ラストマイルのレビュー・感想・評価
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2.7m/sで駆け抜ける社会派サスペンス
はじめからつきまとう〝ある違和感〟。
言葉としぐさに本当の姿の無さが見え隠れするわけはなんだ?と探りながら観る。
繰り返す空振りと途切れない緊張を載せていくベルトコンベアのせわしなさが胸のざわつきを煽り続ける。
歪んだ秩序
連鎖するあやまち
麻痺を葬る組織
それらを理解するほどに辛いのは、失う自分をのみこむ自分がここにいるからなのだろう。
完璧な速度を保つために置き去りにされたものを叫ぶ命が、それさえも歯止めにならないことを知った悲哀はゼロを〝通り過ぎた〟。
腑に落ちていくあれこれがようやくエンディングの歌詞に溶け込む。
誰かの思いの過去と未来。
そこに思いを馳せる人がうやむやにしない行動がある限りはまた違う誰かの道を繋ぐことがあるのだ。
生きて、切り込む
彼女はそれを選び繋ごうとした。
そして体験した闇の辛さを共有する彼にバトンを託しこの先は「孔次第」だと言う。
そこに落とし込まれたメッセージは重く深く、まぎれもなく〝あなた〟に向かっているのだろう。
なかなかないキャストの豪華さ、脚本や演出の巧さと美味さを堪能。
そして忘れられないエレナのまなざしに宿る強い意志を思い出しながら、またしても米津さんの楽曲を含めて完成される傑作ふたたび、と感動している。
非常に良くできたドラマ
配達物の爆発という1つの事件からあらゆる問題が派生していき、否応なしに様々な不安や大きな影響を及ぼす。
1つのシステムに依存することがどれだけ危険か、そんな気もなしにどれだけ思考停止に陥っていりのかあぶり出され、現実世界ともリンクしている。
でも、根底にあるのはそのシステムを支えているのにどれだけ多くの人が関わっているのか、その仕事にどれだけの想いや苦悩が加わっているのか、全てが機械で賄えないからこその人の力、等身大な生活があるからこそで、そこには必ず肯定的な物語があることも教えてくれた(もちろん、等身大な絶望もあることも)。
脚本が素晴らしく、ミスリードと伏線もよく効いている。ミステリー的な要素もありながら、文句なくヒューマンドラマとして完成されていると思う。社会人として仄暗いものまでも含めた共感ができたし、舟渡エレナのそれでも正しさを求める姿勢はもちろん、配送業に関わるすべての登場人物にも尊敬でき、現実への見方も変えてくれる良い映画だったと思う。
ただ梨本孔のキャラクターだけがちょっと微妙だった。現代らしいキャラクター、しかも後を継ぐような人物像となるとこうならざるを得ないのかというようなありきたり感? 優秀でギャップもあるけど、だからこそ作られた人物像的な感じがしていまひとつ共感が持てなかった。ラストで彼がバトンを受け取ったとき、そこにいまひとつ気持ちが乗らなかったのはそこなのか……。その先のビジョンがあまり見えなかった。
爆発する前に食い止めよ
気になっていた作品がアンナチュラルとMIU404の制作チームが再集結したシェアード・ユニバース作品ということで、両作ともに好きだったので期待値高めで鑑賞
(アンナチュラルとMIU404の登場人物は出てくるけど
あくまで同じ世界線だよの紐付けに過ぎません。
おかげでめちゃくちゃ豪華だけど予習はいらないです!)
