侍タイムスリッパーのレビュー・感想・評価
全798件中、221~240件目を表示
時代劇に愛を込めて、真剣勝負は続く
都内1館からの公開が、評判が評判を呼び、現時点で全国200館以上に!
あの“カメ止め現象”再び…!
ファーストランや全国拡大から2ヶ月。やっと福島でも公開スタート。
と言っても隣町の映画館で一週間限定上映。急いで行ってきた。
“カメ止め”はゾンビ×映画愛だったが、こちらは時代劇愛と現代にタイムスリップしてきた侍…!?
幕末の京都。会津藩士の高坂新左衛門は、密命を受けて長州藩士と対する。
刃を交えた時、落雷が。
目を覚ますと、見知らぬ城下町。さ迷っていると、か弱きおなごの悲鳴が…!
不届き者め、成敗致す!
その時、“心配無用ノ介”と名乗るご仁が。
助太刀致す!
カット! お前何やってんだ!?
…!? !? !?
やがて分かる。徳川幕府が滅んで百四十の歳月…。
ここは、時の果ての日ノ本。時代劇の撮影所だった…!
大昔の侍が現代にタイムスリップ。特別目新しい設定ではない。幾つか思い浮かぶほど。
使い回されたネタだが、それでもまた作られるのは、侍×現代、そこに何か面白さと魅力のケミストリーがあるから。
本作もベタと言えばベタなのだ。
“撮影”を“本当”と思って助太刀。タイムスリップ時代劇のTHE定番。
重石(作り物)を軽々持ち上げるおなごに驚き、幽霊(特殊メイクした怪談映画出演者)にこれまた驚き…。
コントか!漫画か!
でもそれを、こちらの期待通りに面白く見せてくれる。
これも監督の腕。自主製作映画を撮り続け、本作が3作目の安田淳一。
超低予算故、インタビュー記事なんか見ると相当苦労して完成に漕ぎ着けたという。
それが最高の形となって報われ、花開いた。
映画は予算や話題やビッグネームなんかじゃない。面白いアイデア、情熱や愛があれば、飛びっきりの映画は作れる。
これもベタな事だが、それを体現した。
『男はつらいよ』の大ファンだと言う監督。山田洋次に本作を見て貰うのが夢。
だからか、あのシーン(笑)。とあるシーンで、“滑る”とか“落ちる”とか禁句。寅さんでも定番のこのネタに、私ゃ堪らなく嬉しくなった。
新さんが周囲への把握を出来る人物で良かった。いつまでも“ここはどこ? わたしはだぁれ?”だったら話にならないし。
とうの昔に侍の時代は終わった。侍はもう不要。ならばここで惨めに生きてたって…。
一度は命を絶とうとするが、救いの手が。
撮影所の助監督・優子。現代に来たばかりの新さんを最初に相手にしてくれた人であり、新さんは一度病院に運び込まれるも逃げ出す。気に掛け、探していた。
居候させてくれた寺の住職夫婦。
彼らの善意が優しい。この人情も寅さんだね。新さんの事は記憶喪失者と思ってるけど…。
握ってくれたおむすびが美味しい。米の美味しさは変わらない…いや、自分のいた時代よりずっと美味しい。本当にあのおむすびが美味しそう。監督は米農家でもあるとか。
ケーキなるもの。これほど美味なる菓子が…! そうか、こんなに美味なものを皆が食べられる時代になったのか…。涙を流しながらケーキを食べる新さんに、何故だか私も貰い泣き。
絵が動いた!(TVです) あの“心配無用ノ介”! TVにも驚いて、興奮して、ぼろ泣きして…。
もうとにかく、新さんの人間力にやられる。
真面目。実直。謙虚。感謝を忘れず、礼儀を通し、忠義を貫く。
本物の侍にしか見えない。
THE侍であり、人情侍であり、恋する侍でもある。
時代劇を中心に多くの映画やTVに出ていたようだが、キャリア25年にして初の主演映画。
山口馬木也。もう誰もが彼を忘れないだろう。
パッと見渡辺謙を彷彿させる風貌。
体現した新さんがやがて見出だした道は、“アノ人”。
寺で時代劇の撮影。
が、斬られ役の一人が体調不良に。
何処かに侍の格好をした代役が…いた!
