侍タイムスリッパーのレビュー・感想・評価
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純真無垢な昔堅気の映画野郎
タイトルと主題だけでなく、この映画丸ごと、タイムスリップしてきたかのような気がしました。弟子入りを志願して「落ちる滑るって言っちゃいけない」などというベタベタのシーンがそれを表していたかのような。水戸黄門、銭形平次など昔の人の如何にもというやり取り、困っている人を放っておけない優子さんのような古風な頑張り屋が活躍する、庶民的な舞台劇を観たかのような、そんな印象。
タイムスリップといってもSF要素は余りなく、古き良き時代劇や映画バカの撮影風景、そういうのがテーマだったのではないでしょうか。撮影所の楽屋?でポスターは時代劇なのに、テレビの横に並んでいたDVDは、何故か伊丹十三監督作品。これも、この映画の主張の一つだったのかな。話の流れも無理などんでん返しもないトントン拍子。最後に武士の身の上に立ち返っての一騎打ちも、まあ、予測通りではあるけれど。
でも、最後の殺陣(たて)は痺れました。いつ動き出すんだという凄まじいタメ。刃が打ち合う鋼の音は、これまでのチャンバラシーンで録に擬音を付けなかったのが効果を上げているのでしょう。本当に真剣でやっているんじゃないかという緊迫感。劇中劇の顛末も踏まえて、歯を食いしばってしまうほど凄まじかった。
そして出来上がった劇中劇の映画は、なんというか、本当に無骨な作品のようですね。この映画とまったく同じ、最後の一騎打ちが売りでしかないような骨太い時代劇のようですけど、果たして、売れるんでしょうか。恐らく、例え売れなくとも「これぞ本物の映画だ」という評価さえあれば、劇中の監督も満足したのではないでしょうか。この映画そのもののように。
この前に観た「ルックバック」という漫画家のアニメ映画を思い出した。自分達の仕事をもモデルにしているからこそ、カタルシスが凄まじい。ましてや、私たちも武士の国。美味しいおにぎり、美味しいケーキがいつでも食べられる時代になって本当に良かった。先人達に感謝、感謝。
昔の人が生きた時代の延長線上に私たちの現在はあるのだ
どこにでもあるショートケーキをはじめて口にし「これが普通の人でも食べれるとは。。本当に良い世の中になった。」とボロボロ泣く。会津藩の悲惨な最後を知り、むせび泣く。感極まるこの2つのシーン。昔の人たちの努力や犠牲の上に、私たちの平和で豊かな世界があることを改めて実感し、感謝した。
竹光で本身を振っているようにみせるため、振り方を試行錯誤した結果、本当に重さが加わったように見えてきた演技に驚き。 いやいや待て待て。この映画の中にいくつかある真剣のシーンも、実際は竹光使って演じているはず。(クライマックスの風見との対決シーンなど)凄い演技力だ。
クライマックスの戦いのシーン。最初のながーい無音の時間の演出が真剣による緊張感を最大限高めることに成功している。
時代劇を辞めて東京に行っていた大物俳優の風見恭一郎が、時代劇&京都に凱旋。このシーン、風見が真田広之とオーバーラップした。真田広之は別に時代劇やめてないけど。(笑
2021年に上映された『サマーフィルムにのって』を思い出した。共通項多し。
・タイムスリップもの
・時代劇
・映画を撮る映画
・低予算ムービー
・拡大上映!
そしてなんといっても「空気感」が同じなのよ!
朴訥なこの侍のように、背筋を伸ばし、周りに感謝して生きようと、気持ち新たに映画館を出た。
※失礼ながら知らない役者さんばかり。
※高坂と風見と女将さんがいい!
※風見は誰かに似てるなあ~と思ってあとで調べたらそうそう「別所哲也」「 西岡德馬」「嶋大輔」だ。冨家ノリマサさんという方なんですね。これからチェックさせていただきます!
※真面目で無骨で、少し汚い高坂が侍っぽくてとてもいい!
