劇場公開日 2024年6月28日

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「大嫌いなアイツを呼べ!」それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン フリントさんの映画レビュー(感想・評価)

大嫌いなアイツを呼べ!

2024年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

悪者が伝説のヒーローになる話

これだからアンパンマン映画の鑑賞は辞められないのよ。

バイキンマンカッコよすぎでしょ今回。
子供向け(2歳から有料)の映画に込めるには過剰なメッセージ性と遍的で芯を得た内容がですばらしいの一言です。
毎回思うけど子供向けを隠れ蓑に大人や親へのメッセージが上手に隠されていて作家性のレベルが高すぎますよ。製作者側の心意気がいぶし銀なんすよ。

子どもから大人まで楽しめるって本当に難しいと思うのだけれど、そこに挑戦し続ける姿勢は尊敬します。
アンパンマンと言う枠で縛られながらもここまで心に響くのはホントにすごいと思う。

私はここ数年のアンパンマン映画を見ているだけのニワカファンなのだけれども、アンパンマン卒業した大人にこそ見てほしい。
下手な感動作品より心に沁みるし励まされて勇気をもらえます。

感情論ばかりになってしまったので本作の見どころを

今回は普段悪役のバイキンマンにフォーカスした作品なのですが、随所にバイキンマンの人の好さや努力の天才であること、不屈の精神の持ち主であることが表現されています。
ルルンのドッジっぷりに嫌気がさすも努力を認めたり、木材と少しの鉄から巨大ロボを作り出したり。
バイキンマンってこんなにカッコよかったんだと再発見できます。

強大な敵(アンパンマン含む)に足がすくんでも、何度やられても自分の才能と可能性を疑わずに立ち向かい、決して諦めない。
自分以外の傍若無人を許さない孤高のプライド。
身体能力では敵わなくても頭脳とメカがあれば最強である自信。
実力も包容力もあって、こんなに魅力的なキャラだったっけ?いや惚れちゃうよこんな男前さん。

中盤どうにも敵わない敵との対峙の際はルルンにある人物を呼んでくるように指示するのですが、そのシーンは鳥肌ものです。
大嫌いだけれど実力だけは認めているアイツを…。
是非劇場見てほしいけれど、ハードル高い方はレンタルでも何でもいいから見てほしい。

クリエーター応援映画(ルックバック、数分間のエールを)を奇しくも連続で見ていた私には一番の応援映画でしたね。
モノづくりの楽しさ、やりがい、達成感。すべてが揃ってます。

世界悪役ランキング1位のジョーカー(バットマン)に匹敵するほどに魅力的でした(自分調べ)
悪事のレベルで言ったらバイキンマンの方が稚拙なので可愛さでは総合的にバイキンマンの勝利かも知れない。

自分勝手でわがまま、毎回やっつけられるけれどこりもせずまた悪さをする。
少しは改心しろよとは常々思ってはいましたが、これが彼の生き方なんです。
自分勝手に振舞えなくてはバイキンマンはバイキンマンでいられなくなってしまうのです。

そしてアンパンマン居るからトライ&エラーを繰り返し成長し続けられるのです。
全ての挑戦者に捧げる作品ではないかと。

余談ですが、前作のロボリィはAIの目覚めがストーリーに含まれていたのですが今回もAIが出てきます。
身から出た錆と言うか、本作は破棄されたロボが主人に立てつくと言った構図です。なんだか未来を暗示してるのかも、なんて考えてしまう作品でもあるんですよね。

超楽しくて感動できる傑作なんでみんな見て~!

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劇中セリフより

「俺さまなんてもっと失敗してるんだ、どうだ参ったか」

何をやってもダメなルルンを励ますため?ただ自慢したかったから?
とにかく飾らないストレートなセリフ、バイキンマンだから軽く言えるけどすごく重みのあるんだよなぁ。

フリント