侍タイムスリッパーのレビュー・感想・評価
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良い映画を観た良い時代劇を堪能したこのような満足感がしっかりと残りました
侍タイムスリッパー
おーこれは面白い!
しかも、なんか感動した
内容は題名の通り
幕末の侍が現代の撮影所にタイムスリップしてというコメディ
簡単に予想できるようなシーンは早々に序盤に展開されます
しかし、おちゃらけ、内輪受けネタ、蒲田行進曲的なネタは予想に反してほとんどなく、現代の撮影所で如何に時代劇の伝統を絶えさせないように多くのスタッフが熱意を傾けているかを描きます
そうしてさらに中盤におっ!なるほど!という設定が入ってからは時代劇の持続性の追求と物語がシンクロし始めるところが見事で、心を震わせてきます
クライマックスはカタルシスを感じました
つまり映画として立派に成立しています
良い映画を観た
良い時代劇を堪能した
このような満足感がしっかりと残りました
ショーグンの世界的な大ヒットで時代劇が俄かに注目されています
もしかしたら世界の映画界の新しい金鉱の発見となるのかもしれません
ですが、肝心要の日本自体で時代劇の持続性が失われつつあります
しかし決して失わせはしない、必ず次世代につないでいくのだという決意を表明した作品になっています
一度失われたなら二度と再現不可能な世界がある
殺陣だけでなく、衣装、カツラ、小道具、セット美術、所作、言葉遣い、時代考証などなど、膨大な宇宙
それらを支え続けていくこと
私達観客もまた時代劇の持続可能性に取り組む同じ仲間です
慰労会での風見恭一郎のスピーチにはグッと来ました
本格の時代劇と今日性への拡張、世界的普遍性の獲得の両立
時代劇の持続可能性への回答は様々に考えられます
これから多くの試みがなされることでしょう
しかし本作のような人々の一本筋の通った時代劇でさえあれば
うるさがたの時代劇ファンもついていくと思います
本作はそうした時代劇の持続可能性への最初期の試みとして遠い将来まで記憶に残る作品になるのかもしれません
ここからネタバレ含みます
真剣使用での時代劇の撮影
実は過去に本当にあり、死者をだした事故の忌まわしい前例があります
1989年の松竹の映画「座頭市」で、撮影中に俳優の振った真剣が殺陣師の首に刺さり死亡する事故が起きています
殺陣のリハーサル中、勝新の息子でこれが映画デビューとなる奥村雄大が持っていた日本刀が、子分役の俳優の首に触れたのです
助監督が真剣を渡し、それが真剣であることを伝えなかったことでの事故だったといいます(本当に?)
もちろん非難轟々となり監督でもある勝新太郎への批判が高まります
映画製作を中止すべきとの声が当然上がり、公開が危ぶまれました
撮影は事故の起きた立ち回りのシーンを残すだけだったそうで、大出血で俳優が危篤状態の中、勝新太郎は俳優の家族に頭を下げ、撮影を続行して映画を完成させることになったのですが、とうとう俳優は亡くなっていまいます
それでも撮影は続行され、被害者の死後一週間後にようやくすべての撮影が終わり、予定通り公開されたのです
ハッキリ言って異常です
今ならとても考えられないことです
SNS でのバッシングは凄まじいことになったでしょう
本作では真剣使用での殺陣のシーンがクライマックスとなります
そしてそれまで待たなくとも主人公がタイムスリップして来た時、彼の刀は当然真剣のままです
序盤の時代劇撮影に彼が紛れ込んだ時に、彼は普通に真剣を抜いて切り結んで事故が起きるというような映画の展開になるのではとハラハラしましたが、実はそれがクライマックスの伏線になる仕掛けであったわけでした
黒船来航ポスターの30年時間が合わないの謎も良い伏線でした
予告編「インディーズの限界を超えた!」、まさに文字通り!!!
本作ヒット後に何かの番組で安田淳一監督が出演され、米農家を継ぎながら監督兼業していることを聞き、話をされる時に感じたその人柄も相まって観たいと思っていた作品です。
タイムリープ物お約束の時代的違和感に主人公がしばらく驚いていく件をコミカルに描いた後、密命を受けた標的の相手である長州の山形彦九郎がまさかの同じ目に遭っていたことがわかった辺りから俄然面白さが増してきます。
最後の殺陣の恐ろしく長過ぎる間の取り方や、「今日がその日ではない」のセリフのかぶせ、さらにエンディングロール前の「ネタかぶせ」でのオチなどすげぇと思える部分が多々ありました。
また主演の山口馬木也さんのタイムスリップしてきた武士役としての演技がハマり過ぎていて、お酒を飲むときのリアクションをはじめ、その真面目さ故のコミカルさに何度も笑いを誘われました。
さらに特筆すべきは助監督優子殿役の沙倉ゆうのさんの可愛らしさ。本作で初めて知った女優さんですがとにかく画面に出てくる度に目を奪われました。エンドロールで実際にも本作の助監督であることにビックリ!しかもググってみるとそのご年齢に失礼ながら2度ビックリ!!このお歳でのこの透明感…すごい!!!
