侍タイムスリッパーのレビュー・感想・評価
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コメディの衣を着た本格時代劇
素晴らしい!こんな映画を撮りたかったと言う制作陣の思いが聞こえてくるような作品。にも関わらず、ユーモアもしっかりとまぶしており、緊張と緩和のバランスも見事である。
日本映画は間違いなく底上げされたと感じる。
良い映画を観た良い時代劇を堪能したこのような満足感がしっかりと残りました
侍タイムスリッパー
おーこれは面白い!
しかも、なんか感動した
内容は題名の通り
幕末の侍が現代の撮影所にタイムスリップしてというコメディ
簡単に予想できるようなシーンは早々に序盤に展開されます
しかし、おちゃらけ、内輪受けネタ、蒲田行進曲的なネタは予想に反してほとんどなく、現代の撮影所で如何に時代劇の伝統を絶えさせないように多くのスタッフが熱意を傾けているかを描きます
そうしてさらに中盤におっ!なるほど!という設定が入ってからは時代劇の持続性の追求と物語がシンクロし始めるところが見事で、心を震わせてきます
クライマックスはカタルシスを感じました
つまり映画として立派に成立しています
良い映画を観た
良い時代劇を堪能した
このような満足感がしっかりと残りました
ショーグンの世界的な大ヒットで時代劇が俄かに注目されています
もしかしたら世界の映画界の新しい金鉱の発見となるのかもしれません
ですが、肝心要の日本自体で時代劇の持続性が失われつつあります
しかし決して失わせはしない、必ず次世代につないでいくのだという決意を表明した作品になっています
一度失われたなら二度と再現不可能な世界がある
殺陣だけでなく、衣装、カツラ、小道具、セット美術、所作、言葉遣い、時代考証などなど、膨大な宇宙
それらを支え続けていくこと
私達観客もまた時代劇の持続可能性に取り組む同じ仲間です
慰労会での風見恭一郎のスピーチにはグッと来ました
本格の時代劇と今日性への拡張、世界的普遍性の獲得の両立
時代劇の持続可能性への回答は様々に考えられます
これから多くの試みがなされることでしょう
しかし本作のような人々の一本筋の通った時代劇でさえあれば
うるさがたの時代劇ファンもついていくと思います
本作はそうした時代劇の持続可能性への最初期の試みとして遠い将来まで記憶に残る作品になるのかもしれません
ここからネタバレ含みます
真剣使用での時代劇の撮影
実は過去に本当にあり、死者をだした事故の忌まわしい前例があります
1989年の松竹の映画「座頭市」で、撮影中に俳優の振った真剣が殺陣師の首に刺さり死亡する事故が起きています
殺陣のリハーサル中、勝新の息子でこれが映画デビューとなる奥村雄大が持っていた日本刀が、子分役の俳優の首に触れたのです
助監督が真剣を渡し、それが真剣であることを伝えなかったことでの事故だったといいます(本当に?)
もちろん非難轟々となり監督でもある勝新太郎への批判が高まります
映画製作を中止すべきとの声が当然上がり、公開が危ぶまれました
撮影は事故の起きた立ち回りのシーンを残すだけだったそうで、大出血で俳優が危篤状態の中、勝新太郎は俳優の家族に頭を下げ、撮影を続行して映画を完成させることになったのですが、とうとう俳優は亡くなっていまいます
それでも撮影は続行され、被害者の死後一週間後にようやくすべての撮影が終わり、予定通り公開されたのです
ハッキリ言って異常です
今ならとても考えられないことです
SNS でのバッシングは凄まじいことになったでしょう
本作では真剣使用での殺陣のシーンがクライマックスとなります
そしてそれまで待たなくとも主人公がタイムスリップして来た時、彼の刀は当然真剣のままです
序盤の時代劇撮影に彼が紛れ込んだ時に、彼は普通に真剣を抜いて切り結んで事故が起きるというような映画の展開になるのではとハラハラしましたが、実はそれがクライマックスの伏線になる仕掛けであったわけでした
黒船来航ポスターの30年時間が合わないの謎も良い伏線でした
最優秀賞を知って
最後の侍。。
今の時期に なって 初タイムスリッパーです。観たい時期は あったのですが 見逃してしまってました。けど 「日本アカデミー賞」最優秀作品に 選ばれた事は 驚きましたね。「正体」が獲るのだろうと 思っていたので。。そんなに スゴいのか?って 観たい気持ちに なりました。その矢先に 映画館で また この映画を 再々々度 やり始めてましたので 先程 鑑賞してきました。ラストは 手に汗を 握るぐらいの 緊張感でした。感動しましたね。。周りの観客のかたは 何度も 鑑賞してるかたばかりな感じでしたけど。。笑いもあり。色々な 思いに 浸りながら鑑賞出来ました。この映画に対する監督さんの 並々ならぬ 思いも 知っているので こみ上げるものも ありました。安っぽい内容では なく 真剣そのものが よく伝わって来ましたね。胸に刺さりました。
予告編「インディーズの限界を超えた!」、まさに文字通り!!!
