「平面ではなく球体」六人の嘘つきな大学生 サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
平面ではなく球体
いやいや、意外と面白いじゃない!
最近の大規模公開の作品(ほぼ東宝)は批判されがちですねぇ。特に浜辺美波映画に対する当たりが強い。自分はみーちゃんの映画で面白くないと思ったことは実のところ一度たりともなくて、「約束のネバーランド」も「サイレント・ラブ」も「もしも徳川家康が〜」も世間に反して結構好き!
まあ、せっかくの演技力が勿体ないという意見は仰る通りかと。別にべーやんじゃなくてもいいやん!みたいな映画ばっかりですからね。本当は「シン・仮面ライダー」とか「ゴジラ-1.0」みたいな大作映画に出て欲しいよねぇ。逆に「やがて海へと届く」みたいな単館系の映画でもいいな!...あれ、もしかしてキモイ?
というもの、ココ最近でいちばん、顔立ちの美しさが際立って見えた。ヘアスタイルのおかげかな。綺麗な顔してるな...。流石東宝シンデレラでございます。そんな浜辺美波にすべてを捧げすぎたのか、「え、ホントに山下美月美月なの?」と疑ってしまうほど山下美月が山下美月に見えなかった。髪型があまりにも似合わない。可哀想なくらい似合わない。いくら面接に沿ったスタイルとは言え、これはないでしょう。男4人、特に佐野勇斗はすっごくいいのにね。なんで手を抜いてしまったのでしょうか。せっかくの起用が台無しでございます。映画見ていてあんま意識したこと無かったけど、スタイリストって結構大事なんだな。
顔面偏差値で最終選考まで残ってるだろ!というツッコミはさておき、みんな演技力に安定感があって見ていて飽きなかった。大袈裟な演技で胡散臭さを演出。作品そのものの演出はチープで目を引くものが全然無かったものの、密室ミステリーというのもあって演者自身が映画を作りあげていて、新卒採用の最終選考というテーマに相応しいものが見れてなかなかに面白かった。若干オーバー気味だけど、全然気にならない。むしろこのくらいやってくれて良かった。佐藤祐市監督はやっぱり、役者の良さを引き出すのが上手いですな。演出は安っぽいけど。
ドラマの方が良かったと言ってる人多いけど、個人的には映画の尺で良かったと思う。確かにラスト駆け足になってしまったのはかなり勿体ないし、恐らく小説で描かれてるだろう部分を思いっきりカットしちゃっているんだろうなっていうのが、原作読んで無くとも感じられたから内容的なことで言うともっと上手くできただろうなとは思う。
ただ、ご都合主義のようにも捉えられるけど、次から次へと話が展開していく様は退屈防止にはすごく良かったし、現に冒頭は乗れなかったものの、しばらくすると時間忘れるくらい没頭できたからこの尺でちょうど良かったなと。脚本はどうであれ、シンプルに物語の構成がいいからつい見入ってしまう。15分刻みに投票ってのが功を奏していた。
嘘という言葉に対して登場人物が六人なのはどういう意味?とか、そうだとしてもやっぱり知りたいよね!とか、ちゃんと描くべきところが疎かになっちゃっていたのは残念。ラストももっと面白味のあるものに出来たはず。ちょっとズルい手法を用いちゃっている。
だとしても、酷評されるにしては随分よくできていたし、学歴かつ印象で人を判断する少ないの在り方に一石を投じる物語としてすごくタイムリーで、見終わったあとも考えさせられるものがあるかなり興味深い作品だった。人間は面じゃない。一点だけ見て判断してはならない。絶対に知ることの出来ない月の裏側のように。