全編を通して感じられる人情や関西弁がなんともいい味を出しており、特に住職夫妻や井上所長、関本師匠など愛すべきキャラが多数出てきます。
私自身確か中学の修学旅行で京都太秦映画村には行ったはずなのですが、残念ながらほぼ記憶に残っていません。
が、本作内の劇中劇『最後の武士』の横文字変換『ラスト サムライ』に出演していた真田広之さんが『SHOGUN 将軍』でエミー賞やゴールデングローブ賞を受賞、その流れからの本作の日本アカデミー賞受賞など形はそれぞれ様々なれど、いわゆる時代劇はこれからも続いていって欲しいし、微力ながら応援していかねばと思わせてくれる良作でした。
余談も余談ですが、山形彦九郎の現代名「風見恭一郎」が血判の署名では「風見恭史郎」になっていたのを見つけてしまいました。
カメラを止めるな!
侍が剣を向けて、いざ!と言う場面から雷でのタイトル入り!
なんて美しいのでしょう!(ほぅ
時代劇の舞台に降りたったのは、神の悪戯か運命か。初めて見る現代に戸惑いながら覚えて、自身にしかできない仕事。
斬られ役
本家本物の時代から来たんだから慣れたもの(演技は死ぬ気で覚えてえらい!
ひたすらに主役の山口さんの目力と人柄に演技力!
つまらない、あきる、長い…
冒頭はシュールです、現代に侍衣装ですから浮く浮く!当たり前やで!
設定の舞台が時代劇村近くだから展開もスムーズに進んでいきます。で、思い出すのです、…主人公がいるなら相手も、来てんだよね?と。ざわざわと配役から売れっ子になっていく主人公。奇跡ではなく自力で成り上がっていくのです。
努力は実を見せてくるんです。
過去から未来に来て、記憶喪失と思われて、自身が過去から来たと察しても誰にも言わずに現代で生きることを選び斬られ役をこなしていくんです。
現代ドラマであり、現代ファンタジーな作品です。
まずは観て判断してください。
観てつまらないならビーキーパーを観ましょう。
目力はこちらの主人公レベルでカッコイイですから!w
そして、中盤に訪れる大御所からの依頼。
奴が!奴がいたー!wwwwと息を呑みます。
奴との再会で主人公も困惑しますが、大御所に絡んで挑みます。こんな熱い展開…
惚れてまうやろ!!(ばかー!
最初は一館スタートで、監督さんも金を工面されたとか…が、口コミから400館まで!日本アカデミーでも賞を獲得された!
シンデレラではない。
これは努力の賜物なのだ!
2時間10分。
ただただ、ダレずに最後の真剣勝負は圧巻!
素晴らしい脚本!素晴らしい演出!素晴らしい役者!
素晴らしい時間をありがとうございました!
うちも負けない作品を生み出したいです!
創作活動にいい刺激!
ありがとうございます!
タイトル通り
幕末、会津藩士高坂新左衛門と長州藩山形彦九郎が争う中、突然の落雷により高坂は現代の東映太秦映画村にタイムスリップという設定、ADの優子や寺の住職夫妻に助けられ高坂は時代劇の斬られ役として次第に活躍・・。半分を過ぎたころ、高坂を準主役として抜擢した主役の風見恭一郎が実は高坂と闘った山形で高坂より前の江戸村にタイムスリップしていたと判明、果たして二人はどう対応するのだろう、元の時代にもどるのか・・。
侍が時代劇の撮影所にタイムスリップ、突然の本物登場にしっちゃかめっちゃかの現場というところなのだが割とすぐに馴染んでしまうので物足りない。心配無用ノ介なんてTV時代劇でなく新選組が活躍する元の時代に近いチャンバラ劇で活躍だとチャンバラがもっと活きたでしょう。最後は真剣勝負、山形死んだかと思ったら撮り直しで和解シーン、丸く収めました。時代劇全盛の昭和の時代への映画関係者のノスタルジー満載、安田監督の自主製作映画にもかかわらず東映の全面支援もうなずけます、監督は先に亡くなられた5万回斬られたという名代の斬られ役福本清三さんへのオマージュから脚本を書いたらしい。劇中でも福本さんの名言とされる「一生懸命頑張っていれば誰かがどこかで見ていてくれる」がセリフで使われていました。時代劇とは言え映画愛に溢れた作品、映画関係者にしてみれば応援したくなるのは分かりますから日本アカデミー賞受賞もうなずけました。
♡時代劇LOVE♡
もうね、作り手のパワーが溢れている作品やね。
確かに時代劇は若い世代にはなかなか受け入れてもらえにくくあるジャンルではあるが、その時代時代で変わるのは仕方なく避けられないものではある。
だからといって諦めや嘆くのではなく受け入れて共に生きていく道を進んで行くのがとても良い。
日本人は侍からサムライそしてSAMURAIと変わってはきたけど忘れられた武士道は、も少し芽生えてほしいなぁ。
観終わった時は清々しく思える作品でした。
〝侍〟のカルト映画
「侍タイムスリッパー」を観た。
何でこれを作ったか分からない。
〝侍〟というのが何なのか定義付けられて無いから〝なんとなくそんな感じがする〟でしか観れない。
「シャドウ・オブ・ザ・ヴァンパイア」を思い出したよ。それを〝侍〟に混ぜた感じ。つまりカルト映画。
「永遠の0」感はある。
