侍タイムスリッパーのレビュー・感想・評価
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純真無垢な昔堅気の映画野郎
タイトルと主題だけでなく、この映画丸ごと、タイムスリップしてきたかのような気がしました。弟子入りを志願して「落ちる滑るって言っちゃいけない」などというベタベタのシーンがそれを表していたかのような。水戸黄門、銭形平次など昔の人の如何にもというやり取り、困っている人を放っておけない優子さんのような古風な頑張り屋が活躍する、庶民的な舞台劇を観たかのような、そんな印象。
タイムスリップといってもSF要素は余りなく、古き良き時代劇や映画バカの撮影風景、そういうのがテーマだったのではないでしょうか。撮影所の楽屋?でポスターは時代劇なのに、テレビの横に並んでいたDVDは、何故か伊丹十三監督作品。これも、この映画の主張の一つだったのかな。話の流れも無理などんでん返しもないトントン拍子。最後に武士の身の上に立ち返っての一騎打ちも、まあ、予測通りではあるけれど。
でも、最後の殺陣(たて)は痺れました。いつ動き出すんだという凄まじいタメ。刃が打ち合う鋼の音は、これまでのチャンバラシーンで録に擬音を付けなかったのが効果を上げているのでしょう。本当に真剣でやっているんじゃないかという緊迫感。劇中劇の顛末も踏まえて、歯を食いしばってしまうほど凄まじかった。
そして出来上がった劇中劇の映画は、なんというか、本当に無骨な作品のようですね。この映画とまったく同じ、最後の一騎打ちが売りでしかないような骨太い時代劇のようですけど、果たして、売れるんでしょうか。恐らく、例え売れなくとも「これぞ本物の映画だ」という評価さえあれば、劇中の監督も満足したのではないでしょうか。この映画そのもののように。
この前に観た「ルックバック」という漫画家のアニメ映画を思い出した。自分達の仕事をもモデルにしているからこそ、カタルシスが凄まじい。ましてや、私たちも武士の国。美味しいおにぎり、美味しいケーキがいつでも食べられる時代になって本当に良かった。先人達に感謝、感謝。
昔の人が生きた時代の延長線上に私たちの現在はあるのだ
どこにでもあるショートケーキをはじめて口にし「これが普通の人でも食べれるとは。。本当に良い世の中になった。」とボロボロ泣く。会津藩の悲惨な最後を知り、むせび泣く。感極まるこの2つのシーン。昔の人たちの努力や犠牲の上に、私たちの平和で豊かな世界があることを改めて実感し、感謝した。
竹光で本身を振っているようにみせるため、振り方を試行錯誤した結果、本当に重さが加わったように見えてきた演技に驚き。 いやいや待て待て。この映画の中にいくつかある真剣のシーンも、実際は竹光使って演じているはず。(クライマックスの風見との対決シーンなど)凄い演技力だ。
クライマックスの戦いのシーン。最初のながーい無音の時間の演出が真剣による緊張感を最大限高めることに成功している。
時代劇を辞めて東京に行っていた大物俳優の風見恭一郎が、時代劇&京都に凱旋。このシーン、風見が真田広之とオーバーラップした。真田広之は別に時代劇やめてないけど。(笑
2021年に上映された『サマーフィルムにのって』を思い出した。共通項多し。
・タイムスリップもの
・時代劇
・映画を撮る映画
・低予算ムービー
・拡大上映!
そしてなんといっても「空気感」が同じなのよ!
朴訥なこの侍のように、背筋を伸ばし、周りに感謝して生きようと、気持ち新たに映画館を出た。
※失礼ながら知らない役者さんばかり。
※高坂と風見と女将さんがいい!
※風見は誰かに似てるなあ~と思ってあとで調べたらそうそう「別所哲也」「 西岡德馬」「嶋大輔」だ。冨家ノリマサさんという方なんですね。これからチェックさせていただきます!
