侍タイムスリッパーのレビュー・感想・評価
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高坂の人柄
序盤からその設定の妙と面白さに引き込まれた。最初の撮影を邪魔しちゃうシーンとか最高だった。
なんといっても高坂の人柄がすごく魅力的にうつっていて良かった。撮影を邪魔したシーンでも、周りの空気から、何かご無礼を致したようでと即座に謝ることができる。時代劇に素直に感動できる。斬られ役としてレベルアップするために、努力を重ねていける。あの人柄があったからこそ、高坂は現代で周りに助けられ生きることができたのではないか。
かなりコメディに寄っているのかとおもったが、そうではなく後半もさらに見応え十分。最後の対決シーンは迫力があった。
時代劇を通して、私たちはあの時代に生きた人達の思いや生き様を知る。時代劇復興というメッセージも込められた本作品。
映画やドラマを作る人達の気持ちや思いもすごく表現されていて、それ故に第二のカメ止めと言われるのもわかる気がする。
中盤は中弛み感が少しあったので、作品時間の調整があっても良かったか。
これインディーか…
肉を切らせて骨を断つ
遅ればせながら、いい映画でした!!
比較される『カメラを止めるな』では、ワンカットという秀逸な設定の中での、日本人の真面目さや家族愛、そして人生への愛が感じられウルッと来ました。
本作はそれに加え、武士道の精神とその「信念」というものに対する殉死(乃木将軍が切腹したように)を思い起こされやはり胸にグッときました。
主人公が自分を捨てずに新しい道に挑戦できたのも、最後に命あれば気持ちを伝えたいという相手が出来たからだと思います。いいですね...
そして武士の魂である『真剣』は、ここで、生きてきた時代とともに片付けたのでしょう(片付けるとは、一つ一つ大切に片を付けるという事ですよね...)。
監督の、「肉を切らせて骨を断つ」的な人生が感じられるいい作品でした。
そしていつもこんな私を楽しませてくれる、全てのエンタメに携わるスタッフ(クリエイター)の皆さんに称賛と(労いと)感謝を...ありがとう!
話題になってたけど裏切らなかった!
めちゃめちゃ面白かった!
主演の山口さんがすごくよかった!
喋り方や佇まい、刀さばきがかっこいい〜
殺陣技術集団「剣会」となるものを知らなかったし、時代劇ってこうやって作ってるのかと勉強になった。
お侍さんの礼儀正しさが素晴らしいし、殺陣のシーンは息を呑む素早さ!
幕末から突然未来にタイムスリップしてからの馴染みの早さはびっくり笑
で、切られ役の初稽古で切られないでいる連続シーンで吹き出してしまった笑
暗殺しようとした相手もタイムスリップしてんだろ〜
と思ってたらまさかの30年というタイムラグ笑
ラストシーンまで抜かりなくとても楽しめた!
メッセージを受け取れるかどうか
こういうので良いんだよ!こういうので!
