ラストマイルのレビュー・感想・評価
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面白かったが、突きつけられる…
「アンナチュラル」も「MIU404」も大好きで観てました。
監督の塚原さん、脚本の野木さんも大好きなので、期待しての観賞です。
面白かったのですが、考えさせられる内容でした。
まさに、社会の構造、上から下へと皺寄せがいき下流にはお金が流れない…。
一見悪者にみえる五十嵐(ディーン・フジオカ)だって、アメリカ本社からの指示におびえている。
なんか、本当にきついな~って思いました。
トップの人だけが儲かっているんですよね。
最後にストを起こして、単価が上がったけど
末端の人にとっては、焼石に水程度の値上がりでしたが、
本部からしたら16億円の支出。
またこれも、そっか~と考えてしまいました。
とにかく、総合的には楽しかったです。
ドラマの役者さんたちもちょっとずつ見られたし、
エレナ役の満島さんもとっても良かったです。
阿部サダヲさんも最高でした。
チョイチョイちりばめられた、さまざまな家族の話も面白かったです。
また、パンフレットの袋とじが斬新でした。
最初、製本ミスかと思ってしまいましたが、ちゃんと切り取りの印があったので、
「あーあえてなんだ~」とわかり、
帰宅後開いてみたら、内容に納得致しました。
最後に、
センター長になった孔君(岡田将生さん)が、病まないことを願います。
業界は違っても働く人には観てほしい映画
ドラマファンで興味を持ったところからの、物流問題を織り交ぜた社会派っぽい題材!
※ネタバレ注意※
ストーリー展開が巧みで、センター長が犯人なの!?ってドキドキしちゃいました。
予告では触れていませんが、過労により自殺をはかり植物状態になった男性が発端で5年後に起こった事件という設定。
満島ひかりさん演じるセンター長も過去にメンタルをやられ3年の休職から復帰という設定。
物流問題以外にも、過労死問題も題材になってました。過労によるメンタル不調は今も昔も大きな問題ですね。
映画ではエレナと羊急便の八木さんの英断で、良い方向に的な流れですが現実では起こり得ない展開。
現実は残酷です。
犯人である婚約者が責められてた理由とか、4年前にセンター長と出会ってた設定のあたりとか、若干省略されていて、ん?と思う部分もありましたが、婚約者が自殺未遂して恨んでたってことがわかればストーリー的には問題ないかなという感じです。
印象に残るのは、マジックワード「カスタマーセントリック~全てはお客様のために」という言葉の恐ろしさ。勤め先に、デイリーファスト社に掲げられた方針の数々と、ほぼ同義の社訓があるのでなおさらかもしれません。
海外本社から、現場、下請け、顧客まで、登場人物の誰かしらには共感出来るはず。
上手く現実味が表現出来ているので、優秀な映画だと思いました。
タイトルなし
見ている途中、筋の構造からある作品を強く思い出したのだが、それが何だったのかが鑑賞後に思い出せない、と思ったけと1週間経って思い出した。機動警察パトレイバー劇場版だ。
アンナチュラルにはリアルタイムで大ハマりした。詳しいスジやディテールは覚えていないが、Lemonの歌詞に同期したシリーズのクライマックスには本当に痺れたのを記憶している。一方MIU404にはハマれず途中下車。本作をきっかけに配信で全編鑑賞。志摩の伏線の張り方に感心はするもハマるまでのことはなかった。
そして本作。作劇は2時間の枠の中でいくつかの謎といくつかのスジを引っ張ってまとめてくれました。映像はピントを奥の方に送るなど細かいイースターエッグ的なことを何箇所かでやっていて、いずれ解読編を読んでみたいてす。
役者、満島ひかりに岡田将生にはどちらも好きで不満はないけど、ちょっと美形すぎだなぁ。
うーん…
何となく「フードインク」思い出しましたね。あとはマダガスカルのバニラビーンズとか、マイカとか、カカオとか。最近のデ◯◯ニープラスの規約問題、過去には和◯とか電◯の過労死問題…
考えれば考えるほど分からなくなる。資本主義下で私たちはどうすれは良いんだろうか。
満島ひかりのセリフにあったように私たちは「世界中でいつも誰かがたくさん死んでるのに大騒ぎしても仕方ない」「自分の知らない人だし関係ない」って意識で欲望のままに生きてて。何だかんだ言っても結局送料無料の方がいいし、商品到着は早ければ早いほどいいし、映画を観た後もポチッとお買い物しちゃいますみたいなところ。それを今日から変えられますか?って言われても変えられない。でもこのままでいいわけじゃない。
作品自体はよく出来てて、テレビドラマっぽかったです。踊る大捜査線みたい。ご都合主義的なところはあって、実際にはこんなことが起きたら満島ひかりのノリが軽過ぎるし、普通は会社って辞令が出るし、新しい上司が何者か分からないなんて無理のある話という気がします。実は岡田将生がホワイトハッカーだったとか漫画的で、海外で注文してそんな早く届くか?とか言い出したらきりがない、?なとこもあるんだけど、でもちゃんと飽きないように盛り上げてまとめられていて、社会問題を提起しているところが非常に良かったです。
作品の要のシーンは阿部サダヲのセリフだったと思うのですが、刺さりました。「俺だって最初は誇りをもって…」からのくだりの場面です。何年も社会人として働いてきた大人たちには、特に胸に迫るものがあると思います。
どの荷物が爆弾かという緊張感はあるが…
大手通販サイトから出荷された荷物に爆発物が紛れ込んでいた――!
