侍タイムスリッパーのレビュー・感想・評価
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純真無垢な昔堅気の映画野郎
タイトルと主題だけでなく、この映画丸ごと、タイムスリップしてきたかのような気がしました。弟子入りを志願して「落ちる滑るって言っちゃいけない」などというベタベタのシーンがそれを表していたかのような。水戸黄門、銭形平次など昔の人の如何にもというやり取り、困っている人を放っておけない優子さんのような古風な頑張り屋が活躍する、庶民的な舞台劇を観たかのような、そんな印象。
タイムスリップといってもSF要素は余りなく、古き良き時代劇や映画バカの撮影風景、そういうのがテーマだったのではないでしょうか。撮影所の楽屋?でポスターは時代劇なのに、テレビの横に並んでいたDVDは、何故か伊丹十三監督作品。これも、この映画の主張の一つだったのかな。話の流れも無理などんでん返しもないトントン拍子。最後に武士の身の上に立ち返っての一騎打ちも、まあ、予測通りではあるけれど。
でも、最後の殺陣(たて)は痺れました。いつ動き出すんだという凄まじいタメ。刃が打ち合う鋼の音は、これまでのチャンバラシーンで録に擬音を付けなかったのが効果を上げているのでしょう。本当に真剣でやっているんじゃないかという緊迫感。劇中劇の顛末も踏まえて、歯を食いしばってしまうほど凄まじかった。
そして出来上がった劇中劇の映画は、なんというか、本当に無骨な作品のようですね。この映画とまったく同じ、最後の一騎打ちが売りでしかないような骨太い時代劇のようですけど、果たして、売れるんでしょうか。恐らく、例え売れなくとも「これぞ本物の映画だ」という評価さえあれば、劇中の監督も満足したのではないでしょうか。この映画そのもののように。
この前に観た「ルックバック」という漫画家のアニメ映画を思い出した。自分達の仕事をもモデルにしているからこそ、カタルシスが凄まじい。ましてや、私たちも武士の国。美味しいおにぎり、美味しいケーキがいつでも食べられる時代になって本当に良かった。先人達に感謝、感謝。
昔の人が生きた時代の延長線上に私たちの現在はあるのだ
どこにでもあるショートケーキをはじめて口にし「これが普通の人でも食べれるとは。。本当に良い世の中になった。」とボロボロ泣く。会津藩の悲惨な最後を知り、むせび泣く。感極まるこの2つのシーン。昔の人たちの努力や犠牲の上に、私たちの平和で豊かな世界があることを改めて実感し、感謝した。
竹光で本身を振っているようにみせるため、振り方を試行錯誤した結果、本当に重さが加わったように見えてきた演技に驚き。 いやいや待て待て。この映画の中にいくつかある真剣のシーンも、実際は竹光使って演じているはず。(クライマックスの風見との対決シーンなど)凄い演技力だ。
クライマックスの戦いのシーン。最初のながーい無音の時間の演出が真剣による緊張感を最大限高めることに成功している。
時代劇を辞めて東京に行っていた大物俳優の風見恭一郎が、時代劇&京都に凱旋。このシーン、風見が真田広之とオーバーラップした。真田広之は別に時代劇やめてないけど。(笑
2021年に上映された『サマーフィルムにのって』を思い出した。共通項多し。
・タイムスリップもの
・時代劇
・映画を撮る映画
・低予算ムービー
・拡大上映!
そしてなんといっても「空気感」が同じなのよ!
朴訥なこの侍のように、背筋を伸ばし、周りに感謝して生きようと、気持ち新たに映画館を出た。
※失礼ながら知らない役者さんばかり。
※主役と風見と女将さんがいい!
※風見は誰かに似てるなあ~と思ってあとで調べたらそうそう「別所哲也」「 西岡德馬」「嶋大輔」だ。冨家ノリマサさんという方なんですね。これからチェックさせていただきます!
※真面目で無骨で、少し汚い主役が侍っぽくてとてもいい!
