/順天(スンチョン)付近)があります。
しかしこの2つの村は、韓国の現代史においては、前者は済州4.3事件(1948年)、後者は麗水順天事件(1948年10月19日)において舞台となった山であり、現在でも当時の抗争の跡がみられ、一部のエリアには入れないほか、今でも白骨化したものが見つかることもあります(智異山は、米韓の軍事訓練の場所としても使われるので、その意味でも民間人は一部入れないところがあります)。
こうした事情から、韓国では2000m級に準じるこの2つの山(ほかは1500m以下と少し低くなります)は特殊な扱いで今現在の2024年でも登山の対象とされることが少なく、日本と韓国では登山の事情についてはたどった歴史からかなり違うものがあります。