という衝撃的な予告ですが、その割には見た後の印象はいまいちすっきりしませんでした。
まず犯人の動機はわかるのですが、その目的のための手段が爆発物による無差別テロというのは動機と犯行の関連性が弱いかなぁ、と。犯行によって間接的に目的を達成するぐらい?
主人公の舟渡エレナの言動も一貫性が乏しく結局何がしたいのかあまりよくわからず。
そしてドラマの「アンナチュラル」と「MIU404」の登場人物がゲスト出演していますが、彼らが出てる意味はあったのかなぁ、と素直に疑問が。
大勢が利用する大手通販サイトのどの荷物が爆発するかわからない、という緊張感はあって、犯人の犯行手段を解き明かしていくサスペンス要素もあり、また日本の物流の抱える問題にも触れているのですが、人気ドラマの登場人物も出していろいろ詰め込んだ割には何をメインにして描きたかったのかがぼやけてしまったかなぁという印象でした。
面白かった
アンナチュラルは視聴しており、同じ脚本家、監督と言うことで期待してみました。
結果として、期待通り面白い映画でした。
二転三転する展開も面白かったし、小ネタも効いていてドラマシリーズのファンは楽しめたんじゃないでしょうか。謎解きの課程は、まさにドラマシリーズを彷彿とさせました。
また、最近の社会問題である配送の現状も扱っていて、その点も面白かったと思います。
ただ、見終わってみるとなんとなく薄い印象を受けます。
ロッカーの遺言(?)の意味もきちんと説明されてなかったと思うし、エレナが何故あそこまで売り上げにこだわったのかも今ひとつ分かりませんでした。
最後の爆弾を上手く処理したところで終わってもよかったかな?
ふさわしい評価と報酬ってどこにあるのかな。
くべくん、法医学じゃなくて生きてる人の方に行ったってことかな?それとも生きてる人の方(って臨床でゆえばええの?)で研修中とか?
アンナチュラルの白井くんだっけ?
許されるように生きろ、の先を垣間見れてよかった。バイク便のお兄さん。
金森さん顔映った?パソコン分析したんだろうけど目に付かなかった!
前田旺志郎さんが水上ナントカくんの位置にいたね。
宇野祥平さんの元の仕事だったひのもと電気?の製品がええ仕事した。あれはよかった。
アンフェアの小久保みのある羊運送のヤギ(八木なのに山羊に聞こえるw)さん、お疲れさん。あーやって販売元から日々脅されて持ち出しで業務させられたんじゃたまんないね。
エレナは配属たった四日で解雇。すげーな。
150円の配送料が170円になって、ドライバーの懐にどれだけ入るのかな?200個届けて4000円。
デイリーファストでは働きたくないねぇ。
新自由主義のなれの果て、大きな仕組みの一部である、取り替え可能な安価な部品であるわたし。
主体的な自我に見合う、客観的でふさわしいと思える評価や報酬って、どこにあるのかなって思う。
いや、評価や報酬で、自我は満たされうるのか、そもそもあやしいのかも。
だったら何を目指して生きる?
死ぬまでの暇つぶしにしては、美しき虚構がチラついて、暇つぶしに罪悪感を抱いちゃう。難儀なことよ。
ぼんやりとそんなことを思いながら見た。面白かったです!
