劇場公開日 2024年8月16日

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「生き残れるか?スタントマン!」フォールガイ Immanuelさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5生き残れるか?スタントマン!

2024年8月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

単純

この映画を見ながら、これはなんだか80年代のアメリカのTVドラマみたいな感じだと思ったのですが、なるほど1980代のテレビドラマのリメイクだそうで。

同じ頃の日本のTVドラマ「西部警察」的なノリというか、派手なアクションとわかりやすいストーリーでグイグイ押していく、ザ・娯楽です。ツッコミどころは数々あれど「そんな細かいことは良いんだよ、楽しめば!」という感じです。

主役のライアン・ゴズリングがいい塩梅のヒーロー具合で良いです。敵をバッタバッタなぎ倒していく完全無敵のヒーローではなく、やる時はやるけど、ちょっとメソメソした弱メンタルなのが良い。

ヒロインと1対1でもない単なる打ち上げのカラオケに行けなかっただけでがっかりしちゃう弱メンタル。中高生でもあるまいし…(笑)。そもそも、ちょっと失敗しただけなのに好きな女性から逃亡しちゃっているし(何故?)、でも映画のスタントに彼女から呼ばれると、逃亡していたはずなのにいそいそと喜んで出かけていく謎行動…。

その他もろもろ、ツッコミどころはたくさんあるので、探してみてください(笑)。

・スタントマンの未来は?

さて、この映画はスタントマンのお話ですが、これからスタントはどのようになっていくでしょうか。

最近は徐々に環境も変化してきたようですが、スタントマンは映画の中でもあったように命がけのお仕事であります。実際、1980年代には40人ものスタントマンが死亡したようですし、日本ではスタントマンは保険に入れないし労災もおりないと言われています。また映画などのスタントマンとは違いますが、京都の学校で交通事故の再現のスタントをした男性が死亡したケースもあります。

おそらくこれからの時代は、危険でありながらどうしても必要な職業はこれからも存在し続けるでしょうが(軍や警察や消防など)、特に娯楽の世界においては、社会通念上「人命・身体」の危険性が非常に高いオペレーションは、許容されなくなってくると思います。

また、CGやVFXが発達して自由自在に迫力ある映像が作られるようになってきつつある昨今、将来においては、生身のスタントマンが演じるスタントを使用した映像と同等かそれ以上の映像を作ることができるようになれば、もはやスタントマンが危険を犯してスタントする必要はなくなるでしょう。

それでも、「生身のスタントマンが命がけでスタントした映像には迫力がある…魂がこもっているので全然違う!」と言う方もいるかもしれませんが、昨今のピクサーの3Dアニメなどは本物と見まごうばかりのリアルを今でもある程度実現していますし、アクション映画のスタントでもワイヤーアクションのワイヤーの写っている部分をデジタル加工することぐらいは当たり前です。

近い将来見劣りしない映像を「安全に」作成することができる日も遠くないと思います。
そうなったら、「人的被害のあるもの」と「安全なもの」どちらを取るかといえば、言うまでもないことと思います。将来的にスタントマンはスタントの職を失う可能性が高いと言えるのではないでしょうか。

おそらく遠くない将来、映画ファンは新しい映画を鑑賞する時に「昔は良かったよね、こういうのはスタントマンが命がけでスタントしていたのだよ…」と、ノスタルジーに浸ることになるでしょう。それは、時代の移り変わりなので仕方ないというしかありません。

映画が終わった時に、私はスタントマンとスタントの将来を悲観的に考えていました。しかし、タイトルコールでメイキング映像が流れた時、「ああ、この人たちはスタントありの映画を作ることに心底情熱を燃やして楽しんでいるのだな」と思いました。それは、しっかりと伝わってきました。

私は、スタントマンやスタントを否定するつもりは全くありません。
スタントマンがたとえ命がけでも「それでもヤル!」という「情熱」は、決して無価値なものではないと思います。例えそれが、時代の変化によって消え去り・無くなっていく運命であったとしても、その「情熱」は後世に伝わり・残る。

映画作りの「情熱」は、形は違ったものになるかもしれませんが、映画制作を楽しみ・愛する製作者と、良作を心待ちにする私たち鑑賞者がいる限り、これからも脈々と受け継がれていくでしょう。

Thank's, all Cast and Staff ! :‑D

Immanuel