※真面目で無骨で、少し汚い高坂が侍っぽくてとてもいい!
※ロケ地は随心院、亀岡の大正池まではわかった。京都がほとんどだと思う。聖地巡りしたい。
→ 10.15追記 このレビューで教えていただいた「油日神社」に行ってきました。最後の真剣でのシーンの舞台です。京都でなく滋賀県(三重県との県境)でした。飾り気のないとても良い気が流れる神社でした!ぜひ。
※風見が怒って池に石を投げ込むシーン(笑 見逃さないよ。
※どうしても受けてしまったり、師匠を斬ってしまったりするシーンも笑けた!
※パンフレットはまだ届いていなかった。あらためて買いにいかねば。
※殺陣の指導シーンで「当たるから切っ先は上へ」と。なるほど。
山口馬木也に主演男優賞をあげたい
インディペンデント監督が書いた脚本のために京都の撮影所が協力して実現した娯楽活劇コメディ、という作品の成り立ちは美しいし、主演の山口馬木也があまりにもみごとで、立ち姿や所作、殺陣の決まり具合に惚れ惚れする。
しかも演技がべらぼうに上手い。上手いを超えている。正直、和尚が檀家の前で電話をするシーンとかは観終わってあれ必要だっけ?と思ってしまったし、ベタすぎて鼻白む部分も多いのだけれど、どんな場面でも、どんなセリフでも、山口馬木也という人が驚くほど誠実に、自然に演じてしまうので、山口馬木也を見ているだけで十分お釣りがくる!という気がしてくる。
ただ、別の時代からやってきた異分子という設定に即していて成立してないわけではないのだが、山口馬木也の佇まいがあまりにもナチュラルなせいで、他の出演者の芝居がクサく誇張されたものに見えてしまうのも事実。それくらいの圧倒的な本物感が山口馬木也にあったということでもある。
しかし、最後の真剣のくだりは、正直ザザッと音を立てるように気持ちが離れた。理由はいくつかあり、あの二人の対決自体は当人たちの決断としてお好きになさってくださいなんだが、撮影現場が容認してしまう流れは、全員が完全に狂気に取り込まれた!くらいの描写でない限り絶対にナシだろうと思ってしまう。ビンタで許されることじゃないよ、マジで。気がつけばあの二人が真剣でやりあっていて、誰も止められなかったとかならまだわかるんだけど。
あと、あの真剣勝負に、どこから撮ったの?という寄りの短いカットがモンタージュされるのも気になった。さらにいえば、これは単に自分の好みですけど、最後の対決だけは、撮影用に刀を上に掲げるように修正された上段の構えを、もともとの構えに戻して戦っていいんじゃないかなと思ったりしました。
廃れゆく時代劇と日本人スピリッツへの思いが溢れる
8月に都内1館のみの公開から全国100館以上での公開が決まったタイミングで、大急ぎで鑑賞。口コミで広がった映画にハズレはないとは思っていたが、出来栄えは想像以上だった。
幕末の京都から雷と共にタイムスリップする会津藩士の着地した場所が、一瞬、江戸時代の京都かと思わせて、実は時代劇を撮影中のセットだったと言う幕開けから、すでに捻りが効いている。そこからの展開は、映画スタッフや関わる人々が主人公を役者だと勘違いし続ける様子を上手に描いて、なんら不自然さを感じさせない。それは、タイムスリップの先輩がいたことが分かる後半でも同じだ。
ベースには廃れゆく時代劇とそれを支える人々、そして、日本人のスピリッツに対する熱い思いがある。こちらは自主映画で、越えるべき壁の高さに違いがあるだろうが、監督と脚本を兼任する安田淳一と『SHOGUN 将軍』で遂に天下を獲った真田広之とは根っこで繋がっているのだと思う。
幕末の志士が現在の時代劇撮影所にタイムスリップするというアイデアがなんとも秀逸
安田淳一 監督・脚本・撮影・編集の2024年製作(131分/G)の日本映画。
配給:ギャガ、未来映画社、劇場公開日:2024年8月17日。
維新の武士が現代に迷い込むというアイデアが秀逸でもあり、チャンバラ殺陣映画のリバイバルという側面も有り、大変に面白かった。