本作ヒット後に何かの番組で安田淳一監督が出演され、米農家を継ぎながら監督兼業していることを聞き、話をされる時に感じたその人柄も相まって観たいと思っていた作品です。
タイムリープ物お約束の時代的違和感に主人公がしばらく驚いていく件をコミカルに描いた後、密命を受けた標的の相手である長州の山形彦九郎がまさかの同じ目に遭っていたことがわかった辺りから俄然面白さが増してきます。
最後の殺陣の恐ろしく長過ぎる間の取り方や、「今日がその日ではない」のセリフのかぶせ、さらにエンディングロール前の「ネタかぶせ」でのオチなどすげぇと思える部分が多々ありました。
また主演の山口馬木也さんのタイムスリップしてきた武士役としての演技がハマり過ぎていて、お酒を飲むときのリアクションをはじめ、その真面目さ故のコミカルさに何度も笑いを誘われました。
さらに特筆すべきは助監督優子殿役の沙倉ゆうのさんの可愛らしさ。本作で初めて知った女優さんですがとにかく画面に出てくる度に目を奪われました。エンドロールで実際にも本作の助監督であることにビックリ!しかもググってみるとそのご年齢に失礼ながら2度ビックリ!!このお歳でのこの透明感…すごい!!!
全編を通して感じられる人情や関西弁がなんともいい味を出しており、特に住職夫妻や井上所長、関本師匠など愛すべきキャラが多数出てきます。
私自身確か中学の修学旅行で京都太秦映画村には行ったはずなのですが、残念ながらほぼ記憶に残っていません。
が、本作内の劇中劇『最後の武士』の横文字変換『ラスト サムライ』に出演していた真田広之さんが『SHOGUN 将軍』でエミー賞やゴールデングローブ賞を受賞、その流れからの本作の日本アカデミー賞受賞など形はそれぞれ様々なれど、いわゆる時代劇はこれからも続いていって欲しいし、微力ながら応援していかねばと思わせてくれる良作でした。
余談も余談ですが、山形彦九郎の現代名「風見恭一郎」が血判の署名では「風見恭史郎」になっていたのを見つけてしまいました。
これに権威のある賞を与えるのは…
確かに面白い。笑える。ストーリーも普通に楽しい。
映画自体は低予算なりによく出来ていて、楽しめて良かった。それは間違いない。
観客賞、功労賞、小さな映画祭などでの評価も納得だ。
だが「C級〜B級のコメディ映画としては」ということわりは間違いなく入る。
素人目に見ても音も画もチープで、「え?大丈夫今の…」と思う箇所も多々。
最優秀作品賞なのか……?
音や画あまりにチープだったとしても、極めて秀でたものがあれば、審査をすべきだとは思う。完成度にフィルターをかけて、部分的に優秀な箇所を部門賞で評価できないのは誤りだからだ。
しかしどの部分を見ても今作は「もっと頑張ろう」〜「よくできた」程度の間であり、日本アカデミー賞「最優秀作品賞」など受賞したという事実はどうしても信じられない。
部門賞ならともかく、作品賞は脚本、照明、音、俳優、撮影など…それぞれに最低限の技量は必要だと思う。予算の有無に関わらず、どの部門も商業映画としての最低限のクオリティを保っている作品は多々ある。それらを全部吹っ飛ばしてこの作品を最優秀だとする根拠はどこにあるのか。
正直言って、今回の受賞は他の作品にあまりに失礼だとすら思ってしまった。
作品自体に罪はないので、あくまで賞を受賞させた人たちへのコメントだ。
作品自体の評価をするならば…
ストーリーには特にひねりも無いが普通でよくあるタイムスリップコメディ。画と音は普通以下だがコメディ要素は結構楽しめる。
照明はかなり微妙、江戸時代にあるはずの場面が近所の公園の街灯の下にあるように見える。
コメディとストーリー等のバランスはよくまとまっている。
細かいところに目を瞑りまくれば楽しめる作品。
文句なく面白い
最優秀ではない
世界に羽ばたけ、ザ・時代劇!