日本アカデミー賞を獲りそうな作品ではある。
〝斬られ役〟というのが〝侍精神〟に於いて成功スキルとなっているのがよくわからない。
もっと言えば、劇中で真剣で斬り合うことが侍としての何を意味するのか意味が分からない。
この作品は現代というものを「いい時代になりましたなあ」という所では一貫している。倉本聰の「歸國」のようなことにはならない。その上で〝侍〟というものが登場人物の個人的なものだけということになる。
僕個人で言えば侍というものがイコール日本だとは思っていない。自己確立の一つの定義ではあると思う。
真剣で斬り合うことが面白くて良い、なのか死にたくて良い、なのか分からない。
何で作ったのか分からないというのは飛び抜けたアイデアがある訳でもないということでも思う。
要素として、描かないものを省いた形で進めたような脚本(例えば主人公は何故精神病院へ入れられないのか等)に後半から色々入れ込んであるのが分からない。
自分としては見切り発車にも感じられた。
この作品に於ける〝侍〟というのは所謂〝怪獣〟とか〝吸血鬼〟〝怪物〟等と変わらない。
そうしたものの見せ方はテレビ時代劇的と言えばそうなのかもしれない。
そういうカルト映画として、前半は少し面白いところがあって、後半はやけに真面目になり退屈した。
キャスティングは良かった。
(追記)
そうか、〝超低予算時代劇〟を作ろうとしていたのか。そりゃ何で作ろうとしたか分からない訳だ。
_φ(・_・
幕末の会津藩士は●●●●が●●た?
他の方もご指摘のように、僕も初見時に「幕末の武士がポスターの算用数字が読める訳ないし、左読みの文字をすらすら読めないでしょ!脚本が甘い!」と思いました。
作品を観続けていくうちに、抜群の面白さに引き込まれましたが、僕の映画師匠の口癖「映画で大きな嘘をつこうと思ったら、小さな嘘はなるべくつかないことが大事」を思い出し……。
んで、いろいろとこの映画の関連動画などを見たりするうちに……何度も脚本を推敲したり、かなり細部やディティールにもこだわっていることがわかってくると、そこまで作り込んでるのに、算用数字云々を作り手が気づかない訳がないよね、と思いました。
それで、諸々検索したり、いくつか大学の論文なども読んでみたのですが、 大河ドラマ「八重の桜」にも常用な役どころで登場した八重の兄、会津藩士の山本覚馬(ドラマで西島秀俊さんが演じた)は幕末、京都へ赴き、そこで明治維新の4年前の元治元年に「会津藩洋学所」を開いたそうです。
そこでは、英学(英語)や蘭学の講義が行われていて、英学については、仙台藩から講師を招き、京都にいた会津藩士を初め、他の藩の藩士たちに英学を教えていたそうです。
となると、高坂が京都の会津藩洋学所で英語に触れていたとしたら、左読みの横書きを理解し、140年を読めても、無理はない、ということになります。
もしかしたら、こうしたことも、すでにほかの方がご指摘かもですが……。
とは言え、すんなり文字読みすぎだろーー!とは思うのですが(笑)
突っ込みドコロをあげたら他にもありますが、この映画は、そんなものを吹き飛ばすパワーと映画愛にあふれた、素晴らしい作品であることに間違いはありません。
今日見てきた
まあよくできていたかな?
というか主役の侍 カッコ良すぎやないですか?
そこそこテレビに出ていたようだが私は全く知らなかった
刀をあげるところは元に戻すのかなと思ったら戻さなかった なんで?
途中でもう一人の侍出てきた時はやられたーと思った
それそうだよね ありだよね
最後に気絶した丸顔侍が出てきたのは良い終わりだったのでわ
強いて言えばもう少し削れる部分もあったし も少し混みディータッチに行けたら私好みだったかも
主役侍さんは仕事いっぱい増えてほしい
カメトメの髭おじさんみたいに 色々な作品で見たいかな
泣きそうな場面もあるし笑える場面もありとても良かったですね
真剣勝負の直後にもう一つの真剣勝負があった
ラストは真剣を使っての文字通りの真剣勝負。無事に撮影を終え、みんながねぎらいの拍手をする中で助監督の沙倉ゆうの扮する優子が涙を溜めながら、山口馬木也扮する高坂にまさかのビンタが炸裂! このシーン、個人的にめちゃくちゃ刺さりました。初心を忘れて勝負に熱くなった高坂はじめ、同調した男どもに対する、魂の叫びと受け取りました。
本物の侍を思わせる間合い
話題になっていて、去年からのロングランだと今さら知って鑑賞。『カメ止め』みたいな映画だと聞いて。
セリフと口の動きに違和感があり、また夜にしては明るすぎない!?と初っ端から不安に思ったが、内容はとても良かった。
自身のことはほとんど話さず、記憶喪失の現代人として生きているのもちょっと無理があったような。
京都撮影所での撮影ということで、周りの役者さんもしっかり京都訛り。自分は知らなかったが、京都の役者さんも出ていたとか?
タイムスリップもので、同じタイミングでタイムスリップしたのに、少しズレた年代に飛ばされて再会するのがなんか新鮮だった。
最後の真剣のシーンは、まさに手に汗握った!