※ロケ地は随心院、亀岡の大正池まではわかった。京都がほとんどだと思う。聖地巡りしたい。
→ 10.15追記 このレビューで教えていただいた「油日神社」に行ってきました。最後の真剣でのシーンの舞台です。京都でなく滋賀県(三重県との県境)でした。飾り気のないとても良い気が流れる神社でした!ぜひ。
※風見が怒って池に石を投げ込むシーン(笑 見逃さないよ。
※どうしても受けてしまったり、師匠を斬ってしまったりするシーンも笑けた!
※パンフレットはまだ届いていなかった。あらためて買いにいかねば。
※殺陣の指導シーンで「当たるから切っ先は上へ」と。なるほど。
山口馬木也に主演男優賞をあげたい
インディペンデント監督が書いた脚本のために京都の撮影所が協力して実現した娯楽活劇コメディ、という作品の成り立ちは美しいし、主演の山口馬木也があまりにもみごとで、立ち姿や所作、殺陣の決まり具合に惚れ惚れする。
しかも演技がべらぼうに上手い。上手いを超えている。正直、和尚が檀家の前で電話をするシーンとかは観終わってあれ必要だっけ?と思ってしまったし、ベタすぎて鼻白む部分も多いのだけれど、どんな場面でも、どんなセリフでも、山口馬木也という人が驚くほど誠実に、自然に演じてしまうので、山口馬木也を見ているだけで十分お釣りがくる!という気がしてくる。
ただ、別の時代からやってきた異分子という設定に即していて成立してないわけではないのだが、山口馬木也の佇まいがあまりにもナチュラルなせいで、他の出演者の芝居がクサく誇張されたものに見えてしまうのも事実。それくらいの圧倒的な本物感が山口馬木也にあったということでもある。
しかし、最後の真剣のくだりは、正直ザザッと音を立てるように気持ちが離れた。理由はいくつかあり、あの二人の対決自体は当人たちの決断としてお好きになさってくださいなんだが、撮影現場が容認してしまう流れは、全員が完全に狂気に取り込まれた!くらいの描写でない限り絶対にナシだろうと思ってしまう。ビンタで許されることじゃないよ、マジで。気がつけばあの二人が真剣でやりあっていて、誰も止められなかったとかならまだわかるんだけど。
あと、あの真剣勝負に、どこから撮ったの?という寄りの短いカットがモンタージュされるのも気になった。さらにいえば、これは単に自分の好みですけど、最後の対決だけは、撮影用に刀を上に掲げるように修正された上段の構えを、もともとの構えに戻して戦っていいんじゃないかなと思ったりしました。
廃れゆく時代劇と日本人スピリッツへの思いが溢れる
8月に都内1館のみの公開から全国100館以上での公開が決まったタイミングで、大急ぎで鑑賞。口コミで広がった映画にハズレはないとは思っていたが、出来栄えは想像以上だった。
幕末の京都から雷と共にタイムスリップする会津藩士の着地した場所が、一瞬、江戸時代の京都かと思わせて、実は時代劇を撮影中のセットだったと言う幕開けから、すでに捻りが効いている。そこからの展開は、映画スタッフや関わる人々が主人公を役者だと勘違いし続ける様子を上手に描いて、なんら不自然さを感じさせない。それは、タイムスリップの先輩がいたことが分かる後半でも同じだ。
ベースには廃れゆく時代劇とそれを支える人々、そして、日本人のスピリッツに対する熱い思いがある。こちらは自主映画で、越えるべき壁の高さに違いがあるだろうが、監督と脚本を兼任する安田淳一と『SHOGUN 将軍』で遂に天下を獲った真田広之とは根っこで繋がっているのだと思う。
良い映画だと思うけど
主演の役者さんが素晴らしいし、笑えて良い映画だと思うけど評判ほどのめり込めるかと言われるとうーん…。会津藩の最期を知って真剣で撮影する必然性がよく分からなかった。
低予算の知ってる映画といえば「カメラを止めるな」と大好きな「運命じゃない人」。どっちも脚本で唸らされる映画だったから、そういうのを無意識に求めていたのかなあ。
悪くはないけど
絶賛する程かなぁと言うのが正直な気持ち。
使い古されたタイムスリップ物と言うネタを良く仕上げたとは思うんだけど、サムライわりとすぐ現代に慣れてるなwなので、お約束の、その辺のドタバタは良くも悪くも短い。
細かい部分が気になるので、映画界で働き始めたサムライ(しかも、先に来てるヤツも居た)が戸籍とか、納税どうしてるんだろう?って思ってしまう。先に来たヤツは既にスターなんだしね。
ラストの真剣でのシーンは蒲田行進曲の階段オチが元ネタかなぁ。蒲田行進曲はあくまでも、元々のストーリーに沿った階段オチなんだけど、コレは相手が勝ってた場合どうすんだ?