急遽撮影に参加。言われるがままに。
ド緊張の中、“坂本龍馬”の名に会津藩士の目が光る。
本物のような(本物なんだけど)気迫。“斬られ役”を見事こなす。
すると、スタッフ/キャストの間で評判上々。
それがし、この時の果ての日ノ本で、何の道を行くか。分かった気がするでござる。
いざ、撮影所へ。
弟子入りも志願。
時代劇の斬られ役…!
新さんは腕の立つ侍だ。落雷のあったあの夜、対した長州藩士が名を聞いたほど。
そんな本物の侍が現代に来たんだから、誰にも負けず、時代劇でもスターとして…じゃない所が本作のミソ。
侍としては本物だが、斬られ役としてはズブの素人。教えを乞う。
斬られ役をコツコツコツコツと。
声が掛かるようになり、次第に多忙に。
そして遂には、一話限りだが“心配無用ノ介”のライバル役を務めるまでに。
まさかまさかの名斬られ役に…!
時代劇ファン、映画ファンならすぐ分かる。新さんの新たな人生は、日本一の斬られ役、故・福本清三氏。100%、モデルと言っていい。作品も福本氏に捧げられているし、新さんが教えを乞う殺陣の師範役は福本氏の弟子でもあった峰蘭太郎。
福本氏の生きざまを彷彿させる新さんの姿と物語に、また私の涙腺が…。
福本氏の生きざまって、誰にも通じるものがある。
目立たなくたって、華やかでなくたってもいい。地道にコツコツコツコツと。
頑張れば、どこかで誰かがきっと…。
この福本氏を表した格言でモットーは劇中でも。
福本氏はハリウッド映画『ラストサムライ』に抜擢されたが、新さんにも思わぬオファーが…!
撮影所で久々に製作される大型時代劇映画。しかも主演は時代劇のスター・風見恭一郎で、10年ぶりの時代劇復帰作。そのライバル役=準主役!
斬られ役にとっては一生に一度かもしれない大チャンス!
ところが新さん、これを断る。自分は一介の斬られ役。分不相応。
そんな時、風見が驚きの正体を告げる。
これには唸った。脚本の妙。
風見は、あの落雷の夜、対した長州藩士であった…!
新さんより30年前の時代にタイムスリップした風見。
新さんと同じ。訳が分からず。次第にここが遠い時代だと知る。
時代劇の撮影所をうろついていたら、端役と間違われ、斬られ役としてスタート。大成し、主演を務めるスターに。
この時代にもすっかり順応した。スターとして。
そんな時、TVで時代劇の斬られ役として出ていた新さんの存在を知る。
あの時の会津藩士…!
ここで会ったが百年目。決着を付けに…ではなかった。
会った一番の理由は、共に時代劇を撮ろう。侍が失われたこの時代に、本物の侍の生きざまを見せてやろう。
もう我らの時代ではないのだ。藩の為とか密命とか遺恨など下らない。
新さんは侍としてそれを捨てきれない。断るのもそれ故。
双方の言い分は分かる。時代に順応する。己の信念を曲げない。譲れないものがある。
が、今の自分は何なのか。
師範の言葉。斬られ役の悲願。
新さんは出演を決める。
作り物の時代劇に、本物の侍が二人。
その構図だけでもユニークだが、しっかりとこの二人の関係性も描いている。
かつては本気で斬り合おうとした二人。何かといがみ合う。と言うか、風見はオープンだが、新さんの方がそっぽ向く。
端から見れば大スターに斬られ役がタメ口で。
しかし、撮影をしていく中で…これもベタながら胸がすく。
徐々に打ち解けていく。分かり合っていく。
時には助力にもなり、貸し借りナシ。
風見が時代劇を10年も離れた…いや、捨てた理由。元の時代で自分が犯した罪。
時代劇で本当に人を殺めないとは言え、あの時の悪夢が脳裏を過る。堪えられない。
風見もただの大スター然ではなく、味わい深く内面も。終盤のドラマを支える。冨家ノリマサの風格。
ライバル同士が交流を深める。出演する映画の設定ではそうとは知らず交流を深めた二人が斬り合う運命に。『座頭市』第1作を彷彿。
撮影も佳境に。中打ち上げで盛り上がる。
脚本に追加部分が。それを読んで新さんは嗚咽する。
会津藩の悲劇…。
何かを失ったように。飲めない酒を飲み、町中を放浪する。チンピラに絡まれる。
惨めな自分。会津藩士が悲惨に死んでいったように、自分も惨めに朽ち果てていくのか…?
