侍タイムスリッパーのレビュー・感想・評価
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期待しすぎてしまったか
想像を絶する面白さ!
あまりアンテナにかからない作品だったが、第48回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞する等々話題にあがっていたので鑑賞。
これは確かに面白い。挿入歌や効果音が絶妙だし、役者陣の演技がすばらしい。個人的には知らない役者さんばかりだが、主役クラスはもちろんのこと脇を固める役者陣も細部にわたって実に良い演技をしていて終始目が離せない。特に、ショートケーキを食べるシーンからの時代劇鑑賞シーンは最高。「おぉー」からの「なにっ」は笑い転げるほどの好テンポ。師匠との立合いでどうしても剣を受けちゃうシーンも傑作。「あほっ、受けてどないすんねん」 からの「違うやろ」最後に「何でやねん」の師匠のノリツッコミ三重奏も何度観ても笑える。
そして、笑えるだけでなくグッとくるシーンも多いのが本作の魅力。特に武士道たる孔子の論語も心に響く。「疏食を飯い水を飲み、肱を曲げてこれを枕とす。楽しみ亦た其の中に在り。不義にして富み且つ貴きは、我れに於いて浮雲の如し」まさに本物の武士を感じる。大袈裟でなくあらためて人生観を見直せる作品でもある。
自主製作でここまでのエンターテイメントは類を観ないでしょ。とにかく大好きな一作になった。
それにしても住職夫婦、いい味出してたなぁ。
低予算を取っ払っても、いい映画
いい意味で自主制作映画的。場面転換に大きな幅がないところは、逆をいうとCGにもロケにも頼り過れないというところだ。ここがいい意味で自主製作映画的と評したところ。つまりは低予算という縛りをうまく活用していると思う点だ。
こうした低予算つまり、制約性を取っ払って観る。脚本の芯がスッと通っているから、ブレずに没入できる。タイムスリップものとしては、ありがちだが、斬られ役というところに着目したところが侍のタイムスリップとしては、ドラマが進みやすい。
主人公がその設定を少しずつ理解し、受け入れていく流れに多少の引っ掛かりを持つのだが、その前段の現代の平和な世界と豊かな食生活に驚くあたりで解消を試みているのがとても良かった。いつまでも、現代の生活に驚き続けるのではなく、ちょうどいいところで幕末との違いを受け入れるあたり。ここを引っ張り過ぎると、食傷気味となるのだ。
物語は時代の生き方・立場・信念を呼び戻し、敢えてそこに身を投じ直す二人の侍がぶつかり合う。斬られ役ということで、劇中劇の視点が必然的に取り入れられ、ある意味メタ的な俯瞰視点に切り替わるのかと思えばそこに執着しない。
安田監督のテクニカルで情熱的で映画への溢れるまっすぐな想いが伝わってくる。「ほら、それはキミの思い通りの展開とちがうで」と言われているように。
優子ちゃんのかわいらしさが、ラブコメ路線を裏側で牽引している。深入りしないラブコメさはとてもココチいい。また、京都のいい意味での閉鎖的な土地柄・「いけず(イジワル)」さを知った上で、和尚夫婦をはじめとする「人間の優しさ」ってものが人情味を深める。つまり、よそ者に厳しい京都人のくせに、優しいやん!ということだ(筆者は生まれ育ちいまなお京都人である)。
7,000万円という低予算に対して、興行収入10億を越えたこと。日本アカデミー賞「最優秀作品賞」とのことだが、注目されるきっかけを与えてもらわなくては観ることもなかった自分の映画眼(ムービーアイと呼んでいる)がフシアナなのが恥ずかしい。
主演の山口馬木也さんはテレビでちょいちょい目にすることはあった。もっと光を浴びて欲しい役者というのが世の中にまだまだいるのだろうと感じてしまった。
斬られ役といえばの「福本清三」さんと侍がタイムスリップするというCMを結び付けたあたりが、安田監督の眼のよさなのだとつくづく思った。良い映画だった、ちょっと疲れた大人は必ず観るべきだと思う。
ちゃんとしてる。
「カメラを止めるな」を引き合いに出されてたので、
何というかもっと雑な低予算感が半端ない作品かと
思ってたらちゃんとしてて、まず驚いた。
侍がタイムスリップしたらまずどうなるか?
