劇場公開日 2024年8月17日

「いろいろと解釈がおかしいので…。」侍タイムスリッパー yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0いろいろと解釈がおかしいので…。

2024年9月13日
PCから投稿

今年326本目(合計1,418本目/今月(2024年9月度)12本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。

 この作品はもともとミニシアター数館でのみ放映されていたものが口コミなどで話題を呼んで大手シアターで流されたという経緯があるので、元はインディーズ映画であるという点はある程度は理解しますし、そのような発展を遂げたものに、ベイビーわるきゅーれ等があることもご存じと思います。

 ストーリーとしてはかなりわかりやすいほうで、日本に適法に在住する外国人の方々にも江戸時代や時代劇といった観点でもおすすめはできます(一部気になる点は後述)。

 ところどころフィルムのつなぎが変なのかな?というのは思いましたが、そこはインディーズ映画である点までも考えてあまり考慮はしていません。ただ、個々気になる点はいくつかあります。ここをどうとるかに大半尽きるのではないかな、と思います。

 採点に関しては以下のようにしています。

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 (減点0.5/病院に運ばれる部分の根拠)

 もっともタイムスリップものでこの話をするのかという問題はありますが、業務内なら労災、業務外であれば健康保険でかかるのが原則であるところ、当然タイムスリップものなので法律を適切にあてはめることは不可能です。ただ、日本に旅行に来られた方が適切に手続きをする「前に」何らか怪我などをしても、とりあえず救急車は来ますし病院にも入院できるので、その制度が類推されているものと思います。

 (減点0.5/銃刀法に関して)

 二つの論点がありますので分けてかきます。

 ・ 真剣(←模造刀に対義する語)を用いることを複数人が同意しても不法な行為であり、無効にしかならず(民法132条)、絶対的無効なので追認によっても新たな行為となることもありません(119条、90条)

 ・ それでも真剣を用いたい場合、このように時代劇のような撮影の場合、一定の許可のもとには可能ですが、これには当然手続きが必要です。以下に該当するからです。

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演劇、舞踊その他の芸能の公演で銃砲又は刀剣類を所持することがやむを得ないと認められるものの用途に供するため、銃砲又は刀剣類を所持しようとする者
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 ただ、この許可を取るには自身で行うのでない限り、行政書士の独占業務です(弁護士はオールマイティなので可能)。この点が完全に抜けているのはどうなのか…と思いました。

 ※ ただ、映画を最後まで見ると「英語版字幕だれそれ~」と描かれるところ、この映画は隣国である韓国、中国、台湾は別にして、アメリカやイギリス、フランスほか、日本の文化になじみが少ない国での放映も想定できるところ、日本のように弁護士以外に司法書士や行政書士、社労士…といった資格に分かれている国は少なく(日本と韓国、台湾くらい)、それでも外国から見た日本で行政書士は immigration lawyer (移民法律家/弁護士) とくらいにしか呼ばれず(海外から見ると、ほぼ「在住許可などを扱う専門家」という扱い)、なぜその資格の人が「刀剣類の許可申請の代行をするのか」が理解しがたいのは確かであり、これはまぁ仕方がない部分はあります。

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 (減点なし/参考/外国人などへの配慮について)

 海外進出を考えていることは字幕からもわかりますが、「土佐」「長州」「会津」などはタイムスリップものでもありますし、「現在の」どこであるか程度は示すかセリフ内に入れておいても良かったかもしれません(こういう細かいところからでも観光客は来ますからね)。

yukispica