侍タイムスリッパーのレビュー・感想・評価
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みんなあったかい。
お寺のお父さんも、助監督のゆうこちゃんも優し〜〜〜!!!私はお寺のお母さん、1番好きだなぁ〜。
笑っていいのか?ダメなのか?となってしまうことが幾度かあった。(特にビンタのところは劇場でチラホラ笑いがあったけど、次のコマでスンと消えた)
主役の人は、訛りが染み渡っていて、本当に迷い込んだみたいだった。感動してたお米も普通に食べるようになったり、住まいとかも無償だし、その他、もっと大袈裟に感謝するシーンが見たかったな〜。人情と義理堅い役なのだから、
他の人のコメントにあった、真剣の時に上段の構えをもとの位置に戻す、みたいなシーンがあったら嬉しかったな。
もとの時代で主人公がどんな生活してたか〜と、もとの時代を捨てて今を生きると覚悟する場面も、あるとよかったな。。相手との因縁も(自分に教養がなく)分かりづらかった、、。(それは自分のせい)
ドラマ、不適切みたいな印象。
カメトメみたいな、ミニシアター系映画で若干点数が高めだなと思った。
主人公は師匠の言葉に従い、刀を捨てるべきだった
時代劇ラバーの自分としては、本作の監督とスタッフ、俳優陣の時代劇に対する熱意に頭が下がります。今の時代にこんな時代劇トリビュート映画を観ることができること自体、幸せなことです。ありがとうございます。
本作は3つのパートに分けることが出来ます
A:会津藩家老から密命を受け、同僚と二人で長州藩士を襲撃するが…
B:2007年頃の京都にタイムスリップし、周囲のサポートを得て時代劇の斬られ役になるまで
C:本格時代劇映画「最後の武士」の敵役に大抜擢されるが…
以下、パートごとに良かった点と気になった点など。
Aパート。
ここはガチの殺し合いシーンなので、Cパートよりもリアルさが要求される場面です。標的を待ちながら暗殺者の二人での思い出話は緊迫感が削がれます。これから人を斬ろうとする人間のようには見えませんでした。そういうのは前日の居酒屋で最後の盃を交わす設定にしておけば、もっとよかったかも。あと、斬り合いのシーンのライティングが白じらしい気がします。あれじゃ満月。しかもその後いきなり雷雨。このAパートの斬り合いにこそリアリティを込めて欲しかったです。
次に本作唯一のコメディタッチのBパート。
山口馬木也さんはじめ役者陣の熱演が光ります。時代と文化のギャップギャグ、武士が平和と繁栄を享受してしまうおかしみ、斬られ役の師弟関係、大変楽しめました。しいて言うなら、風呂とかトイレとか服とか、もっと身近な風俗についての驚きや戸惑いを見せてもらえるとより楽しめたと思います。
Cパート。
物語はここから一気にシリアスに。斬られ役の役者として軌道に乗った主人公は、会津藩の悲劇を知り深い葛藤に陥ります。「斬られ役の自分は偽物の存在に過ぎない…。必死で戦い、死んでいった者たち(本物)に申し訳ない…」この葛藤を乗り越えるためにどうするか。
主人公は抜擢された大作映画の中で、同じ武士である相手に本当の斬り合いを申し込みます。「大義のために命を捨てることこそモノノフの本懐である!」勝負は決し、相手は潔く死を受け入れます。主人公は思いとどまり、作り物であることを受け入れます。
本作の山場であるこのシークエンスが、実は時代劇が死んでしまった最大の原因でもあるという皮肉な構造になってしまいました。会津藩の悲劇も昭和の戦争も、すべてこの「大義」とやらのせいです。彼らの思想や生き様は戦後民主主義に受け入れられるはずもなく、「大義」を失った時代劇は勧善懲悪のチャンバラ活劇となり果て、衰亡しました。「武士道」や「大義」へのこだわりが時代劇衰退の大きな理由の一つです。
もう一つの理由は「本物らしさへのこだわり」ではないかと思います。厳格すぎる時代考証、本身を使っての死亡事故など、本物へこだわるあまり、時代劇は創造性を失い硬直化してしまいました。そもそもわれわれは「本物」など知らないのに。本物らしさを追求し本身でチャンバラすれば客は感動するというのは安易な思い込みです。チャンバラせずとも、言葉遣いや立ち居振る舞いで十分武士としての本物らしさは出せますし、山口馬木也さんの演技は見応えありました。
武士道に凝り固まった武士が、平和と繁栄を享受し、本物へのこだわりを捨て、作り物としてのプライドを獲得し、ラストで髷を落とす、そんなストーリーであればもっと若年層にも受けるのではないでしょうか。劇中で出てくる不良少年3人組。彼らに訴求する新しい時代劇を作ってこそ、時代劇復活の道があるのでは。ウェス・アンダーソン監督のように、あえて作り物感を主張するような時代劇映画があってもよいのでは。関本師匠の言う、「作り物を本物らしく見せることこそ、我らのプライドだ」という言葉は映画製作全体に当てはまる言葉だと思います。主人公は師匠の言葉に従い、刀を捨てるべきでした。
時代劇の歴史は3つのパートに分けることが出来ます。
A:チャンバラ活劇映画の量産時代
B:1954(S29)の「七人の侍」に始まる時代劇映画の黄金時代
C:勧善懲悪チャンバラTVドラマの量産時代
山本優子が好きな時代劇として口にするのは全部C時代のテレビドラマばかりです。時代劇業界は活況で、撮影所や役者陣は儲かったでしょうが、同じパターンの繰り返しに陥った時代劇はそのまま死んでしまいました。そういう意味で、劇中の無邪気な心配無用ノ介の姿には先の不安を感じました。やっぱり時代劇はチャンバラ活劇でしかないのでしょうか。変なこだわりに囚われず創造性に富んだ面白い時代劇がまた観られる日が来ますように。
時代劇に愛を込めて、真剣勝負は続く
都内1館からの公開が、評判が評判を呼び、現時点で全国200館以上に!