ドラマとは違って間合の長さにドキドキ。
2人の迫真の演技が素晴らしい!!
山口馬木也さんの表情がすごかったな〜。
他の役者さんの立ち回りが演技だとはっきり分かるくらいに、山口さんの演技が侍そのものだった。
緊張と緩和
単なる喜劇かと思いきや、最後にシリアスを持ってくる。少し前に蒲田行進曲を観たが、監督もこれを参考にしたらしく、展開や時代劇を取り上げたことなど似ているなと感じました。
あと役者さんの演技が皆さん素晴らしく、最後までじっくり鑑賞できました。
撮影が昭和な感じなのはあえてなのかな。
見てよかった。
睡眠不足で途中で寝るのでは心配したが全く杞憂でした。ベタな展開でも『クスッ』と笑えるオープニングでどんどんスクリーンに引き込まれる面白さでした。キャストの人間味あふれる演技も良かったですし私は何度も泣けました。時代劇を愛する熱量がハンパなかったです。
時代劇映画愛にあふれた作品
東京・池袋のシネマ・ロサでの単館上映からスタートした本作は、SNSを中心に口コミが広がり、その後、全国348館まで上映規模を拡大するという異例の快進撃。
物語は、幕末の会津藩士・高坂新左衛門(山口馬木也)が、落雷によって現代の時代劇撮影所にタイムスリップするところから始まります。彼はその剣の腕を活かし、「斬られ役」として新たな人生を歩み始めます。この設定自体が斬新。
主演の山口馬木也は、タイムスリップした侍という難しい役柄を見事に演じ切り、その存在感と演技力はまさしく本物の侍そのものでした。
また、監督の安田淳一は、全財産を投じて製作費2,600万円を捻出し、本作を完成させ。特に、東映京都撮影所で撮影された本格的な殺陣シーンは、時代劇ファンなら涙もの。
さらに、物語の中で描かれる人間ドラマや、時代劇への深い愛情も、心を捉えました。現代と過去の文化のギャップや、主人公の成長物語など、多彩な要素が巧みに組み合わさりストーリーに深みをもたせたのも見事。ラストシーンはくすりとさせられました。笑
生涯ベスト5
話題になってるとも知らず、友人に誘われて鑑賞。
時は幕末、会津藩の侍が長州藩の侍と一騎討ちをしている時に雷に打たれて現代にタイムスリップ。
タイトルからして侍がタイムスリップしてよくあるカルチャーギャップコメディかと思っていたらタイムスリップして来た侍の適応力が半端ない。
壁のポスターから自分が守ろうとした徳川幕府が140年経っている事を知る。
現代にカルチャーギャップしているところはあまりなく、また周りも撮影所に紛れ込んだ事から記憶喪失で役に成り切っているからと、この人を受け入れる。
初めて観た時は侍が文明に馴染むの早過ぎ!って思ってたけど、体験した人がいる訳ではないので解らない。
ちょんまげと着物と刀という風貌から時代劇の斬られ役をして、褒められた事で今の時代、自分の身を立てるのは斬られ役しかないと斬られ役の集団、剣心会に入門し、斬られ役の道を歩む。
タイムスリップして来た会津藩の侍、高坂新左衛門は福島に住んでいた自分にも、この人会津出身?と思う程、完璧な会津弁を話す。
今度はその事が頭に残る。
こうして順当に斬られ役と人生を歩み、ちょんまげも切り洋服を着る新左衛門。そんな時に大物俳優から10年ぶりの時代劇復帰をし、その相手役として高坂新左衛門が抜擢される。
その訳はこの大物俳優、風見恭一郎こそ幕末で相手をしていた長州藩士だったからだ。
えっ!先にタイムスリップして来ていたの?
そう来たか⁉︎変化球。びっくりした。
一度は断る新左衛門だったが、剣心会の主将らに説得されて、大作「最後の武士」に出演する。
撮影が続き、途中の懇親会でシナリオの変更を知らされ、そこに書いてあったのは会津藩の悲惨な最後だった。ショートケーキが誰でも食べれる豊かな国を作った長州藩。しかし、会津の同胞の悲惨な末路を知って、一矢報いたい。
そして新左衛門は撮影の殺陣を真剣でやる事を提案する。
福島に住んでいた自分にとっては会津の末路を知っていたので、胸がはち切れそうだった。新左衛門の気持ちが痛い程解る。
そして真剣の試合。お互いに動かない。
そして斬り合い。真剣の時は竹光とは音が違う。
このシーンは映画史に残るシーンではないか。
そして結末は!
斬れなかった。
新左衛門の気持ちになると斬れなかった事は武士を捨てた事なんだろうか?自分の現在を肯定した事なんだろうか?
兎に角斬れなかった。
それから斬られ役の人生は続く。
最後に3人目のタイムスリッパーが!