豪華キャスティング、アクセル全開で面白かった、動機はウーン?
開幕からずっとトップアクセル状態で面白かったです。
事件がおきてるのに、営利企業あるあるや、社内政治とか見たくもないものもたくさんあったけど(笑)
(面白かったところ)
繰り返しですが、疾走感というか、これぞエンターテイメントって感じでストーリー展開するので2時間があっという間でした。理屈なしに面白かった。
(イマイチに感じたところ)
話題作りになってたアンナチュラルやMIU404の世界観はぶっちゃけなくても良かった気がする。
特にMIU404は若干おちゃらけ?で雰囲気壊しとまでは言わんけど、ちょーっと映画をドラマに引きずり下ろし感があったので、どうなのかなぁとか思ってしまった。
一方でMIU404自体は未試聴なので、興味を持ってしまい、まんまと思惑にのせられてるが(笑)
(?なところ)
犯人の動機が?というか動機はいいとして、復讐のために無差別やるかね、、、。よほど会社自体を狙うのではと思った。
あと最後の爆弾が予想付きすぎてしまって、もうちょっとなんかなかったのかなとも。
(これ言っちゃおしまいだけど)こういう事件起きた場合、無条件でセンター閉鎖なんじゃないの、と思ったり、全体を通じてけっこうガバガバで、そういうのが気になる人には向いてないかも。
ただ、そういう細かいのぬきに疾走感あるエンターテイメントとして面白かったです。
しかし別の方も述べてましたけど、珍しく漫画原作でもない、小説原作でもないオリジナルの映画、ということでよくもまぁこんなに豪華なキャスティングできたなぁと思います。
面白かった!
邦画特有の良い所を詰めに詰め込んだ大傑作
塚原さん有難う
野木さん有難う
アンナチュラルもMIU404も鑑賞済なんなら当時刺さりまくった忘れられない2作
ドラマであれだけの大作が作れたならば、わざわざ映画館に行かなくても地上波放送ないしは配信で観れば良いかな。
ばかやろう~~~!!これは映画だから演出できる作品であり、大画面だから感じられる表情、迫力があり、多数の人と同時に観るからこそ感じられる緊張感と安心感があるんだ!
現にMIU404のテーマソングが流れた時の高揚感が周りの人と共有できたあの感じ
自分も思わずハッと笑顔になってしまったし、小さく拍手する人とか居たし、UDIラボが映った瞬間前の人の肩が明らかに上がっていて、
あ~~みんなUDIチーム、4機捜メンバーとの再会を心待ちにしていたんだよな~嬉しいねええ!と
この感動を言葉を交わさずとも共有できるのは映画館だけ!
肝心の”ラストマイル”について
画面いっぱいの岡田将生に見つめるられて幕を開ける本編。
とんでもないサービスショット これだけで有難う御座いましたと言いたくなるが、序の口オブ序の口。
序盤は物流業界の闇が分かりやすく描かれ、同業勤務ではないが下請け業者ありきで働いている身としては胸が痛い。
エレナの頭が切れすぎて、こんな(梨本と)2人と働きたいと思っていたが、徐々に暗雲が立ち込める。
主人公犯人オチ作品は存在するものの二重人格設定だったり矛盾が生じたりするものの、野木脚本で巧妙なギミックが観れるのかなと思いながら・・・
梨本からの問い詰めを受けた後の「私がどんな思いでここまで・・・」で始まるエレナの独白からの流れは本当にハラハラしました。最後まで言わない(言えなかった)のがなんという絶妙な、視聴者のムズムズを刺激させる脚本で、降参しました。脱帽。
ジャンルはサスペンスではあるが
本作の肝は単なる「犯人探し」には収まらず
そもそも”何の”犯人を観るものは追っているのか分からなくなる。
ストーリー上での被害者は筧まりかではあるが、彼女もまた被害者であり
自殺まで追いやった側も俯瞰すれば被害者である。
となると、本当の犯人は無意識に便利さを求めすぎた消費者の欲望であり、裁くことのできない無念さと消費者の中に少なからず自分自身が入っている罪悪感が身にしみる。
最後のメッセージが2時間のストーリーによって
あまりにも効果的に重く、切実で、強い訴えとなっている。
時には立ち止まって休む、サボる、辞めることも必要。
そしてそのことに対して自分を責めないで。生きることを辞めるのだけは絶対駄目。
