「斬新なタイムスリップ展開ですが、微妙な結末」侍タイムスリッパー ヤマッチさんの映画レビュー(感想・評価)
斬新なタイムスリップ展開ですが、微妙な結末
タイムスリップ作品の展開としては、過去や未来から現代に現れます。そして現代の当たり前の日常が無くしてしまったもの、理不尽なもの等を浮き彫りにして再生をうたうといものが多くあります。
本作も幕末の侍が現代にタイムスリップして自分達の時代が作り上げた未来を垣間見る展開となっています。ここまでは定番ですが、微妙なのはタイムスリップした人物は元の時代に戻ろうと様々なことを試みたりするのですが、1度は試みますがそれ移行は全て受け入れて普通に生活しています。
この時代の人間ではないことを誰かにカミングアウトすることもありません。
タイムスリップという異常な体験に困惑がまったくないのもどうかなぁと思いました。
いくら京都とはいえリアル髷頭で着物姿の怪しい人物を受け入れてしまう人々もご都合展開と思いました。
そして、話は時代劇の需要が減少することへの憂いが映し出されます。衰退を続ける時代劇をどうにかしなければならない。そこに時代劇の大作映画製作の話と、時代劇を捨てた大物スターが戻ってくると更に話題となります。そこの敵役に抜擢される主人公。しかし、指名した大物スターとは過去の因縁の相手でした。
わだかまりを持ちながら撮影となり、クライマックスの決闘シーンとなります。殺陣のシーンは確かに凄みはありますが、ここにいたる展開も違和感があります。
因縁の相手との決着をつける為と真剣を使っての殺陣を希望して生死を分ける戦いに盛り上げていきます。「映画の撮影なんですけど」と突っ込みをいれたくなりました。
盛り上げた挙句の結末にも興醒めでした。
真剣と伝わるようにラストの殺陣ではしっかり音響をつけるといった細かな演出は評価しますが、作品としては可もなく不可もなくです。
そうなんですよね。
カミングアウトするシーンがなくて、長尺の映画なのに過去に戻る格闘が1度だけ。
あと、大物スターの振り返りのシーンの配役との顔のイメージが繋がらなくて…うーん?となりました。
意外とブームが終わってから見返すとみんなさそこで気づいて冷めるかもですね。