※ロケ地は随心院、亀岡の大正池まではわかった。京都がほとんどだと思う。聖地巡りしたい。
→ 10.15追記 このレビューで教えていただいた「油日神社」に行ってきました。最後の真剣でのシーンの舞台です。京都でなく滋賀県(三重県との県境)でした。飾り気のないとても良い気が流れる神社でした!ぜひ。
※風見が怒って池に石を投げ込むシーン(笑 見逃さないよ。
※どうしても受けてしまったり、師匠を斬ってしまったりするシーンも笑けた!
※パンフレットはまだ届いていなかった。あらためて買いにいかねば。
※殺陣の指導シーンで「当たるから切っ先は上へ」と。なるほど。
山口馬木也に主演男優賞をあげたい
インディペンデント監督が書いた脚本のために京都の撮影所が協力して実現した娯楽活劇コメディ、という作品の成り立ちは素晴らしいし、主演の山口馬木也があまりにもみごとで、立ち姿や所作、殺陣の決まり具合に惚れ惚れする。 しかも演技がべらぼうに上手い。上手いを超えている。正直、和尚が檀家の前で電話をするシーンとか、観終わってあれ必要だっけ?と思ってしまったり、ベタすぎて鼻白む部分もあるのだけれど、どんな場面でも、どんなセリフでも、山口馬木也という人が驚くほど誠実に、自然に演じてしまうので、もう山口馬木也を見ているだけで十分お釣りがくる!という気がしてくる。
ただ、過去からやってきた異分子という設定に即していて成立してないわけではないのだが、山口馬木也の佇まいがあまりにもナチュラルなせいで、他の出演者の芝居がいささかクサく誇張されたものに見えてしまうのも事実。それくらいの圧倒的なホンモノ感が山口馬木也にあったということでもある。
しかし、最後の真剣のくだりは、正直、ザザッと音を立てるように気持ちが離れた。理由はいくつかあって、あの二人が真剣対決する流れ自体は、当人たちの決意としてお好きになさってくださいなんだが、撮影現場が容認してしまうあの流れは、全員が完全に狂気に取り込まれているくらいの描写でない限り、絶対にナシだろうと思ってしまう。ビンタで許されることじゃないよ、マジで。気がつけばあの二人が真剣でやりあっていて、止められなかったとかならまだわかるんだけど。
あと、あの真剣勝負に、どこから撮ったの?という寄りの短いカットがモンタージュされるのも気になる。さらにいえば、これは単に自分の好みですけど、最後の対決だけは、撮影用に刀を上に掲げるように修正された上段の構えを、もともとも構えに戻して戦っていいんじゃないかなと思ったりしました。
廃れゆく時代劇と日本人スピリッツへの思いが溢れる
8月に都内1館のみの公開から全国100館以上での公開が決まったタイミングで、大急ぎで鑑賞。口コミで広がった映画にハズレはないとは思っていたが、出来栄えは想像以上だった。
幕末の京都から雷と共にタイムスリップする会津藩士の着地した場所が、一瞬、江戸時代の京都かと思わせて、実は時代劇を撮影中のセットだったと言う幕開けから、すでに捻りが効いている。そこからの展開は、映画スタッフや関わる人々が主人公を役者だと勘違いし続ける様子を上手に描いて、なんら不自然さを感じさせない。それは、タイムスリップの先輩がいたことが分かる後半でも同じだ。
ベースには廃れゆく時代劇とそれを支える人々、そして、日本人のスピリッツに対する熱い思いがある。こちらは自主映画で、越えるべき壁の高さに違いがあるだろうが、監督と脚本を兼任する安田淳一と『SHOGUN 将軍』で遂に天下を獲った真田広之とは根っこで繋がっているのだと思う。