細部が雑
総評としてはすごく面白いです。
ただ、細かいところが変でした。
〇mazon.con、fanatic〇.comで良く買い物しますが、
西海岸に物が有っても手配と空輸でも2日と税関1日で3日、なので4日目以降でないと届かない(物理的にも法的にもできないでしょ)。
また、爆弾あるかもしれない部屋で安易に物色って...(ノートPCを爆弾改造した可能性とか疑わないんかい)
等々、雑な展開が多々見受けれたので星-1。
犯行動機はわかったが、腑に落ちない
巨大配送センターから出荷された荷物に爆弾が仕掛けられ死傷者が出る。
配送センター所長舟渡と梨本は一見無差別テロに見える爆弾魔を阻止できるのか、翻弄される配送業者や警察を描きながら、犯人の目的、動機誰の仕業なのか、伏線を配置しながら二転三転する展開は面白く、日本の配送の現状、問題点をからませながらエンターテイメントとして成立して評価できる。しかし犯人と犯行動機がわかった時、興が冷めてしまった。
飛び降り自殺を計り昏睡状態の恋人の復讐なのだろうが、どの家庭に届くかわからない荷物に爆弾を仕掛けるだろうか?それこそ幼い子供の命を奪いかねない。犯人の女性は初めの爆弾の被害者として自死してしまう。結末を見る前死ぬのとはどういうつもりなのか?つじつま合わせのような顛末だ。
犯人の心情をあまり描いていないので腑に落ちない。
下請け運送屋がいい味だしてる
宅配便の荷物、開けられなくなるわ。
前半、謎呼ぶ展開はワクワク感が止まらなかった。 中盤以降は種明かしになってくるので、サスペンス要素が減ってきて少しだが緊張感がなくなってきた。まあ、当たり前だが。
途中、満島ひかりが爆弾に触れてアタフタしているところに爆弾処理班が乱入してくるくだりは、ボーっとしてたのか正直意味わからんかった。
オープニングででてくる下請けのおっさん2人の運送屋はなんの意味があるのか途中わけわからんかったが、ラストの展開はハラハラしたのは事実だわ。
期待度△鑑賞後の満足度◎ エンタメの形を借りて私達の生活を支える物流業界とその問題、本当の犯人は少しでも早く安くという人間(勿論、私も含めて)の果てしない欲望であることを突き付けてくる。
※2024.09.01. 2回目の鑑賞(「TOHOシネマズ橿原」) 何故か気に入ってしまって連日で鑑賞。
①今回特に感心したのは脚本の巧みさ。冒頭十数分の間に殆どの伏線と手掛かりを散りばめている。
②あと、プロデューサーも女性でしたね。
③同じ仕事でメンタルになった経験のある女性を主人公にしたのも感心する。
女性ならではの視点ですかな。
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①少し日本映画界を見直した。
②二つのTVシリーズは観たことがないので、エライ豪華な出演陣と思ったらそういうことね。
③監督も女性、脚本も女性、主演も女性、犯人も女性、ラスボスも女性。
これからの日本はもっと女性のパワーを生かしていかないとね。
④バリバリ仕事する女性を描く一方、生活と子育てに苦闘するシンクルマザーを描いているのも女性ならではの視点とも言えるが、やや類型的なのとラストの一押しの為に付け加えた様な感じで少し惜しい。
⑤満島かおりは熱演はもとよりこの大作を一人でしょっている。頼もしい女優に成長したものだ。『愛のむきだし』や『悪人』の頃も好きだけど。(思い返してみたら、満島かおりと岡田将生は『悪人』で共演してるんだよね。今回は立ち位置が逆転していて何か面白い。)
出演陣の中では孫請の運送業者をやっている火野正平と宇野祥平のショウヘイコンビが良い味。
⑥『ラストマイル』の意味がわかったところは少し涙が出た。
いくら良くできた製品を作ったところでお客さん(消費者)のところに届かなければ意味がないのだ。
⑦ほぼ破綻なく大作を纏めあげた監督の胆力はなかなかのものだが、もともとTV出身の人だからか、演出やカメラワークに特にこの監督ならではという味がないのが残念。
芸術作品ではないから仕方ないか。
消費社会
物が多すぎて、大量な消費社会。
物欲にまみれてポチっと押すだけ。