で爆笑で終わる。
こんな面白い映画は久しぶり。
生涯ベスト5に入る映画だと思う。
映画作りへの情熱
初めて見たのは昨年10月。あっという間に10回の大台に乗ってしまった。久々に楽しく笑えて泣ける映画に当たったので飽きるともったいないから控えようと思いつつ、癖になり、今に至っているのですが、初見では馬木也さんの見事な殺陣と演技力に惹きこまれた。いかつい暗殺者の顔がタイムスリップして、塩むすびに感動し、ケーキで日の本の豊かさに感じ入り、それにしてもよく泣く男に変貌して、楽しかった。ラストの殺陣は何度見ても見事で感動した。そして今、なぜ飽きないのか考えるようになっている。
最初は主役にしか目がいかなかったのだけど、鑑賞を重ねるうちに、この映画は、切られ役や端役に至るまできちんと演技していること、映画そのものに映画を作る情熱を感じさせることに気づかされた。タイムスリップして元の世界に戻れぬ孤独を心優しい人たちに支えられて、切られ役で生きていこうとするも会津の人たちの悲劇を知ってしまい、どうすることもできない悲哀を同じくタイムスリップしてきた長州藩士にぶつけて真剣で勝負することになる。脚本も上手い、安っぽさや嘘くささがない、低予算なんてすっかり忘れてしまう。
画面も美しい。日本アカデミー賞7部門受賞もうなづける。というか、自主製作で各大手映画会社に勝負を挑んでいる構図ではないですか。この情熱たるや、すごい。監督、俳優、スタッフ、一丸となって映画作りをしている。私はその熱気にあたるべく、せっせと映画館に通っているようです。
予想外に熱い人間ドラマ
多くの映画マニアの人達が絶賛していた本作。低予算の自主製作映画で、元々は一館のみでの上映予定だったにも関わらず口コミで評判が広まり、現在は全国規模で上映されているという『カメラを止めるな』を彷彿とさせる作品です。私の住む映画過疎地の秋田県では話題になっていてもしばらく上映が無かったのですが、今月から大館市にある御成座さんにて上映がスタートしたので遅ればせながらの鑑賞です。「幕末の侍が現代の時代劇撮影所にタイムスリップする」というあらすじだけ知っている状態での鑑賞でした。
結論ですが、めちゃくちゃ面白かった!!
時代劇をテーマにした作品ですが、舞台となるのは現代ですので分かりづらさや難しい場面などはほとんどありません。幕末の歴史について中学校で習ったくらいの知識があれば十分理解できる内容だったと思います。幕末の侍が現代にタイムスリップし、現代日本で時代劇に出演し、「斬られ役」で人気となっていくというストーリーは新鮮でもあり、時代劇などについても深く考えさせられる内容でしたね。中盤以降に起こる展開も盛り上がりましたし、賛否両論分かれているらしいラストの展開も、私は肯定派です。とにかく、最寄りの映画館で上映されているなら今すぐにでも鑑賞してほしい名作映画だと思います。
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時は幕末、会津藩士の高坂新左衛門(山口馬木也)は長州藩士の暗殺のために京都の寺の前で待ち構えていた。標的である長州藩士・山形彦九郎(庄野崎謙)と刀を交えていたところ、突然雷に打たれて気を失ってしまう。新左衛門が目を覚ますとそこは、現代の時代劇撮影スタジオだった。
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侍のタイムスリップ。非常にシンプルなストーリーでありながら、この映画は非常に深く面白い作品でした。
現代にタイムスリップした新左衛門が優しい寺の住職さんに助けられて住み込みで寺の手伝いをする流れから斬られ役になるまでがスムーズで分かりやすくてよかった。テレビで見た時代劇に感動し、ひょんなことから斬られ役として参加し、時代劇製作スタッフたちの情熱や技術に対してさらに感動。有名殺陣師に弟子入りし斬られ役として大成していく。
全体的にストーリーがテンポよく進んでいくのが見ていて気持ちよかったですね。物語が向かう方向やキャラクターたちが何をするのかがきっちり画やセリフから分かるようになっていて、間延びするシーンもなく最初から最後まで楽しかったです。
分かりやすくありながら、かなり掘り下げがいのある深いストーリーですよね。新左衛門は斜陽産業である時代劇と衰退しつつあった幕末の侍を重ねて見ているんだろうな、とか。
新左衛門が時代劇の斬られ役として人気が出てきた映画中盤から、物語が一気に動き始めます。ハリウッドで活躍していた伝説の時代劇俳優の風見恭一郎(冨家ノリマサ)の主導で、一大時代劇の制作が決定し、その主演俳優として新左衛門に白羽の矢が立つという展開です。初めのうちは自分には荷が重いと感じ断ろうとした新左衛門だったが、風間から明かされた衝撃の真実と、その後の風間や師匠である殺陣師関本とのやり取りで考えを改め、主演のオファーを受けることにすると言う展開ですね。
風間から明かされた衝撃の展開は本当に驚きましたね。「まさかそんな展開があるのか!」と、映画館で感嘆の声を上げそうになりました。このシーンが、個人的に一番テンションの上がったシーンだと断言できます。
映画の撮影が始まり、一番重要なラストシーンをどうするかという時に新左衛門が提案したのは、「真剣を使っての斬り合い」という無謀なもの。助監督の山本優子(沙倉ゆうの)は必死に止めるものの、監督と風間はやる気十分。終盤の殺陣は真剣での命懸けの撮影となってしまった。
正直、他の方のレビューを確認する限り、この真剣での斬り合いというのは賛否両論あるっぽいです。私もなんでいきなり真剣での斬り合いをしようってなるのかは理解できません。ただし、理解はできなくとも私はこの真剣で斬り合いをするというラストシーンは息をのむ素晴らしいシーンだったと思います。撮影が開始されてしばらく続く睨み合っての膠着状態。これは黒澤明の椿三十郎のオマージュらしいですね。映画上映トラブルかと思うくらいに睨み合いのままピタリと静止して動かない二人のシーンでは、映画館全体が完全に無音になるほどの緊張感に包まれました。そして突然始まる激しい斬り合い。緩急が素晴らしく、圧倒される迫力でした。
映画のラストではコメディ映画らしく、ちゃんとオチつけてくれたところも結構好きです。
不満点はほぼ無い素晴らしい映画なんですが、劇中のコメディシーンでいくつか間延びしてるなと思ったシーンがあったので(落ちるとか滑るとかのシーン)、そういうシーンを短くしてくれたらもっと見やすくなったかな~という印象ですね。
本作は映画そのものもめちゃくちゃ面白いですが、裏話も含めて制作陣の情熱が感じられる作品だと思いますので、これから映画を鑑賞される方はパンフレットの購入をおススメします。時代劇の助監督役で出演していた沙倉ゆうのさんは、『侍タイムスリッパー』でも助監督として仕事していたというところとか。
本当に素晴らしい映画でした。オススメです!!!!!