少しコミカルに描かれているのに題材はしっかり重い
怖いし泣けるのに、笑えるところもある
さすがだなと思いました。
すべての伏線がしっかり回収されて気持ちよかった。
今回は資本主義による社会問題を提起した悲劇の話
とても便利になった現代の物流
少し昔までは頼んだものがその日のうちに届くなんて
魔法のようなことで驚いていたのに
今となっては「当たり前」のことになってしまった
その物流の流れを止めないために
どれだけの人々の力があってどれだけの犠牲があるのか
「すべてはお客様のため」という魔法の言葉にのまれ
溜まる疲労や不満、耐えきれない重圧。
生活には欠かせない物流だからこそ
過度なサービスを追求してはいけない
誰かが歯止めをかけ安全に遂行しなくてはならない
爆発する前に。
だけど、2人のように命をかけてまで止めようとするのは
「そんな度胸ならないほうがマシ」ですよ
〈おまけ〉
最後のザワザワする音の音響がすごいよかったです
2024年問題を扱った意欲作
塚原あゆ子×野木亜紀子のヒットメーカーが生み出した傑作。野木亜紀子さん、社会問題をストーリーに取り込むのが本当に上手いですね。今回は2024年問題でした。
なんかさ、物流を末端で支えるトラック運転手に対して世の中厳しすぎませんか?運賃安すぎますよね。
特にストを敢行して同業他社の協力まで取り付けたのに、コストアップは20円/荷物のみというところが悪い意味でリアル。
それに対し、+1600億円/年もコストアップになったと言い放つ本社幹部。ラストマイルやその従業員をコストとしか思っていないのでしょう。もともとどんだけ荒稼ぎしていたのかと、反吐が出ます。
世の中便利になり過ぎました。家に居ながら欲しい物が買えて、それに対して手数料が低過ぎる。
エッセンシャルワーカーがもっと大事にされる世の中になりますように。
とても面白かったです
シェアード・ユニバースという形式は初めて知り、そのドラマ群は見てないものの、それ故の豪華キャスト揃いで楽しめました。米津玄師の歌含めて良かったです。
今年見た中では上位です。
大手ショッピングサイトから発送した荷物の連続爆破事件。ほぼ同時期に赴任した関東センターのセンター長と2年目社員の2人は事件の解明に尽力する。。。
今や暮らしに欠かせないネットショッピング及び宅配。我が家もだいぶお世話になってますが、現代ならではの様相を呈した作品と思いました。実際にあったらとても怖い。
一つトラブルが発生すると、契約している他社との関係や雇用、現場の労働者(Wショウヘイ親子)、消費者までリンクしていて大事になる。いったん走り出したら止めるのが大変(というか取り返しがつかない)なのはネットの世界と同じかもしれません。
ラストの洗濯機は、爆弾あんなに破壊力あるはずなのにうーん?と思ったものの、実際の業界の問題も垣間見れたようで、全体的に面白く鑑賞しました。
主演2人がgood!
中村倫也の声が聞きたかった。
*****
パンフは売り切れでした(ーー;)
令和のモダン・タイムス
前評判通りの面白さ。社会問題を織り交ぜながら、説教臭くなりすぎず、エンターテインメントとしてまとめる手腕は特級。横綱相撲だ。
物流をまるで都市の血流のように表現したモチーフ的な映像で始まる。そして映画が始まってすぐに宅配便の荷物が爆発する事件は起こる。以降、荷物を開けるシーンのたびに心がザワザワする。うまい仕掛けだ。優秀だが大企業病に罹患し、株価のためなら隠蔽も辞さないセンター長と、そこまで会社に魂を売り渡してはいないその部下、という構図を最初に見せる。明らかに何かを隠しているセンター長の尻尾を掴み、問い詰め、いよいよ真実が明らかになると思いきや、すぐさま別の爆弾騒ぎをかぶせ、ブラフだったと気づかせる。ブラフといえば、爆弾は12個と思わせといて、実は11個だった、全部見つけたぞ、バンザーイと安心させて、やっぱり12個だった、なんて。そして、クライマックスに向けて、開けた時に爆発する荷物だったはずが、衝撃を加えただけで爆発する荷物に進化し、ゲームの難易度を上げてくる。さりげなく撒かれた伏線はていねいに回収される。ヒノモト(日の本)電機の洗濯機がここで効いてくるとは!日本の家電が強かった、昭和生まれの心もくすぐられ、もう作り手の思い通りに転がされてしまった。参りました。
配送センターの描写はチャップリンのモダン・タイムスを思わせる。あの映画も家畜の群れのような労働者の通勤風景から始まる。経営者の指示に従って屈強な男が大きく重たいレバーを操作してベルトコンベアの速度を上げる。労働者は仕事を失う恐怖から、速度の上がったベルトコンベアに必死についていくが、弱いものから精神が壊れる。この映画では同様に会社都合の(日本にはなんのゆかりもない)イベントの名の下にノルマを積み増しされる。経営者がテレビ電話を通じて指示を押し付けてくるところもそっくりだ。ただ、ポジションを失う巨大なプレッシャーで壊れたのは、チャップリンではなく、指示を受けてレバーを操作する人間だったが。そして、壊れたチャップリンが機械に吸い込まれてもベルトコンベアが止まらなかったように、人一人が身を挺したところで配送のベルトコンベアが止まることはない。
