侍タイムスリッパーのレビュー・感想・評価
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真剣に殺陣を観た
これまで、時代劇や時代劇の映画を観たことがあったが、こんなにも一歩目が動かない一瞬の生死をかけた殺陣を観たことがなかった。
そもそもこれまで、殺陣について漠然と観ていただけだったのかもしれない。
くしくも、今日はエミー賞で作品賞や主演男優賞で真田広之の「SHOGUN」か選ばれるなかでこの侍タイムスリッパーを鑑賞できたのは感慨深い。
時代劇の先は明るいというには大袈裟だか、時代劇の終わりは今日がその時ではないと思えた濃密な一日となった。
映画が面白い事の再確認
映画というのは綺麗な役者と綺麗な物語が付き物という理想を「カメ止め」の次にぶち壊してくれてありがとう。
時に無理ある設定も「うるせえ!面白いだろ!」と強引に説得されるような泥臭い面白さ。
これを非難してる人は多分映画関係者かシネフィルだと思います。めちゃくちゃ非難する理由も分かる。でもこれが「映画」の本質的な面白さなんじゃないのかな。
映画、面白すぎ。貴重な映画体験でした。天晴れ。
生き抜くこと、生かすこと
現代人が戦国時代にタイムスリップする作品は枚挙にいとまがない。
一例では(TVドラマだが)、
「NHK少年ドラマシリーズ」の〔夕ばえ作戦(1974年)〕。
『光瀬龍』の原作で、今は「笑点」で座布団運びをしている『山田隆夫』が主演。
「おもしろうてやがて悲しき」ストーリーが心に残っている。
対して、その逆は珍しいかも。
自分の記憶では〔ちょんまげぷりん(2010年)〕〔サムライせんせい(2018年)〕くらいか。
後者のTVドラマ版と、共に主役が『錦戸亮』なのは面白い。
わけても〔サムライせんせい〕は、幕末の志士が現代にタイムスリップし、
文明に戸惑いながらも人望を得ると言う・・・・。
時は幕末、所は京都。
長州藩士を討つ藩命を受けた
会津藩士『高坂新左衛門(山口馬木也)』は敵と切り結ぶさ中、
落雷を受け百四十年後の現代にタイムスリップ。
気が付いた場所が時代劇の撮影所だったのは幸運。
その場に居ても違和感のない装束。
風貌や所作、言葉遣いまでも、
(時代劇での)武士道を極めていると
好意的に受け止められる始末。
騒動を起こし混乱しながらも、周囲に助けられ
次第にこの世界で生きて行く決意をかためる。
のっけから「繰り返しのギャグ」がさく裂。
撮影のシステムを上手く活用しており、笑わせてくれる。
が、以降は、文明のギャップから生じる可笑しさは、
意外なほど出て来ない。
寧ろ現代人にとっては当たり前の、
白米のおむすびやショートケーキを食べる件は、
幕府が滅び日本が豊かな国になった
主人公のレゾンデートルを揺るがすエピソードが頻出。
周囲は皆々良い人ばかり。
主人公が異世代の人間であることなど
考えもしない。
また『新左衛門』もすんなりと
現代の流儀に馴染んでしまうのは、
いかにも日本人らしいというべきか。
終わり方は元の時代に戻るのか、
現代で生きて行くのかの二択。
さて、どうケリをつけるのかと注視すれば
中盤以降に思わぬ展開が待っている。
良く考えれば、これはアリな設定で、
何故にここまでで気づかなかったかと虚を突かれる思い。
ここから物語は一気にシリアス路線に舵を切る。
豊かになった日本を理解はするものの、
そのために犠牲になった過去の時代の同志たちを思えば、
やり場の無い思いが去来。
そうした憤懣を背景にした、鬼気迫る技斗のシーンの迫力たるや・・・・。
一切の外連味を排し、ただ互いの思いをぶつけ合う二人に、
決着も併せ目が離せない。
恨みや憎しみが何も生まないことも、
説教臭くなく、余韻を以って提示する。
ラストのシーンも思わず哄笑が巻き起こる
心憎い流れ。
ただ、これも、考えてみれば
事前に仄めかされていたのだよなぁ、と。
エンドロールを見ていれば、
スタッフの各パートに同じ人名が何度も登場し
一人十幾つも役割で撮られていたのが良く判る。
が、そうした忙しなさと、
作品のクオリティには全くの相関は無し。
笑ってほろりとさせられる良作は、
多くの人の目に留まり、制作陣に相応のリターンがもたらされることを望む。
おじさんによるおじさんおばさんのためのおじさんの映画