笑ったのは、最後の「今日がその日ではない」だけだった。
アイドル出演の日本映画には興味もないが…
某令和の虎を主宰する社長の言い方を真似するなら…
『ヒットしてるとはいえ所詮自主制作映画でしょう?…』なんて軽い気持ちで観たら画面に釘付けになった。
安易に人気グループの男の子やアイドルを起用する、所謂どう見てもキムタクじゃん!的な恋愛日本映画には興味もないが
先ず、主演の山口馬木也にハマった。
とにかく渋いし何気ない笑い狙いの演技も自然で無理矢理なストーリーが楽しく進んだ
今や大御所俳優に指名された時のビックリ展開も良かったし益々惹き込まれた。
最後の場面は?????だったが
自主制作映画なんだから思い切って過去から来た二人のことを皆んなが理解してる事にしちゃえば、現代では御法度な場面を撮影してることも許せる…みたいにして欲しかったかなと感じました。
アッという間の120分?楽しかった…ありがとうございました。
蒲田行進曲が好きな人ならおすすめ
数多の秀作を抑えての日本アカデミー賞。
何でだろうと思いながら鑑賞しました。
映画を創る人、それに関わる人、映画を愛する人には胸アツの台詞が散りばめられており、賞の受賞はやや内輪受けとも言えるのかもしれません。
寺の門前の決闘シーンからのタイムスリップ、撮影所から寺に居候するまでの展開は、芝居も脚本もテレビドラマレベルで、「映画」として観るには正直ちょっと辛いなと思いながら観ていました。
風向きが変わったのは、高坂新左衛門がショートケーキを食べるシーン。
この作品が単なるコメディではなく、ちゃんとメッセージ性がある作品であることがハッキリした転換点でした。
そこからは胸アツシーンの連続。
昔の映画最盛期からタイムスリップしたような、今ではスベリもしないギャグも散りばめながらのお約束のラスト。
このラストのために3人用意していたのねと合点がいきました。
高坂新左衛門と風見恭一郎の決闘シーンは痺れましたね。
今度観た時は、あの間合いの時間を計ってみようと思います。
最後に、風見恭一郎は寺泉憲さんが演じていると思っていました。
冨家ノリマサさん、ごめんなさい。。。
人間デロリアン
コメディパートではベタな事を存分にやってくれてて面白かったし、本身での殺陣のシーンは凄まじい緊迫感があって思わず見入った。
ストーリーもよかったし、高坂さんはホントに現代に迷い込んだお侍さんみたいに見えた。
感激屋さんなのも、奥手なのも可愛らしかったし。
30年前とは言え、同じような境遇の人が現れたならピンとくる人は居そうなもんだし
現代と30年前の撮影現場に同じおじいさんの役者さんを起用してたのはちょっと気になっちゃった。
雷に打たれてタイムスリップするなんて、なんだかBTTFみたいだし
最後のシーンはターミネーターみたい。
それぞれオマージュだったりするんだろうか
現代で仇を討つかどうかラストシーンが見もの
・過去の闘いを思い出すラストシーンが見もの
・戦闘力を無くした相手に最後に切るかどうか、昔仲間が散々な目にあった仇を討つかどうか
・ギリギリの判断が痺れる
・侍は礼儀正しい
選択する未来
タイトルの様にタイムトラベルものだけど、生きる時代により選択できる希望が描かれる。
浪人が現代にタイムスリップしてくることで、巻き起こる時代錯誤の行動をコミカルに描きつつ、いまを受け入れ生きる浪人が選択する未来が清々しい。
タイムトラベルの描く方や小道具はありきたりなものばかりなんだけど、出演者など既成概念のない役者さんたちが演じている点が日本の作品としてとても新鮮に感じられた。
時代劇へのリスペクト…
