風の奏の君へ

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風の奏の君へ

解説

お茶の名産地である岡山県美作地域を舞台に、ピアニストの女性と茶葉屋を営む兄弟が織りなすドラマを描いたラブストーリー。

美作で無気力な日々を過ごす浪人生の渓哉と、家業の茶葉屋「まなか屋」を継いで町を盛り上げようと尽力する兄・淳也。ある日、コンサートツアーで町にやって来たピアニストの里香が演奏中に倒れ、療養を兼ねてしばらく滞在することに。かつて大学時代に東京で里香と交際していた淳也は彼女に対して冷たい態度をとるが、渓哉は里香にほのかな恋心を募らせていく。実は里香には、どうしてもこの地へ来なければならない理由があった。

ピアニストとしても活躍する俳優・松下奈緒が里香、「東京リベンジャーズ」シリーズの杉野遥亮が渓哉、ロックバンド「flumpool」のボーカル・山村隆太が淳也を演じる。あさのあつこの小説「透き通った風が吹いて」を原案に、自身も美作市で育った大谷健太郎が監督・脚本を手がけた。

2024年製作/98分/G/日本
配給:イオンエンターテイメント
劇場公開日:2024年6月7日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

監督
脚本
大谷健太郎
原案
あさのあつこ
エグゼクティブプロデューサー
大和田廣樹
亀山暢央
プロデューサー
松井和彦
ラインプロデューサー
梶川信幸
撮影
藤本秀雄
照明
佐藤俊介
録音
清水雄一郎
美術
寺尾淳
ヘアメイク
長野一浩
山科美佳
衣装
宮本まさ江
スタイリスト
大沼こずえ
編集
相羽千尋
音楽
上田禎
主題歌
flumpool
オープニングテーマ(作曲)
松下奈緒
エンディングテーマ(作曲)
松下奈緒
助監督
副島正寛
制作担当
木村利明
脚本協力
市川榮里
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(C)2024「風の奏の君へ」製作委員会

映画レビュー

4.5美作民と林野高校同窓生にオススメの作品

2024年8月26日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

幸せ

この映画のことはまったく知りませんでした。偶然、近所の映画館での上映作品をネットで眺めていて、ふと生まれ育った「美作」の2文字が目にとまり、観てみようかな、と。
帰省するたび通る橋の上でのオープニング、鶴山公園(は津山だけど)、我が母校の体育館(笑)、個人的にとても思い入れのある家屋が映り込む駅のシーン…もう、なんというかジーンときました。
映画の1作品としては、いろいろと言いたくなることはそれなりにありました。でも故郷をこんなに美しく描いてもらえたなら、文句なしです。
美作にゆかりのある方と、林野高校の卒業生の方は観て損はないと思います。それ以外の方は、俳優さんかあさのあつこさんのファンならばあるいは、といったところでしょうか。
あくまでわたし個人的には、非常にすばらしい作品でした。とてもよかったです。

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HaruMichi

3.0ピアニスト

2024年7月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

岡山県美作市が舞台
橋の上から帽子が飛ぶ川に落ちる所から始まる
その後、主人公のピアニストが
公演で岡山県を訪れるも演奏中に倒れて…。

まぁ、松下奈緒は主人公にピッタリ
本人がピアニストですしね。
話自体は小説が元みたいですが、
美作市の美しい茶畑と
ピアノ演奏に心は和みますね。
特に岡山県出身者と松下奈緒ファンにはオススメ

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faingurein

1.5悪は存在した 地方発補助金映画のもたらす功罪

2024年6月25日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

単純

寝られる

ネタバレ! クリックして本文を読む
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パングロス

3.0監督の郷土愛溢れる映像美と松下奈緒の演奏シーンは素晴らしいが、ヒロインをなぜ元恋人が頑なに拒絶するのかに違和感を感じました。

2024年6月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

萌える

●監督を囲むオフ会のご案内
 6月23日(日)に有楽町のカラオケ店で、本作の大谷監督を囲むオフ会が予定されています。あと3名参加できますので希望者がいたらもコメントください。