自分は何者だ? 斬られ役か? 侍か?
斬られ役ならば、このままおめおめと斬られるだけなのか…?
侍ならば、何の為に生きるのか…?
新さんは風見や監督に提案する。
真剣勝負がしたい。
真剣を使って撮影する。
おいおい、幾ら何でもそれはあり得ないだろ?
…まんざらそうでもない。かつては本当にあったとか。が、『座頭市(1989年)』の撮影で真剣を使って事故が起こり、禁止に。
無理もない。一大事。どころではない。一命に関わる。
新さんの気持ちは変わらない。
撮影の為のリアリティー追求ではない。
侍としての生きざまを刻む。この一瞬に全てを。
誰も賛同しないと思われたが…、監督は熱狂。風見も承諾する。
この時、風見が流した涙…。彼も失ってはいなかったのだ。侍の精神を。
全ての準備や安全を整えて、いよいよ当日。
もはや映画の撮影じゃない。本当の闘い。
あの落雷の夜から、こうなる事は運命だったのかもしれない。
新左衛門対風見。本物の侍二人が見せる真剣勝負。
緊迫感溢れる睨み合い。実に40秒近く。やはりこのシーン、『椿三十郎』へのオマージュ。
遂に刀と刀がぶつかる。
劇中劇云々ではなく、本作は映画だ。だから勿論、真剣など使われていない。
が、二人の気迫、ぶつかり合う刀と刀…。
真剣は使われなくとも、そこに漲るは紛れもない真剣であった。
果たしてオチはどうなるのか…?
一瞬、アッともさせられたが…。
当人同士は本当にそうだったかもしれない。生きるか、死ぬか。でも、もしそうなったら、映画として後味が悪い。時代劇映画ならまだしも、本作はあくまで時代劇撮影。
オチ、そう来たか~!
ちゃんと映画作品としての捻りや笑いも忘れない。
あの優子さんのビンタ。誰もが沙倉ゆうのに胸キュンなっただろう。
満足感、充実感、面白さ、感動、後味も最高!
ラストシーンもナイス! 『侍タイムスリッパー2』…?
期待以上。評判に便乗してじゃない。
見ていて笑いがこぼれ、自然と涙も溢れ、やっぱり映画って最高。幸福感にも包まれた。
本年度BEST!
優れたタイムスリップSFであり、笑えるコメディであり、感動のドラマであり、本格時代劇である。
時代劇の今の現状も訴える。
かつては毎週毎日のようにTV放送されていた時代劇。それがいつの間にか民放から姿を消し、今時代劇と言ったらNHKかたまの特番か映画くらい。
時代劇は日本の伝統。宝でもある。
それはもう、消えゆく運命しかないのか…?
否!
今年ハリウッドが見せた本気の時代劇。
本作のようにユニークな形でも。
今後も時代劇映画の期待作もある。
そしていつの日か再び、あの頃のように民放TVで時代劇を楽しめるように。
時代劇は失われちゃいない。
日本で、世界で、時代劇の精神は受け継がれている。
今日も新さんたちは挑む。
時代劇に携わる者、愛する者の真剣勝負は続いていくーーー。
細かいことはいいので楽しいワクワク
話題の映画でみにいく。
とりあえず、なんというか楽しい、ワクワク、ドキドキ、ウルウルなので、どなた様にもおすすめしておいて問題なしな映画ではないかと。
で、これは続編ありますよね?