孤独な魂の邂逅ですよ!
良いBLでした!
30年抱えていた孤独を分かち合えるのはかつての政敵、相見える度にちょっと涙目なのがもう(号泣
極め付けはあの挨拶(以後大号泣
抑えめな時代ギャップコメディ演出も良い。静かに怯える侍w
剣友会の先生も良かったですー!
あの胴衣は先生のお古ですよね!
師匠への暇乞い…(嗚咽
殺陣が本当にきれいでした。
緊張感はなかなかのもの
年始1本目来週木曜日までの上映
朝9時半からなので休みの日に行くしかない
評判は聞いていたので最後まで安心して観られた
内容はオーソドックスなストーリー展開で予定調和の連続
突っ込みどころは満載なのだが不思議と許せる
まぁそういうもんだからと
これが大資本の大作だったら容赦せず叩き斬るところだが
絶妙な構成でラストの緊張感はなかなかのものだった
(勝新の座頭市を思い出してしまった…)
大ラスはおまけだな
年齢柄小用が近く決壊寸前エンドロール途中で退場してしまった
細かいお楽しみはなかっただろうか
(有名な斬られ役へのリスペクトは観た)
主人公の顔いい 相手役の大物俳優もどっかで見た顔
ヒーローものとかで観たのかな
年末年始休みの終盤で平和なひとときを過ごさせてもらった
祝・大ヒット! 2024年100本目にしてラストの映画は、時代劇愛の塊のような映画でした。
一年最後の締めくくりに何を観ようかと思っていたのだが、結局、うちの奥さんが大分前に観に行って絶賛していた、話題の自主制作映画を遅まきながら視聴。
うん、すげえ面白かった!!
私財を投じて作った娯楽映画が、池袋シネマ・ロサの単館ロードショー(このあいだ観た『きみといた世界』と同じですね!)から始まって、日本全国350館を超える大規模上映にたどり着き、興収8億を超える(余裕で10億はいくでしょう)……。
こんなにめでたく、こんなにうれしい話はない。
一人の映画バカが、他の映画バカたちを巻き込んで、
とにかく一般大衆が喜ぶような楽しい映画をつくり、
それにちゃんと観客が応えて全国で大ヒットに導く。
成功確率でいえば、数パーセントのチャレンジだが、
奇跡はほんとうに起きた。ほんとうに良かった。
もちろん、誰しもが今回の異例の大ヒットを見て、あの『カメラを止めるな!』現象を思い出すだろう。
むしろ、安田淳一監督は『カメ止め』の奇跡的成功のスキームを、しっかり研究して挑んだ気配が強い。
とにかく、脚本がよく書けていることがまずは大前提。
そして、わかりやすいヒトネタに懸けたシンプルな内容。
テーマは「映画愛」にまつわる「映画づくり」の映画。
なるべく、心あるファンを「味方につける」、観た人が「応援したくなる」ような仕掛けが、ちゃんと施されている。
僕は、考えようによっては、安田監督は『カメラを止めるな!』より凄いことを成し遂げたようにも思うのだ。
『カメラを止めるな!』は、ある意味、出オチの映画だった。
とにかく、あの乾坤一擲の「ヒトネタ」だけで勝負する映画であり、
客はその「ネタ」を人からバラされる前に、慌てて映画館に足を運んだ。
『侍タイムスリッパー』は、もっと「正攻法」の映画だ。
昔の邦画のような、くすっと笑えて、やがてぐっと胸に滲みるまっとうなコメディ。
映画を支えているのは、精度の高い脚本と、
本気で挑んだ二人のベテラン俳優の名演技である。
脚本と、主演の力で、客を笑わせ、客を泣かせた。
彼らは、真正面から「メジャー公開」への狭き門をこじ開けたのだ。
一方で、この映画をむやみに賞賛するのも、僕の流儀に反する。
一見して「自主制作映画に見える」というのは、やはりクオリティの部分でクリアできていない要素がたくさんあるからだ。そこは、ちゃんとフェアに評価したほうがいい。
監督は、車まで売り払って、2500万円の私財を投じて「好きな映画をつくるための」リスクを負った。それはたしかに美談だ。
だが考えてみれば、メジャースタジオだって、5億、10億の巨額製作費を投じて大きなリスクを負っているのだ。失敗したときのダメージだって、会社が傾くだけではない。何百人という人間に被害は及ぶ。映画づくりがリスキーなのは、どこがやっても変わらない。
むしろ、いまどき島崎藤村の『破戒』や、中原中也と小林秀雄の痴話喧嘩を題材に、何億円も投じて映画をつくるほうが、よほどリスキーな気すらする(笑)。
その意味では、自主制作映画だからといってあまり判官びいきせず、『侍タイムスリッパー』を「きちんと褒める」ことがとても大事だと、僕は思う。
― ― ― ―
まずはホンの出来が良い。
これは、間違いない。
僕はまったくの予備知識なしで足を運んだので、現代の日本から江戸にタイムスリップする『戦国自衛隊』みたいな話だとばかり思っていた(笑)。