と言うところの笑いを抑えてるところは面白かったし、
無くなりつつある時代劇への敬意と愛も感じました。
ただなんとなくサプライズを期待してたので、
サムライが斬られ役をやってエンディングでどうなるかを
楽しみにしてたので、
そう言う部分ではやや満足出来なかったかなと思います。
物語は、侍がタイムスリップしてやって来ると言うとんでもない設定から時代劇へのリスペクトを語ると言う点は
とても観やすかった。
残念だなと思ったのは、
タイムスリップした時の髷はカツラじゃなくて、
本当に剃っていて欲しかった。
そこの笑いはいくつかあったのかなぁとは思いました。
役者さんもみんなとても芸達者と言う感じで驚きました。
観やすかった理由もそこにあると思います。
良い映画だと思うけど
主演の役者さんが素晴らしいし、笑えて良い映画だと思うけど評判ほどのめり込めるかと言われるとうーん…。会津藩の最期を知って真剣で撮影する必然性がよく分からなかった。
低予算の知ってる映画といえば「カメラを止めるな」と大好きな「運命じゃない人」。どっちも脚本で唸らされる映画だったから、そういうのを無意識に求めていたのかなあ。
預貯金使い、車を売って作った安田監督魂の一作
自主映画で単館上映から全国へ、そして日本アカデミー賞の作品賞を受賞した歴史を変えたインディーズ映画。
監督は農業しながら自主映画を制作し、本作長編3作目となる安田淳一監督。
安田監督は本作を取るために預貯金を注ぎ、持っていた車を売るという身を削り削って制作したらしい。
物語は・・・
侍があるきっかけから現代にタイムスリップしてしまい、偶然紛れ込んだ時代劇の斬られ役へ
成り上がっていく話。
まず見終わって感じたこと
「この映画を劇場で見たかった!!」
ラストの命をかけた殺陣のシーンの冒頭、
2人の睨み合いの「間」、これは劇場の没入できる場所でぜひ味わいたかった。
配信で見ていたけど、「え?これ止まってる?」って思わずリモコンを探そうとした瞬間に始まった。
物語はよくある時代を超えたタイムスリップ系かと思いきや、そうぞう異常にアイデアが面白い。全て想像を裏切られた。
現世にタイムスリップしながらも、頑張って馴染もうとする姿勢や、剣術を鍛えていたからこそ斬られ役に突き進むストーリーが笑えて、そして気がついたら引き込まれて、気がついたら感動させられていた。
ストーリーが面白いのはもちろんやけど、さまざまな熱いメッセージに溢れた作品でもあった。
まず、なんといっても衰退していく時代劇に対する鼓舞、
昔は「暴れん坊将軍」「水戸黄門」「必殺仕事人」など時代劇がさかんだったが、今は地上波でも放送されることは無くなったことをセリフを通して観客に伝えている。それほど苦しい状況の中で、この作品は時代劇の素晴らしさを表していたと思う。
次に努力する人を背中を押してくれる内容。
努力し続ければ誰かが見てくれている、努力は決して無駄ではないという言葉。
特集番組の「アナザーストーリーズ」に描かれていた斬られ役のレジェンドである福本清三さん自身がずっと斬られ役に魂込めて演じた結果60歳になって注目されたという話が、この映画を通して伝えてられていた気がする。
そして、何より映画を作ることの素晴らしさを映画の内容だけでなく、作りきった結果、1つの映画館からアカデミー賞までたどり着く歴史に残る偉業は、何があっても面白いものを作りたいという安田監督およびキャストやスタッフ全員の熱い想いがあったからこその作品だと思う。
熱量は常識を破る。
ものづくりの原点を感じる映画です。
息詰まるチャンバラ
時代劇すきです。義理、人情、正義、誠、上下関係、裏切り、敵討ち、家族、兄弟、仲間、怨みはらします、父上、母上、藩の為に国の為に、日本の為に、切腹。今のジャパンにないあらゆるモノが時代劇にはあります。毎日パソコンをパチパチやってなんとなく仕事したような気分になった会社のサラリーマンの自分とは縁のない世界。たまにみたりしていーなあ江戸時代とか思いますよね。この作品は、素晴らしいです。よくできています。なぜ武士は滅んだのか?我々が失ったものの方が多く、昔の方がよかったのでは?いえいえ
刀と刀で殺し合い?とんでもない。血がどバーとか
リアルではやはり駄目でしょ。コンプラ的に。とか
考えながらみちゃいました。うまい、ながれ!