僕も50過ぎのおじさんなんだけど。
カメラはフィックス、3灯照明、切り返し編集という映画づくりの基本が染み付いてる印象。面白くないわけではないけどいろいろと古臭さがにじみ出ててそれがちょっと悲しくも感じたり。(特にお笑い表現)
前日に「ぼくのお日さま」を観たのもあって若手監督との映像センスの差を感じずにはいられなかった。あと映画の中で映画愛を語るのもちょっと苦手。
と否定的なことばかり書いたけど同世代としてこれだけの偉業を成し遂げたことには称賛を送ります。素晴らしい。
幕末マンセー
見てよかったです。
確かに時代劇への愛情も伝わりましたが、
幕末大好きなおじさんとしては、
会津藩士の主人公の歴史を知った悲しみと、
素晴らしい世の中になったことへの喜びの入り混じった感情がたまらなかったです。
最後は自分の死に場所を見つけにいったのだ思いましたね。
日本の武士道よ、永遠なれ。
会津藩と長州藩と、複雑な関係
サムライ、といっても、明治維新では国ごとに関係が良くないストーリーが簡潔。タイムスリップして、この時代の藩と藩のサムライが、どんな感じだったか、が、伝わってきました。現代は県と県の違う普通の日本人ですよね。
もう一度観に行きたい
レビューが良かった為、面白いと良いな〜くらいの気持ちで鑑賞。
すごく味のある映画でした。俳優さんたちの演技も素晴らしい。肩を揺らしてしまうほど笑ってしまうシーンもあり、また、あれ?泣くつもりなんてないのに、、というシーンでもじんわり涙が出てくる事も。
タイムスリップした侍が、現在の世でただただ頑張って生きていく話かと思っていましたので
、特に中盤以降の展開は意外で、すごく引き込まれました。
低予算ならではの、洗練されていない部分も多々あるかとは思いますが、私はこの映画すごく好きです。ぜひご鑑賞あれ。
面白い!超お薦め映画
映画館で声をあげて笑ったのは何十年ぶりだろう。峰さん演じる殺陣指導と切られ役稽古をするはずが峰さんが切られて稽古にならないシーンは観客全員大爆笑だった。その一方で後半は超シリアスな演技で鬼気迫る熱演にこっちも胸が熱くなるシーンもあり、最後まで泣き笑いながらのエンディングでした。
観客が年配の方が多かったせいか結構大勢の方がトイレ退席があったのはご愛敬。2時間ちょいで結構長めの映画なので上映前にトイレを済ませることをお薦めします。
山口馬木也がとっても良い
斜陽どころか消滅の危機にある時代劇に、もしもホンモノの侍が参加したら、という自主制作映画。チープなタイムスリップものな予感しかしないが、見てびっくり。いやもう、面白かったわ。センスが良いです。
高坂さん、最高。
自分がタイムスリップしちゃってることをあっさり潔く受け入れて、特技を生かして斬られ役としてこの世界で生きていこうと奮闘する姿が溜まりません。誇り高くも謙虚で、不器用朴訥にして努力家、正義感強く感謝を忘れない会津藩士。顔の表情も所作も、武士の風格があって良いです。常に国のこと、藩のこと第一の武士らしい信念が美しい。
いちごのショートケーキをほおばりながら、こんな美味い菓子が普通の人でも普通に食えるなんて日本は良い国になったんだな、と泣くところ、私も泣きそうになりました。白いご飯のおにぎりを、こんな美味い握り飯をたべたことない、にもほろりとしたが、食うのがもったいない、と言いながらしっかり食べておかみさんに静かに突っ込まれてて爆笑しました。
恋心を抱く優子ちゃんにいいところを見せたいちゃっかりなところもいい感じ。
マドンナの優子ちゃん、居候させてくれる住職夫妻、殺陣の師匠、斬られ役(大部屋俳優、って今でもいるの?)の同僚たち、周囲が温かい良い人たちで気持ちが良い。
あちらの世界で斬りあいしていた相手はどうなったかと思ったらそうくるか。
意外性があって展開が読めなくなりアイデアに感心した。脚本が上手い。
江戸幕府は140年前に滅んでいること、そして明治維新以降の旧会津藩の人々の窮状は歴史が物語っていて、それを知った高坂の慟哭、彼一人の力ではどうなるものでもないが、自分だけ知らぬ顔はできないと思い詰めるところからのクライマックス。
宿敵・桂(風見)とのライバルなのか友情なのか、入り組んで微笑ましい関係ながら、現代の日本にすっかり溶け込んだふたりながら、決着をつけるときが来るのは必定。