この映画では、別のテーマとして、流通がamazonに独占されている危うさも伝えようとしている。宅配の下請け業者はもはやamazonに脅されるがまま、低価格で振り回され通しで疲弊している。ひとたびamazonに不祥事が発生すれば、下請けは責任を転嫁され、クレームが直撃する。医療用具すら配送されず、手術も止まってしまい、インフラを外資に支配されるとこうなるのだと見せつけられる。あからさまなamazonへのネガキャンだけど、半年もすれば臆面もなくamazonプライムビデオで配信されるのであろう。われわれはそれをありがたがって見るのだろう。だって「カスタマー・セントリック」の会社だから。
流通業界の闇を見事に再現
ショッピングサイトで購入した荷物が配達後に連続爆発、出荷を止めようとする警察と何とか出荷を維持しようとする企業側の駆け引きが凄いスピードで展開してゆき序盤からストーリーに引き込まれます。
その合間に救われない末端の運送業の人たちの現状が描かれます。
”たった10分で昼食を終え1日200個の荷物を配達する毎日”これが、現実と思うと悲しくなってきます。エレナ(満島ひかり)、梨本(岡田将生)の行動力で何とか出荷をし続けることに成功するが、全ての手柄を自分のものとして報告する上司の五十嵐(ディーン・フジオカ)。こんな人いるなと思いながら中盤が展開。
終盤、犯人の特定と山崎(中村倫也)事件の真相が明らかになってゆく中での謎解きの展開がとても良い。また、爆弾の数読みの伏線がお見事です。ラストの運送会社の運送報酬の見直しは、数年前に同じような事が実際に発生していたと思いながら鑑賞。
その他、阿部サダヲさん、火野正平さん、安藤玉恵さんなども良かったのですが、その中でも宇野祥平さんが素晴らしかったですね。
「アンナチュラル」「MIU404」共に見ていました。野木亜希子脚本の世界観が見事に再現されています。素晴らしい作品でした。
ほんとに見易い
アンナチュラルが大好きで、映画の話を聞いた時からずっと待ってました!
今回は事前に予告など見ずポスターのみの情報だけ確認してたので、どんな内容か全く知らないまま見てきました。
内容は大手ショッピングサイトのブラックフライデーと物流スタッフの苦悩にフォーカスが当てられ、それらに纏わる事件や問題に対し、色んな職種の人たちが立ち向かうものとなっており、自分たちの日常生活の裏でたくさんの人が動いてくれている。自分含め、1人1人の仕事が社会を回していて繋がっている。ことが改めて目に見えた作品で凄く感慨深い作品だったなと感じました。
また、アンナチュラルやMIU404の世界観も違和感なく取り入れられててすごく嬉しかったです!
そして、ストーリーの展開の仕方、撮影のされ方(見せ方)が凄く好きでまだMIU404は見ていないけど、塚原監督、野木さんのファンになりました!!
また、アンナチュラル続編や最新作など期待して待ちたいと思います😊
映画は良い出来栄え。
映画は良い出来栄えだが、「アンナチュラル」「MIU404」と繋がるシェアード・ユニバース・ムービー!!というには、物足りない。「アンナチュラル」「MIU404」の見せ場が少なすぎ。全話を鑑賞してから劇場へ足を運んだだけに残念感が。「アンナチュラル」「MIU404」の劇場版に期待したい。ラストマイルのテレビ版もよいかな。
2.7m/s → 70kg → 0
大手アメリカの通販サイト『デイリー・ファースト』を舞台とした、連続爆弾テロ事件の真相に迫るサスペンス・ミステリー。監督の塚原あゆ子が、テレビドラマで手掛けてきた『アンナチュラル』と『MIU404』とコラボした作品だけあり、出演者もなかなか多彩な顔ぶれが揃っており、見応えある作品に仕上がっていた。
通販サイトを利用してポチっと購入するのは、その手軽さと物品の豊富さから、自分も含めて、今や私達の生活に無くてはならないものになっている。しかし、そんな宅配物を開けたとたんに「ドカーン!」というのは、これから宅配物の開封時には、その怖さが頭をよぎってしまうだろう。また本作では、流通に携わるセンター長から宅配業者の末端までのノルマという苦悩に、現代社会のブラックな問題も浮き堀りとなっている。
11月の第4金曜日の『ブラック・フライデイ』は、通販サイトにとっても大イベント。その前夜に、『デイリー・ファースト』から届けられた段ボールの荷物が爆発を起こし、続いて何件も同じような爆破事件が発生する。爆弾はいつどこで、何者の手によって仕掛けられたのか?『デイリー・ファースト』と宅配業者の『羊急便』の間で、その責任転嫁の鬩ぎ合いが始まる。その真相を巡り、『デイリー・ファースト』のセンター長・船戸エレナとチーム・マネージャー・梨本孔が、東奔西走する物語。
その中で、
・利益至上主義で、『デイリー・ファースト』日本支社のトップに立つ男
・宅配業者『羊急便』の責任者と、宅配の末端を担う親子
・離婚して母子家庭となった一家
・そして、5年前にある事故によって脳死状態となった『デイリー・ファースト』の社員、
等が、前半から布石となって事件に絡み合う中、次第に回収させてい展開は、最後まで緊迫感と緊張感が続く。
主演の舟渡役の満島ひかりとその相方・梨本役の岡田将生の2人が中心に、物語は展開。満島の役どころが最初とは意外な方向に展開し、それを岡田が、ミスリードするような演技で支えているのが面白さ。そして、本作のお洒落なところは、星野源、綾野剛、窪田正孝、井浦新、石原さとみ、重松豊等の、『アンナチュラル』と『MIU404』の出演者が、チョイ役で登場している豪華さにもある。他にも、中村倫也、薬師丸ひろ子、麻生久美子、阿部サダヲ、日野正平、ディーン・フジオカ等の出演で、大いに作品に厚みを増している。
そして、エンドロール曲は米津玄師の『がらくた』も、また良かった。
すごい面白かった!!
