「レゼという少女の魅力が惜しげもなく描写されていた」チェンソーマン レゼ篇 といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
レゼという少女の魅力が惜しげもなく描写されていた
原作は未読でアニメは鑑賞済み、総集編も前後編とも鑑賞して復習しました。アニメ勢なので、レゼ篇のストーリーは全く知らない状態での鑑賞です。
結論ですが、最高に面白かったです。映像の迫力やキャラクターの美しさはテレビアニメ版を遥かに凌ぐクオリティで、特に本作の醍醐味でもある戦闘シーンは漫画では表現できない映像ならではの大迫力で素晴らしかったです。レゼという少女に対するデンジの恋心、そして彼らを待ちうける悲しい結末。ただのバトルアクションで終わらない、切なさが残る良いラストでした。
このクオリティでテレビアニメ二期が放送されることを祈るばかりです。デンジたちのこれからの活躍をもっと見たくなりました。
登場人物の説明やこれまでのあらすじなどが一切なく、テレビアニメ版の続きからストーリーが始まるため、完全初見の人にはあまりお勧めできません。アニメ観てなくても大迫力のバトルシーンなどは楽しめると思いますが、人物同士の関係性や世界観をあらかじめ知っておいた方が良いと思いますので、各種動画サイトで見られる総集編(前後編で約3時間半)だけでもご覧になってからの映画鑑賞をお勧めします。
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悪魔が存在し、人々の生命を脅かす世界。心臓に「チェンソーの悪魔」を宿し、チェンソーマンに変身できる少年・デンジ(戸谷菊之介)は悪魔による犯罪を取り締まる公安対魔特異4課に所属し、仕事として仲間たちと悪魔退治を行っていた。ある日、偶然に出会った可憐な少女・レゼ(上田麗奈)に恋心を抱き、憧れのマキマ(楠木ともり)とレゼの間でデンジの感情は揺れ動くのだった。
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事前情報を入れないため下調べなどはしてなかったのですが、本作で描かれているレゼ篇ってコミックスで言えば5巻の中盤から6巻末までの短いストーリーなんですね。漫画を映画化する時ってコミックスの3~4巻分くらいをまとめて一本の映画に仕上げることが多いので、1巻ちょっと分の短いストーリーを100分という尺で描くのは珍しい気がします。ただ、以前映画化された『ルックバック』も、100ページの短い作品なのに1時間の映画にして人物像などをじっくりと描くことで名作となっていたので、藤本先生の作品を映画化する際はこのくらいじっくり描いた方が良いのかもしれませんね。
デンジとマキマさんのやり取り、デンジとレゼの出会いと二人が仲を深めていくシーン、そしてレゼが正体を現して繰り広げられる凄まじいバトルシーン、そしてラストに待ち受ける切ない運命。この濃密なストーリーをコミックス1巻分にまとめてしまった藤本先生もすごいし、それをここまでクオリティの高い映画に仕上げた映画制作陣も素晴らしいです。原作にはない細かな描写がところどころに散りばめられていて、細部までこだわりぬいて製作されていることが伝わってきます。「神は細部に宿る」とは昔から言われている言葉ですが、その格言がピッタリはまる作品だったように感じます。
多くのレビュアーさんが良かった点として挙げてますが、戦闘描写は本当にすごかったです。爆発・爆発・爆発。映像を観るだけで、絶望的なボムの強さが感じられる映像でした。上田麗奈さんの演技も相まって、「めちゃくちゃ可愛い」「でもめちゃくちゃ残虐で強い」「でもやっぱり可愛い」というギャップが感じられ、そこも良かったですね。
そして一番印象的で、心に深く残るラストシーン。デンジが待つバイト先に向かうレゼが、待ち伏せしていたマキマと天使の悪魔によって殺害されるシーンです。切なくなるシーンですよね。このシーンで天使の悪魔がレゼの心臓を貫いていることが、レゼがデンジに恋心を抱いていたメタファーだという考察を見掛け、「なるほど」と膝を打ちました。一人で急いで逃げて生き永らえるのではなく、自分の本当の姿を見ても好きでいてくれるデンジと一緒にいることを危険を承知で選択したその恋心が、皮肉にも彼女の命を奪ったということですね。レゼの死亡後に喫茶店内でレゼを待つデンジが映し出されますが、そのシーンでデンジがレゼと出会ったときにプレゼントした花がテーブルの上で散って、店長によって片付けられていましたが、これがレゼの死のメタファーとなっています。そういう細かな描写が素晴らしかったですね。
本当に素晴らしい映画でした。オススメです。
【2025年10月4日追記】
本日から入場者特典第二弾が開始になったので、朝一の上映回で2回目の鑑賞をしてまいりました。二回目の鑑賞では物語の結末まで知った状態での鑑賞のため、一度目の鑑賞と違った視点で鑑賞することができて退屈しませんでした。「この時レゼは何を考えていたんだろう」とか、結末が分かるからこその楽しみ方ができて良かったです。原作漫画も8巻まで読みました。原作と比較して映画は戦闘シーンの描写がマシマシになっていた印象ですね。特にビームの活躍は5倍増しくらいになっている印象です。
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