あの“カメ止め現象”再び…!
ファーストランや全国拡大から2ヶ月。やっと福島でも公開スタート。
と言っても隣町の映画館で一週間限定上映。急いで行ってきた。
“カメ止め”はゾンビ×映画愛だったが、こちらは時代劇愛と現代にタイムスリップしてきた侍…!?
幕末の京都。会津藩士の高坂新左衛門は、密命を受けて長州藩士と対する。
刃を交えた時、落雷が。
目を覚ますと、見知らぬ城下町。さ迷っていると、か弱きおなごの悲鳴が…!
不届き者め、成敗致す!
その時、“心配無用ノ介”と名乗るご仁が。
助太刀致す!
カット! お前何やってんだ!?
…!? !? !?
やがて分かる。徳川幕府が滅んで百四十の歳月…。
ここは、時の果ての日ノ本。時代劇の撮影所だった…!
大昔の侍が現代にタイムスリップ。特別目新しい設定ではない。幾つか思い浮かぶほど。
使い回されたネタだが、それでもまた作られるのは、侍×現代、そこに何か面白さと魅力のケミストリーがあるから。
本作もベタと言えばベタなのだ。
“撮影”を“本当”と思って助太刀。タイムスリップ時代劇のTHE定番。
重石(作り物)を軽々持ち上げるおなごに驚き、幽霊(特殊メイクした怪談映画出演者)にこれまた驚き…。
コントか!漫画か!
でもそれを、こちらの期待通りに面白く見せてくれる。
これも監督の腕。自主製作映画を撮り続け、本作が3作目の安田淳一。
超低予算故、インタビュー記事なんか見ると相当苦労して完成に漕ぎ着けたという。
それが最高の形となって報われ、花開いた。
映画は予算や話題やビッグネームなんかじゃない。面白いアイデア、情熱や愛があれば、飛びっきりの映画は作れる。
これもベタな事だが、それを体現した。
『男はつらいよ』の大ファンだと言う監督。山田洋次に本作を見て貰うのが夢。
だからか、あのシーン(笑)。とあるシーンで、“滑る”とか“落ちる”とか禁句。寅さんでも定番のこのネタに、私ゃ堪らなく嬉しくなった。
新さんが周囲への把握を出来る人物で良かった。いつまでも“ここはどこ? わたしはだぁれ?”だったら話にならないし。
とうの昔に侍の時代は終わった。侍はもう不要。ならばここで惨めに生きてたって…。
一度は命を絶とうとするが、救いの手が。
撮影所の助監督・優子。現代に来たばかりの新さんを最初に相手にしてくれた人であり、新さんは一度病院に運び込まれるも逃げ出す。気に掛け、探していた。
居候させてくれた寺の住職夫婦。
彼らの善意が優しい。この人情も寅さんだね。新さんの事は記憶喪失者と思ってるけど…。
握ってくれたおむすびが美味しい。米の美味しさは変わらない…いや、自分のいた時代よりずっと美味しい。本当にあのおむすびが美味しそう。監督は米農家でもあるとか。
ケーキなるもの。これほど美味なる菓子が…! そうか、こんなに美味なものを皆が食べられる時代になったのか…。涙を流しながらケーキを食べる新さんに、何故だか私も貰い泣き。
絵が動いた!(TVです) あの“心配無用ノ介”! TVにも驚いて、興奮して、ぼろ泣きして…。
もうとにかく、新さんの人間力にやられる。
真面目。実直。謙虚。感謝を忘れず、礼儀を通し、忠義を貫く。
本物の侍にしか見えない。
THE侍であり、人情侍であり、恋する侍でもある。
時代劇を中心に多くの映画やTVに出ていたようだが、キャリア25年にして初の主演映画。
山口馬木也。もう誰もが彼を忘れないだろう。
パッと見渡辺謙を彷彿させる風貌。
体現した新さんがやがて見出だした道は、“アノ人”。
寺で時代劇の撮影。
が、斬られ役の一人が体調不良に。
何処かに侍の格好をした代役が…いた!