爽やかなタイムスリップもの。侍として懸命に生きた男たち、その時代で死にきれなかった思いを時代劇の役者として侍の姿を現代に残そうと演ずる。冨家ノリマサ以外知らない演者達ばかりだったが、心地よいテンポで見れた。
本気が一番響く
とにかく主役2人の哀愁あり、渋くて、本気の伝わる演技が素晴らしかった。
言葉は悪いが安っぽく進行していき(意図的か)、2人が再会する中盤から、特にクライマックスは本物同士の命のやり取りは手に汗握った。
クライマックスの迫力はこの作品の"安さ"があってこそ伝わるものだったと思うし、抜刀までの間は「椿三十郎」のラストを彷彿とさせ、真剣での鍔迫り合いのギリギリとした効果音、滲む汗の演出も素晴らしかった。
クライマックスこそ、この作品の本気が詰め込まれていて、いつの時代も本気で向き合ってくことの大切さみたいなものを教えてれるように感じられました。
衰退する幕末の武士道と、ピークから衰退する時代劇を重ねて、変化する時代に適応して生きていくことが大事と考えつつも、その礎を築いた時代や人々あってこその今なのだなと。
としみじみ振り返りつつ、一方で、終盤以外の"安さ"みたいなものが個人的にあまり得意ではなくて、退屈に感じてしまったのも事実で3.5にとどめさせてもらった。
幕末の悔恨
幕末の京都の夜、長州藩士を討つ為に待ち構えている密命を受けた会津藩士。いざ刀を交えた途端落雷を受け気を失う。気づけばそこは現代の時代劇撮影所。会津藩士の高坂は紛れ込んだ撮影所でいろんな人に助けながら、切られ役として身を立てていくがそこに表れたのは・・・
日本アカデミー賞を取ったのも知らずに何となく観たが、役者さんは誰も知らず何となくB級感を匂わせていたが、前半のコメディ感は絶妙だし、全体の構成もすごいしっかりしていて面白さ2時間キープ。
エンドロールまで見ていたら、監督は殆どの仕事に絡んでるし、助監督役の人も本当に助監督だった。自主制作とのことだが、熱量が詰まった映画だった。
複雑さはなく一直線のストーリー展開なのに面白かった
子供の頃はテレビで、遠山の金さん(中村梅之助)、子連れ狼(萬屋錦之介)、大江戸捜査網(杉良太郎)、水戸黄門(東野英治郎)を観てました。最近はSF作品ばかり観てますが、どこかの記事で侍タイムスリッパーが紹介されていたので期待してない暇つぶし視聴です。そういう前提の感想です。
ストーリーには仕掛けや伏線が無く、犯人探しやトリック解明なども無し。一直線にエンディングまで進むので、斜に構えずに素直な心持ちで観ることができました。主役が時代劇の斬られ役として働き始めてからのストーリーは、すごく素直というか、次はこうなると面白いなと思える展開にそのままなっていましたし、頭が疲れない娯楽作品としてとても楽しめました。
江戸の世から離れるのは同時だったのに、タイムスリップした先の年代が数十年もズレていることが、ストーリーのひとつのキモになっていたように思います。30年早く現代生活が始まった敵役の考え方の変化や達観、現代生活への順応。そこに昔そのままの使命感と考えを持った主人公が現れることで、その対比や衝突が描かれていてそこがとても良かったです。
そして、その主人公に触発されて昔を思い出したが故に、真剣(本身)を使った時代劇の撮影シーンになったのではないかと思います。
少々、恋心的な描写もありましたが、あれは無くても良かったかも。ただ、それがあることで作品全体の印象が柔らかくなる効果は感じました。