2000万円でこれだけの作品が作れる!!
ホームのシネコンでポスターは目にしていた。ただ、観賞するかしないかキャスティングを一番の判断基準にしている俺にとっては、知っている役者名皆無の本作は選外だった。が、最近一館の上映から始まってどんどん上映館を増やしている(今週231館)ことを知った。製作費2000万円とも。 こういう話を聞くと、当然同様の経緯を辿った“カメラを止めるな”が思い起こされ、これも面白いに違いないという気になり、急遽観賞することにした。
予定変更は正解だった。
【物語】
幕末の京都。会津藩士・高坂新左衛門(山口馬木也)は、ある寺の出口で長州藩士を襲撃するために潜んでいた。出て来た男といざ刃を交えた瞬間に雷に打たれて気を失う。目を覚ますと、現代の京都の時代劇撮影所にいた。
混乱して撮影所内をフラフラと彷徨っている間に撮影機材に頭を打って倒れてしまう。通りかかった撮影所で助監督として働く山本優子(沙倉ゆう)に助けられて入院する。入院中に江戸幕府が140年前に滅んだことを知って愕然とし、生きる気力を失うが、山本優子や迷い込んだ寺の住職夫妻らの善意により新左衛門はこの時代で生きる気力を取り戻すのだった。
しばらく寺の居候生活を送っていたが、切られ役という仕事を知った新左衛門は剣の腕しかない自分が役に立てるのはこれしかないと、劇撮影所殺陣師の門をたたく。
【感想】
期待どおり面白かった。
俺は高い評判を聞いてから観ても良かったと思うのだから、最初の1館で超マイナー作として期待も持たずに観賞した人はさぞや「儲けモノ!!」と思ったに違いない。
他人に熱心にクチコミしたであろうことも良く分かる。
本作の良さは、まず設定の巧みさ。
タイムスリップものは既に腐るほどあるわけだが、侍のタイムスリップ先が時代劇撮影所という発想は秀逸。 そして、最初の発想だけでなくその後の展開も含めて、脚本が素晴らしい。あえて難を言うなら、新左衛門が「現代に馴染むのが簡単過ぎ」とは思った。140年のカルチャーショックはあんなものではあるまい。でも、練り上げられた脚本全体を考えると、2時間の枠の中に収めようとしたときに、その部分は割り切ってそぎ落としたのかも知れない。
前半は「時代劇撮影所へのタイムスリップ」という設定から来る面白さをコメディータッチで楽しめる。並みの脚本ならそれで1作終わる。が、本作はそれだけで終わらず、後半は第2段の設定が待っており、終盤に掛けて迫真のヒューマンドラマ風味に変わって、さらに楽しませてくれる。
さらにもう1つ褒めたいのはラストシーン。
「え、それか!!」と思わず声に出したくなった。
最後は予想してなかったオチまでつけてまた笑わせてくれて終わるのだ。
今回もつくづく思うのは制作費2000万円でも脚本さえ良ければ製作費200億円の並みの作品より面白いものを作れるのだということ。 公式HPを覗くと、本作は未来映画社の3作目で、前作は2017年とのこと。前作から今作公開まで7年掛かったことになるが、その間、構想から始まって、脚本も第一稿が出来てから数えきれないほど版を重ねて、練りに練ったことが想像できる。
もちろん脚本が良いだけでなく、役者も良かった。いわゆる“主演級”俳優は皆無だが。
主演の山口馬木也、本作では何と言っても剣術・殺陣が上手く無ければ様にならないが、完璧だった。侍としての趣も十分。経歴を調べてみると、非常に多くの時代劇に出ているベテラン俳優らしい。残念ながら記憶には残っていないが、長年の経験・努力が遺憾なく発揮されている。
その他の俳優も主演級ではないものの、経験を十分に積んでいるベテラン俳優が充てられているため、演技において安物感は無い。唯一、助監督役沙倉ゆうは経験が多くなさそうだが、未来映画社3作では常に主要CASTを務め、本作で実際助監督を務めていたというのだから当然かも知れないが、自然だった。