今年の笑い涙大賞
皆さんのレビューを見て 暫く見なかった映画鑑賞となりました。見て良かったありがとう。
雷によってタイムスリップした武士が現代で生き抜いていくシビアさ満載の中、身の熟しを学び得ていく姿に感動。徳川を守る為仇討ちとなる相手が絶妙の役者仲間になったり、ここぞと何度も涙を流しては瞬時に笑いがやって来るので見終わりはスッキリとしました。日本はこんな良い国になった とショートケーキを頬張る姿に、国力の低下とか報われた感ない労働とか悲嘆しすぎだった自分を大反省させます。見て良かったほんとに楽しめました。願わくば助監督さんとの恋叶えてあげたかったかな、、、
溢れる殺陣愛
実は序盤はツッコミどころが結構あり正直なところ高評価レビューに釣られて見たのは失敗だったかなと思った。冒頭の2人の武士のやり取りが説明台詞っぽかったのと幕末の武士が言葉も含めて現代の事物にほとんど驚かず馴染むのが早過ぎるなど。1番気になったのはヒロインの演技力が申し訳ないが商業レベルではない事。他の方の演技力は何の問題もなかったのだが。
ただ、それやこれやも物語が進むと確かにどうでも良くなる。却ってヒロインの棒読みも愛しくなる。
時代劇愛というか特に殺陣愛が凄くて、それが画面からド直球でヒシヒシと伝わる。物語自体でなく作り手のその思いに感動しきりとなった。それが迫力満点のクライマックスの真剣勝負の殺陣に結実している。手に汗握るとは正にこの事。
ただ、やはり私には素晴らしい殺陣を披露されたお二方は侍ではなく現代の時代劇を愛する役者に見えた。現代に馴染んだ侍だからという見方も出来るだろうが、物語の巧拙でなく作り手の熱量が見る者の心を動かす作品なのだと思う。
最後にこの作品は是非映画館で見るべきだと思う。理由の一つは真剣の重みを音響で表現しているのでテレビで見たら、それが分かりにくい気がする事。もう一つは没入して見るのが難しいテレビで見ると序盤の掴みがやや弱いので人によっては盛り上がる後半へいく前に離脱しそうなところ。
映画好きなら是非是非映画館で上映されているうちにその熱気を味わって欲しい。
時代劇の衰退を会津と長州の因縁に重ねる
作品冒頭、会津藩士と長州藩士との切り合いから始まり、雷に打たれた会津藩士の主人公は現代に飛ばされてしまう。
そのまま、現代の時代劇役者として成功していくサクセスストーリーになるかと思いきや、実は冒頭に出ていた敵役も現代に飛ばされていて、時代劇役者として成功していた。
しかし、敵役は時代劇から遠のいており、今回久々の時代劇の共演者として主人公を誘うが、主人公は徳川幕府を終わらせた長州藩士で尚且つ時代劇から遠のいていた敵役を心底恨んでいく。
そこから、主人公と敵役の葛藤が始まる。
時代劇の衰退を描いた映画は、『太秦ライムライト』があったが、今作はそのテーマに加えて、会津と長州の因縁が重なって描かれていたことがとても面白かった。
この映画は、ぜひ会津の人にも知れ渡ってほしい。
また、少しくどい表現はあったが、所々笑いどころがあったのもこの作品の魅力だと思う。
主演の山口馬木也さんは、昔から時代劇では一際武士らしいオーラをまとっていた人だったけど、今作では現代の時代劇役者との違いが如実に表れ、いかにも江戸時代の武士が現代にまぎれたかのような異彩を放っていた。
今後も山口さんの武士の芝居には、目が離せない!