【ストーリー】
幕末であった。
会津藩士・高坂新左衛門は、同胞村田左之助とともに長州藩士・山形彦九郎の暗殺のため、京都は太秦へと上京する。
山形を闇討ちする二人だが、村田は早々に当身をくらって失神させられる。
対峙する新左衛門と山形。
闇に煌めく白刃と剣撃。
豪雨がなだれ、決死の一撃をふるう二人に、雷撃が直撃した。
目を覚ました新左衛門は、人気のない町の路地にいた。
そこは現代。
太秦の東映撮影所。
時代劇『世直し侍・心配無用の助』の撮影のまっただ中に、新左衛門はタイムスリップしてしまっていた。
着物に真剣を下げた新左衛門を、皆エクストラの斬られ役と勘違いしたまま、撮影は進むのだが、なにもわからない当人は困惑するばかり。
あげく台本にないことをしでかし、撮影の助監督・山本優子に叱り飛ばされてしまう。
追いはらわれた新左衛門は、撮影所各所をうろつき、鉄骨に頭をぶつけて気絶してしまう。
気がつけば病院。
窓から見えた現代の京都のありさまに、新左衛門は衝撃を受ける。
病院をぬけだし町をさまよう。
幕府はすでに倒れ、文明開花を成した薩長すらもなく、侍の世は終わっていた。
たどりついた寺の門前。
そこは奇しくもタイムスリップの時に山形を闇討ちしたその場所であった。
行き倒れていた新左衛門を、住職と妻が介抱する。
リビングで初めて見た時代劇に感激した新左衛門は、殺陣師集団「剣心会」に弟子入りを請い、斬られ役として働きはじめる。
侍らしい空気と立ち居振る舞いに、新左衛門はまたたくまに引っぱりだこになる。
順調に滑りだした現代での生活。
新左衛門に、準主役の話が舞いこんでくる。
『最後の侍』主役の宿敵、小弥太役。
そして主役・風間恭一郎は、かの日斬りあった、山形彦九郎その人であった。
めっちゃ面白いですね。
高評価も納得。
主人公高坂新左衛門を演じた山口馬木也、風格とキレのある殺陣は、存在感十分。
下級藩士らしいゆれ動きの心理を、うまく表現されてました。
普段見られない殺陣師や斬られ役の仕事もたくさん見られて、時代劇好きにはそこもたまらない魅力。
ストーリー構成もうまくて、ラストがまんできずに声だして笑いました。
「東映京都撮影所」っていうと「京都太秦映画村」ですね。
この二つ同じもので、映画村いって運がよければ撮影を見られます。
自分もうっかり八兵衛みたいな人が、「どいたどいた!」と声をあげて走るシーンを見たことあります。
遠足で。
映画村は京都市内の小学校の、定番の遠足コースの一つでもありまして、入り口の池から頭だした恐竜がお寂しめの水吐くさまをながめてから、先生の後についてアトラクション回るんですよ。
成人して友だち連れていったら、恐竜見て爆笑してました。
「時代ちがうだろwww」
「だまれぃ!」
ズバッと切り捨て。
「ごめん」
と謝罪。
そのあと京福嵐山電鉄帷子ノ辻駅前で飲みました。
切り捨てごめんの部分はウソです。
現代にタイムスリップする侍の映画っていうと思いだされるのが、91年の『満月 MR.MOONLIGHT』
ヒロインまりに原田知世、そしてタイムスリップしてきたお侍の杉坂小弥太に時任三郎。
恋愛ものなのでアクションは少ないんですが、時任三郎の殺陣、剣先までピシリと決まってて良いんですよ。
原作は原田康子の『満月』、こっちも小弥太がカッコいい書かれ方してるんです。
無口で朴訥な人柄ながら、構えて対峙するだけで腕前確かな剣道家が「参りました」と頭を下げるほどの、武張った男ぶりがたまりません。
原作大好きです。
「『満月』のレビューに書きなよ」
と思われるでしょうけど、映画の方にはそんなに愛をおぼえなかったので、たぶん今後も書かないかなって。
でもこっちの「小弥太」とあっちの「小弥太」、小弥太つながりでどうしても書きたくなったので全力で脱線しました。
時代劇のあり方や撮り方、裏方の苦労も知れる現代の時代劇。
ゴジラもいいけど、こういうのも外国の映画ファンに見てほしいなあ、そんな想いでこのレビュー書きました。
私が思うアカデミー賞について
見終えて 今。
あの カメラを止めるな 以来の 疎外感を感じている。
もちろん お金さえかければいいってものではない。
名だたる役者さんは見かけずとも良い。
だが それにアカデミー賞を授与するのなら それらに代わる何か多大なものがあって、そしてそれが出来上がりとしての純然たるクオリティを持たなければならないのではないかと 思うのである。
私はこれを見終えて アカデミー賞という 先入観なしに見たかったと思った。
そういう素人です。
映画って見る大衆に向けるものだしエンタメだしお金もらって上映するんだし。
去年のperfect days を思うと そりゃ ゴジラ➖0. 1 みたいな 見ただけで大変そうな設定で聴衆を楽しませてくれた物とは違うが それでもクオリティを感じさせるものがあった。
だから こういうものに授与する日本映画界に あ〜あ って思うんだよね。
これぞホンモノの映画だ! みたいなのがあまり好きじゃないのです。
何もわからない一般大衆置き去りの 奢り みたいな
自己満足を 感じてしまうのです。
一館からの日本アカデミー賞最優秀作品賞!