本作は誰よりも、邦画制作に関わる人に観てもらいたい。
恐らく色々な人にお金度外視の協力を取り付けたであろうことも含めて、予算不足は言い訳に出来なくなると思うから。
これがエンタメだ
山口さんのお芝居が本当にタイムスリップした侍のよう。
故にあまりに滑稽で前半は涙を流して笑いました。そして最後の殺陣は本当に真剣を使っているような緊張感。
何に感動するとかはないですが、単純に最高に楽しいエンタメ、『これが映画』と最高に楽しませてもらいました。
日ごろ溜まった心のコリを「喜・怒・哀・楽」でジワーっとほぐしてくれる映画。
口コミでの評判が良いということは知っていたが、いつものように、何の予備知識や事前学習もなく鑑賞。ネットの予約時に、全く席が埋まっていなかったが、当日はなかなかのお客の入りようだった。
私は、そのタイトルから、過去から現代へタイムスリップしてしまった武士が直面する時代ギャップをコミカルに描いた「笑える」映画だと単純想像していたが、私の考えは安直すぎた。良い意味で。私の考えは大きく外された。
まず、最初にタイムスリップした時に、「え?なぜ同じような時代に?」、「これタイムスリップじゃないよ。」、と思わせる設定が秀逸で、私はこの場面、完全に騙されてしまった。騙されたと気づいたと同時に、この映画は何か「やってくれる」という、大きな期待感を抱いた。
映画は前半、確かに、私が想像したように、日常生活の「過去」から「現代」へのアップデート作業を、「笑い」を交えて進行していく。
でも、必然的にアップデートが終了すれば、「笑い」もなくなる。
そして、何となく感じ始める、このまま「笑い」だけでいけるわけがないよなぁ、という妙な感覚。
でも、無用の心配、心配御無用だった。後半は、前半の「笑い」とは打って変わって、武士の本気の「怒り・悲しみ」が用意されていた。
後半から終盤へかけては、この鑑賞する受け手側の心情が、「笑い」から「怒り・悲しみ」モードへと大きく変換させられ、全く飽きることがないストーリー展開となっていた。
とくに、前半は、主人公の武士1人がメインであるため、単調になりやすかったが、後半はさらに準主人公の武士が加わって、文字通りの「真剣」勝負が用意されている。
また、「真剣」勝負に辿り着くまでの経緯が、破綻なく綺麗にストーリー展開されているので、鑑賞する側も、自然と、涙したり、怒ったりすることができ、飽きることがない。
最後まで鑑賞すると、人間の基本感情である「喜・怒・哀・楽」をバランスよく感じられ、ほど良い心地よさを味わうことができる。
普段は、さほど邦画を鑑賞する方ではないが、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「ターミネーター」的要素も入っていて、充分、楽しむことができた。
そして、映画の中盤からずーっと気になっていた「彼」が、最後の最後、登場したとき思わずニヤリとしてしまった。
なので、「おわり」となっていたが、「つづく」ではないかなと思った。
次回作があれば、是非、鑑賞したいと思う。期待。
これはいい。
「インディーズの監督作った映画で、単館上映のはずが評判が評判を呼んで全国ロードショーに」映画ファンなら誰しも「カメラを止めるな」を思い出す前向上です。
カメ止め並みにハードルがあがりますが、それでも見に行きました。これはすごい。
カメ止めが「脚本の勝利」ならば、侍タイムスリッパ―は「演者」の勝利です。
いちいち演技の仕方が良い。その演技をしっかりと作品に落とし込んだ製作陣の大勝利でしょう。
序盤から中盤まではちょっとしつこいくらい「朴訥な田舎侍でござるよ」アピールをされているなと思っていたのですが、それが丁寧に丁寧に新さんのキャラクターを作りこんだ結果へとつながります。