🎦シン・ゴジラ以来の大傑作
所謂タイムリープモノではない。あえて言えば人情噺。だが事の真実はそこではない。その作品の完成度と重層感・・・これが半端ない。徹底したオタク感丸出しで📺SHOGUNと表裏一体を形成する。驚くべきはその殺陣の迫真性がまず筆頭に来る。竹光と真剣の軌道をここまで映画内で再現した例も珍しい。何と言ってもしびれるのは効果音であろう。おそらく真剣の刃を敵と切っ先で重ね合わせたものしか味わえない筋肉の反応。刃先が欠けていくようなある意味心地よくも恐怖に彩られた金属音。それはある者にとってはワクワクしある者にとっては耳障りで恐怖と嫌悪のないまぜになった不快な感覚かもしれない。この何とも言えない抽象的な感覚を映像に描き込んだこれほどまでの「間」の描写の妙。この「間」は関西特有のボケ突っ込みの「間」でもあり「死ぬか生きるかの双方の緊張が極限まで高められた時の「間」でもあり、その双方の緊張を抜き去り様式の美しさまで高めた殺陣師たちの「間」の美しさ。日本文化の極みを見た思いがある。会話の「間」は笑いを、殺陣の「間」は息をも付けぬ緊張を、そして昇華された殺陣師の「間」では美を感じることが出来るようちりばめてある。こんな細部の際まで作り込んだ映画ありますか?🎦シン・ゴジラ以来でしょ?真田が📺SHOGUNで見せた拘りがこの映画(🎦侍タイムスリッパー)を見ると、まだまだ見せたいディティールの10分の1にも満たないことが分かる。真田はあのエミー賞総なめでもまだまだ不満なのではないか?そしてこの🎦侍タイムスリッパーを見たら地団太を踏んでまだまだ伝えなければならない奥深さが底が見えぬほどある実態を改めて認識し直すのではないか?日本文化における極みとはこれでもうおしまいと言うのが無い事だ。大谷のWS優勝も単なる通過点で、まだこの上をいく所業を10年は積み重ねるつもりでいるのだから世界は笑うしかない。大谷は自分が170キロ台のスピードボールを投げることまでも公言している。それはも人間ではない。そう人間ではない所業を目指し研鑽を積むことこそ、いわゆる「道」と言うもである事を返す返すも思い起こさせることが出来る事象こそが🥎大谷翔平であり、🎦侍タイムスリーパーなのだ。まさにゴジラが進(シン)化し真(シン)の神(シン)となり新(シン)のゴジラとなった様に・・・
そして最後に・・この物語に深みと印影を付ける最大のエッセンスに会津藩がある。どうぞ皆さんこの機会に東北における会津の立ち位置と歴史を今一度思い起こしてもらいたい。沖縄のひめゆりと北海道の開拓史、そしてこの会津の京都との関わり、また薩摩との怨念。示現流と溝口一刀流のつばぜり合いをどうぞご堪能あれ。
あ~もう一つ忘れてた・・最後の🎦ターミネーターへのオマージュ・・あれは今後どう広がるのか‥楽しみである。
本物の映画
タイムスリップした侍のドタバタ劇と聞いてましたが。。。
いやいやいやいや、とんでもない映画ですよ。
起承転結がハッキリしてて、時代劇に興味が無くとも観客を飽きさせない。
131分間ずっと没頭しっぱなしでした。
消えゆく時代劇への敬意を込めつつ、コメディ感も忘れず、ちゃんと伏線回収。
全ては繋がっている。先人たちがいたからこそ、今の自分が在る。
映画全編、細かい点の詰めが、ちゃんとしてて、丁寧な設定してるなと思った。
だからこそ、一気に映画に入り込めたと思う。
ラストの落しどころにも、ホント泣かされた。
久しぶりに『打ちのめされた映画』です。
こーゆーヒット作があるからこそ、やっぱり映画館で観たいね。
時代劇に真剣に向き合う侍ふたり
めちゃくちゃ面白かった!
