劇場公開日 2024年11月22日

「本当の犯人」六人の嘘つきな大学生 セッキーかもめさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5本当の犯人

2024年11月26日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

難しい

就職試験の最後の議題は「この6人の中から採用にふさわしい者を1人選んでください」であった。密室の会場。見つかった1通の封筒。封筒を開けるとそこには6人それぞれの告発文があり…。

この手のシチュエーション型ミステリーは、その興味をそそる設定に対して、しっかりとしたオチがつかないことがほとんどである。本作品はその中でも、鳴かず飛ばずといったところである。

ストーリーとしては、告発文が明らかになる度に、容疑者(告発文の作成者)が二転三転するもの。結末までにすべての人物に容疑がかけられるようにできている。

このような物語をつくることにおいて、私が最も重要だと思うことは、登場人物それぞれの立場において、矛盾するような内容を無くすことである。観客は、犯人が誰なのか、という好奇心のもとに画面に食い付くが、途中で感じる違和感が結末をもって消化されない場合、観客は興ざめしてしまう。その点、この映画に大きな矛盾点は存在しない。しかし、真犯人が明らかとなったところで、この結末にストーリーのすべてを納得させる説得力はない。事件に見合う犯人の動機の薄さからも見てとれる。会議室であったこういう行動はこのためだったんだよというような説明もどこか後付け感が否めない。やはりこのタイプのミステリーは、先に核となる事件の本筋をつくり、その後に枝葉となる部分を作らないとどこかで必ず破綻してしまうように感じる。

それでも、シンプルな設定、事前情報なく見れる点、容疑者が移り変わりドキドキできる点、にはとても秀でている。

セッキーかもめ