全く知らなかったが、これだけの映画をほぼ独力で創った安田淳一という才能に大きな拍手を送りたい。今時珍しい(タイムスリップしたから当然という設定)硬骨漢を体現した主演の山口馬木也もとても良かった。
助監督兼任のヒロイン沙倉ゆうのも、主人公が恋する眼鏡が似合うみじかな存在として好感を覚えた。また、実在モデルがあるらしいが時代劇における殺人師(峰蘭太郎)の存在に陽をあてたのもGood。
時代劇出身のスター(冨家ノリマサ)も実は、タイムスリッパーであって主人公の闘いの相手であった。更に最後にまた一人やって来るというオチも含めて、実に面白いアイデア。
監督安田淳一、脚本安田淳一、撮影安田淳一、照明土居欣也 、はのひろし、音声岩瀬航、 江原三郎 、松野泉、床山川田政史、特効前田智広、 佃光、時代衣装古賀博隆 、片山郁江、美術協力辻野大、 田宮美咲 、岡崎眞理、編集安田淳一、殺陣清家一斗、助監督高垣博也、 沙倉ゆうの、制作清水正子。
出演
高坂新左衛門山口馬木也、風見恭一郎冨家ノリマサ、山本優子沙倉ゆうの、殺陣師・関本峰蘭太郎、山形彦九郎庄野﨑謙、住職の妻・節子紅萬子、西経寺住職福田善晴、撮影所所長・井上井上肇、斬られ役俳優・安藤安藤彰則、錦京太郎田村ツトム、多賀勝一、吹上タツヒロ、佐渡山順久、Rene、柴田善行、きらく尚賢、ムラサトシ、神原弘之、五馬さとし、田井克幸、徳丸新作、泉原豊、岸原柊、戸田都康、矢口恭平、吉永真也、楠瀬アキ、佐波太郎、高寺裕司、江村修平、山本拓平、西村裕慶、谷垣宏尚、篠崎雅美、夏守陽平、橋本裕也、
大野洋史、山内良、宮崎恵美子、岩澤俊治、雨音テン、水瀬望、石川典佳、結月舞、鈴木ただし、皷美佳、吉村栄義。
殺陣に息を飲む
ミーハー風情の私、3月に舞台挨拶付き上映のチケットが取れたのでお邪魔しました。当たり前ですが全体的に音楽や演出、編集は自主映画だねいう出来具合で、どうしてもチープに見えてしまうがそれは仕方のないこと。でもそんな映画が単館上映から広がってヒット作となったことに、謎の感慨深さを覚えた(多分、カメラを止めるな以来の感情)
裏方さんが出役もやっていたりと手作り感があり、キャストも主題歌もプロモーションも華やかな商業映画ばかり見ていることを少し考えさせられた。監督が愛車を売り払ってまで資金にあて制作したというエピソードを知り妙に納得。
設定は突飛だが、とにかく殺陣が素晴らしい。時代劇など全く縁のない生活をしてきた私、いかにも時代劇~ではない作りなので余計に殺陣のシーンが新鮮で際立って見えました。
今も上映しているとのこと。キャストのファンというよりこの映画のファンがたくさん増えたのだなと、舞台挨拶やSNSの熱量からも感じました。
本編で女性助監役をやられている方が実際に裏方をいくつか兼任されていることをエンドロールで知り、撮影所やインディーズ界隈の実情も、舞台挨拶のトークや彼女のインタビューから何となく伺い知ることができ、応援したくなりました。
此度、金曜ロードショーの放映が決まり、見に行ったことを思い出して、レビューさせていただきました。最後の方、(ややネタバレになりますが)
真剣でやり合うシーンの殺陣は圧巻で呼吸を忘れていました。もちろん、実際は真剣じゃないけれど、どうなるのかというハラハラドキドキ。
映画自体は、笑いあり、涙あり、現代の生活を考えさせられたりもしました。
悪い人がだれも出てこない。役者さんは知らない方が大半ですが切られ役から主演まで全て良かった。
今さらですが、山口馬木也さんに日本アカデミー賞最優秀男優賞をあげたかった(笑)
チャンバラ時代劇
子供のころは時代劇は身近にあったなぁ。
朝、夕方、ゴールデンタイム、いろんな時代劇やってたけどあまり観ない子供だった。優子ちゃんとは違って。
幕末、会津藩の高坂新左衛門は長州藩士を討ちにいく。
そこでの立ち会いがなんだかショボくてそんな大袈裟な目逸らしに引っかかる?って思いながら雷に打たれる。
雨の降る地面に反射するオープニング。
気がつくと太秦映画村!おぉ!