現代にタイムスリップしてからの時間的な経過が明確に描かれていませんし、どの程度の期間がかかったのか分かりませんでしたが、「元の世界とは違うことを認識して状況を受け入れる」までの描写が少ないというか、あまりもあっさりで少し違和感は残りました。ただ、本作が描きたかったのは時代劇撮影に参加してから以降のことだと思いますので、序盤の展開をササッと終わらせてしまうことで、観ているこちらとしては飽きがこなくて良かったです。よくあるんですよね、主人公が置かれた状況や心理状態の描写が長い映画が。それをやられちゃうとストーリーが展開する前に飽きて、観るのが辛くなります。それよりは少し端折ってくれた方がいいですね。
撮影所で頭をぶつけて記憶喪失、記憶混濁になって自分のことを本物の武士だと思っている男。そういう風に周囲は理解しているということになってますが、働いていくなら健康保険や住民票も必要になるでしょうし、もし恋心が実ったら戸籍の問題も出てくるでしょう。映画の準主役としてポスターに大映りしてましたが、有名になるとマスコミや週刊誌が周辺を嗅ぎ回ります。その辺りのことはどう解決するのか、と他人事ながら心配しましたが、たぶんそれは作中に答えが出ていたようです。敵役は30年前に現代にやってきて、いまや大物俳優です。主人公とは最終盤でも仲良くは出来ていなかったですが、同じタイムスリッパーとしてノウハウの提供はあるでしょうね。
それから、観終わってから振り返ると、意地悪な人、ずる賢い人、騙す人、そういう負のエネルギーを持った登場人物が思いだせません。みんな前向きに頑張ってるいい人ばかりだった点も良かったです。
ただ、ひとつだけ余計ではないかと感じたのは、最後のシーンです。江戸の世で雷に撃たれた時は3人が一緒にいて、その残りの一人が時代劇撮影現場にタイムスリップして現れました。それによって、本作がビシっと終わらないんですよね。彼はそのまま江戸に取り残されたことにして、エンドロールで少しだけ映る感じにしても良かったんじゃないか、そう思います。
大学の映画サークルで作ったのかな?ってレベルの内容だった。
クッソつまんなかった。
冒頭からダラダラと全編にわたって説明ゼリフのオンパレード。
基本薄っぺらい設定の説明とシーンの状況の説明ばかり。主人公とユウコ殿、もしくは主人公と脇役たちがお互いに説明し合うだけで会話すら成立してないシーンもあった。
ショートケーキを初めて食べて泣くほど美味しかったのなら、なぜ主人公がそこまで美味しいと思ったのか背景を語らないと。
江戸時代全般が貧しくて質素でしたで納得できるわけがない。
何が「日の本は豊かな国になったのですなぁ」だよ。(幕末の頃はめっちゃ食文化豊かだったわ)
主人公の家が極貧だったというなら話はわかる。まあ下級武士にはありがちだし、幼い頃から甘いお菓子に憧れがありましたっていうなら。
でも、それだったらショートケーキじゃダメでしょ。江戸時代からある大福とか饅頭じゃないと。主人公が幼い頃からずっと食べたいと思っていて、今ようやく口にすることができた。めっちゃ嬉しい!で涙する。
これならキャラクターの感情が大きく動くし、見ている方も感情移入して感動できる。
それができないのは、脚本上キャラクターの設定をきちんと細部まで作れていないから。
この映画はとにかく脚本に中身がなくて薄っぺらすぎた。
象徴的なのが以下のシーン。
雷に打たれたことがタイムスリップの原因だと気付いた主人公が、再び雷に打たれようとして土砂降りの中雄叫びをあげる。
やっとここから面白くなるのかな?と思いきや、一晩中雨に打たれただけで終わり。
寺の参道で泣きつかれて眠ってやがんの。バカなの?
どうすればまた雷に打たれることができるか、ここから悪戦苦闘するシーンを描かなきゃダメでしょ。
だって、幕末に使命があったんならどうしても幕末に帰りたいでしょ?そもそも、こいつの家族構成とかどうなってんの?家族がいたんならどうしても家族に会いたいって思うのが普通でしょ?