爆弾を題材にした中で、あんなに犯人は誰だってなったのは初めてでした!
主人公のエレナはなぜか怪しい行動をしているしで、見ているこちら側は犯人は主人公はなんじゃないかとミスリードを誘う構成でした
展開がぽんぽん変わっていってつまらない時間はありませんでした!すごく面白かったです!
羊運送のサダヲが演じていた役が社長と知らずに物申す場面は少しクスッとしますよ〜
ラストマイル
まさかの犯人は…
日々頑張って働く社会人への讃歌。
自分の仕事に誇りをもって働く社会人(わたしたち)への讃歌だった…。
そう思える作品だった。
たとえ褒められなくても、社会や周囲がそれを当たり前のように扱ったとしても、数字としては見えなくても、そんな人たちの想いや行動は社会を少し良くしたり、どこかで誰かを救ったりしている。
私たちはそう信じる。
作り手のそんな眼差しというかメッセージのようなものを感じてボロボロ泣いてしまった…。
少しでも良くしたいと仕事を頑張ってるつもりだけど、日々忙しさに追われ、でも職場の誰に労われるでもなく疲れてしまっていた私にはそこがめちゃくちゃ刺さった。
特に好きなシーンが、宇野祥平さん演じる佐野亘が最後の1個の爆弾を洗濯機に入れるシーン。
この洗濯機は彼が以前勤めていた電機会社で作ったものだ。
(品質は良かったけど同業他社に勝てずそのメーカーはもう無くなってしまっている。)
その前に佐野が作中で誇らしげに今は無くなってしまった自分のメーカーの商品を話すシーンが印象的だったんだけど、それを最後に回収してくれるのか…!と、胸がいっぱいになってしまった。
佐野がかつて自分が関わった製品に自信と信頼がなければ出来なかった判断。
会社経営はうまくいかなかったけど、誇りと自信を持って作ったものがあの瞬間、たくさんの人の命を救ったこと。
報われなかった過去の自分の仕事や、自分自身が報われた瞬間。
そこにたまらなく泣けた。
なんという希望のシーンだろう…。
あと特に良かったなと思ったのが、ドラマ「MIU404」3話、バシリカ高校の生徒だった男の子が機捜の一員として働いてたり、「アンナチュラル」7話、「殺人遊戯」の白井くんがバイク便で働いてたこと(白井くんはわたしは気づけず一緒に観に行った夫の指摘で判明)。
進む先を軌道修正してくれる大人に会わなければ道を踏み外していた可能性のある高校生だった2人。
本作を観て「ああ、戻ってこれたんだ…」という事実に胸がいっぱいになったし、アンナチュラルもMIUの世界があの後も続いているんだな、ということにたまらなく嬉しくなった。
もちろん、ミコトや中堂さん、伊吹や志摩、桔梗さん、陣馬さん、久部くん、神倉さん、東海林さん、坂本さん、毛利さん、田島さんといったレギュラーキャストにまた会えたのも嬉しかったんだけど、アンナチュラルもMIUもゲスト登場人物がみんなめちゃくちゃ良かったので、彼らのその後が見れたのがとても嬉しかったな。
脚本の野木さんが作る作品は、社会の豊かさ、便利さのしわ寄せを最初に食らうような、末端の人や弱者とされてる人に眼差しを向けて掬い上げるという部分がずっと一貫してるけど、本作もそこは同じだった。
本作で取り上げられてるのは2030年問題も危惧されてる物流の現場の話。(テーマ設定がうまい…!)