戸惑いながらもうっかり時代劇撮影に混ざったり、頭をぶつけて病院に来たり、外を見たら街並みが変わってて衝撃を受けて脱走して、ポスターで140年経っている事がわかる…元の時代に戻れず、自死もできず、西経寺の住職さんに拾われる。
ツッコミポイント多いんだよ、ベッタベタなんだよ。そもそも私は生まれてこのかた髷を結った御仁にすれ違った事はござらん。
私、この映画最後まで観れるか少し心配になる。
しかし!
ショートケーキを初めて食べた時、彼は涙を流す。
単純に美味しい!ではなく命を賭しても日の本の平和を願い刀を握り仲間と戦い続けた自分の人生のその先にこんなに美味しいものを庶民が気軽に食べれる世の中になった事が嬉しいのだ。自分達がこの未来に貢献できたと。
もし、私が140年先の未来にタイムスリップして今まで見た事がない未来の極上の物を食べてもそんな感想は出ない。何故なら平和ボケだから。
もう、そんなの見たら高坂さん大好きになるじゃん。
そこから私の高坂ポイント爆上がりで何をしてても素敵。
優子ちゃんが気になってソワソワしたり、切られ役を表情までちゃんと死んでたり、龍馬に拳銃に撃たれて血糊でマジ死んだ…って走馬灯見たり。それはそうだ。銃で撃たれた経験もないし、血糊なんて知らないし死んだ事もない。「ナンジャコリャー!」てなる。素直で真面目で天然ボケ。
そんな息子にしたいNo.1な彼は住職夫婦に親しまれ、切られ役として生きる事にする。
人を斬る世の中ではない。食うに困らず平和な世の中。自分に出来る事は唯一褒められた「斬られ役」
その時の優子ちゃんの作品に救われた高坂、そんな言葉に毎日忙しく働き愛情を持ち作品を作る優子ちゃんも救われていた。
お師さんとの稽古で毎回切っちゃう所、お師さんのきちんと決めてくる死に顔に斬られ役マスター感を感じて笑いが止まらなかった。ずっとやって欲しい。
そんな斬られ役のスターダムに登っていくのだが、何がいいって周囲の人々がとにかく良い人ばかり。
新人斬られ役にいじめをするわけでない先輩、主演の俳優も奢りだ〜って一緒に声をかける。
彼は時代劇が失われつつある世の中に時代劇という自分の生きてきた過去を残し「斬られたモブ」として大切に作り続ける。
いいぞいいぞ、高坂くん。
そしたらまさかあの!長州藩士の山形がいるじゃないの!