《会津藩の侍が、現代の時代劇の撮影現場にタイムスリップし、それを機に斬られ役者として成功を遂げていく。時代劇の大物俳優と映画を撮ることになるが、その正体は、まさかのタイムスリップする前に相見えていた長州藩の風間という侍だった。》
設定からしてめちゃくちゃ面白くて、心掴まれました。ベタなコメディ要素も終始心地良かったです。映画館で笑いました。
高坂が風見との撮影中、タイムスリップ後の史実を知ってしまったこともあり、かつての侍としての心を思い出す。けれども、再度風見と真剣で相見えた時、現代を生きる自分の役割に気づく。それは、「今を生きること」。斬られ役者として、自分が今できる最大限の仕事をすること。
今作は、映画やドラマを作る人への賛歌のようにも感じられた。歴史の中で実際にあったその時代の文化や風習、実在した人物の物語を伝える、後世に残すことの意味。今年公開された映画『あんのこと』で、私は今は亡き人でも映画の中で生き続けられることを痛感しました。映画と真剣に向き合う尊さを、高坂と風見という侍、そして製作に関わる人々から教えてもらった気がします。
私は今までほとんど時代劇をみたことがないけれど、今作を見た後では確実に見方が変わってくると思います。
最高の一作です。
もののふ
雷に打たれてタイムスリップした幕末の武士。よくあるスチエーションであるが、この作品はここから面白くなる。時代劇の撮影所で切られ役として日々を過ごすが、準主役のオファーが来る。タイムスリップしたのは、自分だけではなく切りあっっていた相手もタイムスリップしていたのだ。笑いあり、涙ありこれぞ映画という感じ。お金を掛ければ良いという訳では無い。
時代劇へのリスペクト
時代劇は、勧善懲悪で陳腐なストーリーだった。やがてそれは飽きられていって、
ほぼ消滅してしまった。そんな中で、時代劇が描いていた時代からやってきた侍が、
時代劇を見ながら激しく頷いていた。笑いのシーンではあるが、私はそれが心を打った。江戸時代、世の中には理不尽なことがまかり通っていたことだろう。人権意識も低い。自身も密命とはいえ、他人の命を奪おうとする。そんな時代をまさに生きている侍が、勧善懲悪の時代劇を見て、「こうであったらいいのに」と同調するわけだ。今、世の中は善も悪も渾然としてきて、わからなくなりつつある。今こそ時代劇が描いていた世界は必要なのではないか、そんなことを気づかせてくれた。まっすぐでない時代だからこそまっすぐに生きる侍と、そして現代の、やはりまっすぐに生きようとする映画人たちのシンクロが眩しい。
自分が80年代にタイムスリップしたかのような…
とても大評判でスコアもずば抜けて高く、
「きっと斬新で今までとはまったく違う
すごくおもしろい作品なのだろう」と気になっていて
「でも田舎の方ではやらないんだろうな」と諦めていたら
なんとこちらの映画館でも上映されることが決まり、
それからはネタバレになるので他の人の感想にも触れないようにして、
ワクワクと期待と想像を膨らませ
上映日とても楽しみに見にいったのですが…
ただただ終始ひたすらにベタ…
むしろ自分の方が80年代にいって
その時代のタイムスリップものの
映画を見てるかのような前時代的なベタ…
別にわかりにくい高尚なものを求めてるわけではないし、
ベタが必ずしも悪いわけでもないのだろうけれど、
一見深い考えがまったくなくベタをやってるだけのような…
(いや、きっと深い意味はあるのだろう…)
これだけ高評価ということは
なにか正しい見方があるのだろうけれど、
低レベルな自分にはそれがわからないまま
ちょっともうしわけないけれど
正直微妙な作品だったかな…
それでも
主人公の侍と敵役の人と
二人が10秒くらい見合うシーンは緊張感があってよかったかな
田舎だと、話題の単館ものと商業ものが
区別なく同じ箱(シネコン)の中で横並びに競争させられるので、
ひょっとしてそのせいもあるのかな?とも
思ったりもしたけれど、
センスのない田舎者には
一見ただのベタな映画にしか見えない
むずかしい映画でした
予想外に硬派な侍ドラマに心を掴まれた。 コメディとしては王道だが、...
予想外に硬派な侍ドラマに心を掴まれた。
コメディとしては王道だが、ちゃんと人間ドラマとして笑いが取れていることに好感。その軸となる主人公の朴訥な人柄を演じ切った山口馬木也氏は素晴らしく、映画に引き込まれた。
コメディのみならず、ショートケーキを食べて泣くシーンや、会津藩の最期を受け止めて手を合わせるシーン、風見と運命的な決闘へ向かう義理の通し方など、侍の魂を感じて胸が熱くなった。
侍がタイムスリップして斬られ役に。いい筋書きである。
予想外の傑作!
日本映画を久しぶりに映画館で観た。凄かった!