急遽撮影に参加。言われるがままに。
ド緊張の中、“坂本龍馬”の名に会津藩士の目が光る。
本物のような(本物なんだけど)気迫。“斬られ役”を見事こなす。
すると、スタッフ/キャストの間で評判上々。
それがし、この時の果ての日ノ本で、何の道を行くか。分かった気がするでござる。
いざ、撮影所へ。
弟子入りも志願。
時代劇の斬られ役…!
新さんは腕の立つ侍だ。落雷のあったあの夜、対した長州藩士が名を聞いたほど。
そんな本物の侍が現代に来たんだから、誰にも負けず、時代劇でもスターとして…じゃない所が本作のミソ。
侍としては本物だが、斬られ役としてはズブの素人。教えを乞う。
斬られ役をコツコツコツコツと。
声が掛かるようになり、次第に多忙に。
そして遂には、一話限りだが“心配無用ノ介”のライバル役を務めるまでに。
まさかまさかの名斬られ役に…!
時代劇ファン、映画ファンならすぐ分かる。新さんの新たな人生は、日本一の斬られ役、故・福本清三氏。100%、モデルと言っていい。作品も福本氏に捧げられているし、新さんが教えを乞う殺陣の師範役は福本氏の弟子でもあった峰蘭太郎。
福本氏の生きざまを彷彿させる新さんの姿と物語に、また私の涙腺が…。
福本氏の生きざまって、誰にも通じるものがある。
目立たなくたって、華やかでなくたってもいい。地道にコツコツコツコツと。
頑張れば、どこかで誰かがきっと…。
この福本氏を表した格言でモットーは劇中でも。
福本氏はハリウッド映画『ラストサムライ』に抜擢されたが、新さんにも思わぬオファーが…!
撮影所で久々に製作される大型時代劇映画。しかも主演は時代劇のスター・風見恭一郎で、10年ぶりの時代劇復帰作。そのライバル役=準主役!
斬られ役にとっては一生に一度かもしれない大チャンス!
ところが新さん、これを断る。自分は一介の斬られ役。分不相応。
そんな時、風見が驚きの正体を告げる。
これには唸った。脚本の妙。
風見は、あの落雷の夜、対した長州藩士であった…!
新さんより30年前の時代にタイムスリップした風見。
新さんと同じ。訳が分からず。次第にここが遠い時代だと知る。
時代劇の撮影所をうろついていたら、端役と間違われ、斬られ役としてスタート。大成し、主演を務めるスターに。
この時代にもすっかり順応した。スターとして。
そんな時、TVで時代劇の斬られ役として出ていた新さんの存在を知る。
あの時の会津藩士…!
ここで会ったが百年目。決着を付けに…ではなかった。
会った一番の理由は、共に時代劇を撮ろう。侍が失われたこの時代に、本物の侍の生きざまを見せてやろう。
もう我らの時代ではないのだ。藩の為とか密命とか遺恨など下らない。
新さんは侍としてそれを捨てきれない。断るのもそれ故。
双方の言い分は分かる。時代に順応する。己の信念を曲げない。譲れないものがある。
が、今の自分は何なのか。
師範の言葉。斬られ役の悲願。
新さんは出演を決める。
作り物の時代劇に、本物の侍が二人。
その構図だけでもユニークだが、しっかりとこの二人の関係性も描いている。
かつては本気で斬り合おうとした二人。何かといがみ合う。と言うか、風見はオープンだが、新さんの方がそっぽ向く。
端から見れば大スターに斬られ役がタメ口で。
しかし、撮影をしていく中で…これもベタながら胸がすく。
徐々に打ち解けていく。分かり合っていく。
時には助力にもなり、貸し借りナシ。
風見が時代劇を10年も離れた…いや、捨てた理由。元の時代で自分が犯した罪。
時代劇で本当に人を殺めないとは言え、あの時の悪夢が脳裏を過る。堪えられない。
風見もただの大スター然ではなく、味わい深く内面も。終盤のドラマを支える。冨家ノリマサの風格。
ライバル同士が交流を深める。出演する映画の設定ではそうとは知らず交流を深めた二人が斬り合う運命に。『座頭市』第1作を彷彿。
撮影も佳境に。中打ち上げで盛り上がる。
脚本に追加部分が。それを読んで新さんは嗚咽する。
会津藩の悲劇…。
何かを失ったように。飲めない酒を飲み、町中を放浪する。チンピラに絡まれる。
惨めな自分。会津藩士が悲惨に死んでいったように、自分も惨めに朽ち果てていくのか…?