本作も印象的なのはDAYLY FAST(明らかにAmaz●nモチーフ)ももちろんなんだけど、羊急便(こっちはヤ●ト運輸)の現場や佐野親子のような下請けの運送会社の人たちだ。
わたし自身、早ければ翌日に頼んだものが届くオンラインショップや社会システムの恩恵を過分に受けている。
でも、安い製品や早くて便利なサービスは、当たり前だけど、それを支えるために身を削りながら働いている現場の人たちがいることで成り立っている。
そこに目を向けなければいけないというのを今回改めて感じさせられた。他人事ではないのだと。
(そしてそれは制作側の狙いの一つなんだろう。)
これも個人的にめちゃくちゃ刺さったアンナチュラル4話「誰がために働く」で扱ったテーマをさらに発展させた作品だったと思う。
とても良い作品だった。
ザ☆TBS
ストーリーとても面白かったです。
俳優さん大変素晴らしかったです。
特にWショウヘイ非常に良かったです!
けどけど、何故か物流屋が謎解きしてて、
何故か本編捜一刑事さんが残念コンビな一方、
何故かMIUチームやアンナチュラルチームの豪華なスペシャリストが事件を解決しない構成にモヤモヤしてしまいまして。
主役が活躍するのは当然ですが、そこじゃない感と、豪華キャストの残念な使い捨て、一見融合してるぽいけど、単に混ぜてるだけ感満載で、せっかく良い着眼点ながら、出来がいまひとつ惜しかったと感じました。
でも、いい映画ではありますよ!
がらくた
「MIU404」は放送当時に見ていて、「アンナチュラル」は今作公開に合わせて見ました。
どちらも1話1話のクオリティが高く、普段ドラマを見ない自分でも飽きる事なく堪能できました。
映画単体でもしっかりと楽しめ、考えさせられる作りになっていたのも練られて作っているわ〜と感心の嵐でした。
配送された荷物が爆発するというBLACK FRIDAY大激震な事件の裏に隠された悲しい真実とは…といった作品で、物流という生活に欠かせないものにフォーカスを当てた映画ってあんまり観たことないなという点も含め興味深い作品でした。
少しでも油断したらどこかしらの爆弾が爆発してしまうという緊迫感を持たせていたからこそ物語にスリリングさが加味されており、日常に突如波乱が巻き起こるという恐ろしさも込みで観ているこちらもハラハラしていました。
ピッキング業務や配送業務をやった事があるので、あの作業ひとつひとつがトラブルで止まったりなんかしたら…顔が青ざめてしまいそうなものがたくさん作品内に盛り込まれていました。
上から下へと責任を押し付けていってる様子も生々しく、その中間にいる人たちは上からも下からも文句を言われるという板挟みにあってるもんですから辛いですし、それに似た体験をした事があるので胸がキューっとなりました。
売り出し方が抜群にうまかったせいか、「MIU404」と「アンナチュラル」は完全にゲストな扱いだったのかーと豪華でもあり、ちょっと物足りなくもあり。
ただドラマ未視聴でも全然いける作りになっていたのはとてもよかったと思いましたし、それでいてドラマを見たくなる作りになっていましたし、ドラマを見ている人からしたらナイスなファンサービスになっているというのもお見事だなと思いました。
物流をなんとかして止めるために一端の社員が自ら飛び降りて一瞬はベルトコンベアを止めたのに、無情にもすぐに動き出すベルトコンベアにはとんでもない絶望を味合わさせられました。
体を地面にポトっと置かれ、流血の処置もされないままという惨さもエグいとお口あんぐりでした。
終盤にかけての結束感は素晴らしく、それでいて高みの見物をしてる奴らへの見事なカウンターパンチを食らわせたところは少しとはいえ心のモヤが取れた気がしました。
中間にいる八木さんの心労は計り知れませんでしたし、無茶無謀なオーダーをなんとかしてこなした姿はプロフェッショナルそのものでした。
序盤になんて事なく発されたセリフが最後の最後に活きてくるのかという見事な伏線回収にはしてやられました。耐久性って本当大事。
ただラストの方は詰め込みすぎな気こそしましたし、ロッカーの中の0の意味とはと考えてもイマイチピンと来ずでした。
BLACK FRIDAYというお祭りの裏はこんなにも大変、多くの人の努力があるからこそ成り立つものなんだなと再認識させられました。
配送に携わる皆々様に感謝を。そして置き配システムに感謝を(日の明るい時間帯に中々いれなくて申し訳ないので)。
鑑賞日 9/3
鑑賞時間 10:30〜12:55
座席 N-18
久々に面白い映画だった。手放しで素晴らしいといえた。
時代に即した、オンラインストアの台頭、物流の疲弊をメインテーマにすえ、展開も速く もたついていない それで あの尺は 素晴らしい。
ひさびさ きちんと ねられた脚本を感じた。文句無しの一級品だった。
伏線の回収も見事で、最終近くの「洗濯機が非常に頑丈」回収には感動した。