●はじめに
 監督・脚本は大谷健太郎、主演は松下奈緒。あさのあつこの小説『透き通った風が吹いて』が原案。これはあさのと同じく美作市で育った大谷監督から「美作市を舞台にしたあさのさんの小説を映画化したい」との申し出があったそうです。
 当初乗り気ではなかったあさのでしたが、故郷の美しい自然に想いを馳せ、また郷土に止まることに苛立ちを感じていた10代の頃の気持ちから、今ならその焦燥や迷い、躊躇などを書くことができると思い直して、執筆。その想いは登場人物と風景描写に色濃く反映されています。
 その後、大谷監督の「美作の小説と映画を全国に」という構想に美作市が協力した上で製作委員会が実現し、ピアニストと茶葉屋を営む兄弟を巡る物語という形で、2022年4月に海田地区や山外野地区を中心に撮影がスタートしたのです。

●ストーリー
 岡山県・美作の緑豊かな山々のふもと。古き良き趣を残す町並みに温泉を携え、お茶処でもあるこの地で、浪人の渓哉(杉野遥亮)は無気力な日々を過ごしていた。一方、家業の茶葉屋「まなか屋」を継いだ兄の淳也(山村隆太)は、日本茶の魅力で町を盛り上げようと尽力していた。
 かつて野球に捧げた情熱は燃え尽き、勉強にも身が入らずにいたある日、ピアニストの里香(松下奈緒)がコンサートツアーでやって来ることを知った渓哉。里香はかつて兄の淳也が東京での大学時代に交際していた元恋人だったのです。
 コンサート会場の客席で渓哉が見守る中、舞台上で倒れてしまった里香。療養を兼ねてしばらく美作に滞在することになった里香を、渓哉は自宅の空き部屋に招待する。突然現れた昔の恋人を冷たく突き放す淳也に、「あなたには迷惑はかけない」と告げる里香。こうして少し風変わりな共同生活が始まりました。
 清らかに流れる川を吹き抜ける風、燃えるような緑の美しい茶畑。自然の優しさに囲まれて曲作りに励む里香に、ほのかな恋心を募らせる渓哉。しかし里香にはどうしてもこの場所に来なければならない理由があったのです。

●感想
 先ずは冒頭の里香が登場するシーンでは、たっぷりと美作地方の風景が美しく描かれて、大谷監督の郷土愛を強く感じさせてくれます。美作地方というと馴染がないかもしれません。ただ温泉好きな方なら、湯郷温泉や湯原温泉のある岡山県の山あいの地方だというといえばピンとくることでしょう。
 橋の上で風を感じながら佇む里香の姿は大変魅力的で、偶然その場で出会わした、まだ高校生の時の渓哉が、一瞬で引かれてしまうのも頷ける描き方でした。
 大谷監督のヒロインの描き方はどの作品でも一つのポイントになっています。ヒット作の映画『NANA』でふたりの「NANA」を演じた宮崎あおいと中島美嘉の存在感が素晴らしいし、太陽のように明るいキャラの宮崎あおいを楽しめる1本でした。最新作の金曜ナイトドラマ『JKと六法全書』でも主演の女子高校生弁護士を演じた幸澤沙良を愛嬌たっぷりに描いています。

 さて、物語の核心は病を負った里香が、かつての恋人だった淳也の口癖のように語った故郷である美作で実家が営む茶畑が美しいという言葉が忘れられずに立ち寄り、弟の渓哉と出会った縁で、淳也と再開するばかりか、その家に住み込むことになることから始まるというものです。
 しかし淳也は里香に対して異常につっけんどんで突き放していました。そんな里香を慕う渓哉は、なんとか二人の仲を取り持とうと、悪戦苦闘するというお話しです。

 ここで違和感を感じるのは、なんで淳也は元恋人の里香を拒絶するのか、とても違和感がありました。東京にいた頃の淳也と里香の間で一体何が起きたのか、一切描かれないのです。あんなにけんもほろろに拒絶する関係になってしまうには、余程のことが起こったはずです。ラストシーンで淳也が、里香から逃げたのだと絶叫しても、その逃げた理由が不明では、感情移入のしようがありませんでした。

 ヒロインの里香を演じた松下奈緒は、ミュージシャンでもある自身のキャリアを投じて劇中曲の作曲も手がけ、演奏シーンではもちろん吹き替えなしでピアノ演奏を披露しています。その楽曲はとても叙情に満ちて、作品のムードを盛り上げてくれます。またピアニストとしての松下奈緒の演奏も素晴らしかったです。

 里香が兄の元恋人であると知りながら、惹かれていくのを止められない渓哉を演じた、大河ドラマ「どうする家康」への出演が記憶に新しい杉野遥亮。全体的に台詞が少なめな中で、ごく自然に純情な青年を好演していました。

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流山の小地蔵