自分は何者だ? 斬られ役か? 侍か?
斬られ役ならば、このままおめおめと斬られるだけなのか…?
侍ならば、何の為に生きるのか…?
新さんは風見や監督に提案する。
真剣勝負がしたい。
真剣を使って撮影する。
おいおい、幾ら何でもそれはあり得ないだろ?
…まんざらそうでもない。かつては本当にあったとか。が、『座頭市(1989年)』の撮影で真剣を使って事故が起こり、禁止に。
無理もない。一大事。どころではない。一命に関わる。
新さんの気持ちは変わらない。
撮影の為のリアリティー追求ではない。
侍としての生きざまを刻む。この一瞬に全てを。
誰も賛同しないと思われたが…、監督は熱狂。風見も承諾する。
この時、風見が流した涙…。彼も失ってはいなかったのだ。侍の精神を。
全ての準備や安全を整えて、いよいよ当日。
もはや映画の撮影じゃない。本当の闘い。
あの落雷の夜から、こうなる事は運命だったのかもしれない。
新左衛門対風見。本物の侍二人が見せる真剣勝負。
緊迫感溢れる睨み合い。実に40秒近く。やはりこのシーン、『椿三十郎』へのオマージュ。
遂に刀と刀がぶつかる。
劇中劇云々ではなく、本作は映画だ。だから勿論、真剣など使われていない。
が、二人の気迫、ぶつかり合う刀と刀…。
真剣は使われなくとも、そこに漲るは紛れもない真剣であった。
果たしてオチはどうなるのか…?
一瞬、アッともさせられたが…。
当人同士は本当にそうだったかもしれない。生きるか、死ぬか。でも、もしそうなったら、映画として後味が悪い。時代劇映画ならまだしも、本作はあくまで時代劇撮影。
オチ、そう来たか~!
ちゃんと映画作品としての捻りや笑いも忘れない。
あの優子さんのビンタ。誰もが沙倉ゆうのに胸キュンなっただろう。
満足感、充実感、面白さ、感動、後味も最高!
ラストシーンもナイス! 『侍タイムスリッパー2』…?
期待以上。評判に便乗してじゃない。
見ていて笑いがこぼれ、自然と涙も溢れ、やっぱり映画って最高。幸福感にも包まれた。
本年度BEST!
優れたタイムスリップSFであり、笑えるコメディであり、感動のドラマであり、本格時代劇である。
時代劇の今の現状も訴える。
かつては毎週毎日のようにTV放送されていた時代劇。それがいつの間にか民放から姿を消し、今時代劇と言ったらNHKかたまの特番か映画くらい。
時代劇は日本の伝統。宝でもある。
それはもう、消えゆく運命しかないのか…?
否!
今年ハリウッドが見せた本気の時代劇。
本作のようにユニークな形でも。
今後も時代劇映画の期待作もある。
そしていつの日か再び、あの頃のように民放TVで時代劇を楽しめるように。
時代劇は失われちゃいない。
日本で、世界で、時代劇の精神は受け継がれている。
今日も新さんたちは挑む。
時代劇に携わる者、愛する者の真剣勝負は続いていくーーー。
これがエンタメだ
山口さんのお芝居が本当にタイムスリップした侍のよう。
故にあまりに滑稽で前半は涙を流して笑いました。そして最後の殺陣は本当に真剣を使っているような緊張感。
何に感動するとかはないですが、単純に最高に楽しいエンタメ、『これが映画』と最高に楽しませてもらいました。
日ごろ溜まった心のコリを「喜・怒・哀・楽」でジワーっとほぐしてくれる映画。
口コミでの評判が良いということは知っていたが、いつものように、何の予備知識や事前学習もなく鑑賞。ネットの予約時に、全く席が埋まっていなかったが、当日はなかなかのお客の入りようだった。
私は、そのタイトルから、過去から現代へタイムスリップしてしまった武士が直面する時代ギャップをコミカルに描いた「笑える」映画だと単純想像していたが、私の考えは安直すぎた。良い意味で。私の考えは大きく外された。
まず、最初にタイムスリップした時に、「え?なぜ同じような時代に?」、「これタイムスリップじゃないよ。」、と思わせる設定が秀逸で、私はこの場面、完全に騙されてしまった。騙されたと気づいたと同時に、この映画は何か「やってくれる」という、大きな期待感を抱いた。
映画は前半、確かに、私が想像したように、日常生活の「過去」から「現代」へのアップデート作業を、「笑い」を交えて進行していく。
でも、必然的にアップデートが終了すれば、「笑い」もなくなる。
そして、何となく感じ始める、このまま「笑い」だけでいけるわけがないよなぁ、という妙な感覚。
でも、無用の心配、心配御無用だった。後半は、前半の「笑い」とは打って変わって、武士の本気の「怒り・悲しみ」が用意されていた。
後半から終盤へかけては、この鑑賞する受け手側の心情が、「笑い」から「怒り・悲しみ」モードへと大きく変換させられ、全く飽きることがないストーリー展開となっていた。
とくに、前半は、主人公の武士1人がメインであるため、単調になりやすかったが、後半はさらに準主人公の武士が加わって、文字通りの「真剣」勝負が用意されている。