ただ、秒で気づく点が最終まで伏せられた点については、お決まりとはいえちょいと???を感じました。
①物流代行サービスを利用して、爆弾持込みが可能になる仕組みは、秒できづくでしよう。
②デリフォンがセール対象外製品であることも、秒できづくでしよう。
余談ですが、自分は事前連絡通知ある宅配便は、原則、宅配ロッカー か チルド便は在宅必須にしており、再配達は 0にしています。
終わりに苦言(長いか)
どちらかというと、自分の好みと合っていないだけなのだが、どうしても記述したかった。 非常に良い映画だっただけに、自分的には「画竜点睛を欠く」だった。本 監督・脚本家のどちらかが幸せで無いのか、または、その両方か? その点だけが非常に残念だった。
①DAILY FAST 日本支社を 舟渡エレナが根本的に立て直すエンドにしてほしかった
・センターが警察配下に入ったのに、業務を一切とめずに X線装置入れて業務を継続
・爆弾見つけて たったの数日で犯人特定、解決した。
ことを考慮し、更には、前任の日本支社長が 今回の爆弾事件の根本原因を作った点を含めれば当然交代でしょう。
イーロンマスクが8兆円の報酬を貰うかもしれないと言われている昨今、160億円の必要経費増などゴミでしょう。最悪、配送料の値上げもできるし。
日本人は、恩義を受けたらきちんと返す民族。配送会社は今回の値上げの件で舟渡エレナに恩義を感じている。なので、エピローグで
「この後、何度かドライバー不足危機があったがこの会社の商品の配送は遅れることは一度もなかった」
として欲しかった。
本エンドでは、IT会社(社会)の限界を表現しただけだった。時代は変わっているのだから、未来に希望ができる「良い人が上に行く展開」をしてほしかった。
「バットマン ビギンズ」を参考にして欲しかった。
②自分の信じる名言・迷言に
「心に支えのある人間はどんなにつらい目にあっても決して自殺はしない」があります。
結婚を考えている恋人がいたら、飛び降りはしなかったでしょう。きっと転職したでしょう。「○○○○○の事件簿 ○○○学園殺人事件」を 意識して欲しかった。
この監督・脚本家は、IT社会への警鐘(センタ長の退職エンド)をしたくて、このような展開にしたのかな? 残念だった。
③話に出てくる、荷物200個配達って、10分/個でも、約33時間かかります
一日で行うなんて、車を使って移動する方法・エリアじゃ まず無理ですね。
この監督・脚本家は、ちゃんと取材しているのかな?
<主な基準(今後のためのメモ)>
4.5 観て良かったと感じた映画
4.0 おすすめできる映画、何かしら感慨を感じる映画
3.5 映画好きなら旬なうちに見てほしい映画
3.0 おすすめはできるが、人により好みが分かれると思われる映画
人間のために作られたシステムが、人間を非人間化していく
11 月、流通業界最大のイベントのひとつ“ブラックフライデー”の前夜、世界規模のショッピングサイトから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生。やがてそれは日本中を恐怖に陥れる謎の連続爆破事件へと発展していく――。巨大物流倉庫のセンター長に着任したばかりの舟渡エレナ(満島ひかり)は、チームマネージャーの梨本孔(岡田将生)と共に、未曾有の事態の収拾にあたる(公式サイトより)。
テレビ人気ドラマ「アンナチュラル」(2018年)、「MIU404」(2020年)の野木亜紀子(脚本)、塚原あゆ子(監督)、新井順子(プロデューサー)が再集結して手掛けた初の映画作品。人気ドラマ2作品が本編と交錯するシェアード・ユニバース・ムービーとして、極上の社会派エンターテインメントに仕上がっている。
舞台となる巨大物流倉庫には、天文学的な個数の荷物を捌くために毎日、大量の作業員が送り込まれ、パソコン画面上の「稼働率」という「データ」に変換されていく。高効率で発送された荷物は、物流業者に大量の発注と「カスタマー・セントリック」と引き換えに、最安値契約による「主従関係」を成立させ、その下請け、孫請けに余波を及ぼす。
「What do you want ?」で煽動された人間の欲望を満たすために、人間が作り上げたシステムに、人間が取り込まれ、非人間的に扱われていく様は極めて現代的であり、映画を愉しむわたしたちひとりひとりも現実に戻ればそのシステムの一部、否、欲望をワンクリックで満たす主因となっていることを突き付ける。
他方、昔の偉い人は、復讐は最も非合理的な行為と言っていた。復習を遂げたとしても失った人・モノ・コトは戻ってこないし、発覚すれば復讐の当事者は裁かれることになる。復讐は他の動物はやらない。その意味において、極めて人間的な営みである。