現代におかれている社会問題をストレートに。
脚本、演出はさすがである。
アンナチュラル、MIU404のメンバーも出てくる。
そりゃ、映画を観に行くだろう。
伏せん回収も完璧だ。
個人的にはwしょうへいに殊勲賞を与えたい。
『いい洗濯機使ってますね』
この言葉が刺さる。
自分を排除した会社の製品を誉めるとは。
理想と現実、生産性も別物。
誰もが追い詰められるかも知れない
歪みを描いている。
恐怖の爆弾テロ
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ひかりが物流倉庫のセンター長として赴任する。
するとその倉庫経由の配送品が爆発する事件が連続で発生。
さらに全部で12個あるという爆弾テロ予告動画が公開される。
その動画制作の決済履歴から、元社員の倫也が容疑者となる。
が倫也は何年も前から植物状態であることが判明。
ブラックな労働環境に、鬱になって自殺未遂したのだった。
犯人はそれを恨んだ倫也の元彼女で、既に自ら爆弾自殺してた。
ひかりもこの会社のブラックさで精神を患った経験があった。
そしてこれを機に会社を辞める。
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ひかりや倫也の弱さや葛藤が事件の背景にあるにもかかわらず、
何か今イチ共感することが少なかったな。
まあ犯人探し物としてはふつーに面白いのやが。
しかし宅配便の無差別爆弾テロなんて、ホンマに最低よな。
宅配便を開封するのが当面怖くなるやんけー。
あとタイトル、最後までラストスマイルと思っとったわw
満島ひかりが素晴らしい!適役!大切な荷物を届けるラストマイル。 配送業者の誠実な想いVS大企業利益追求の弾圧。 世界規模の大手外資系インターネット・ショッピングサイトといえば…。
ショッピングサイトの荷物が次々に爆発する連続爆破事件が発生。
センター長に着任したばかりの舟渡エレナが危機に立ち向かう。
誰もが実在の企業を想定する【世界規模の大手外資系インターネット・ショッピングサイト】「デイリーファスト」。
その巨大な発送センターに、次々に出勤する大勢の社員たちを描く高揚感、心地よいワクワク感。
そこに、新任の若い女性のセンター長が登場。
いかにもやり手であることがわかる段取りの良い、歯切れのいい仕事の進め方が、観ていて実に気持ちいい。
満島ひかりの個性と演技が実にぴったりです。
冒頭の登場から物語に一気に引き込まれます。
そして突如起きる、事件ものの定番ともいえる連続爆弾事件を通して、物流業界の仕組みや内幕、問題点、それらを支える多くの人々が描かれていく。
二転三転する犯人捜し、ミスリードもサスペンスとして面白い。
ドラマ「アンナチュラル」「MIU404」のメンバーが登場するユニバースも、本筋に邪魔することなく、それぞれが見せ場があって、作品に色を添えている。
「すべては客様のために」という、いかにも善意に満ちた企業のスローガンも、結局はすべて巨大企業の利益追求に言い換えられるという皮肉。何とも外資系らしい。
これに対して「ラストマイル」という物流業界の用語の持つ意味の重さ。
荷物を受け取ったお客様の笑顔のために、休憩時間をも削って、黙々と一つ一つの荷物を届ける配送業者の気持ち。
これを演じる火野正平の演技がいい。
いかにも日本らしい美徳も、大企業に有利な条件を押し付けられて、疲弊していく問題を、娯楽映画に昇華していて実に見事です。
そして、虐げられた人々が団結して反抗する展開も盛り上がる。
最後は、高品質の日本製白物家電と、倒産したその電機メーカーに勤めていた元社員で今は見習い宅配担当者がヒーローという結末。
様々なすべての要素をここまで完璧にまとめ上げる、製作、演出、特に脚本の力!
さすが、野木亜紀子、お見事です!
壮大な事件も最後は、一つの荷物の小さな幸せで気持ちよく締めくくる。
良い意味で、連続ドラマ的な終わり方が爽快でした。
みんな、誇りを持って仕事してんだっ!
非常に邦画らしくないスピード感が出てたね。邦画もここまで来たのかあ、という印象。
他の番組との絡みもあるけど、直接絡んでないのもよいバランス!