しかも大スター。彼は時代劇の大作作りに高坂を抜擢し、自分が高坂より30年前にタイムスリップをして同じ様な経緯でハリウッド進出までしていた。
うわ〜すごい胸熱展開きたよ〜思いもしない舵取りにワクワクが止まらない。
過去は敵同士だった2人、今では高坂が大事にしている時代劇を風見は捨ててしまった。唯一彼らが生きてきた時代を模した作品を捨てた事を高坂は許せない。
馴れ合うつもりはない…なスタンスで接する高坂だが風見は好意的。30年の重みは違うのだろうね。
2人だけで話す時お江戸言葉になるのいいなぁ。
140年前でもやはり人を斬るのは辛く今でも思い出す風見も敵対はしてても悪人ではないのだね。
恨み顔が忘れられない。成仏してくれ…腰を落とし声をかける事。時代劇だからこそ風見はその気持ちを吐き出す事ができた。
会津藩がどんな目に遭って途絶えたのかを知り激しく動揺する。自分の守ったニッポンは平和になったが仲間や家族達がどんな目にあったか。それは複雑で吐き出し口が分からない。そうね。過去の事だしもう済んだ事。しかし自分はここで何不自由なく暮らしている。思いがループする。
風見と真剣で勝負に挑みその心を汲み取った風見も了承し、真剣で撮影が始まる。
長い睨み合い、両者動かない…この辺で私は泣けてくる。鯉口を切った瞬間激しい打ち合いが始まる。キンッと金属音と空を切り裂く音。殺陣ではない。しかし2人の勝負は明らかに140年前より剣筋が出来上がっている様に見える。まさか未来の時代劇、むしろ「ごっこ遊び」の様な時代劇の斬られ役として剣王に近づいていた彼ら。
もうやめようよ〜平和なんだからいいじゃん〜仲良く撮影して〜とグスグス泣いていたので他の観客には迷惑をかけてしまった…
成仏してくれ。
倒れる風見と舞う血飛沫。
を、観る住職夫婦。
よ、良かった…
優子ちゃんにはビンタ一発かまされ、無事に撮影終了。
決して主役を演じる側にまわるではなく、その後も斬られ役として生きていく彼がとても好き。
剣心会でお師から学び続け、住職夫婦と仲良くコンビニのショートケーキを食べ、優子ちゃんへなかなか想いを伝えられない甘酸っぱい平和なこの世を生きて欲しい。
きっと風見もこれからの時代劇を支えていくからたまにはウィスキーを呑みに行ってお江戸言葉で語れば良いよ。
優子ちゃんの服装がダサいのが良かった。
決してボーダーのポロシャツがダサいのではなく、全体的に野暮ったくオシャレよりも時代劇を作る事に邁進しているというキャラが好き。
高坂さんとの恋愛フラグはなかなか立たない予定。
設定がガラケーだったりパラボラアンテナが乱立してたりするからやや昔なのかな。
それなら高坂はまだ時代劇を続けているのかな?テレビをつけたら斬られ役としてまだいるかもな〜なんて思いながら庶民の幸せコンビニのショートを買って帰った。
こんな風に登場人物達の幸せを願える作品は良作。
リアルな京都と“侍魂”の融合が光る、現代劇コメディの秀作
撮影所スタッフの空気感や京都弁が自然で、リアルな現場が伝わってきました。特に、太秦の撮影所の描写が素晴らしく、現場の空気まで感じられるようでした。
バーのシーンは、市役所前のホテルオークラ京都ですね。飲めない酒を飲みながらも男同士の語り合いは侍としての品格がにじんでいて印象的でした。
物語の軸である侍と現代人との関係性もとても魅力的。ライバルとの距離感、互いを認め合う空気感がとても心地よかったです。特に殺陣の練習シーンは静かな緊張感があり、侍としての誇りと真剣さが伝わってきて好きな場面のひとつです。
終盤の真剣(本物の刀)での勝負のシーンでは、空気が一変し、観ているこちらも息を飲むような緊張感がありました。にもかかわらず、ラストの“あの丸顔侍”の登場でクスッと笑わせてくれる、絶妙なバランスが光ります。
また、優子さんの温かさや、出てくる人々のほとんどが「いい人」であることにも癒されました。嫌な人物はヤンキーくらいで、全体的に安心して楽しめる映画です。
お寺でで出てくる白いごはんと浅漬けなど美味しそうなごはんの描写も印象的。映画全体を通して、時代劇というジャンルへのリスペクトが込められていて、心から共感しました。こういう“エンタメや時代劇”がもっと作られると嬉しいです。
泣かせる娯楽映画
単なるコメディかと思いきや、ストーリー性がしっかりあり、主演の役者さんの演技も素晴らしい。最後の真剣での殺陣は、その迫力と男たちの侍魂に涙涙。話題になっただけある素晴らしい娯楽映画。
ところでなんで優子殿は伊達メガネなの?