本編は、こうした非人間的なシステムに人間的な復讐がメインストーリーとして描かれ、その過程でUDIや4機捜が絶妙な塩梅で絡んでくる。シーンから垣間見える後日談的要素はドラマファンには眼福ものだし、ドラマ未視聴でも十分楽しめる。みんな元気で良かったよ。泣ける。
新井順子プロデューサーによると、特に「石原さとみ」「星野源」「綾野剛」は数年先まで仕事が決まっている中でのスケジュール調整だったというが、そうした豪華キャストの中で主演を張る満島ひかりは圧巻である。
思考と発言と行動が絶妙にちぐはぐな役どころを自然に演じ切って、なおかつ、ラストにかけそれらの伏線を全て回収していく力量をみると、野木亜紀子が彼女のために脚本を「為書き」したくなった気持ちも頷ける。わたし個人は「川の底からこんにちは」以来の衝撃であった。ちなみにもうひとつ、わたしは「重力ピエロ」の頃から岡田将生の横顔がなぜか異様に好きなのだが、本作でも広い構内をベンチコートを着て全力で駆け抜ける様子を横から撮るシーンがあり興奮した。
しかし、人間のために作られたシステムが、人間を非人間化していく現象って何なのだろうか。「人生は寄りで撮れば悲劇だが、引きで撮れば喜劇である」とはよく言ったものである、と。
誇りある仕事と、ない仕事
正直、地上波ドラマから派生して生まれた映画だし、2時間ドラマを多少予算かけて撮ったような作りなんじゃないかな〜と勝手に想像し、失礼ながらそんなに期待はしていませんでした。
しかし実際見てみたらちゃんと独立した作品として成立しており、テーマ性が非常に高く、何よりめちゃくちゃ面白かったです。
まず第一に、序盤から細かい伏線がいくつも登場し、ラストまでにそれが丁寧に回収されていく脚本が見ていて気持ちいい。そして内容もしっかり社会派で重厚なので、鑑賞後もすごく考えさせられました。
色々思うところはありましたが、最も心に残ったのは、『アンナチュラル』『MIU404』という一種の「お仕事ドラマ」と世界観を共有した物語として、あえて今の日本社会で誇りを持てない仕事をすることを強いられている人々の姿を描いている点です。
『アンナチュラル』『MIU404』それぞれの劇中でも法医解剖医や警官が必ずしもホワイトな職場ではないことは言及されてはいましたが、しかし少なくとも彼らの仕事には志や誇りがあります。だからこそ、ドラマ終了後の世界線でも彼らは同じ職場で働いているのでしょう。
一方、ラストマイルで新たに登場するのは、その『志や誇りある仕事』を失った人々ばかりです。
「カスタマーセントリック」がマジックワードだと気づいたエレナは仕事に誇りを持てなくなっていますし、羊急便の八木も、あるいは配達員の佐野も、適正な料金と荷物量で配送を行えていた時代は持てていた誇りを失ってしまっている。あるいは日ノ本電機の倒産により配達員になった佐野の息子も、良い製品を作って売るという誇りある仕事を無くしてしまった人です。
そして厄介なのは、なぜ誇りある仕事が誇りのない仕事に負けてしまうのかと言えば、そのほうが安く、便利で、人間の欲望を最適に満たすから。そしてこの社会はすでにその誇りない仕事ありきで作り上げられてしまっているから、なかなかそれを変えることもできない。
配達員の佐野息子が、誇りある仕事の象徴のような日ノ本電機製のドラム式洗濯乾燥機によって、いわば誇りない仕事を強いる社会への憎悪の具現である爆弾からシングル家庭の親子を守るシーンは、なにか暗示に満ちているようにも思いました。
つまりあの洗濯機が合理性と利益を優先する企業のそこそこの耐久性の製品なら、彼らは助かっていなかった可能性もあるわけなのです。
その時の台詞、「この洗濯機、まだ使えますか」「もう部品もないし、無理ですね」というやり取りからは、古い時代が残してくれた善意はもはや消費され尽くそうとしていて、私たちは今後それのない新たな時代を生きていかなければならないのだということを示唆しているようにも思えました。
この映画の最後、主人公であるエレナは華麗にその志も誇りも持てない仕事から逃亡します。
国内企業である羊急便の場合は、現場の八木の声が直接社長まで届き、終盤に多少は希望のある対応が行われますが、超巨大グローバル企業であるデイリーファスト社の場合はせいぜい日本の現場の声はアジア統括本部長クラスにしか届かず、ストに対してもあくまでそれ以上企業利益を損なわないための焼け石に水のような対応しか行われない。だからもう希望を捨てて逃げるしかない。
そしてあとに残された梨本や五十嵐に待ち受ける未来は恐らく明るくないことを暗示しながら、映画は終わっていきます。
主として現在の通販業界、物流業界が抱える問題を大きく扱った内容とは思いますが、それだけでなく今の社会の歪さ、社会の変革期にあってそれに乗り遅れまいと必死にしがみつき、今にも壊れそうになっている人々の姿がヒリヒリするような切実さを伴って描かれていると思いました。
面白いのにドラマ過去2作の話で本筋がややブレる
最初からテンポが良くて引き込まれました。面白い!