って、タイトルで全てって感じの感想なのですが、武士が現代にタイムスリップしてくる話は数多くあれど、飛んだ先が時代劇の撮影所って設定はナイスアイデアだと思いました。主役を演じた山口真木也さんがどこかで言っておられましたが、嘘の嘘を演ずる、つまり実は本物の侍なのに、その本物の侍が偽物の侍を演ずるって話は確かにこれまで多分見たことなかったようにも思えるので、新鮮でした。
ともかく、いっぱい笑えるし、感動するところも結構あるし、それでいて旧来の時代劇をちゃんとリスペクトしてるし、多少なりとも脚本的にあれ?変だぞ?って思えるところもあったけど、そんなのカンケーネーって感じで見終えた時にスキッと「あー良い映画見たなー!」って思わず空を見上げて背伸びしたくなるようなそんな映画でした。
ただ一点、というか結構話の重要な部分だと思うんだけど、敵役となる冨家ノリマサ氏が演じてた方の役が、どうして時代劇を捨てたのか?あるいはなぜもう一度時代劇をやろうと思ったのか?についてはイマイチ何か説得力が足りない気がしました。私ならもっと簡単に、血を見たから、で良いんじゃないかと思います。
でもそれも、最後のあの壮絶な殺陣シーンで帳消しかな。あれは素晴らしかった。
ともあれ、日本アカデミー賞は獲ったし、カメ止めの再来と呼ばれるほどヒットしてるし、よかったよかった。
まさに真剣。
幕末の侍がタイムスリップして、時代劇の斬られ役として働くことになるというコメディのノリの映画。
と思いきや、終盤は緊張感が次第に高まり、最終シーンの真剣での戦いの場面になる。タイムスリップする前も真剣同士の斬り合いなんだけど、終盤の真剣の戦いの方が遥かに緊張感がある。それは、まさに現実シーンで役者同士が本当に真剣を用いているかのように感じられるからだろう。映画を見る時、戦いのシーンは真剣で戦っているとは考えながら見てはいるけど、そうは言ってもフィクションの世界。真剣でのやり取りなんてことは本当には思ってない。それを、劇中劇の時代劇と、現実の世界と分けて、現実の世界に真剣を持ってくるという構造にするおかげで、本当に真剣で戦うことの緊張感を感じさせてくれている。非常に上手い扱い方だなと思う。
役者さんの力も多分にあったとは思う。
とはいえ、良いところばかりではなく、前半と後半の主人公の性格のギャップが大きいすぎて半ば強引に終盤のシーンに持っていったなといった感じ。喧嘩腰すぎでしょ。
優子さんとのクダリがまあまあくどい。
全体的に低予算感あふれる感じは最後まで拭えなかった。
時代劇愛
痛快エンタメ映画
自分の人生の中に、隔世の感をもって振り返ることができる時代がある人にこそ深く刺さる
映画館で観て、いいなぁと思っていたら、アマゾンプライムで無料配信しているのを見つけ、以来、ヘビーローテーションのやみつき状態。いまではBGM代わりに流していても細かいところまで思い描けます。この作品は「すたれつつある(?)時代劇」という枠を超えて、自分の人生を振り返るときに、ああ、あんな時代があったなぁ・・・と、隔世の感をもって振り返ることができる時代がある人にこそ、深く刺さっているのではないかと思います(私の場合はまさにそうです)こんなに繰り返し見てしまう映画は、60年余りの人生の中で初めて。ダントツ1位です。ほんとうに良い作品をありがとうございます。主演男優さんの、どこを切っても誠に細やかな演技は本当に見事。(なぜ主演男優賞にならなかったのだろう?)小さなところで言うと、ビールを初めて口にするのであろうときの様子(ウィスキーロックのほうもしかり)、助監督への恋心を風見にあっちこっちでからかわれるときに見せるそれぞれの表情。そして全編通してですが、ごく自然な訛り(どうやって習熟されるんでしょうかねぇ・・・)ショートケーキのところから、テレビで番組が終わってお寺のご夫婦が放心状態になってるところまでは、私の中で一押しです。あと、剣心会に入門ゆるされて最初に関本さんに稽古つけてもらうところでどうしても切る側になってしまうくだり、関本さんの演技も画面のテンポもとてもよいので、わかっていても、何度見ても、笑ってしまいます。心配無用之介の中でおうめの涙声がとても上手で、髙坂の、鼻のクリームを拭いたティッシュで目をぬぐう表情とうまく呼応しているなぁと感じました。ちなみに、アマプラでは字幕を出せるので、聞き取れなかったところや知らない単語(「さかやき」とか)もわかりました。もっともっと話したいので、どこかに、ファンサイトみたいなものはないだろうか?と思ったりしているところです(笑) ところで二つ、いまだにわからないままのところがあるので、ここに書いてみたいです。1。140年後の日本に来たとわかって、さまよい歩いているうちに、タイムスリップする前に切り合っていたお寺の門に通りかかり、石段に腰かけて脇差(というのか、短い刀)を抜く場面。これは自決を考えていたのでしょうか? 2。お寺の住職が「あの男、悪い男や無いで・・・」奥さんが「あれは単なる役者馬鹿や(笑)」そして最後にゆうこ助監督が、「役者馬鹿・・・?」とつぶやく。このつぶやきは、何かの伏線になっているのでしょうか?結構間をとっているので、何か深い意味があるのかなぁと思いながら、わからずにいます。
メインの登場人物、みんな好きになる
これを日本の映画の基準にして欲しいぐらいだ
遅ればせながら見たのだが、面白くてビックリした。例に出して申し訳ないが、カメラを止めるな、は私は受け入れられなかったので、たぶん、これも同じ感じなのだろうと思ってしまっていた自分を恥じたい。
人間の声色、トーンがリアルなので、それだけで共感できるぐらい演技が自然だった。大抵の日本映画は声色が気張ってる感じがして私は受け入れられないが、それがこの映画には殆ど無かった。みんな自然体に近い演技をしてる。それが素晴らしかった。貴方の回りにも日本映画は嘘くさいから受けられられない、という私のような人がいるだろう。そういう人にでも遠慮なく勧める事ができる快作の映画だと思う。
むしろ、もっと予算がある日本の映画は、なぜ、こういう風な自然体の演出になれないのだろうか。これが日本映画の正解例だ、もっと真似しようという流れになって欲しい。その上で派手な映画は派手、内容のものは内容という枝分かれが望ましいのだが……。
文句なしの星5!!
