「永遠の愛を誓います……多分」アバウト・ライフ 幸せの選択肢 ニコさんの映画レビュー(感想・評価)
永遠の愛を誓います……多分
大御所俳優たちの近況確認映画。みなさん、お元気で何より。
2組の老夫婦が、相手のパートナーとダブル不倫。自分の夫や妻もまた不倫していることはそれぞれ知らないし、自分たちの息子と娘の恋の相手の親の正体も知らない。
とはいえ、グレース(ダイアン・キートン)とサム(ウィリアム・H・メイシー)は数日前に出会ったばかりで、一線を超えてはおらず、会話で意気投合したのみ。一方、グレースの夫ハワード(リチャード・ギア)とサムの妻モニカ(スーザン・サランドン)は4ヶ月ほど前から不倫関係だが、がっついているモニカに対し、ハワードは早くも冷めた感じ。
グレース&ハワードの娘ミシェルは恋人との結婚に意欲的、ところが恋人のアレン(サム&モニカの息子)はどこか逃げ腰だ。友人の結婚式でミシェルがキャッチする算段になっていたブーケをジャンピングキャッチ、さらにスライディングして見せるほどだ(彼女がキャッチする=次に結婚するという空気感の醸成を防ぐため?)。でも、この行動は側から見るとただの変人だけど(笑)。
そんなこんなで、この3組の男女それぞれの状況説明が中盤近くまでのんびりと進む。ちょっと眠くなるころ、ミシェル家族の家にアレン一家が招かれることになる。
ここで互いが相手の親の正体を知り、必死に取り繕うもボロが出て全部バレるシークエンスが、本作で一番盛り上がるところだ。4人のベテランが、肩の力の抜けた演技でちょっとドタバタ感もあるコントシーンを楽しそうに演じる様は、見ていて微笑ましい。
派手な修羅場になるかと思いきや、広い家の中を各自うろうろしながらなんだかぬるっと落着。ミシェルとアレンはめでたく結婚、親どうし2組の夫婦もなんとなく仲直りしたのでした。めでたしめでたし。
結婚という人生を左右する決断について、決断直前のカップルと、決断の成果を総括出来る年齢の夫婦というふたつの視点から見える景色のコントラストはなかなか味わい深い。
キリスト教式の結婚式では、教義に従った生活をし、 病めるときも健やかなるときも互いを愛し続けることを神に誓う。神父(または牧師)の問いに新郎新婦は「I do」と意思表明するが、人間は弱いもの。人生の先輩の本音としては「Maybe I do」(本作の原題)なんだよねえ、というところだろうか。
見た感じモニカ&サム夫婦の方が関係の修復に時間を要しそうで、息子の悲観的な結婚観はその雰囲気を敏感に反映しているのでは、と思ってしまった。
リチャード・ギアをかなり久しぶりに見たが、セクシー俳優枠だった彼もさすがに年齢相応な感じになっていた。物語の中では10歳以上サバを読んでいたが(69歳だけど50代だと偽っていたという設定だったような)、うーんちょっとどうだろう。でも、立居振る舞いが軽やかなのはさすが。