…と思ったのに、過去に放送されたドラマ2作(MIU404とアンナチュラル)も本作に盛り込まれ、そちらの話にもクローズアップするので話が少しブレるように思います。
MIU404は少ししか観ていませんが、アンナチュラルは好きで毎回感涙していました。この2作とも挿入時間がやや長く何回も出てくるので、本筋が3本(アンナチュラル、MIU404 、ラストマイル)あるように感じてしまい、メインの「ラストマイル」に集中しづらく感じました。私は「ラストマイル」を観にきています。
また、山崎祐が飛び降りに追い詰められるほどの背景、および心情描写がもう少しあればと感じました。
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ここからは自分の疑問になるので、もし考察がおありになる方がいらしたら教えて頂きたいです。
①主人公エレナ(満島ひかり)は「他人がどうなろうと自分には関係ない」と発言しているのに、わざわざワシントンに山崎祐の話をしに来た見ず知らずの他人の筧まりかのために、物流を完全に止めストライキ側に付き、後々辞めることになるような大きなことをしたのはどういうことだったのでしょうか。
②エレナの「知りたいことはロッカーに書いてあったのに!」という叫びも、知りたいこととは要するになんだったのでしょうか。
③アメリカ本社は爆弾事件が起こることを知っていたようなエンディング。筧まりかは山崎祐のことを伝えるためワシントンまで来るという行動力はありましたが、エレナと話していても爆弾事件を起こすようには見えませんでした。大きな会社が、筧まりかという力を持たない1個人のことを、大事件を確実に起こすと思ってわざわざエレナを送り込んだのでしょうか。
④筧まりかがわざわざ男性の戸籍を購入した理由。
同じ性別の戸籍を購入した方がいいですよね。なにか理由は言ってましたでしょうか。
タイトルなし(ネタバレ)
資本主義の中の労働力の無力さと、それでもラストマイルを担う者として私達はどう生きるかを問うている作品。
仕事に対するプライドを各登場人物は持っていて、それにより世界が回っている。
しかし、それらのプライドはあくまで巨大資本の歯車、労働力として消費される土台の一部でしかない。
それでも、1人の自殺から導かれた事件によって巨大カンパニーを止めるストライキは起こった。
やはり社会を作っているのは現場の一人一人の労働力であり、ラストマイルを担うものが世界を回している。
巨大資本の歯車であることを知りながら、それでも自分の仕事の価値を信じ、プライドを持ち続ける大切さを描いた作品だと感じた。
内容的には、アンナチュラル、MIU404でも語られていた仕事に対するプライドが、ここでも力強く語られており、見ていて背中を押してもらえる良い作品と感じた。
また、満島ひかりの演技が素晴らしかった。
葛藤を持ちながらも、自身の正義を確固として持ち行動できる人物。また、持ち前のミステリアスな雰囲気より、作品をより深く魅せることができる存在。
満島ひかりをキャスティングしたことが、この作品の1番の成功点だったのではないか。
金にものを言わせて人を動かす皮肉のきいた作品(映適マーク無し!)
巨大資本に対しての社会問題を取り上げつつ、
この作品もとにかくでかい宣伝、広告を打ち、有名俳優をこれでもかと起用。
そしてそのおかげですみに追いやられ、観る機会を奪われた名作も数多くあるという現実。
新米記者トロッ子の方がまだシンプルでみずみずしくて良かったかなと感じた。
カッコつけすぎかなと思いましたが、それも皮肉がきいていいて良かったと思います。
(悪い意味で言っています)
もちろん映適マークは無し!(トロッ子はある)
出演者、スタッフの皆様お疲れさまでした!
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