その作りこまれたキャラクター性があってこそのあの斬りあいと雰囲気につながるのでしょう。
ものすごい長尺の「間」が苦行にも飽きにもならず、この先が見たいけどケガをしてほしくはない。「来ます。来てほしくなけど」の思いを視聴者に共有させるのはそこまでの新さんのキャラクターが成立していてこそでした。
一方で脚本・ストーリーそのものに大どんでん返しを、そこまでの伏線が一気に回収されるカタルシスを期待するとずっこけます。王道です。
これについては良い悪いではないと思います。素材の味を生かすために変な変わり種をぶちこまないで「この演者、すごいでしょ!」と押し出す形。
劇中の風見さんも新さんも、きっとこういう演技と演者のスゴみで評判をあげていったのでしょう。
映画館で見てよかった。
サブスクサービスで見ていたら、おそらくスマホ片手に見てしまって最後のシーンにたどり着けるかどうかわからなかった。
これはじっくり向き合ってみるべき映画、真摯に画面を見つめる映画館でこそ、クライマックスを最大限に楽しむための土台を作っていける映画でした。
何より、主演の熱演が最強の映画です。この人を超える演技をしている主演級の俳優がいったい何人いるというのでしょうか、、、
どんぐりさんよろしく、今後、別の映画やテレビで見たいものです。
===
ところで山本優子さんの関西弁がちょっと気になりました。
明確に違うわけでもなくエセではないです、でもな~んかちょっとイントネーションがズレているのではと……。
「関西弁なら関西人使えや」と思っていたのですが、どうやら演者さんは兵庫県出身のご様子。うーん、何が違うんでしょうね。
兵庫の人が京都に寄せようとしたらこうなるのでしょうか???
他の演者さんの関西弁がそのまま関西弁なので、すーっと入ってきたのでその一点がやけに気になったのでした。
べっぴんな姉ちゃん。……が、ヒロイン役というにはトシ食ってないかな。20代後半くらいかなぁ、と思っていたら……。俳優のWiki見てびっくりしました。
【小ネタ】
・「東京にくだりはってん」わかるわかるwww
・師匠と弟子という関係になっている時の稽古中にも「なんでやねん!!」のノリつっこみ、わかる。超わかる。関西人だもの。
・安藤彰則さんの印象に残りまくる顔と表情。良い。
・「オチ」はそうだろうなと思っていたので、もうちょっとびっくりさせてほしかった。
・「上段の構え」はもうひとひねりできたんじゃないかな。「殺し合いを前提とした上段の構え」→「演技を前提とした周囲に配慮する上段の構え」という仕込みができていたので、あのシーンを「殺し合い」と印象付ける要素にできた気がする。いや、あれは「俳優」としてそこにいたのだから成長した新さんを出すからあの上段でもいいのだ。いや、それでも…。……と堂々巡り。もしそこまで考えさせることを狙っての演出だとしたら白旗ものです。
期待値を上げすぎた
話題の映画、やっと観られた。感想を正直に言えば、言うほど面白いか?だ。
まず、音が気になった。映画館のせいかもしれないが、音量がデカく、耳障り。また、耳障りな上に、ベタベタな関西コントが始まるので、私は全然笑えなかった。だが時おり、館内の端々で、クスクスと笑い声が聴こえたので、合う人には合うのだろう。
話しの展開も想像を超えるようなことが無く、カメラを止めるな!のような、大どんでん返しを期待していた私には、なんだか物足りないまま終わってしまった。
時代劇だけでなく時代への想いをつなぐドラマ