よくある、タイムスリップした侍がビックリするだけの出オチ邦画ではない。
いきなり140年後に来てしまった主人公が、現実を受け入れつつ、斬られ役者として邁進する様がとても真摯。
タイムスリップした事実を知るくだりは、普通はグダグダ説明しそうなものだが、ポスターを読んで知ってお仕舞い。それくらいでいいよね。
彼が現実に順応に応じていく様が、台詞以外で表現されてるのも良かった(洋服を着たり髷を切ったり)。
とにかく全編無駄なシーンがない。
最後!
椿三十郎を思わせる長いタメからの、本当に真剣で斬り合っている様な殺陣シーンは圧巻。
この映画はっきり言って、奇抜なプロットや超絶爆笑ギャグもない!なのに最後まで面白く見れた。
要因はやはり主役の山口馬木也さんの演技!
ケーキのくだりも、弟子入りのシーンも師匠何回も切っちゃうギャグも、会津藩の顛末を知ってからのシリアスな展開も全部良かった。
もはや本物のサムライにしか見えないーー、というレベルで役が乗り移ってた。最後まで引き込まれてしまった。
そうきたか~!
噂通りの展開で楽しく見させて頂きました。後半そうきたか~と驚きもありました。
カメ止め臭を感じましたし最近見なくなったタテも見ごたえあり良かったです。
ただ町のヤンキーに絡まれるシーンでゲロまみれだったのにやられた後、道路も服も綺麗になってたのが違和感あり残念でした。
高得点評価の人が多い中、申し訳ありませんがカメ止めほどではなく1500円位かなと思いました。
よってこの評価です。
めっさんこ、面白かったです。
評価通り、めちゃくちゃ面白かったです。泣いてたのに笑ってる。笑ってたのに泣いている。また、この映画が超低予算の自主制作映画で本当に苦労と工夫とガッツで作られた作品だと言うことを知ってから観たので余計に喰らいました。ほんと、アホほど金掛けてクソつまらん作品もあるけども、こういうの作れる監督さんに少しでも回らんもんかなー。っと誰かが言ってましたが、本当に折れるほど首を縦に振りました。そして終盤の斬り合い前の無音。1stスラムダンク以来の息が止まる緊張感。あまりの緊張感に本当に息止めてました。それからショートケーキのシーン。号泣ですよ。そして爆笑ですよ。今年、いや、生涯最高クラスのコメディー作品でした。映画館で観れて幸せでしたわー。ちなみに映画館の音響で感じたからか、真剣での殺陣のシーンの刀と刀のぶつかる音が凄まじかった。本当の侍がマジで闘ってる。冗談抜きで脳が錯覚しました。侍タイムスリーパー。私の生涯ベスト5にランクインです。
低予算ながらも、確かな魅力が光る一作!!
現代にタイムスリップしてきた幕末の志士が、時代劇の斬られ役として活躍するSFコメディ。低予算ながら、口コミで瞬く間に上映館数を増やしている話題作。
幕末のある夜、家老の命で暗殺の任に就く高坂新左衛門(山口馬木也)は、激しい雷雨の中、長州の山形彦九郎(庄野﨑謙)と壮絶な斬り合いを繰り広げていた。両者一歩も譲らず、新左衛門が刀を振り上げた刹那、刀に雷が落ちる。激しい光に包まれ、目を覚ました新左衛門は現代の時代劇撮影所だった。
本作を語る上で、まず何よりもポイントとなるのが、“低予算作品”であるという点だろう。しかしながら、とても低予算とは思えない丁寧な作り、時代劇や殺陣をテーマにした邦画実写の持つ強みを活かした設定と、130分超えの長尺ながら片時も目が離せない作りとなっている。
個人的に、この低予算を可能にしている要因は大きく2つあると思う。
1つ目は、監督である安田淳一氏が多くの役職を兼任しているという点だ。エンドクレジットを目を通すと分かるが、脚本は勿論、撮影、照明、編集、車両の手配からタイトルロゴのデザインに至るまで、通常の映画作りにおいては様々な分野の人々に発注せねばならない要素を監督自らが行っている。そうした様々な分野を監督自身がカバーする事で、人件費を極力抑える事が出来たのだろう。
