「信仰とは。」ゴッドランド GODLAND iccoさんの映画レビュー(感想・評価)
信仰とは。
彼の地に夢見たものは、何だったのか。これは適材適所の人選だったんだろうか。
彼が神へと続く道と信じて、祈りを胸に進んだ先々で失ったものが何だったのか観て欲しい。信仰心は人の良心あってこそだと私は思っていたのだけども。。
複雑。
前半はこの苦境を乗り越えてこその信仰を体現するような旅に見えなくもなかった。
がしかし、後半どさくさに紛れて不幸を重ねる彼。
知らない土地を案内してもらう割に偉そうだな、そんなに牧師様は地位が高いのか?と思っていたら、アフタートークでアイスランドはデンマークの領地だったと知った。
ということで以下、アフタートークからの学びも事前に知っていたら映画の内容が深まるなと思ったので書きます↓。
時代はぼかしているけども、1874年にアイスランド島に自治法が制定される以前のお話ではないかとのこと。それまではデンマークの支配下にあったそうだ。
役所等でデンマーク語が使われるので、デンマーク語を学校でも習う?のもあり、アイスランドの人はデンマーク語が多分第二言語みたいな感じでわかるけど、逆にデンマーク人はアイスランド語がわからないので通訳が必要だった。
この辺にもデンマークとアイスランドの力関係が見て取れるとの話でした。
また、その言語であるデンマーク語もアイスランド語の方が古い?元になってる?ような話をされていました。
冒頭部分でアイスランド語を牧師が学んでいる時に雨の表現が大量に出てきて、覚えられない、雨(だけ)で良いと言っていたけど、自然が素晴らしい国ほど自然現象の言葉の数が多いんだなと改めて思った。
そしてこの知らない土地に行こうとしているのにその土地の言葉を理解しようとしない所にも支配する側とされる側の立場が透けて見えるなと観終わった後に思った。言語は文化だもんね。
また、この映画はウィリアム・モリスの『アイスランドへの旅』という本と同じ道を通るそうです。この本自体がアメリカ人が好きな作家だから、脳裏に浮かびやすいのではというお話しでした。
あとこれは個人的にああそうか!となったのは、この牧師は宗教が未開の土地に自ら進んで布教しに行こうとした訳ではないということ。この人はアイスランドで住むデンマーク人たちから、教会がないから作りたいと言われて呼ばれて行った、というお話しでした。
観ている間にそのあたりが多少の違和感があった所だったけど、なるほどなと腑に落ちた話でした。
どこまでも美しく、絶対的に誰の力にも左右されない大自然は神様の別の姿なのかもしれない。
牧師の受けた試練に色々ため息をつきながら観たわ。信仰とは、から人間とは、までを考え続けた2時間半だった。