こんなに面白い映画あったのか!と今まで観てなかった自分を引っぱたきたい!
なんの前情報もなく、暇つぶしに流し見するつもりで流した映画だったんだけど、導入からもう引き込まれて結局最後まで食い入るように観てしまった
間違いなく人生トップ3に入る。それくらい自分の好みドストライクで、滅多に星5なんかつけないんだけどこれはもう何の迷いもなくこの評価
とにかくコメディとシリアスのバランスが本当に絶妙。自分の描く"創作"の理想形そのままだった。殺陣で切られ役なのに侍が染み付いちゃってるせいで反応して斬っちゃうのも涙出るくらい笑ったし、「コメディ映画」としてだけでも完璧なのに、そこに「侍の矜恃」を時代劇と上手く合わせるこのシリアスさ
30秒くらい無音で両者動かずに間合いを取り合うあの時間、あんな風な時間の使い方したら普通は「長すぎやろ!笑」ってなるところ、二人の演技が本当の「侍」に見えて、これから始まる本当の殺し合いを感じさせて目が離せなく、手に汗握る
最初は本物の侍がタイムスリップしてきたらその本物侍パワーで時代劇を無双する!みたいな話かと思ったら、「現代においては無用の長物」として斬られ役という脇役として生きていく、というのもいい。でもそういうなろう展開が一切ない訳じゃなくて、ちゃんとその等身大を見せたあと、最後その場にいたスタッフには「本物の侍だった」って理解できるような構図になっていて、それは勿論過去からタイムスリップしてきたという証明ではなくあくまで「侍の心を持つ者」という証明に過ぎないんだけど、ここではじめて本当の侍の凄さを現代人が理解する、ってのが斬られ役に徹してきた下積みからのカタルシスを感じさせる展開になってる
もうね、とにかく本当に面白かった。コメディもシリアスも、脚本も演出も演技も、全てが完璧だった。人生で好きな映画トップ3にはいりました。「笑って泣ける」みたいな宣伝文句してる映画で一切笑ったり泣いたりしたことなかったけど、この映画は終始笑って泣きました
やはり最後の殺陣
ねぎらわざるをえないふんいき
伝わってくるものがあったが言いたいことはある。
むかしのことだが一般の国内映画冷評にたいして映画関係者が「必死で味噌汁をつくっている裏方の苦労なんかおまえたちにはわからんだろうな」とツイートしたのが話題になったことがある。じぶんはこのエピソードを日本映画界を言い表すエピソードとして何度か使っている。
俗にこれを根性論と言い、日本では往々にして芸能が根性論というエンジンによって動くことがある。そして根性論にたいする日本的反応が「ねぎらい」である。日本映画界が根性論で作品をつくると、やさしい日本人は「ねぎらい」によってそれに応える。たとえおもしろくなくても「ねぎらい」票は入る。
そればかりか低予算やぎりぎりのスタッフ・キャストでの映画作りならば「ねぎらい」が賞賛に変わる。金も人もない状況下でつくった映画を賞賛しなければ不人情になってしまうからだ。日本では映画が免罪符要素を持ってしまうことがある。
こうした根性からのねぎらいからの免罪符──という展開は海外映画にはぜったいにない。日本映画だけの特殊事情といえる。さらに幕末設定により武田鉄矢的な泣き要素が加わることで、もはや手に負えない根性論免罪符環境が構築されたと言っていい。命がけの会津っぽに誰が抗えるのかという話である。