また、「真剣」勝負に辿り着くまでの経緯が、破綻なく綺麗にストーリー展開されているので、鑑賞する側も、自然と、涙したり、怒ったりすることができ、飽きることがない。
最後まで鑑賞すると、人間の基本感情である「喜・怒・哀・楽」をバランスよく感じられ、ほど良い心地よさを味わうことができる。
普段は、さほど邦画を鑑賞する方ではないが、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「ターミネーター」的要素も入っていて、充分、楽しむことができた。
そして、映画の中盤からずーっと気になっていた「彼」が、最後の最後、登場したとき思わずニヤリとしてしまった。
なので、「おわり」となっていたが、「つづく」ではないかなと思った。
次回作があれば、是非、鑑賞したいと思う。期待。
これはいい。
「インディーズの監督作った映画で、単館上映のはずが評判が評判を呼んで全国ロードショーに」映画ファンなら誰しも「カメラを止めるな」を思い出す前向上です。
カメ止め並みにハードルがあがりますが、それでも見に行きました。これはすごい。
カメ止めが「脚本の勝利」ならば、侍タイムスリッパ―は「演者」の勝利です。
いちいち演技の仕方が良い。その演技をしっかりと作品に落とし込んだ製作陣の大勝利でしょう。
序盤から中盤まではちょっとしつこいくらい「朴訥な田舎侍でござるよ」アピールをされているなと思っていたのですが、それが丁寧に丁寧に新さんのキャラクターを作りこんだ結果へとつながります。
その作りこまれたキャラクター性があってこそのあの斬りあいと雰囲気につながるのでしょう。
ものすごい長尺の「間」が苦行にも飽きにもならず、この先が見たいけどケガをしてほしくはない。「来ます。来てほしくなけど」の思いを視聴者に共有させるのはそこまでの新さんのキャラクターが成立していてこそでした。
一方で脚本・ストーリーそのものに大どんでん返しを、そこまでの伏線が一気に回収されるカタルシスを期待するとずっこけます。王道です。
これについては良い悪いではないと思います。素材の味を生かすために変な変わり種をぶちこまないで「この演者、すごいでしょ!」と押し出す形。
劇中の風見さんも新さんも、きっとこういう演技と演者のスゴみで評判をあげていったのでしょう。
映画館で見てよかった。
サブスクサービスで見ていたら、おそらくスマホ片手に見てしまって最後のシーンにたどり着けるかどうかわからなかった。
これはじっくり向き合ってみるべき映画、真摯に画面を見つめる映画館でこそ、クライマックスを最大限に楽しむための土台を作っていける映画でした。
何より、主演の熱演が最強の映画です。この人を超える演技をしている主演級の俳優がいったい何人いるというのでしょうか、、、
どんぐりさんよろしく、今後、別の映画やテレビで見たいものです。
===
ところで山本優子さんの関西弁がちょっと気になりました。
明確に違うわけでもなくエセではないです、でもな~んかちょっとイントネーションがズレているのではと……。
「関西弁なら関西人使えや」と思っていたのですが、どうやら演者さんは兵庫県出身のご様子。うーん、何が違うんでしょうね。
兵庫の人が京都に寄せようとしたらこうなるのでしょうか???
他の演者さんの関西弁がそのまま関西弁なので、すーっと入ってきたのでその一点がやけに気になったのでした。
べっぴんな姉ちゃん。……が、ヒロイン役というにはトシ食ってないかな。20代後半くらいかなぁ、と思っていたら……。俳優のWiki見てびっくりしました。
【小ネタ】
・「東京にくだりはってん」わかるわかるwww
・師匠と弟子という関係になっている時の稽古中にも「なんでやねん!!」のノリつっこみ、わかる。超わかる。関西人だもの。
・安藤彰則さんの印象に残りまくる顔と表情。良い。
・「オチ」はそうだろうなと思っていたので、もうちょっとびっくりさせてほしかった。
・「上段の構え」はもうひとひねりできたんじゃないかな。「殺し合いを前提とした上段の構え」→「演技を前提とした周囲に配慮する上段の構え」という仕込みができていたので、あのシーンを「殺し合い」と印象付ける要素にできた気がする。いや、あれは「俳優」としてそこにいたのだから成長した新さんを出すからあの上段でもいいのだ。いや、それでも…。……と堂々巡り。もしそこまで考えさせることを狙っての演出だとしたら白旗ものです。
気持ちのいい映画
出ている俳優はほとんど僕の知らない人ばかり。知っているのは紅萬子さんぐらい。悪人がひとりも出てこないので観た後の気持ちがいい。同時に雷に打たれた二人が時間をずらして同じ場所にタイムスリップをする、というのは新しい。おにぎりを食べるシーンは泣きそうになった。そして最後の真剣(という設定)での斬り合いのシーンは特に良かった。本当に真剣での斬り合いのような緊張感がある。終わり方も意外で面白い。
これを機会に「ちょんまげぷりん」も!
