「目を見張る殺陣!」侍タイムスリッパー 荒川ラリーさんの映画レビュー(感想・評価)
目を見張る殺陣!
古人が現代にタイムスリップするという設定自体はおそらくそこまで目新しいものではないのですが、どこかのほほんとした世界観にあって、しかし殺陣の迫力は目を見張る!というバランスの時代劇はありそうでなかったアイデアだったと思います。時代考証が少しでもあやふやであったり人物描写に綻びがあったりすると途端に嘘くさくなってしまうジャンルが時代劇だと思いますが、基本的には人情喜劇が話の主体だったので、物心ついたころから「忍たま乱太郎」にふれていた世代としては、こういうゆる~い作風は個々のキャラクターに愛着をもってしまえば割りとすんなり受け入れられるものだったと思います。ただ本作の目玉は何といっても殺陣の迫力ではないでしょうか。近年の邦画の中でここまで手に汗握る本格アクションは久々だったと思います。予算がない分CGなどには頼れませんからその分役者さんの腕が試されるのですが、画面越しに見ているこちらにもヒリつくような緊迫感がビンビン伝わってきて、まさにこれこそ映画館で見る醍醐味だ…!と無性に嬉しくなってしまいました。私が観賞したのは今年に入ってからでしたが、昨年公開のアクション映画の中では本作が断トツに満足感のあった作品でした。
※ただ、これは作品そのものについての苦言ではないのですが、こういったインディーズ映画が日本アカデミー賞という大きな賞を授与されること自体はとても喜ばしいことだと思うのですが、反面日本アカデミー賞そのものが巷の盛り上がりに左右され過ぎなきらいがあるように思え、見ている側としてはその節操のなさに「なんだかなぁ…」という思いがなくはない…というのが私の正直な感想です。
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