逆なのね。一般にタイムスリップものの場合、圧倒的に「現代から過去に飛ばされる」話が多いが、一定数の「過去から現代に飛ばされてくる」話も存在する。
『テルマエ・ロマエ』とか、『帰ってきたヒトラー』とか。
海外ロマンスなんかでも、けっこうあるパターンで、中世のハイランダーとか、リージェンシーの貴族が現代のニューヨークに飛ばされてきて、カルチャーギャップでドタバタするような話を何冊か読んだことがある。
「侍がタイムスリップしてくる」話もそれなりにあって、最近だとP.A.WORKS制作のTVアニメ『クロムクロ』は、まさにタイムスリップ(実際はコールドスリープだが)してきた侍がロボットに乗って戦う話だった。
本作のキモになる「時間差」ネタも、「転生」もののアニメやラノベで何例か観た記憶がある。すなわち、自分を導いてくれる主要人物が、実は「同時期に異世界召喚されたのだが、飛ばされた時代が早く先に歳を重ねていた」というパターンだ。
要するに、『侍タイムスリッパー』のネタ自体は、そこまで珍しいものでもない。
真にうまくいったのは、このネタが「時代劇への愛を語る」ギミックとして、ドンピシャではまったという部分だ。
逆側から見れば、「すたれゆく時代劇と東映太秦スタジオの再興」をはかる意図で映画を撮ろうというときに、「タイムスリップ」ネタほどにテーマと相性の良いギミックはなかった、ということだ。
このことに気づいて、実行に移した監督は本当にえらかったと思う。
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とにかく、時代劇への愛が強い作品。
僕にとっての『侍タイムスリッパー』は、そこに尽きる。
なぜかというと、僕も時代劇が好きで好きでたまらないからだ。
僕のような関西出身の1970年代生まれというのは、昼の14時から18時の「再放送」時間帯に、どっぷりと刑事ドラマと時代劇に浸かって成長した世代である。
僕にとっては、『服部半蔵影の軍団』と『必殺シリーズ』――特に『必殺仕置屋稼業』と『暗闇仕留人』、『必殺仕業人』――が最高峰で、『破れ奉行』『長崎犯科帳』『柳生一族の陰謀』『隠し目付参上』『大江戸捜査網(1期)』『闇を斬れ』『雲霧仁左衛門(天地茂版)』など、来る日も来る日も得体のしれない時代劇を夢中になって観ていた。こうやって振り返ってみると、基本的にはダークヒーロー系ばかりを選り好んで観ていた気がする。逆にまっとうな勧善懲悪の捕物帳やお武家ものは、退屈でろくに観られなかった。
電車の行き帰りでは、昨日の市松はどれだけ恰好良かったかとか、昨日のやいとやはどれだけクールだったかとか、学友たちとそんな話ばかりしている変な中学生だった。
なにせ、『暗闇仕留人』の大吉に強い影響を受けて、いつもクルミを手でコリコリ鳴らしながら歩いていたくらいで、かなり変わったガキだったと思う(笑)。
そんな僕にとって、時代劇の衰微と太秦スタジオの斜陽が、寂しくないはずがない。
その意味で、安田監督も、本作に協力したスタジオのスタッフたちも、東映剣会のメンバーも、本作で命を燃やしてみせた山口・冨家他の俳優たちも、本作を小屋にかけると決めた劇場主たちも、等しく「時代劇を愛する仲間」であり、伝統文化を守り抜く闘士である。
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ただまあ、序盤のあまりに貧乏くさい感じとか、
一部の俳優さんの素人くさいせりふ回しとか、
全編に渡る間の悪さ(そのせいで笑えない)とか、
作中作の時代劇のコントまがいのしょぼい出来とか、
総じてセンスの悪いカメラワーク(殺陣以外)とか、
正直な感想を言えば、「脚本家・安田淳一」の精度の高さに比べると、「監督・安田淳一」は、そこまで優秀な人材ではないと思ったりもする。
映像に関して印象に残るショットが少ないし、各カットのOKラインが低すぎる。明らかに音程のぶれたせりふや、ワンテンポ遅れた発語を認めてしまっているのは、予算やスタッフの質とは関係がない、監督の技量の問題だ。
せりふのやりとりと、演技の応酬できちんと成立して「笑わせる」ことに成功している場所は、おおむね山口馬木也、冨家ノリマサ、峰蘭太郎の絡んでいるところだけだ。そこは「役者自身の技量」で成立している部分であって、監督の演出力に起因するものではないだろう。僕は、100%この監督の味方だし、100%この映画の味方だが、そこの評価はやはり譲れない。
あと、終盤の展開にどうしても無理がある点も否定できない。
「大スター」が10年ぶりに復帰する「大物監督」の撮る「大型時代劇」のはずなのに、スタッフの数も、美術も、セットも、カメラの画質も、何もかもがまるで足りていないからだ。