主演の山口馬木也さんは、個人的な本年度主演男優賞の筆頭に躍り出たっ!!
観ながらいちいち感じていたのは映画にまつわる「音」って難しいんだなぁということ(笑)
拙い部分があるのは何とも可愛らしく感じつつも、ここぞというところの笑わせどころは外してなかった。「落ちた、すべった」のくだりは恥ずかしくなるくらいベタだったけども(笑)
何より「時代劇」の終わりと「侍の時代」の終わりがこんなにも重なって意味をなしてくるのかと感心した。
チャンバラ・殺陣は見応え十分、「ここを見せたいんだ!」という気概がビシビシ伝わってきた。
あと、丸い顔をお侍がやってくる終わり方がGood(笑)
これを機会に中村義洋監督『ちょんまげぷりん』ももっと評価されても良いと思う!
ハートフル時代劇として推したい!
戦国自衛隊みたいなものも含めると、時代劇というカテゴリーは意外と懐の深いジャンルですよね? 広義では「首」「もしも徳川家康が総理大臣になったら」「清須会議」「大河への道」「さや侍」「七人の侍」・・・史実に基づいたもの、パロディー、タイムスリップ設定、現代人が掘り下げる戦国時代、と手法を変えても日本人のDNAに時代劇を好む素地は根付いています。
今回のこの映画、導入部から本筋に入るまでのアバンが非常に短くてシンプル、それでいて観客を迷子にさせることなくこれから始まる物語に期待を持たせながら想像力を掻き立てる脚本が非常に良くできていると思います。高坂新左衛門(山口馬木也)も、本当に普段から侍の生活をしているのではないかと思わせるほど徹底して「台本の中の人」を演じていて、徐々に現代の生活に染まってくる。
と、ここで同じく落雷で違う時代にタイムスリップした風見恭一郎(冨家ノリマサ)と再会して共演を勧められるけど、追加台本の中の会津藩の悲惨な窮状を知ると落雷前の真剣勝負の場面に戻って同胞の仇を打つかどうかで苦悩するところが本当に侍らしくて、本作唯一の泣けるシーンでしたね。
疲れも吹っ飛ぶ‼︎アツい作品‼︎
まず、全国拡大上映ありがとうございます‼︎
おかげで観に行くことができました‼︎
今週の先週の土日祝日はいろいろ忙しくて映画は家でも映画館でも観れず、疲れも溜まってましたが、この作品は笑いと感動と熱量でそんなことは吹っ飛ばしてくれる‼︎
ラスト30分が話題になっていますが、前半のコメディ部分もめちゃくちゃ面白くて笑えて最高‼︎
特に初めて時代劇を観るシーンと、師匠との稽古中斬られ役なのに、斬っちゃうシーン‼︎
映画館のみんなも笑っていました‼︎
ラストもあの侍が出てきてからさらに面白くなった‼︎
ラストバトルはずっと観入ってしまう‼︎
今までの2人の話があってのあの戦いは胸がアツくなります‼︎
制作側の熱量もすごく伝わってくる‼︎
良い作品を観ましたー‼︎
あと時代劇ってこんな風に作られているのかと初めて知りました‼︎
時代劇への深い愛と、過ぎ去った時代への愛も
◉時代の思いの強さ
どんな時代でもそこに無数の人生はある訳だが、ペリー来航から安政の大獄、禁門の変、戊辰戦争まで、幕末から明治維新の30年ぐらいは、特に特に、多くの人の喜怒哀楽が、目まぐるしく時代の狭間に押し込められ、消えてしまった時代だったと思っています。
故に時空を飛ばされても、彼らは溢れる心根によって、何処に辿り着いてしまう。そして強い信念があるから、その場所で必死に生きてしまう。その展開にいつの間にか引き込まれた感じでした。
◉出来るはず
高坂新左衛門(山口馬木也)が、ぶっつけ本番で時代劇を演じる。しかし武士であるから、回りとの落差に振り回されるハラハラではなく、出来て当たり前がどこまでバレないで通じるかのハラハラ。それを愉しんでいるうちに、すっかり新左衛門へのエールが生まれていた。上手いし、ズルいし、気持ち良い。
◉助監督のビンタ、心地良し
背筋の伸びた殺陣師の立ち姿も、心配無用介の不適な笑い顔もスタイリッシュ。今夜は呑みに行くぜ! の掛け声が出てくると、もうレトロな安心感が一杯で。
