「クオリティはトップクラス、2回目は是非小説版を一読の上で」劇場版「ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉」 ケラさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0クオリティはトップクラス、2回目は是非小説版を一読の上で

2024年6月18日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

興奮

まずはじめに私はウマ娘と競馬の知識はほぼゼロです
EDの曲をテレビか何かで聞いたかな程度の知識しかない状態で観賞しました
正直友人に誘われなければ観るつもりは全くありませんでした

そんな人間が初見でこの映画を観た感想ですが、結論から言うと面白かったです
特に『演出と作画』のクオリティはここ最近のアニメ映画の中でもトップクラスであると思います

●演出と作画
BGMとキャラクターの表情、カメラワーク、配色等のバランスが秀逸で、作品への没入感を非常に高めています

作画もレースシーンでは3Dと手書きの使い分けがしっかりとされていてとても観やすく、ここぞという場面では迫力抜群の作画で鳥肌が立つほどです
作画に関しては何より色彩がとても素晴らしい
その場面やキャラクターの心情に合わせた色合い、特に光の表現には感動する程でした

●ストーリー
冒頭の通り私はウマ娘も競馬も知識はほぼゼロです
そのためこの映画を観るに当たっての不安として世界観やストーリーの難解さや萌え要素がありました
結果、これらの不安は杞憂に終わりました

まず、萌え要素ですが、タイトル詐欺です
というのは大げさですが、この映画は萌えよりもスポ根がメインです
プリティーとタイトルにありますが、プリティー要素は序盤と最後のライブくらいが主だったかと思います
個人的には萌え要素苦手でもそこまで気になる程ではなかったです
最後のライブが意味不明というレビューが散見されましたが、意味不明です
特にストーリー的意味もないようなので深く考える必要性はありません
私はあのライブ含めてエンディングと解釈しています(実際そのままEDですので)

次に難解さですが、この映画のストーリーはむしろとてもシンプルなものでした
【ライバルに勝つ、誰よりも速く先にゴールすることを目指す】大雑把に言えばこれだけです
専門用語の解説もありますし、重要度は低いです
大雑把なイメージしか出来なくてもストーリーの理解には大して支障はありませんでした
特に初見だと「ウマ娘」とは?となると思います。競走馬の擬人化ということは分かるが…と
言ってしまうと作中でウマ娘自身が謎多き生命体とか言っています
深く考える必要性ゼロでした
ウマ娘とは何なのか良く分からなくてもストーリーを理解し楽しむ分には何の支障もありませんでした
ただし、シンプル故に単調なストーリーという訳でもなく、ライバルとの関係、怪我や敗北からの心情の変化等ストーリーに深みを与える要素もしっかりとあります
人によってはこれらの深み、特に心情の変化は難解と感じるかもしれません
というのも、この映画は心情の変化をセリフで分かりやすく表現のではなく表情やカメラワーク、BGM、色彩等様々な演出で表現します
しかし、これらは複雑化した心情の表現としてむしろセリフよりも分かりやすく表現されたもので、この映画の演出を私が大きく評価する理由の一つでもあります
しかし感性は人それぞれ、ましてや初見での鑑賞際この映画は情報量が多いのも事実です
そこで私が強く勧めたいのが小説版です
小説版で複雑化した心情を理解した上でもう一度鑑賞すると演出の素晴らしさがより一層際立ちますし、ストーリーの理解度向上もあってこの映画をより楽しめることは断言します
初回と2回とで印象が大きく変わるキャラクターも何人かいました

ウマ娘というタイトルからマイナスなイメージしか持っていなかった人間ですが、圧倒的なクオリティの高さやストーリーの面白さで観て良かったと思える映画でした
ウマ娘は競馬の知識があるとより楽しめるとのことなので機会があれば競馬についても軽く調べた上でもう一度鑑賞してみようかとも思います

ケラ