ビッグバジェットの映画製作をモチーフにしているのに、ローバジェットの座組しか「絵」として提供できていない。なので、後半に行くほど話の説得力が薄れていく。
だいたい、映画内で語られるような座組の大予算映画なら、ほぼ間違いなく壮大なセットが組まれて、緻密に時代考証が検討されたうえで撮影が行われるはずだ。
でも、やっていることは、相変わらずのロケーション撮影ばかり。とても大監督には見えないヤカラ風のあんちゃんがコントのようなノリで演出をして、とても大予算映画とは思えない斬られ役の人々が、前半のテレビ時代劇と変わらないしょぼいアクションを見せている。
ここは、監督の技量というよりは、それこそバジェットの問題なのであって、結局は「観客が」好意的に脳内で良い方向に膨らませて「観てあげる」ことが必要になってくるのだろうが。
終盤の殺陣で「真剣」を使うという話にしても、もう少し「持っていきよう」があったのではないか、と思う。かつて奥村雄大の真剣事件など、実際の死亡事故があったにもかかわらず、東映の撮影所で真剣使用が公的に認められる流れは、やはり個人的にはおおいに抵抗があった。
せめて監督と主演の二人だけで示し合わせて、ひそかに狂気へと突き進むような、もっと切迫した描写が欲しかったかなあと。そもそも、あれだけ善良で、現代に順応してきた新左衛門が、「真剣使用しか道がない」と思い詰める理由が、僕にはそこまでよくわからなかったし、共感もしにくかった。
そのぶん、ラストの立ち回りは、ビッグバジェットの時代劇に劣らないくらいの立派な仕上がりになっていたし、「時代劇史上、最もお客さんが真剣を使っていると錯覚してしまう殺陣をやってみたいと思う」という監督の所期の目的を、見事に達成できていたと思う。
最大のプラス要素としてはやはり、前述したとおり、山口馬木也と冨家ノリマサの好演に尽きるのではないか。
山口さんが力量のある俳優であることは、『剣客商売』の秋山大治郎役で十分わかっていたが、冨家さんのことは正直よく知らなかったので、説得力のある演技にやたら感心してしまった。僕が監督なら、たぶんもっと名のある時代劇俳優を選んだと思うので、彼を選んだ監督の慧眼には感服せざるを得ない。
あと、意外にうまくはまっていると感じたのが、音楽。
変な音響もあちこちあったのだが、つけられた音楽自体は、結構本格的だったように思う。
カメラワークや演技やカット割りの素人くささを、うまくごまかせていた一つの要因だったのではないか……と思ったのだが、なぜかパンフでもWikiでも音楽については一切言及されず、「誰が担当だったかすらまったく触れられていない」。なんで???
もしかして、名の通った有名人だが、諸般の事情で絶対名前の明かせないような作曲家がひそかに関与してたりして(笑)。
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さて、本作で今年も劇場映画鑑賞100本をクリアということで(短篇映画も1本に数えるインチキカウントだが)、一応年間ベスト3を上げておく。
(新作洋画)
1 ビバ・マエストロ! 指揮者ドゥダメルの挑戦
2 PERFECT DAYS
3 コット、はじまりの夏
(洋画リヴァイヴァル/初見)
1 アンダーグラウンド
2 メサイア・オブ・デッド
3 ワイルド・ボーイ
(洋画リヴァイヴァル/再見)
1 続・夕陽のガンマン 地獄の決斗
2 レザボア・ドッグス
3 皆殺しの天使
(邦画)
1 デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章
2 きみの色
3 BLOODY ESCAPE 地獄の逃走劇
(次点で『侍タイムスリッパー』と『どうすればよかったか?』)
以上、よい年をお迎えください……
と書こうと思っていたが、
更新が元旦になってしまったので、
不本意ながら、明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします!
真剣…
正直、期待が大きかったので途中は間延びを感じてしまいましたが、トータルでは『こういう映画は評価されるべき!』と思わせてくれました。
笑いについては、くすり&ニヤリくらいでしたし男女の関係も深掘りせずでちょうど良かったです。
何より、ラストは本当に真剣での立ち会いなのかと見紛うほど緊張感があったので、映画って凄いなぁと思いました。
つくづく映画って脚本と演技力が肝心なのであって、役者の知名度は不要なんだなぁと再認識。
海外ドラマにハマりたての頃の、新鮮に内容にだけのめり込む感覚を久しぶりに味わうことができました。
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