(幕末会津の悲劇を知った後なら、なおさら帰りたいと思うはず。てか会津の悲劇を知るのが遅すぎる。ストーリー構成もクソ悪い)
だったらユウコ殿も巻き込んで協力してもらって、どうすれば雷に打たれることができるか色々チャレンジすべきでしょ。
そこでユウコ殿に自分はタイムスリッパーだと打ち明けて納得させることができれば、二人に連帯感が生まれてぐっと親密になり、ロマンスが生まれるじゃん。(エンタメには絶対必要)
どうすればユウコ殿にタイムスリッパーだと信じてもらえるかって、そんなこと簡単に出来る。
例えばユウコ殿をめっちゃ時代劇オタクっていう設定にして、主人公の持ち物をサラッとチェックさせる。
この刀って会津資料館に展示されてるやつと同じだ!とか、この根付と扇子(江戸時代の人はみんな持ってる)Webで見たらめっちゃプレミアついてる幕末期の稀少品、なぜあなたが?とか、
そんな感じで主人公が幕末から来たなんて事は小道具ひとつで簡単に証明出来るのに、この映画は小道具の使い方も下手すぎる。
脚本も素人レベルだし、その脚本でよしとする監督も素人レベル、てか演出がほんとに酷かった。
脇役とか全員笑顔でただ頷いてるだけ。脇役にちゃんと芝居付けられないなら、いっそ全編主人公のアップだけにしとけ。その方が清々しくて気持ちいいわ。
それから、主人公がいきなり斬られ役の仕事を始めるのは展開にメリハリが無さすぎ。
主人公の目的は元の時代(幕末)に帰ることなんだから、それまでのつなぎとしてとりあえずバイトを始めるとかあってもよかった。
コンビニでレジ打ち出来なくて大失敗とか。スタバでコーヒーマシン壊して大失敗とか。カスタマーサービスでござる言葉連発で接客して大失敗とか。
とにかく文明の壁に阻まれて斬られ役以外仕事がなくなるってとこまで追い込まないと。
(往来で敵に斬られて死ぬって、武士にとっては最大の屈辱。最初からやりたいなんて思うわけがない)
でも幕末に帰るためには我慢が必要。忍耐の一字で耐えてやっているうちにだんだん面白くなってきて、だんだん斬られ役が好きになってきて、最後は幕末に帰るか斬られ役を続けるかで迷う。
そこで主人公の中に大きな葛藤が生まれ、人間ドラマが生まれる。そういうのが映画ってもんでしょ、ちゃんと人間ドラマを語るのが。
それなのにこの映画は、主人公の設定が薄っぺらすぎて2時間尺が持たないから、次々と登場人物増やして新たな展開を作る。
終いには斬られ役そっちのけで主人公が主演の映画の話になってる。もはや何が主題の話か分からない、映画のストーリーが完全に迷子状態w
こんなめちゃくちゃな事になるのは脚本も監督も幼稚で素人レベルだから。なのにこんなのが日本アカデミー賞で最優秀作品賞取ったの?