立場は違えど誇り高い武士としての生きざまをぶつける真剣での勝負に、息をつめて見入ってしまった。
勝負の結末は想像ついたが最初のアレにはびっくりした。
私は生まれも育ちも関東なので、薩長より坂本龍馬より、新選組や会津藩、旧幕府軍贔屓なので、高坂の心情に寄り添いやすかった。
タイムスリップに「雷」はもはや「法則」、万有引力並みの世界の常識のようです。
東映京都撮影所の特別協力があり、撮影所で機材とオープンセットを使って本格的に作れたことで、この映画に堂々たる重みが出たと思う。
また、殺陣が高い技術を持った本格的、どころかホンモノで、現場の稽古場面、段取りの付けかた、などなど、プチドキュメンタリーのような迫真感があり、チープなB級映画と一線を画したと思う。
始終笑えるコメディーだがふざけすぎず、見せ場は正統派できっちりしっかり見せるバランス感覚が絶妙。また、ありがちな、高坂がタイムスリップの現実を受け入れるまでのエピソードをばっさり排してその分時代劇と殺陣、時代劇愛のほうに使っているのがとても良い。
見事な殺陣ができるのはもちろん、生真面目な武士からの笑いのセンスもありありの山口馬木也がとっても良いです。
自主映画で始めた、監督・脚本の安田淳一あっぱれ。
優子ちゃんは、本物の助監督なんですってね。
オチに爆笑しました。忘れてたよ彼のこと。
知らない俳優たちが輝きすぎ!
映画の可能性はまだまだあると納得させてくれる作品でした。出てくる俳優たちは、ほとんど見たことがない人ばかりなのに、何故あんなに輝いてインパクトがあるのだろうかと、不思議な感慨に襲われました。これはひとえに映画愛が作り出した稀有な映画なのかもしれません。主人公は会津藩の侍であり(同僚も含めて2人)、相手役は倒幕派の侍です。この3人が争っている時、雷に打たれて現代にタイムスリップしますが、それぞれに時間差が起こり、それがストーリーに何重もの深みを与えてくれているところは見事です(現代に生きて特に中心の2人は多くのことを学びます)。現代においての設定は、時代劇を撮影する京都撮影所が舞台です。その撮影所の中で過去から現代に来た主人公が、ひょんなことから時代劇の役者を演ずることになり、自身の中にある会津藩への思いを演技の中で爆発させるのです。まさに自身の中に溜めてきた正義感の爆発なのでした。しかし、歴史は大河の流れのように、善も悪も全て濾過して流れていくものなのでしょう。ラストは「許す」という寛容の精神が主人公の心を救います。憎き倒幕の侍を許すという自分を「許した」のです。ヒロインが主人公の頬を勢いよく叩いた時、見事に吹っ切れた気がして涙が出ました(他にもなぜか泣けるシーン多し)。いずれにしても、独特な雰囲気で始まったこの作品の没入感は半端ないです。あっという間にエンディングまで観てしまいました。その中でも、ヒロインの天使のような言動に癒されました(笑)。
こういうのに当たるから映画はやめられない
幕末、会津の侍が長州の志士を討たんと剣を合わす瞬間、突然の雷に打たれて目覚めると太秦の時代劇セットの中、はて、これは一体
自主制作の単館作品が評判を呼び配給がついて拡大上映、どっちに転んでもおかしくない局面がつづく絶妙な脚本と徹底して描きだされる殺陣の美しさと奥深さ
いやこれ実に素晴らしかった、もしいつか時代劇の歴史が途絶えるとしても、今がその時ではない
前席の親子連れ、終演後に高学年位の娘さんがお父さんに本作の魅力を力説しとる、わかりますその気持ち
終盤が残念
全体に期待以上だったし、笑ったし泣いたし、良かったんだけど…
最後の立ち合いで真剣を使いたい、と言い出したとたん冷めてしまった。いくらなんでも。主人公が言い出すのは100歩譲っていいとして、現代で30年生きてる相手役とか、現代人の監督とか乗ってくるのはおかしいでしょ。
助監督が良識的なこと言ってるのに、圧力で黙らせるのも見てて不愉快だったし。逆にビンタしても許されるのもおかしい。女だから?彼女や奥さんじゃないんだよ?仕事仲間だよ?男社会で戦ってるんだとかいう割に、全く仕事仲間として描かれてないじゃん。
結論はとても好きだし、役者さんの演技もとても良かったし、もっと上手くこの結論に持っていけなかったのかなぁ。
途中イラっとした分、最後の感動が薄まって残念だった…
お見事でござる