やっとアマプラで観ました話題の映画。お金がかかる映画の代名詞時代劇が自主製作ってどういうこと?って思ったら東映京都撮影所の全面協力なんですね。撮影にいたるまでの経緯とかもきっとおもしろいだろうからドキュメンタリーとか作ってほしい。きっと東映の人たちもノリノリで持ち出しで協力してくれたんじゃないかな。「オレたちの映画だ!」っていう感じがすごい伝わってくる。
映画やマンガでこすり倒されてるタイムスリップコメディではありますが、本作もそのフォーマットに乗っかってるわけですが、その実時代劇の殺陣師(斬られ役)にフォーカスしていて、ちょっと前まで再放送していたカムカムエブリバディの伴虚無蔵を思い出した。ある意味スタントマン映画でもある。
良い意味で今の日本映画っぽくなくて非常に良いです。なんか俳優さんの顔がみんないいんです。なかでも住職の奥さんが一番好き。なんかうまく言えないけど、韓国映画とか昔の日本映画の雰囲気を感じました。
タイムスリップした敵同士という意味ではターミネーターのT-800とカイル・リースと構図は似てはいるけど、高坂新左衛門と山形彦九郎は同じタイムスリッパーとして苦労してきた戦友みたいになってておもしろい(仕事も同じだし)。しかも彦九郎のほうが年上になってて優子殿にドギマギしてる新左衛門をからかったりして実に微笑ましい。
あとタイトルにも書いたけど、優子殿はなぜ伊達メガネなのだ?「私俳優も兼ねてるからスイッチ切り替えるためにこれが必要なの、変かしら?」とか言ってくれたら良かったのに。地味にノイズだったわ。
華麗なるサムライ野郎
ひょんなことから現代にタイムスリップしてしまった会津の侍の姿をコミカルに描きつつも失われていく時代への郷愁を描く・・・好きな華麗なるヒコーキ野郎(WW1後にアメリカで流行った曲芸飛行師を描いた作品)と重なる展開だなと感じた
あちらは寂しい終わり方だったけれどそれとはまた違ったハッピーエンドだったのが娯楽映画らしくて良いなと思った
ラストの迫真の立ち回りのシーンはまるで若山富三郎の子連れ狼のようで圧巻だった
タイトルから先が読めてしまう、しかし、それも狙いか
さらっと見られる娯楽作品でしたが、現代に馴染んでいく過程の描写に拍子抜けな感じが漂っていたり、最後の決闘シーンの撮影で竹光を真剣に変えることを監督が簡単に受けてしまう事への納得性の甘さが引っ掛かったところでした。で、一番気になったのは、この手のタイムトラベラー物が韓国映画や日米の映画(時をかける少女、ターミネータ、フィラデルフィア・エクスペリメント、戦国自衛隊、・・)やTV(「ジパング」最近では「不適切にもほどがある」、「ホットスポット」でも)の作品で散々使われてきたことで、始まりを見るとなんとなく途中途中の筋が読めてしまう、既視感が漂うことでしょうか。
しかし、それ自体が、映画の題名を含めて楽しんで見られたらいいじゃないか、という作品のテーマになっているということなのかもしれませんね。
あの時代を行きた者たちが、この時代に魂を刻む
日本アカデミー賞を取ったので、気になり鑑賞。
とても見応えがあり満足感があった。新左衛門は堅物のようで茶目っけがあって良い。ショートケーキを食べて、今の日本の豊かさに涙するシーンにはウルッと来てしまった。最後の決闘シーンの鬼気迫る演技に息をのんだ。
最近鑑賞した「チ-地球の運動について」でも近しいセリフがあったのだが、例え敵であっても、同じ時代を精一杯生きたという事。こういったメッセージは過去も今も変わらない争いが絶えない世界に差し込む救いのメッセージだなぁと。