なんか映画観て、久しぶりにとても気分がよかったです。映画館での観客の拍手を聞いたのも含めて。幕末の会津藩士の侍が京都の太秦撮影所にタイムスリップするお話しです。とにかく、観客が観たいと思うものをしっかりと盛り込んだ脚本が素晴らしいです。侍が現代とのギャップに戸惑いながら、周囲の協力で立派な斬られ役になるコミカルな展開は、ある程度予定調和的ながらも人情劇のツボをおさえた心地よい展開です。撮影所の事情や殺陣師など、時代劇製作の裏方を描きながら、時代劇への想いから時代への想いをつなぐ展開が非常に上手くスッと心に入ってきます。最後の真剣を使った殺陣のシーンも、普通の時代劇よりもドキドキしました。伝説の斬られ役福本清三さんを偲ぶエンドロールのメッセージも好感が持てます。これだけ観客の心をつかむ作品が自主上映だったと言うのもビックリです。監督の時代劇への熱い想いだけでなく、観客に喜んでもらいたいと言う気持ちが強く伝わってきました。役者では、TVの時代劇が多い山口馬木也は、殺陣もうまく、映画を地で行くような当たり役でした。沙倉ゆうのは、気持ちがまっすぐな助監督役を好演、とてもチャーミングな女優さんだけど、実際に本作でも助監督をされていて素晴らしい。
映画が丸ごとマジックのよう
なるほど。なるほど、と思う。傑作ではないけれど、忘れていた何かを思い出す。そして『カメラを止めるな』を時折思い出したりして、この自主映画にあって、商業映画にないものを考える。同じ脚本で、別の監督、別の俳優でやったのではこの良さは出ない。そのくらい隙のない傑作とかではないが、その隙の部分にある思い入れと熱量に良さがある、というか、応援せざる得ない気持ちになる。
それから監督が娯楽映画好きなのだろうと思うが、『蒲田行進曲』『男はつらいよ』的なシーンがあるが、『カメラを止めるな』も同じく、なぜもこう大袈裟な、というかくどい芝居のオンパレードなのかとも思うが結構それが観客に受けているのもよくわかる。そしてそれら娯楽映画の伝統芸のようなものが商業映画になくて、自主映画の監督によって再現されているのもいろいろ考えたくなった。とにかく、映画が映画会社の企画だけでなく、作り手のアイデアのものが上映されてよかったと思う。
作品としては、タイトルそのままだけど、武士がタイムスリップして味わうギャップギャグのところはかなり粗い。ツッコミどころも多い。そして武士が撮影所敷地内にしかいないのはもったいないとも思う。ただこれのいいところは中盤からの、タイムスリップしていたもうひとりがいて、それが時代劇で有名な俳優になっていたという設定だろう。そこからもその設定には無理が、、と思うところも多々出てくるが、もうふたりの俳優が熱く、たぶん監督役なども大袈裟に熱いのであまり気にもならないというか、もう応援モードに入って特殊な満足感が襲う。そんな不思議なマジックを見ているような気になる。
気持ちのいい映画
出ている俳優はほとんど僕の知らない人ばかり。知っているのは紅萬子さんぐらい。悪人がひとりも出てこないので観た後の気持ちがいい。同時に雷に打たれた二人が時間をずらして同じ場所にタイムスリップをする、というのは新しい。おにぎりを食べるシーンは泣きそうになった。そして最後の真剣(という設定)での斬り合いのシーンは特に良かった。本当に真剣での斬り合いのような緊張感がある。終わり方も意外で面白い。
これを機会に「ちょんまげぷりん」も!
主演の山口馬木也さんは、個人的な本年度主演男優賞の筆頭に躍り出たっ!!
観ながらいちいち感じていたのは映画にまつわる「音」って難しいんだなぁということ(笑)
拙い部分があるのは何とも可愛らしく感じつつも、ここぞというところの笑わせどころは外してなかった。「落ちた、すべった」のくだりは恥ずかしくなるくらいベタだったけども(笑)
何より「時代劇」の終わりと「侍の時代」の終わりがこんなにも重なって意味をなしてくるのかと感心した。
チャンバラ・殺陣は見応え十分、「ここを見せたいんだ!」という気概がビシビシ伝わってきた。
あと、丸い顔をお侍がやってくる終わり方がGood(笑)
これを機会に中村義洋監督『ちょんまげぷりん』ももっと評価されても良いと思う!