何かの冗談だとしか思えない。いくらインディーズ映画を応援したいとか、下火になってる時代劇を応援したいとかいう思惑があったとしても、日本アカデミーの会員バカすぎる。
※なぜ説明ゼリフが悪いかって、説明している間はストーリーが全く進まないので観客はただ耐えるしかない。
しかもこの映画の場合、基本立ったままか座ったままで延々としゃべり続けるので、画に動きが全くない。クッソ退屈。
それを2時間も続けられたらまじで苦行。2000円払って禅の修行に来たわけじゃないんだから勘弁してくれって話になる。
※※例えばだけど、主人公が剣の達人って事を伝えたいなら、一人の敵を待ち伏せるのではなく複数の敵をバッサバッサと斬り倒す画を見せればいいだけ。
そうすればこの男は会津の何々流の道場で剣を極めた達人ですって説明をしなくても強いのが分かる。
あと御家老直々に指名されて嬉しいとか、お互い下級武士の次男三男で独身だからとか、敵と戦う直前なのにグダグダと約2分にわたってキャラ設定の説明を続けるのはあまりにも不自然。
上記を受けて冒頭の2分を直すなら以下の感じになる。
寺の参道で待ち伏せするとこまでは同じで
「遅いな」
「山形彦九郎め、こんな古寺で何を企んでいるのやら」
「出てきたぞ」
「待て、独りじゃない、2、3、4⋯4人いる!」
「さては中で仲間と落ち合ったか、山形彦九郎はどいつだ?」
「分からん。分からん以上全員斬るしかない」
「待て、4対2では分が悪い。日を改めた方が」
「臆したのか?長州の企みを阻止しろとの御家老の厳命だ。今日を置いて他にはない、俺は行く!」
「わ、分かった。俺も行く!」
茂みから飛び出していく2人。敵と斬り合いになる。バッサバッサと3人斬り倒す主人公。相棒は山形にあっさり倒される。
「貴殿が山形彦九郎か?」
「如何にも、そういう貴殿は何者か?」
「会津藩士高坂新左衛門である」
「会津か、幕府の犬め!」
「犬で結構、幕府に逆らう長州の謀反人よりは遥かにましだ。山形彦九郎、主命によりお命頂戴する!」
「仲間たちの仇だ、返り討ちにしてくれる!」
斬り合いになる2人。雨が降ってきて落雷。
タイトルバック。
これでシーンに緊張感を生むと同時に、最低限必要な情報も盛り込める。
(またキャラクターの自然な発露で主人公と相棒の性格の違いも描ける)
ただこの流れの中に独身という情報を入れるのは無理。このシーンに全く関係ないからどうしても不自然になる。
映画って基本は画の動きとキャラクターの行動で表現するものなので、それを全部説明してしまうのは最悪の手段。
どうしても説明が必要な場合は質問されてそれに答える形じゃないと不自然になる。
なのにこの映画では、頼まれもしないのに自分からペラペラ説明しだす奴ばっかりだったから、まじで不自然の極みだったし最悪だった。
2025/3/23
プライムビデオで鑑賞
※運営に削除されたんで一部表現を変えて再投稿しました。
今はその時では無い
太秦撮影所や付近の住民に支えられ制作される時代劇を背景に本物の侍が参戦するのが楽しい。
過去の相手も現代にタイムスリップしていて既に大御所としての地位を築いていて映画制作で対峙するのも良いんだけど「カメラを止めるな」のような初見での驚きは無かったかな。
海外でリメイクされるなら「カウボーイ・タイムスリッパー」とかになりそう
期待が高くて、残念
作品的にはよく練られていてよかったと思う。
ただ、前評判でまさかの展開と聞いて、ものすごいことを想像した。結果、これ?
となってしまった。そうなると途中が冗長だなあ、と思ってしまい、この評価です。よく比較されてる。「カメラを止めるな!」の方が面白かった。
ダラダラと台詞で説明しすぎ。脚本がペラペラ。
どうして大絶賛コメントばかりなのか、理解に苦しむ。
・高坂が仲間である村田のことを、心配する様子がない。思い出しもしない→薄情。
・高坂が家老から直々に命じられた大役を仕損じたことを、悔やまない→責任感がない。
・元いた時代を懐かしんだり、現代とのギャップに憤ったり喜んだりが、タイムスリップものなのに極端に少ない。
・東映のバックアップを得られて気が大きくなったのか、やたらと立ち回りのシーンが多い。
ここぞというところで出すからカタルシスがあるのに、全編ずーーーっと立ち回りがある。
役者さんの殺陣は素晴らしいが、飽きる。
・20年時代劇で斬った斬られたを散々やってきた風見が、20年目にいきなり「昔殺した一人の武士の、恨めし気な顔を思い出すようになって」時代劇を捨てるのが不自然。
・会津の悲惨な末路を知って、高坂が風見に真剣勝負を挑む…え?なんで?