また、パンフレットによると、安田監督は業務用のビデオカメラや照明機材、クレーンやインカムといった複数の撮影機材も保有している様子で、そうした機材関係の調達面でも、予算を浮かせる事が出来たのではないかと推察する。
2つ目の要因は、舞台が“時代劇の撮影所”であるという点だ。東映京都撮影所が撮影協力している事で、作中に登場する時代劇の基本的なセットをそのまま流用出来、セットを組む予算を抑えられる。更には、キャスト陣にも東映京都俳優部の俳優が多く出演。出演者の多くを無名の俳優達が演技する事で、著名な俳優へのギャランティ問題も上手く解消している。
この2つの要因が、本作を低予算ながら一本の見応えある映画としてしっかりと成立させているのだろう。
主演を務める山口馬木也は、映画やドラマの脇役として数多くの作品に出演しているベテラン。調べると、個人的に『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』(2000)で特殊戦闘機のパイロットを務めていた若かりし頃の姿を目の当たりにしていると分かり、意外にも「あ、あの人か!」と分かるくらいには印象に残っていた事に驚いた。
本作中では、しばしば同じ俳優の阿部寛を彷彿とさせる顔つきをする瞬間が印象的。元々丹精な顔立ちだからか、常に画面に華があり、そうした面でも本作を持たせる事に一役買っていたように思う。現代においてもお国訛りと侍口調が抜けないという新左衛門の愚直な性格は、少々コメディチック、アニメチックに寄りすぎではあるが、作中の様々な殺陣、特にラストでの真剣を用いた命懸けの撮影シーンでの迫力が素晴らしく、優子(沙倉ゆうの)への淡い恋心もこちらの応援を誘う。
時代劇界の重鎮ながら、現在では他ジャンルに活躍の場を移しているベテラン俳優風見恭一郎役の冨家ノリマサの熱演も光る。本人も数多くの時代劇に出演し、時代劇界を支えてきた功労者だけに、作中で風見の語る「時代劇を残したい」という言葉には、少なからず本人の想いも宿っていたのではないかと思う。
その正体は新左衛門と同じくタイムスリップしてきた彦九郎が老いた姿というサプライズも飛び出し、若かりし頃を演じた庄野﨑謙との「言われてみればそうだ!」と感じさせる絶妙な顔立ちの共通点も面白かった。新左衛門より30年先に現代にやって来た先人ならではの苦悩や、優子に淡い恋心を抱く新左衛門を揶揄う茶目っ気ある様子も良かった。
ヒロインとなる監督志望の助監督優子役の沙倉ゆうのは、不思議な魅力に満ちていた。実際の撮影でも助監督や美術を務め、現場を奔走しながら撮影に臨んだというリアル優子というから面白い。先述したベテラン2人と比較すると、どうしても演技力において見劣りはするのだが、本人のひたむきさが終盤に向かうに連れどんどん画面に反映されているのか、観賞後はいいキャラだったと素直に受け入れられていた。パンフレットにもあるが、今後更なる活躍を期待したい。
本作はコメディである為、作中登場する様々なコミカル描写に必要性は感じるし、思わずクスリとさせられる場面もチラホラとあった。しかし、人によってはあまりにも時代遅れで昭和チックなコミカル描写に拒否反応を示すのも理解出来るし、このノリが合う・合わないで本作の評価が大分変わってしまう人も居るのではないかと思う。
しかし、一つ擁護するならば、その“古臭さ”もまた、時代遅れとなりつつある時代劇と重なる要素、狙って取り入れられた要素なのではないかと思った。このベタベタなコミカル描写まで継承し、残していくべきものかは疑問だが(笑)