しかしながら、最後の
対決、良かったですー。まじで。息詰まる死闘。
コロシアイ。切られ役ではなく本気の剣。
やっぱり主役の山口馬木也さん、素晴らしいです。
男らしさ、武士らしさ、行き詰まった悲しさ。
あと、武士としての切迫した迫力。とにかくよかったです。今後の活躍に期待してます。
歴史も文章として読むと淡々としてますが、もし
当事者として読むことがこれほど悲しい事なのかと
考えちゃいました。なるほどいいシナリオです。
ぜひ、映画館で
悪くはないけど
絶賛する程かなぁと言うのが正直な気持ち。
使い古されたタイムスリップ物と言うネタを良く仕上げたとは思うんだけど、サムライわりとすぐ現代に慣れてるなwなので、お約束の、その辺のドタバタは良くも悪くも短い。
細かい部分が気になるので、映画界で働き始めたサムライ(しかも、先に来てるヤツも居た)が戸籍とか、納税どうしてるんだろう?って思ってしまう。先に来たヤツは既にスターなんだしね。
ラストの真剣でのシーンは蒲田行進曲の階段オチが元ネタかなぁ。蒲田行進曲はあくまでも、元々のストーリーに沿った階段オチなんだけど、コレは相手が勝ってた場合どうすんだ?
笑ったのは、最後の「今日がその日ではない」だけだった。
最優秀作品賞は無いでしょ
レビュアーの皆さん書かれていますが、脚本が弱い。
手垢のついたタイムスリップものとはいえ、題材はいいと思います。
もう少し丁寧に作ればもっと面白くなったんじゃないでしょうか。
いかんせん、脚本が薄い、大雑把、穴だらけ。
何より、他の方も書いてましたけど、未来の概念すら無い人間が、江戸時代から現代にタイムスリップして、ほとんど葛藤もトラブルも無く、そんなにサクッと現代の生活に馴染むか?
ケーキで泣くくだりも、甘くて美味しいお菓子というのはわかる、けど、油と牛乳と小麦粉でできた、摩訶不思議な生まれて初めて食べるお菓子に
感動して泣くか?
そして、真剣。
時代劇の立ち回りを真剣でやるってあり得ない設定でしょ。
学生が勢いで作った自主映画だよ。
そういう雑な内容の割に、上映時間2時間超えとダラダラ長い。
まぁ、唯一「時代劇愛」には共感するところがあったので☆1.5。
令和のカメラを止めるな
さすがに300万で製作とは いかなかったみたいですが 私財を投げ打ち車を売っての2600万円は背水の陣です。米農家と自主映画製作 の兼業農家監督。初の時代劇 製作とのことです。
舞台は映画製作の現場令和のカメラを止めるなですね。
さすがにカメ止めのように300万では作れませんでしたが 私財を投げ打ち 2600万円を投入当初 車を売るつもりはなかったけれども 追い詰められて売ったらしい。
低予算で映画を作成する場合 普通 時代劇は避けます なぜなら 衣装 ロケ地スタジオ代全てに 現代劇 より お金がかかります。脚本の素晴らしい出来に東映の裏方 さん全編 協力です。物語は幕末の下級 武士が現代の時代劇スタジオにタイムスリップするとこから始まる。切られ役としてようやく生活ができるようになったある日 現代劇のスター(元時代劇の大スター)が本格 時代劇映画を作ると発表 その相手役に主人公を指名する。ここから物語は大きく動き出します。エンディングには侍トリッパー2 への布石が!全編に時代劇 愛が溢れています。福本清三さん(昭和の切られ役として有名)へのリスペクト。時代劇が廃れていくのは NHK の 朝ドラ カムカム エヴリバディ ひな た編でも描かれていますが あの中に出てくる伴虚無蔵役(大部屋の 切られ役)の松重豊さんも福本さんへのリスペクトは インタビューで答えています。面白い 脚本 ならば 低予算でも面白い作品が作れます 良い見本です。テンポを大事にする人 なら見てもいいと思います。
最後は泣けた
山口馬木也がしぶい
映画館で毎月3本は映画を見ていて、マニアックな映画も大好きな60代女性です
この作品は映画館の席で笑える映画でした。 こんなに気持ちよく笑える映画ってひさびさ!