もちろん侍タイムスリッパーの製作陣は「根性論からのねぎらい」を狙って映画をつくったわけではないだろうが、見ていて気恥ずかしくなるほど実直な作りかつアマチュア精神な作りなので、ねぎらい&賞賛をせざるを得ないような気分へと追い詰めてくる映画だった。意図してはいないのだろうが、必死で味噌汁をつくっている裏方の苦労を思いやってほしいオーラを感じる映画だった。
なにしろ低予算であるし─『10名ほどのスタッフで制作しており、安田は車両からチラシ作成・パンフレット製作まで11役以上を1人でこなしている。助監督役の沙倉ゆうのは実際の助監督なども務めており、沙倉の母親も小道具の刀の整備などを手伝っている。また他の演者も度々スタッフとして協力している。』(ウィキペディア、侍タイムスリッパーより)
──という家内制手工業でつくられている。その努力や頑張りをかんがみて、またその大変さやけなげさを思いやって、また、みんなが一致団結してつくった温かみに触れて、みなさまご苦労様でした、としか言いようがなくなる、わけである。
このように皮相が根性論で塗られている映画を一般的な日本人はけなせない。わたしも人の子であるし鬼じゃないから限られた予算で頑張ってつくった製作陣をねぎらいたい気持ちがないわけではない。が、あまりにもベタすぎていやになるところはあった。
たとえば高坂(山口馬木也)が剣心会への入門を願い出た際、住職が滑るとか落ちるとかそういうことぜったい言うたらあかんで──とふっておいてからの(雨道に)つるっと滑って怪我でもしたらとか、(内閣の支持率)こんだけ景気わるなったらそりゃおちるに決まっとるとか、──言ってしまう超絶のベタスクリプトには恥ずかしさで鳥肌が立った。
こ・の・低・脳・な・台・詞・は・な・ん・な・ん・で・す・か。
しかし「真剣の重みを感じるようにしたい」という監督の意図は伝わってきたし、殺陣も緊張感があった。
根性論とは製作側の思い入れのことだ。映画とは製作側の思い入れを観衆につたえるものだ。で、大概の日本映画が根性論の段階で止まる。
本作の斬られ役のモチーフになっているのは福本清三氏だと思われるが、個人的に福本清三氏の情陸風コンテンツに見たのは、ほかの斬られ役に比べてどこが違うのか解らない斬られ方と、かれを褒めまくる著名な時代劇役者だけである。もちろん福本清三氏は悪くない。5万回斬られた男──だからなんなのか、5万回斬られたことをもって観衆はなにを面白いと感じればいいのか──を提供していないことが悪い。5万回斬られた男という装丁だけでそれ以外のアイデアをもっていない作り手が悪い。そういうのを根性論というのだ。
が、侍タイムスリッパーはストーリーがクライマックスの真剣勝負へ誘導していくし、観衆を話の中に引き込む工夫もあった。侍タイムスリッパーははじめて見た根性論ではない斬られ役コンテンツだった。と言える。
ただ貧乏くさすぎる。これは2025年の日本映画である。
にもかかわらず金もなくスタッフもキャストも限られ貧しさの極地で映画作りしている日本とはいったいどんな発展途上国なのだろうと思った。
先日見たネトフリ映画The Electric Stateの製作費は465億円だそうだ。侍タイムスリッパーは2,600万円だそうだ。
文化庁と経済産業省のお抱えNPO法人映像産業振興機構(VIPO)に給付される税金750億円はどこへ消えて無くなるのだろうと思った。
結果的に、日本映画界のわけのわからなさをひしひしと感じてしまう映画だった。また、カメ止めはねぎらいを感じなくてよかったからカメ止めとの近似性は感じなかった。
時代劇だけど自分の話。
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