「予算は極少ながら、抜群の面白さ。」侍タイムスリッパー じきょうさんの映画レビュー(感想・評価)
予算は極少ながら、抜群の面白さ。
客寄せには、美人女優と顔のでかい俳優かイケメンかなあというところだが、今作品にはそういうのは1人も出ていない。しかし、なんだろうこの面白さは。
ターミネーターばりに雷に打たれて(笑)、現代の太秦映画村にタイムスリップしてくるところがチープだけど話のきっかけとしては最高。なにせ、幕末の勤王武士と暗殺を図る会津武士がいざ戦わんと言ったところで雷に打たれる、ピカ、ドーン、目が覚めたら現代。気の利いたVFXなんてない。中学生が文化祭の出し物で考えそうな展開だけど、それでいいさ。そこはきっかけだから。
撮影中の「心配無用ノ介」に迷い込んで、「助太刀いたす!」には笑った。
いつの間にか幕末の会津藩士が、少しずつ現代人の装いをするようになり、気がつくとジーンズまではいている。
でも、さすがに元では無い現武士だけに、刀に対する思いはすごい。竹光を本身に見せる工夫をするところのこだわり。
それだけに最後の本身を使った戦い(映画内のドラマ)のヒリヒリするような緊張感は秀逸だった。
時代劇は日本独特のファンタジーだ。しかし、面白いものを作ればこんなにもヒットするんだと再確認できた。
当地では単館上映のうえ、1日1回なもんだから、常に満席に近く公開されてから随分たっての鑑賞となりました。
残念ながら有名俳優や人目を引く仕掛けもないし、演劇でもいいような展開だけに、宣伝もかけられない。でも、口コミでこれだけの広がりを見せてくれた監督、助監督、主演、その他の役者魂にとても勇気づけられました。
なにかの賞をとってくれれば箔が付くだろうなあ。
劇場内は笑いに包まれ、いいものを見たという満足感で満たされていました。
はじめまして、みかずきです
本作、やはり、ラストの決闘が素晴らしかったです。
現代にタイムスリップしても、武士の心、郷土への想いは持ち続けていた主人公に胸が熱くなりました。
決闘シーンの冒頭の静寂の長い睨み合いは、いつ刀を抜くのかという緊張感で息もできない程でした。黒澤明監督の椿三十郎を思い出しました。
笑いあり涙ありの傑作でした。インディーズでも面白い作品ならヒットすることが納得できる作品でした。
ー以上ー