ハートフル時代劇として推したい!
戦国自衛隊みたいなものも含めると、時代劇というカテゴリーは意外と懐の深いジャンルですよね? 広義では「首」「もしも徳川家康が総理大臣になったら」「清須会議」「大河への道」「さや侍」「七人の侍」・・・史実に基づいたもの、パロディー、タイムスリップ設定、現代人が掘り下げる戦国時代、と手法を変えても日本人のDNAに時代劇を好む素地は根付いています。
今回のこの映画、導入部から本筋に入るまでのアバンが非常に短くてシンプル、それでいて観客を迷子にさせることなくこれから始まる物語に期待を持たせながら想像力を掻き立てる脚本が非常に良くできていると思います。高坂新左衛門(山口馬木也)も、本当に普段から侍の生活をしているのではないかと思わせるほど徹底して「台本の中の人」を演じていて、徐々に現代の生活に染まってくる。
と、ここで同じく落雷で違う時代にタイムスリップした風見恭一郎(冨家ノリマサ)と再会して共演を勧められるけど、追加台本の中の会津藩の悲惨な窮状を知ると落雷前の真剣勝負の場面に戻って同胞の仇を打つかどうかで苦悩するところが本当に侍らしくて、本作唯一の泣けるシーンでしたね。
日本のコメディで笑える嬉しさ
とにかく可愛い作品。
カルチャーギャップコメディとして、ズレを笑いにする分量、バランスがすごく好感が持てる。真剣になればなるほど笑いが起きるまさに映画的な笑いの取り方。殺陣の練習シーンとか最高。1幕目キャラクターととれる笑いで観客の心をつかみきって時系列飛ばすことで、いちいちやってたらキリない文化の差に順応させる構成も上手い。
そしてなにより、主演の魅力。所作、台詞からくる彼の謙虚さに強制的に感情移入させられた。
テーマや、メッセージも、時代劇の意義、あり方から、暴力のエンタメ化の是非と思ってたより深くささった。
日常パートの新喜劇感や、効果音のダサさも普通なら減点ポイントだがなぜか憎めないのがすごい。
三谷幸喜や堤幸彦や君塚良一にぜひ観て勉強してもらいたい一作。アニメやアイドル映画で邦画のクオリティが瀕死寸前な近年だが、この映画がある限り最悪な未来がくる日は『今日ではない』
噂に違わぬ傑作!
ようやく観れた。
笑い中心かと思ったが、新左衛門の会津藩士への吐露あたりからジワってきて、ラストは釘付け、引き込まれ、息を呑み、手に汗を握り、、そして涙…噂に違わぬ傑作!
話がよく出来ている…つまり脚本が素晴らしい。
そして、主演の山口馬木也氏、圧巻の演技!
ほとんど知らなかったのだが、適役、本物の侍に見えた。
140年後の日本に来た侍、生活に馴染むのが早すぎと少し思ったが、でもそんなもんかもしれない。
ただ、会津訛り侍言葉はなかなか取れない、、そんなもんさ、リアルである。
音楽も良かった、ただ少しボリュームが大きすぎたかな。
ラストのラストで笑い!これも良かった。
カナダのみならず、米国、欧州でも受けると確信。
カメ止めに続いた!!アイデア勝負のインディ作品
映画好きの方が高評価だったので鑑賞。
本当に面白い。
間違いなく低予算だと思うが、とにかくアイデアが良く、脚本が素晴らしい。
テンポも良く時間もあっという間。
もしも侍が現代の映画村の撮影中にタイムスリップしたら?という設定だが、実際来たらこんな感じだよね?というのが見事にマッチ。
カメ止めに続くヒットも当然。
監督の次回作に期待。
全798件中、221~240件目を表示