生硬な主人公を心配する優子助監督(沙倉ゆうのゆうの)が、気丈であるのに柔らかさを感じさせてくれて、素晴らしかった。真剣勝負の撮影はどちらも死なずに終わり、助監督が高坂新左衛門をビンタした! これは何となく予測出来たのです。あるいは控え目な彼女が、激情を抑えられなくなる瞬間を見るのが、私の願望だったのかも知れないです。
◉タイムスリップは尽きない
敵役の山形彦九郎(庄野﨑謙)と現代で出会ってしまうのは、幕末の時代熱の成せる業だったのでしょうけれど、こうした無理のない筋書きの捻りは本当に「劇」への没入感を高めてくれたと思います。
山形を演じる風見恭一郎(冨家ノリマサ)は、俺は多くは語りたくない…みたいな我慢ぶりが似合っていて、だから新左衛門が、それでも口にしてしまう喋りが引き立っていた。
ところで、「俺はこんな所で何をやっているんだ」と言う独白は、元々、タイムスリッパーたちが吐いたものだったのだ…と、改めて思わざるを得ない。
口コミで鑑賞
数年に一度の口コミヒットの低予算映画です
正直導入部から演出もいまいちだったりしてやっぱりこんなものかと
冷ややかに見ていましたが、おにぎりのくだりから俄然登場人物が輝きます
なんで点滴が外れているのとかそういう突っ込みどころが多いのも確かですが
ラストに近づくにつれて映画を作りたいという意気込みがひしひしと伝わってきて
胸が熱くなってきました
見た人はみんなあなたたちの味方ですよって言いたくなる不思議な感覚
エンドロールはじまっても誰も立ち上がろうとしない
それくらい没入感のある映画に仕上がっていました
くすりとするシーンやクライマックスの迫力
年配の人にもっともっと見てほしい作品です
期待通り お手本のような脚本
この映画ドットコムでクチコミの評価点数が高かったのであらすじなどは全く見ず、劇場は足を運びました。
大きな起伏があるドラマティックな作品ではないですが、とても心温まる作品で時には笑い時には涙するお手本のような脚本を楽しめました!
何より登場人物に誰1人として悪人が出てこないというのが、見ていて安心できましたし気持ちよく最後まで作品に没入することが出来ます。
主人公である高坂さんが、最初タイムスリップした直後映画撮影中の往来に出る際に襟を正すシーンがあるのですがそのシーンだけで彼が無骨だか真面目で丁寧な人なんだなと伝わってきて胸をぐっと掴まれました。
その後も突然刀を叩かれて怒鳴られたにも関わらずすぐに頭を下げるその姿勢、素晴らしい人だ!こんな素敵な人に悲しい思いをして欲しくないな…と一気に高坂ファンになりました(笑)
ここの掴みがあったので、その後の彼のサクセスストーリーや葛藤にも自分がものすごく寄り添えた気がします。
エンドロールを見ると監督の名前が沢山!低予算と伺ってましたがそれをあまり感じさせない素敵な作品でした。
幕末の侍、時代劇役者になる
タイムスリップした侍が切られ役になり本物の侍を映画に残す話
映画撮影に真剣で挑み本当の死合を行うが今はその時ではないので生き続けるEND
コメディ映画で自然と笑いがでる一方で真剣なシーンに段々と引き込まれ作品だった。最後の落ちも笑えて綺麗に終わる。
時代劇苦手でも楽しく?見れます。
基本低予算映画なので、至らない箇所はありますが、
主演の山口氏が「本物のサムライ」にしか見えなくて凄い。
幕末に幕府側に属する暗殺者として、維新派の若く腕の立つ剣士との
果し合いの最中にタイムスリップし、平成の世へ・・
ここからの困惑武士のコメディは想定の範囲内で、特筆には値しない。
いや山口氏の佇まいだけは特筆です。
中盤のキーマン登場と、荒んだ現代に翻弄されて、にわかに戻り始める
侍のスピリッツ。 江戸幕府が滅ぼされた歴史を知り、打ちのめされ、
ここでのうのうと生き続けて良いのか、自問自答の末に出た答えが・・
あの決闘の相手との決着をつける真剣勝負! 現代人の理解の及ばない
まさかの展開へ・・ もうコメディ置いてけぼりです。
こんな気迫の決闘シーンは、予想もしませんでした。 時代劇は数多ですが
これはトップクラスの迫力です。なんの映画見に来たんだっけ??