風見が直接会津を攻めた軍勢に加わっていたならまだしも…100歩譲って「新政府軍の中でも、最も苛烈に会津を攻めたのは長州であった」等の描写があるならまだしも。
友情を育んだ風見と今さら「殺し合い」をする根拠が弱い。
過去に映画撮影で真剣を使った役者の死亡事故が起きています。
「真剣を使いたい」と、もし役者が言い出したら、制作側は全力で止めるはず。
監督が「それ面白いね」で通る話ではない。
要するに、ラストの見せ場:真剣勝負に持ち込む納得できる理由を、監督が思いつかなかったのでしょう。
この映画を見て感じたのは「見せたい(撮りたい)画があるから映画を撮る」という監督の姿勢で、あくまで画面優先であること。
内容は後から付け足しにすぎないので、キャラクターが練られていないし、薄っぺらい。
侍から見た現代は、良いところだけでなく悪いところも沢山あるはずで「血を流して手に入れた新しい世が、こんな有様になっているとは!」と愕然とし、後悔する→武士の魂を現代に残そうとするのが「メインキャラ2人が侍である意味」だと思うのですが、そんな描写はまったくない。
その割にムダなシーンが多い。
・高坂が撮影所で幽霊の扮装の役者に驚く→心配無用ノ介の撮影現場でクレーンに頭をぶつければ良い話で、まだるっこしい。
・優子を寺の娘に設定すれば、カットできるシーンが大量にある。
実家(寺)で時代劇撮影が頻繁にある→時代劇好きになる→助監督の道への方が自然。
・高坂が不良少年に絡まれるシーンは、中打ち上げ直後の出来事にすれば良かったのに。別シーンにする意味がない。
中打ち上げといえば、あの場で追加台本を配るのはあり得ない。
アマチュア映画なら良いが、「最後の武士」はハリウッドから声がかかる有名監督が撮る大作映画。
酒の入った席で、台本を紛失して内容が流出したら一大事!
そのあたりが、アマチュア監督の「想像力のなさ」が出てしまっている。
結論:日本アカデミー賞最優秀作品賞は過大評価。
米でSHOGUNがゴールデングローブ賞を取ったので、それにあやかって日本でも時代劇ブームを盛り上げよう!ということかなと。
(東映の時代劇に携わるプロフェッショナルの皆さんは素晴らしかったです。)
拙者は、この良き映画の中にスリップしました👍
PrimeVideoにアップされてから3回観賞ですが、残念ながら劇場へ出向けていません…
TV時代劇「剣客商売」で秋山大治郎を演じた山口馬木也さんの殺陣をスクリーンで見たく劇場へ行くつもりが、先にTVで見てしまいました。
レビューを拝見していると楽しめ無かった方もおられるのですが、当方はオープニングシークエンスのタイムスリップ直前の殺陣シーンで直ぐに映画の中にスリップしていました。
子供の頃、TVドラマは時代劇で平次に金さん、素浪人や紋次郎、洋画劇場ではマカロニ・ウエスタン全盛時代でした。
特に毎週の様にカッコ良い音楽にスタイリッシュなガンマンを見て映画好きになったお陰か、娯楽作品に余り細かい事は求めないタイプになった様で、今でも様々なジャンルの作品を数多く楽しめています。
(劇中の坂本龍馬の銃がS&Wで無くColt45 S.A.A.でも気にならない!)
話しが脱線しましたが、この「侍タイムスリッパー」は色んな愛に溢れた作品だと思います。
映画愛、時代劇愛、喜劇愛、実写愛、人生愛、仕事愛〜
アクションでは殺陣シーンの迫力、特にラストの勝負は劇中のセリフでは無いですが、本物の侍を見ている錯覚に陥っていました。
※これは、大きなスクリーンの劇場で見直さないと勿体ないです。
それに、エンドロール直前に丸顔の侍がやって来るところが〜
やられたーって、なりました。
本物の侍が3人も居るなら時代劇の世界も現在と違う流れになってるかも〜なんて最後の最後まで映画の中から戻れなくなって頭の中がパラレル状態になっていました。
映画って本当に楽しいですね👍
とても良い作品をありがとうございます🙇
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