痛快侍魂!
ぶっつけ本番でどうどす
米農家との兼業で映画を撮り続けてきた安田淳一監督の執念が実ったのか、インディーズながら全国展開へ、ほんでまさかの超ロングランを記録。おまけに日本アカデミー賞最優秀作品賞に輝いた2024年の大ヒットムービーどす。映画を撮り上げた時は、銀行預金残高が7000円やったちゅうさかい驚きや。過去、私財を作品に突っ込んでそのままま消えていった監督がぎょうさんおいではった中で、この安田監督まだ運がええほうやろう。
ではなんでこのチャンバラコメディ、かくも日本人に大ウケしたのやろうか。『カメラを止めるな!』同様に、映画いな時代劇復活にかけるスタッフや俳優たちの熱き想いが作品に乗り移ったさかいやろうか。TV時代劇がお茶の間から消えていくご時世にあって、ほんまもんの侍2人が○○で切り合うちゅう真剣さ?がスクリーンから伝わって来たさかいやろうか。山口馬木也とその他脇役人の逆転したポジションが、罪務省デモに参加するZ世代にとっても心地よかったさかいであろか。それとも、昔とった杵柄の剣術で一発逆転ねろうとる侍に、AIやIT小僧に仕事を奪われっぱなしのバブル世代が共感を寄せたさかいであろか。
京都太秦撮影所にほんまもんの侍タイムスリップするお話は、ありきたりちゅうたらありきたり。ドラマ『不適切にもほどがある』で昭和から令和の世にタイムスリップしてきた阿部サダヲのように、オラオラ感丸出しで平和ボケした日ノ本にカツを入れるのか思いきや、この会津藩高坂新左衛門(山口馬木也)一瞬にして現代の生活に馴れ親しんでまう。剣術以外にわしが取り柄のあらへんこと重々承知してる高坂は、飯を食うていくためには“斬られ役”しかあらへんと、現実主義者らしい選択をするのや。
唯一の心残りは幕末の戦で散っていった会津藩の仲間たちのこと。苦悩する高坂をかつての宿敵風見は「わしらはあの時代を精一杯生きた。それでよいとちがうか」て慰めるのんどす。この台詞、カズオシイグロの『浮世の画家』で、戦中好戦的な絵ぇ描き続けてきた老画家が友人に慰められる台詞とほぼおんなじなのどす。後世の人々になんと非難されようけど、その時代の一時期を真剣に生きたことに後悔は無用むしろ誇りにこそ思うべき、そないなニュアンスなのやろうか。
もし、この映画大失敗に終わり安田監督米農家を続けられへんくなったかて、「わしの映画人生に悔いなし」てケンシロウに破れ天空に拳を突き上げたラオウのごとく、華々しゅう散る覚悟ができとったのかもしれへん。そやけどな、映画当たったさかいええようなものの、興行撃沈しとったら残された👪️は路頭に迷うことになるのんどすえ。そないな一か八かのギャンブルは一平ちゃんに任しといて、本作のリメイク権をどこぞの大手配給会社に高額で売り飛ばして、残りの人生は堅う生きまひょうや、ね監督。
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