タイトルなし(ネタバレ)
タイムスリップなんて化石みたいな設定だ。アカデミーを取ったんだから、月並み感をどう捌いたのかと好奇心半分で見たのだけど、とにかく丁寧な作りで驚いた。主人公がポスターの日付をみて自分が140年後の世界に「タイムスリップ」したと自覚するシーンなんて、普通は失笑ものなのに、最初に背景として投げて、あとから主人公が見つけるアクションを付け加えるから、あら探しの裏をかかれてかえって納得。こういう仕掛が映画中に無数にあるから映画そのものを素直に受け入れられる。そのうち仕掛だらけのこの映画自体がメタ時代劇なのだと気づいて、懐かしさに触れてただ涙。
時代劇を愛するすべての人へ
よくあるタイムスリップものとはいえ、舞台設定がいい。ひねりが効いていて頭にすんなり入る。今は廃れた時代劇。テレビでも滅多に見なくなった。移り行く時の流れと、滅びようとしている一つの時代へ捧げる一輪の花になるのならぜひ見るべき映画。
途中で祖国会津藩がどういう運命を辿るのかを知る主人公。
やがて時代劇も同様になるだろうという示唆なのかもしれない。
が、その後戊辰の仇を叫び西南戦争で大活躍される。
その時の一瞬ではあるが、最後のサムライが確かにそこにいた。
そして、映画でもここに確かに時代劇があった。
いつかは滅ぶのだろうが、それは今ではない。
コメディなのに、涙が止まらない。
時代劇製作陣の侍的矜持
侍がタイムスリップして斬られ役として活躍する話
タイムスリップど定番の時代のギャップに戸惑う様子もありつつ、もう1人タイムスリップしていたという展開もあり
普通にエンタメとして面白い
ラストの真剣での試合のシーンはかなり締まったクライマックスになっている
加えて廃れていく時代劇への鎮魂歌的な役割もしている
時代劇制作や斬られ役という仕事の現状に触れつつ、それの面白さや深みを存分に提示している
(侍の時代の終焉と時代劇制作の廃れをリンクさせている構造。全くテンション感は違うけれど、俺の家の話というクドカンのドラマで、廃れ行く能の世界と死へ向かう介護の世界を組み合わせてエンタメに昇華していた。アプローチとしては案外似ている)
まあただ主人公の侍の感情だけ、はっきり定まりきらずにラストシーンへ向かっている感は否めない
過去の残忍な歴史を知り泣くシーンあり。その後酒で吐いて親父狩りにあう。
セリフに集中できなくなり。悩んだ末に真剣の提案をする。
侍としてのプライドを、鞘に収めるまでの葛藤として認識すればいいような気もするが、
いまいち彼の葛藤に乗り切れない。
相手も相手で、昔敵を切った感覚が時代劇の演技の際に思い起こされると悩んでおきながら、真剣での演技はしましょうと。
侍としてのプライドに終止符を打つためのけじめみたいことなのかもしれないけれど、、、
まあエンタメとして綺麗にまとめるための、ラストシーン前の葛藤って感じのところが多少無理くりな感じがしなくはない
さらに時代劇が見たくなりました
ストーリーがとても面白く引き込まれました。タイムスリップものなので普段時代劇を見ない自分でも見やすかったです(特にショートケーキを食べるシーンはグッときました)。
作中では時代劇制作についての想いや現状などが語られており、他の時代劇も見てみたくなりました。
映像の質感?が少しクリア過ぎるかな、とそこだけ気になりました。
信じるものの為に全力をつくす
終盤30分が本当に良くできていた。
会津藩が辿った歴史を知った高坂は、最後まで戦わず生き長らえてしまった後悔と仲間への自責の念から、戦いの中で死にたい、風見との決着をつけたい思いがあった。