ラストの緊張感、コメディー作品であることがまるでウソのよう。満員の場内が固唾を飲んで成り行きを見守る。
相手の初動を窺って静止画のように向き合う2人。ここでまさかのお預けエンドなんてことも頭によぎる長〜い時間が経過した後の怒涛の立ち合い。本物の時代劇がそこにある。
コメディーの文法通りというか、わかりやすいフリにわかりやすいツッコミ。なんだけど、笑いのツボが自然に押される感じで、思わず笑ってしまう。
さっさと逃げてしまった徳川慶喜の代わりに明治維新の生贄にされてしまった会津藩。その悲劇の前に高坂新左衛門は現代に召喚されてしまう。時代劇撮影所に現れた新左衛門のくだりは、予告で知っていたんだけど最高に面白い。このシーケンスは、リハーサルと本番テイクを上手く組み合わせていて、笑いの波が押し寄せてくる。
時代劇の切られ役として今の生活に慣れてきた頃に、新左衛門は会津藩の悲惨な行く末を知ってしまう。新左衛門の慟哭に、こちらも涙を誘われるが、この新左衛門の魂の叫びがラストへの大きな伏線となっているだけでなく、物語に大きな厚みを加えている。
この作品は、大勢の観客と喜怒哀楽を共有することによって、2倍にも3倍にも感動が深くなります。とにかく、劇場で観てみてください。最大限に推奨します。
で、彼らの戸籍はどうなってるんだ!?
レイトショー『侍タイムスリッパー』
当初1館だけで上映が始まったインディーズ系の作品が、口コミ効果で拡大上映!
なんとTOHOシネマズ西宮でも公開って事で観て来ました
昭和世代なので、時代劇の全盛期も知ってるだけに画角やアングル最高でした
ストーリー的には、タイムスリップモノなので、目新しさとビックリな展開はないかな^^;
ただ創る側の熱意と俳優さん達の所作は素晴らしい!!
主演・山口馬木也さん含めて、冨家ノリマサ・井上肇さんなど・・・
名バイプレイヤーとして、数々の映画・ドラマに出演されてるので画面の安心感ありです
話題の1本として劇場で是非!
で、タイムスリップして来て帰れなくなった彼らの戸籍はどうなってるんだ!?
侍は時代劇と映画館を救うか
「侍タイムスリッパー」上映前から座席を間違える観客が続出で僕の席でも「座席間違えてませんか?あっ、火曜日だ!」なんてやり取りが。つまりカメ止めと違って普段映画館に来ない客層を大量動員してますね。映画はベタな笑いが満載の安心して観られるコメディになってるし、この現象は拡大するかも。
切られ役をやるために関本に弟子入りを志願した新左衛門を住職や優子が迎えるシーンは男はつらいよへのオマージュだよね。
改めて、俳優ってすごい。
メディアではあまり取り上げられてないですが、徐々に公開館数を増やしてるそうで。そして、インディーズ映画。
既視感‥。どこか、「あの映画」と似た香りがする。
たまにしか行かない、TOHO系列にて鑑賞。観客はほぼ中年以上。男性率高め。
レビューなんかみてると絶賛の嵐、恐らく「あの映画」と同じ様にネタバレ厳禁、爆笑の嵐の映画体験ができるのでしょうと期待大。
序盤、こてこてのギャグに、空振りもあるけどチラホラと笑いが出て良かったです。でも、「あの映画」の様に映画が2度始まる訳ではなく、あくまで王堂のストーリー。
後半はメッセージ性(先人たちの思い・未来への継承)強く感銘を受けます。「殺陣」に対する解説もなるほどと目を見張ります。
今作は、「あの映画」程、どんでん返し、爆笑などの要素はありません。しかし、普段はあまり見られない俳優(特に、山口馬木也さん、冨塚ノリマサさん、峰蘭太郎さん)のセリフ、拳の効いた一言は圧巻です。スクリーン越しに効いても迫力が凄いので、間近にみるとさらにすごいんだろうな。
インディーズ、自主制作作品としては素晴らしい出来。 ストーリーから...
インディーズ、自主制作作品としては素晴らしい出来。
ストーリーからネタまで、予想できるモノばかりですがそれがいい。
漫画、アニメでよくありがちな展開まさに王道という感じです。
半年ほど前に上映していた身代わり忠臣蔵を思い出すような作品でした。
この作品が楽しめた方はお勧めします。
多少、粗はありますがインディーズならではの良さがあります。
男性陣の演技にとても魅せられました。
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