見応えあったから、★5でいいよね。
気になったのは、早い段階で満島ひかりが犯人?っていうミスディレクションがあってさ。あのタイミングだと、「あ、違うよね」っていうのがわかりまくり。ここがもったいないかな?種明かしもあっけない。このミスディレクションをもう少しあとにして、種明かしも後にすれば、もっとミステリー感が出せたのになあ。
満島ひかりの役所が、聡明「すぎ」かもなあ。仕事のテキパキさがそのまま犯人探しにも生かされ「すぎ」てスーパーウーマン的に描かれたのは少しなあ、、、と。
全体的にはテンポ感よく行ってたしね。この手の邦画だと配役で生死がわかっちゃうけど、そもそもほとんど死者が出てないのもいいバランスだったなあ。
さあ、困ったぞ。「今年1番」が次々と、、、良いことだけど。
テーマがよい
テーマは凄く面白かった。物流ってこんなに複雑な流れになってるんだとか、末端のドライバーって働きに対しての給料そんなに低いんだとかということを調べるきっかけになった。
他作品で出演した人物やBGMが出てきたのは、知ってる人にとっては嬉しい人もいるのかもしれないけど、この作品にとっては少しノイズになったような気がした。穿った見方かもしれないけど無理に出演シーンを増やし、蛇足なシーンも増えてるのではと思ってしまった。自殺未遂したヤマサキの苦しさを、過去を、もう少し掘り下げた描写が欲しかった。
ただ、洗濯機の下りは結構好きだった。洒落た伏線回収だなと思った。
もう一度見ると色々更に見えてきて面白いのかもだけど、劇場じゃなくて家で見たい。連続ドラマでじっくりやったほうが合ってそうな作品。
巨大ショッピングサイトの運営はエッセンシャルワーク
話の筋としては、Amaz○nの日本法人がヤ○ト運輸を虐め、Am○zonの日本法人は米国本社に虐められていたという話です。
市川の道路が封鎖されるあたりも、塩浜の倉庫で間違いないと思いますし、上映中もずっと頭の中はその2社に置き換わってしか観れませんでした。
さて、本筋。
最初の爆発の被害者の指に指輪が見えた気がして既婚者なのかなと思いましたが、ここが後々ポイントになるとは思いませんでした。
とは言え、新センター長が犯人みたいな流れになった時には、それまでの彼女の立ち居振る舞いがテロ行為と全く噛み合わないので、即違うとも思いました。
結局、犯人らしき人物はたった1人。
で、その犯人はじゃあ今どこなのか?
ここがサスペンス的には肝なのかもしれませんが、そんなの警察が捜せばいいんじゃん?あまり興味ないなぁ…と、既にそのあたりまで話が進んだ時には、そんな気分になっていました。
というのも、最初は確かにサスペンス気分で観ていましたが、早い段階で流通業・運送業の大変さに目が移ってしまい、この事態をどう収拾させるのか?だけに気持ちが入ってしまっていましたので、テロ前に犯人が自殺していたのは、トリックとしては面白いけどまぁあるだろうなぁ程度の関心度。
それよりも…
すべてはお客様のために。
サラリーマンなら嫌ほど体験する建て前と本音。
「会社の利益のため」と言う副センター長に対し「違う、お客様のため」と社是を言うセンター長。
全くもって苦い、苦々しいです。
本人は、米国本社からの示唆で犯人と繋がる情報を削除したり、本国の株式市場が開く時間を考慮してマイナス情報の発表のタイミングを決めたりと、全面的に会社の利益のためにしか動いていなかった上でのセリフ。
とは言え、使える物は何でも使えとばかりに警察官を検査用員としてでも、とにかく出荷を止めない姿勢は、鬼気迫るぐらいの凄みを感じました。あのくらいの押しの強さがないと外資で生き残れないのかなと、ちょっと引いたくらいです。
それと運送業者も、安い請負料金のため、常に人手不足と高齢化で厳しいところに、危険物混入の責任まで擦り付けられそうになるところも、一般的な会社でもよくありそうな力関係の話だなと心を痛めて観てしまいました。
ただ、この業界自身も、早く人海戦術に頼る仕組みから切り替えていく技術やインフラを整備しないと、この問題の根本的な解決には至らないわけなのですが。
それもこれも利益優先の行動というより、ここまでの巨大なショッピングサイトになると、他の様々なエッセンシャルワークとも密接に関わってしまっていて、最早止めることは許されない状況であるという事実。
自分としては、その部分がこの映画で一番身に染みたところでした。
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