一方で、風見の本当の武士の姿を現代の人にも知って欲しいという思いに共感もしていた。
そこで両方の思いを実現する、真剣での撮影を提案する。
高坂は風見に切られて仲間への罪悪感を払拭し、本当の戦いを後世にも残すことをイメージしていたが、風見の剣を落とす形で勝負がついてしまった。
当時長州藩の風見を切ることには意味があったが、決着がついた現代では切ることに意味がないと気づき、本来の剣ではなく殺陣の稽古で習った上段の構えで切らないことを選んだ。
当時は信じるものの為に死ぬことが武士の本懐であったが、お互いの信じるものの為に戦った。それでいい。
いつかは時代劇も歴史も忘れ去られる時がくるだろうが、それでいい、今日がその日ではないなら近くの明日のために伝えていくことでいい。それでいい。
自分の信じるもののや愛するものを継続する時に、これは意味があるのかとかいつかは無くなるならやらなくても同じだとか考えてしまう時があるけど、他者や後世の評価を気にして自分の思いに蓋をしてしまうのはもったいないし、それでもいいと思ってやり遂げることが大事だと思った。
睨み合いの緊張感が良かった。
ケーキや米を食べて日の本は良い国になったと涙するシーンも良かった。
脚本上も高坂が風見を切る話であったと解釈するが、長州の風見が会津の高坂に切られる脚本を用意していたのも風見のメッセージだと思うが、真剣勝負になった時点で風見がわざと剣を落としたとは思いたくない。
話題になってたけど裏切らなかった!
めちゃめちゃ面白かった!
主演の山口さんがすごくよかった!
喋り方や佇まい、刀さばきがかっこいい〜
殺陣技術集団「剣会」となるものを知らなかったし、時代劇ってこうやって作ってるのかと勉強になった。
お侍さんの礼儀正しさが素晴らしいし、殺陣のシーンは息を呑む素早さ!
幕末から突然未来にタイムスリップしてからの馴染みの早さはびっくり笑
で、切られ役の初稽古で切られないでいる連続シーンで吹き出してしまった笑
暗殺しようとした相手もタイムスリップしてんだろ〜
と思ってたらまさかの30年というタイムラグ笑
ラストシーンまで抜かりなくとても楽しめた!
まさに真剣。
幕末の侍がタイムスリップして、時代劇の斬られ役として働くことになるというコメディのノリの映画。
と思いきや、終盤は緊張感が次第に高まり、最終シーンの真剣での戦いの場面になる。タイムスリップする前も真剣同士の斬り合いなんだけど、終盤の真剣の戦いの方が遥かに緊張感がある。それは、まさに現実シーンで役者同士が本当に真剣を用いているかのように感じられるからだろう。映画を見る時、戦いのシーンは真剣で戦っているとは考えながら見てはいるけど、そうは言ってもフィクションの世界。真剣でのやり取りなんてことは本当には思ってない。それを、劇中劇の時代劇と、現実の世界と分けて、現実の世界に真剣を持ってくるという構造にするおかげで、本当に真剣で戦うことの緊張感を感じさせてくれている。非常に上手い扱い方だなと思う。
役者さんの力も多分にあったとは思う。
とはいえ、良いところばかりではなく、前半と後半の主人公の性格のギャップが大きいすぎて半ば強引に終盤のシーンに持っていったなといった感じ。喧嘩腰すぎでしょ。
優子さんとのクダリがまあまあくどい。
全体的に低予算感あふれる感じは最後まで拭えなかった。
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