それなのに、映画が終わって出てくるときは、皆笑顔なんですよ・・
終わり方が最高です。 見て良かったあ・・て思える良作でしたよ
脚本や演者、上手いなぁ。しかし、
話の筋がうまく出来ている。主人公や他の俳優陣の演技がうまいのと脚本が良い。ほんとに自主制作映画なのかというレベルだと思う。
途中までは、たぶん会津藩士が異世界で色々やらかしてクスっとさせておいて最後はADさんとカップル成立でめでたしめでたし、あるいは元の世界に戻る方法を見つけて涙の別れにするんだろう、と思ってた。面白いけれど、まあよくある筋じゃないか。ところが、時代劇を捨てた俳優との出会いから話がガラリと変わってしまう。そんな筋立てあり?想像もしてなかった。うまいなぁ、脚本。映画は一に脚本、二に脚本、三四が無くて五に脚本。マキノ監督か誰かの言葉だと朝の浜村淳さんのラジオで聞いてたとおりだと思う。今回のはこれに演者の存在が加わるけど。主人公やらライバル剣士、切られ役、みんな上手いなぁ。知り合い全員に勧められる映画だと思う。
しかし、剣心会の入塾合否を待つ場面での坊さんと嫁さんのあの低レベルのギャグが全く映画にそぐわない。滑るとか落ちるは言わんようにしよなと言いつつ、道で滑るとか選挙に落ちるとか。中学校の演劇部ならコメディ場面にするために考えたレベル。私が間違って想像してたよくあるエンディングに向けてなら良い、問題なし。しかし、筋がガラリと変わったこの映画を見終わって、ジーンとしながら振り返ってみると、クスリ、ホロリとさせられたこの映画には安直なギャグは不要。なんか安っぽさに不快にまでなる。関西が舞台の自主制作はあのレベルのぶち込みが期待されてるのか?この場面がなければ、星5つ付けたのに。
青天の霹靂
侍タイムスリッパー
当時の感情と一緒に武士の生き様は忘れ去られ、昨今は時代劇も数を減らしてしまった。
当時彼らは、身命を賭して、人にコーラをかけることができる少年たちの未来を守った。
そのことさえ、知ってか知らずか、順番に消えていく今になっても尚、(その成果については)本当は分からないままなのか。
新撰組を始め、斬られ役全てに走馬灯を見る。喜劇のように見え、という表現が続く。
心的苦慮の末に、本身を用いて「撮影」をする。その選択は、時代劇と集まったスタッフ、そして同志達の記憶を最終的に守っている。
過去から立ち現れてでも、今の人に本物の力を見せてほしい。そう祈りながら映像を作る人にとって、夢のような物語ではないかと、ふと思う。
まさに真剣、素晴らしい振り幅!
映画友達から激推しされ、行っとくかなぁくらいのテンションでシネコンへ。素直に行って良かったです!
口コミ評判、上映規模マシマシ中なのも納得しました。
コミカルほのぼのからホントの意味での真剣勝負まで、なんという振り幅!自主制作らしかったりちょっとイナタいとこあるのもかえって魅力的、と感じるくらい。
そしてなんと言っても、山口馬木也さんの素晴らしさ。現代ものでのちょっと危なそうな役の印象が強かったので、こんなにもお侍で、これほどチャーミングな方だったとは、とアゴが落ちる思いでした。素朴で誠実な人柄が生む絶妙な間がたまりません。
タイムスリップしたてで真剣持ってウロウロする所では「危ない、あぁぁ危ないから」、とずっとハラハラしてました。その後のほっこりほのぼのから、「歴史」のむごさ、「真剣勝負」への流れ。クライマックスでは本当に息詰めて苦しくなりました。時代劇という文化、その背景の歴史という「日本の過去」。過ぎたことは戻せずとも出来ることをやる、生き抜く意味はある、と自分は受け取りました。
しっかりエンタメで楽しい作品ですが意外やずっしりくるものもあり…いい映画です。監督さんをひたすら応援したくなります。この先もヒットが拡がり続けて、次作もお米づくりもどんどんうまく行きますように!
あと、スリッパー先輩である風見先生の若い頃と30年後に違和感なかったのが感心しました、邦画は特にそのへんちょっとアレなこと多い気がするので。
風見さんが落ちてきた時は昭和真っ只中だったはずで、カッコいい若侍から昭和のスター俳優に、っていうのも主役級の設定ですよね(笑)
演じる冨家さんがまた、本当にそんな雰囲気でいらして素敵でした
お話がよく出来ていて素晴らしい出来栄え!!
自主制作とは思えない素晴らしいクオリティで最初から最後まで中弛みなしの素晴らしい作品でした。
私は半分忘れていた1番最後の3人目の伏線回収で最後の最後までやられました😄👏
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