この映画は面白い!というレビューを見て、木場まで遠征したかいがありました
山口馬木也さんは時代劇大好き夫の見ている「剣客商売」で知っていました
あの頃はたぶん30代、当時も着物とちょんまげが似合ってきりッとしたイメージでした。でも侍タイではいい感じに年をとっていて、しぶい中年になっていました。しわもカッコいいし、表情がある演技に見とれました。性格も良さそう!
刀の文化が長い日本では時代劇は切り離せません。これからも見ていて気分が明るくなる映画を安田監督に作ってもらいたいです。大好きになった山口馬木也さんにはこれからの活躍を期待しています!
アイドル出演の日本映画には興味もないが…
某令和の虎を主宰する社長の言い方を真似するなら…
『ヒットしてるとはいえ所詮自主制作映画でしょう?…』なんて軽い気持ちで観たら画面に釘付けになった。
安易に人気グループの男の子やアイドルを起用する、所謂どう見てもキムタクじゃん!的な恋愛日本映画には興味もないが
先ず、主演の山口馬木也にハマった。
とにかく渋いし何気ない笑い狙いの演技も自然で無理矢理なストーリーが楽しく進んだ
今や大御所俳優に指名された時のビックリ展開も良かったし益々惹き込まれた。
最後の場面は?????だったが
自主制作映画なんだから思い切って過去から来た二人のことを皆んなが理解してる事にしちゃえば、現代では御法度な場面を撮影してることも許せる…みたいにして欲しかったかなと感じました。
アッという間の120分?楽しかった…ありがとうございました。
日本映画が帰るべき場所
3回目の鑑賞を終えて、まだ投稿していなかったことに気づき、改めてレビューします
日本アカデミー賞の発表前に、もし今年の最優秀作品賞が本作でなかったら、日本映画マジ終わってるな、と思っていました。正直言うと、監督賞、主演男優賞、助演男優賞についても同じ気持ちです。特に監督賞は。仕事のクオリティ、作品を通じて成し遂げた成果、これからの映画界存続に向けたメッセージとしても...
受賞スピーチで主演の山口馬木也さんが、「この作品が今後自分の帰る場所になる」といったことを仰っていましたが、この映画は「日本映画の帰る場所」(であるべき)だと思いました
この映画には、娯楽映画に必要なものが全てあり、ストーリーを語るために必要なシーンが全てあり、余計なものが一つもない。
(あ。唯一、住職が檀家の家から電話するシーンは抜いても成立しますけどね(笑)。多分、次のカットへの繋ぎを撮り直せないとか、一瞬映るロケ先か俳優さんとの関係とか、予算上の都合とか、こちらには窺い知れぬ理由によって残されたのかと)
撮影の予算はなくても、自己満足ではない完璧なストーリーやプロットを練ること、演者がそれを十分に理解して登場人物の"想い"を演技に乗せること、作品のメッセージを観客に伝えること、それらが十分に可能なのだ、と教えてもらいました
少なくとも、今日の時点では My GOAT Movie です!!
蒲田行進曲が好きな人ならおすすめ
数多の秀作を抑えての日本アカデミー賞。
何でだろうと思いながら鑑賞しました。
映画を創る人、それに関わる人、映画を愛する人には胸アツの台詞が散りばめられており、賞の受賞はやや内輪受けとも言えるのかもしれません。
寺の門前の決闘シーンからのタイムスリップ、撮影所から寺に居候するまでの展開は、芝居も脚本もテレビドラマレベルで、「映画」として観るには正直ちょっと辛いなと思いながら観ていました。
風向きが変わったのは、高坂新左衛門がショートケーキを食べるシーン。
この作品が単なるコメディではなく、ちゃんとメッセージ性がある作品であることがハッキリした転換点でした。
そこからは胸アツシーンの連続。
昔の映画最盛期からタイムスリップしたような、今ではスベリもしないギャグも散りばめながらのお約束のラスト。
このラストのために3人用意していたのねと合点がいきました。
高坂新左衛門と風見恭一郎の決闘シーンは痺れましたね。
今度観た時は、あの間合いの時間を計ってみようと思います。
最後に、風見恭一郎は寺泉憲さんが演じていると思っていました。
冨家ノリマサさん、ごめんなさい。。。
いや全然良かった、主演の山口さんという方は正直知らなかったが武士で...
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