「たくさん用意したからタントお食べ!」フォールガイ モアイさんの映画レビュー(感想・評価)
たくさん用意したからタントお食べ!
と言いながら次々と目の前に料理を並べてくれる親戚のような映画でした。
しかも(あっこれ食べたい)と箸を伸ばそうとすると「コッチ美味しいよ!コレお食べぇ!!」と意外の料理を取り皿に盛り付けドンッと目の前に置いてくれるのです…。
ありがたい話です。嬉しい話です。出来れば全部食べたいのですが、御免なさい。もうお腹一杯なんです…。という感じです。
映画が始まると直ぐにベラベラ喋りだす主人公。自分の事、彼女の事ドンドンまくし立ててきます。冷静に考えれば台詞量の割に把握しておくべき要点は少なかったと思うのですが、元来トロくさく要領の悪い私は字幕を追うのに必死です。人の顔と名前を覚えるのが苦手な事もあり、たぶん吹き替えで見ても同じだと思うのですが、ある時期からこういう忙しない映画が増えてきて正直苦手です。
ほんのちょっと気を抜いているといつの間にか、これ誰?今何の話しているの?なんでこんな場面になっているの?と画面から目を離していた訳でもないのに置いてきぼりを喰らう事があります。映画の内容もアクションあり、サスペンスあり、コメディあり、ロマンスありとてんこ盛りです。なのでシーン毎にこちらのモードも頻繁に切り替えなくてはならず、疲れます。
ただこれらの忙しなさって観客を飽きさせないように、最初から最後まで楽しませようという気概の表れだと思うのですが、個人的にはもっとのんびり見たかったのです…。
映画に付いていけなかった理由のほとんどは自分の理解力と集中力不足のせいな気もしますが、そんな感じでつまづいて映画に遅れを取ってしまうと、小さい事が一々気になりだします。
例えば主人公が復帰後、事故のトラウマや古傷を気にする素振りも見せずにバリバリスタントをこなす事。
スタントは入念な打合せのうえに行う事だろうに、打ち合わせなどない実戦格闘を当たり前のように始める事等に違和感を覚えてしまうのです。
ヒョウ柄頭のドラッグディーラーの子分をノしたシーンはトリップした主人公の幻覚なのかと思っていました。(実際は違った訳で、またワンテンポ映画に遅れを取るのです…)
命懸けの仕事だからこそしっかり準備して本番に臨むのだろうに、ぶっつけ本番の実戦を次々こなしていく様子はむしろスタントマンの仕事を軽んじているのでは?とも思いましたが、皆さんのレビューを読むと監督は元スタントマンとの事ですからコレは見当違いな感想ですかね…。
そしてこの映画のアクションシーンって迫力はあるのですがカタルシスが薄く感じました。一つの大きなクライマックスへ向かっての組み立てっていうのですかね。
トラックのコンテナを使ったカーチェイス等のアイディアは面白いと思うのですが、一連のアクションの流れの中で観客に何かが起こる事を予感させたり予想させたりする焦らしの間がもっと欲しかったです。ドキドキワクワクする様な期待感が煽られる前に次から次へと事が起こり、淡白な印象になります。凄いは凄いのですが終始凄いので単調に感じてしまいましたので、スタントの流れにもっと緩急(緊張と弛緩)がある方が私の好みなのです。
流石に映画のクライマックスには「おぉー」と思いましたが、もっと物語に入り込めていればより興奮できただろうなと残念な印象です。
また映画の前半で主人公がコーヒーメーカーが壊れていたり、いざ飲もうとしたら襲われて溢してしまったりと、中々コーヒーにありつけないシーンが続いたと思うのですが、結局主人公がコーヒーを飲めたのってドコでしたっけ?
コーヒー飲めないね、可哀そうだねと見ていたので、コーヒーを飲めた時のシーンって印象に残ると思うのですが、その印象がなくて…。(断じて眠ってはいません!)
ですが、それでもこの映画のコメディは結構好きです。
音楽聞きながら泣いている所を見られる。車で送る距離が短い!等は面白かったですし、いい大人をつかまえてなんですが、主演の2人はとても可愛らしいです。
後なんといっても犬のジャンクロード君は最高でした。名前を呼ばれるたびに(ヴァン・ダム!)と心の中で付け足しましたね。さすがに「ラスト・オブ・モヒカン」(92年)の台詞は分かりませんでしたが!
この映画に出てくるプロデューサーの言う「虚無主義という名のベーコンに包み隠された主題(たぶん挫折からの再起)」って私も大好きです。本作も挫折と再起の物語だったと思うのですが、主人公の挫折も再起の過程もコミカルなノリでテンポよく流れていってしまったので、もう少し物語的にも緊張と弛緩があったら映画に入り込めたのかなぁ~と思いました。ベーコン抜きの映画って感じで、塩気が欲しくなりました。
モアイさん、「柔道一代」にコメントありがとうございます。
私も登場人物の名前を覚えるのが苦手で…
「フォールガイ」は、台詞追えなきゃ追わないでいいかなって、程度でした(笑)
「柔道一代」は、確かに今は観るのが困難ですね。続編があるのですが、残念ながら私もそれは観てないんです。
黒澤明の映画「姿三四郎」は正も続もソフト化されているので機会があればご覧ください。
小説「姿三四郎」は少年漫画のように面白いですよ。
沖縄料理屋の女将は映画の冒頭で本郷四郎と出会い、柔術修行に出てきた田舎の若者に一方的に惚れるんです。で、その気持を理解していない一本気の本郷は、生活のため芸者になった道子を身請けしたいと女将に金を借ります。女将は、本郷が惚れた女のためならと、店を担保に金を工面します。
ところが、一足先に組の若旦那大村が道子を身請けしたため、本郷は不要になった金を女将に返します。
本郷が道子を身請けして親友の山北のもとに返してやろうとしていたのだと知った女将は、惚れた男が幸せになるのだと思って他の女のための金を工面したのに、と悲しみます。
そこに数年ぶりに兄の与那嶺が現れ、妹を悲しませた本郷に恨みを募らせる…という展開です。
明治時代ですから、田舎者の若者は女心に全く気づかず面倒見の良いお姉さんだと感謝し、女は男に惚れた女がいると思えば身を引いて陰から尽くすのです。
柔術は護身術ですから、ルールのある戦いを想定したものではありません。相手がいかなる術を持っていようと(異種格闘技)対応できなければならないのです。
力道山と木村政彦は、相撲出身者と柔道出身者ではありますが二人もとプロレスラーとしてプロレスのルールで戦いました。力道山がルールを逸脱したのですが…。
「巨人の星」いよいよ2号に入りましたか。魔球の秘密を花形、左門、一徹がそれぞれ暴いていくのですが、まるで歌舞伎で見栄を切るような大仰な演出が見ものですよ!
私も長々とすみませんでした😅
ワンチャンは、ジャンクロードでしたか?
展開が早くて付いていくのに必死でした。
ゴズリングのファンなので、楽しめたのかな?
「レッド・サン」をみました。
そちらにコメントしますね。
確かに緩急があったら、もっと盛り上がるかも。わんこそば状態でしたかね。
あれはダニエル・ディ・ルイスがマデリン・ストウに言った台詞だったと思います。