四月の雪 : インタビュー
「八月のクリスマス」「春の日は過ぎゆく」と、しっとりとしたラブ・ストーリーを手掛けてきたホ・ジノ監督。最新作「四月の雪」は、ペ・ヨンジュン主演ということで大きな話題となっているが、監督自身そのことをどう思っているのか。ヨン様人気と最新作について、話を聞いてみた。
ホ・ジノ監督インタビュー
「ヨン様人気は肯定的に見ています」
聞き手:編集部
「八月のクリスマス」では、“彼が出演すればヒットする”と言わしめたハン・ソッキュ、続く「春の日は過ぎゆく」では、若手スターのユ・ジテと、韓国人気俳優をキャスティングしてきたホ・ジノ監督が、今回主役に抜擢したのは、ペ・ヨンジュン。押しも押されもせぬ韓流スターの代名詞的存在を選んだのは、やはり製作現場の時から公開時のヒットことを考えているのかと思いきや……。
「日本の観客、あるいは韓国、アジアの観客にまで意識は及びませんでした。撮影現場では、“今このシーンを撮るために、何が一番最善であるか”ということ以外、考える余裕はありませんでしたから」
しかし、日本でのヨン様フィーバーについて、ホ・ジノ監督はプロデューサー的な視点も持ち合わせ、状況を冷静に見ているようだ。
「もちろん(ブームの)全部が全部いいとは思わないですが、監督としてみた時、やはり肯定的な部分が多いです。映画を作る人間として、自分の国だけでなく、それ以外のいろいろな観客たちにも自分の映画を観てもらえるようになる訳ですから。(観客が映画を観ようと思う時)最初は、俳優さんで選ぶというのは自然なことだと思います。俳優さんが自分の国(韓国)以外でもファンがたくさんできるということは、自分の映画をたくさんの人に見てもらえる可能性を秘めているし、市場が広がっていくことにもなりますからね」
そんなペ・ヨンジュンが今回演じたのは、コンサート会場で働く照明監督。これまで、写真館主、録音技師と特異な職業を主人公に据えてきたホ・ジノ監督ならではの職業選択だ。
「初めてペ・ヨンジュンさんに会った時、外見的には柔らかいけれど、内面はとても強いものをもっているというイメージを持ちました。強さと柔らかさを兼ね備えている人はなかなかいないと思います。その部分がとても気に入り、職業を決める際に照明監督が浮かびました。照明監督は、機材等かなり重いものを持たなければいけないので、強靭な肉体が必要ですし、秩序をもって仕事をするという意味で精神的な強さも必要とします。それに光を扱うということでとても繊細な部分も必要ということで、照明監督がいいだろうと思いました。また、照明というのはその瞬間を照らしますよね。瞬間を照らして、照らし終わった後、ものすごくむなしさを感じるんですよ。そんな光と闇、不倫とロマンスというような感じになるんじゃないかと思ったんです」