また、ベタな笑いの中にも、確かな構成力によって思わず感心させられたシーンもある。それは、現代にやって来て行く宛もなく彷徨い、疲れ果てた新左衛門が、かつて彦九郎と戦った西経寺の門前で倒れ、かつての斬り合いを夢で見るシーンだ。あの時と同じく天に刀を振り上げた瞬間に、監督から掛かる「カット」の声と、その声に面食らう新左衛門。しかし、実際本作もフィクションである以上は現場で同じようなやり取りが行われたのは間違いなく、そうした「観客がフィクションと認識しているからこそ味わえるメタ視点」としての笑いは、ニクい演出だなと思わされた。また、“天に向かって高く振り上げた刀”という構図が、後に殺陣師関本(峰蘭太郎)から教わる「後ろの俳優に刀を当てない為の計算された所作」だと判明するのも面白い。
そんな見せ場となる殺陣のシーンは、冒頭から作中時代劇『心配無用侍』、『最後の武士』に至るまで、どれも魅力的で迫力あるものだった。普段目にしている殺陣が、こうした理論や所作の上に成り立っているのかと思うと、今後殺陣を観る際の新たな楽しみ方も提供していただいた気がする。
欲を言えば、冒頭の新左衛門と彦九郎の雷雨の中の斬り合い、クライマックスの真剣を用いた撮影シーンの殺陣は、もう少し尺を割いてじっくり見せてもらいたかったと思ってしまう。裏を返せば、そう思ってしまうくらい、本作の殺陣が非常に見事で魅力的だった証左だろう。
また、出来れば真剣での撮影シーンは、最後に関本に駆け付けてもらいたかった。教えに背くからと退会願を渡した新左衛門の覚悟を師として見届けた上で、その行いを叱責する役割を優子に譲りつつ、スタッフ達の背後で退会願を破り捨て去っていく様子を、新左衛門だけが見つめるというのも熱いのではないかと思うのだが。
また、優子がスランプに陥っていた中で、監督から提案されたドラマの1話を手掛けるという申し出も、ラストの撮影風景で回収してほしかったところ。なぜなら、本作は自分の役割を見つめ、ひたむきに生きる新左衛門の姿に周囲の人々が仕事への情熱を取り戻してゆく「お仕事ムービー」としての側面も持っていたからだ。
撮影所所長の井上が語った「頑張っていれば、何処かで誰かが見ていてくれる」という台詞が印象強かっただけに、優子の頑張りにも何かしらの報酬があっても良かったように思う。
「侍の想いも、時代劇も、いつかは人々から忘れ去られる日がくるのかもしれない。」
「だが、それは今日じゃない。」
『バトルシップ』や『トップガン/マーヴェリック』に登場する、この「だが今日じゃない」という台詞の引用は、個人的にかなりの評価ポイント。意味合いとしては、人の生き死にに対して使われた『バトルシップ』のそれではなく、パイロットという役職が廃れ行く中で、それでも自らの役割に誇りを持って放たれたマーヴェリックの台詞としての意味合いが強いのだろう。
また、本作ではそこに更に優子への告白を先延ばしにする新左衛門の奥手な面を強調する意味で2度目が使われるというのも笑えた。そこは今日だったと思うよー、新左衛門(笑)
低予算ながらも、それをカバーする創意工夫、廃れ行く日本の時代劇への憂いと希望、殺陣という魅力的な題材、頑張る人々へ送る細やかなエールと、非常に魅力的な要素を多く含んだ見応えのある一作だった。
実は、エンドクレジットに海外戦略云々の文字があった事から、『カメラを止めるな!』よろしく海外ヒットも視野に入れた(また、口コミによる広がりという点も含めた)、意外と強かな作りの本作が今後更なる広がりを見せる事、安田淳一監督の今後の更なる活躍に期待したい。
余談だが、数年後ハリウッド辺りで“時代劇”の部分を“西部劇”に変えてリメイクされるんだろうな(笑)
最後は引き込まれる
話題の映画ということで鑑賞。
序盤は正直言って荒さが目立った。録音が変だなとか140年じゃなくて百四十年って書けよとかね。
でも中盤の中だるみ期間もそれなりに楽しめたし、最後どうやって盛り上げるのかなと思ってたら、なるほどそう来ますか。
この文字通りの真剣勝負は手に汗握るというか息をのむというか迫力すごかった。
この立ち回りだけでも見る価値があると思う。
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