「リメイク作ならではの強みと弱みが混在する力作」ヤマトよ永遠に REBEL3199 第一章 黒の侵略 unicornさんの映画レビュー(感想・評価)
リメイク作ならではの強みと弱みが混在する力作
初日に鑑賞。前作の2205がとても良い出来だったので、本作にも大いに期待して臨んだ。
まず冒頭の振り返りは、多くの人が指摘する様に長過ぎると思った。こちとら2205から2年余りの間にどれだけ復習したと思ってる?と言いたい。初見さんにはYouTubeでも無料公開してるのだからそちらを見ていただく、で良かったと思う。
ようやく始まった本編は、まさかの南武重工からの入りで地球側にデザリアムとの内通勢力があるということと、それをも見越してオペレーションDADなる対抗策の講じられていることが描かれる流れが上手いと思った。この辺りは、小説家としてポリティカルフィクションを幾つも書いてこられた福井総監督によるストーリーテリングの妙だろう。そして、ディンギルによる地球制圧とヤマトクルーの脱出。その中で描かれる古代とユキの再会と別離といったイベントの数々は、メインタイトルの出し方に始まり、無人艦隊の敗北、英雄の丘への集結、大統領緊急避難用機格納庫からの脱出と、驚くほど原作の場面を再現しており、この作品が紛れもなく「ヤマトよ永遠に」だということを主張して止まない。
にも関わらず、であるが故に、それらが今回においてはこの作品の弱点にもなってしまっていると感じた。
ストーリーにポリティカルフィクションの要素が多いのは、亡国のイージスなどのDAISサーガを読んできた自分にはお馴染みの感覚で面白いと感じられたが、ヤマトでそれをやることに古参のファンの中には違和感を覚える向きもあるだろうと思った。また原作リスペクトの場面再現は、自分のような原作リアタイ世代には嬉しくもあるが、逆にストーリーや設定の違いによりニュアンスの異なっているところが却って気になる場合もあると思った。特にユキのキャラクターは時代性もあって原作とはかなり違っている訳だが(自分は今作のユキの方が好ましいと思っている)、原作の古代とのメロドラマのピースとなる場面などシチュエーションが同じでもテイストはかなり違う。特に再会の場面は原作が2人のヒシと抱き合う大ラブシーンだったものが、今作ではあっさりとした握手?で済まされる。それでいいのだが、原作ファンはいささか肩透かしを喰うのも否めない。だったら場面ごと違った形にしてくれた方が良かったとも思う。
このように、リメイク作ならではの強みと弱みが混在する力作、というのが現時点での本作に対する偽らざる評価である。これからの展開に期待したい。
それにしても、せめてヤマト発進までは今回でやって欲しかったです!