ラストマイルのレビュー・感想・評価
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頼んだものが家に手元に届く、キセキ
街中で無数に見かける配送トラック、個人ドライバー、バイク便、人力車で汗だくになりながら運ぶ姿にこれから敬意を払わずにはいられない映画でした
どなたかのレビューにありましたが、システムの奴隷に人がなってきている現代だと思いました
カスタマーセントリックがマジックワードなのは一貫したテーマ。
というか、序盤から少しずつ少しずつ色んな登場人物とその背景を小出し小出しにして、ラストで回収して見る人の心を掴む手法は、アンナチュラルでもMIU404でもあった、最高の脚本だと思いました
武蔵野LCのベルトコンベアの音が終始効果的に使われている点も、シリアスさが伝わってよかったです
綾野剛ファンとしては、伊吹×志摩パートがもうすこーしあると嬉しかったです(笑)
だがしかし、大倉孝二×酒向芳 の高身長おじさん達も面白かったので推せます(笑)
2.7m/s 〜 翻弄される物流業界
巨大物流倉庫の関東センター長として舟渡エレナ( 満島ひかりさん )が着任する。
直属の部下、チームマネージャー梨本を岡田将生さんが演じる。
羊急便のドライバー佐野を演じた火野正平さんのさりげない演技が光る。
羊急便関東局長、八木を阿部サダヲさん、西武蔵野暑刑事、毛利を大倉孝行ニさんが演じる。
素朴な疑問:爆弾が仕組まれている可能性が高い巨大倉庫で、スタッフに商品の確認をさせる事、果たしてあり得るのでしょうか。危険過ぎますよね。。
経済に翻弄され疲弊する人間。今を生きる私達に様々な問題を投げかける。
映画館での鑑賞
「使い捨て」
タイトルは「ラストマイル」よりも直球で「使い捨て」がふさわしいと思えた。
物流業界がテーマ。
統括、支店管理者、中間業者、末端配達者…
それぞれが立場と責任を負っている。
自身の過失を認めたくないとき、人は他責する。当作品では請負業者に事件の責任を迫ったり、大企業の圧力で「嫌なら取引を見直す」「顧客のため」ときれいごとを押し出して責任を負わせようとする。
物流業界では働くスタッフ一人一人が「使い捨て」――その思いが爆破事件へと発展。ともすれば誰もが爆破媒体を手にする危険性があると認識した。
新任管理者を演じる主人公の満島さんの芝居が素で上手。どこか裏のある笑みや軽妙なトークが取り巻く人物を惑わす。
個人的には中間業者の阿部サダヲさんの立場が気の毒で痛々しかった。
他者ネタバレで知ったが、他ドラマの融合で無理やりストーリーに詰め込まれているので全体がぼやける。無理やり石原さとみや松重豊等を出さなくてもよいため-1.5点。
ハラハラドキドキ
面白かった。エンターテイメント作品として、社会的問題も入れていて骨太感もある。
でも、ヤマサキの飛び降りた理由がどうして彼女のせいになったのか。どうして彼女がそこまで(無差別殺人を)企てることになったのか。そこが自分にはイマイチ理解できなくて、なんだかしっくりこなかった。
とはいえ、豪華キャストで見応え十分。
倒産した家電メーカーの伏線まで回収するのはお見事です。
無茶苦茶な設定で折角の社会批判が台無しに
ファーストショットが振るっている、ぎっしりの通勤電車のガラス窓に映る反対側に座っている主人公・舟渡エレナを捉える。この秀逸ショットで心つかまれ、以降の猛烈なスピード感でグイグイ突っ走る。満島ひかりの超早口で終始まくしたてるセリフ、実を言うと殆ど聞き取れない、画面の停滞一切無し、こりゃ「シン・ゴジラ」のパターンかと期待高鳴った。まさにコンベアのスピード2.7m/sを維持するごとく主題と方法論が合致する変な映画でした。
それにしても主役級の役者がぞろぞろと登場して驚いた。膨大なエキストラからトラックの看板設置まで相当に気合の入った大作だから当然かと、でもほんの僅かなシーンで再度の登場無し? こんな顔ぶれそんな端役にどうして? 満島ひかり/岡田将生/ディーン・フジオカ/大倉孝二/酒向芳/宇野祥平/安藤玉恵/丸山智己/火野正平/阿部サダヲ/石原さとみ/井浦新/窪田正孝/市川実日子/竜星涼/飯尾和樹/吉田ウーロン太/薬師丸ひろ子/松重豊/綾野剛/星野源/前田旺志郎/麻生久美子。まるで意味が分かりません。
言うまでもなくECコマースの実態を明らかに批判する社会派作品でもあり、誰もがアマゾンとヤマト運輸を念頭に思い描く。巨大なセンターに社員がたった9人ですって? 休日考えたら実質僅か5人でしよ、それを支えるのが1000人近くに及ぶ非正規労働者って構図。本作の冒頭に通勤電車から降りる人の波、イベントでもあるのかしらん、と思ったら毎日の出社光景とは。どこもそうでしょうが非正規なんて本質は奴隷扱いが本音でしょ。労働改革なんて欺瞞のもとにせっせせっせと派遣にシフト、日本全国のコンビニでレジいるのは外人さんばかり。この歪を作品の根底に据えているから評価すべきなのは確かですね。
とは言え、肝心かなめの山﨑佑(中村倫也)の自殺行動が不明瞭。この非情な労働環境への抗議なのは確かでしょうが、死をもってしても犬の遠吠えにしか扱われず、何事もなかったかのようにコンベヤは回り続ける。で、不審に思った彼の恋人が総ての犯人って設定ですが、その相談にわざわざ米国にいる舟渡に合いに行きますか? そんな手の込んだテロ行為をする意味に説得力はゼロ。おまけに最初の爆発で自らは死を選んでいたなんて、無理無理無理な設定でしょ。そこまでやるのなら、彼の当時の上司であった今は日本法人のトップである五十嵐・ディーン・フジオカに向けるべきでしょ、憎悪を。
「もう止めましょ」と舟渡の改心で、団体交渉から運賃経費20円/1個の焼け石に水の解決策に至る。これで160億円の収益が吹っ飛ぶ! ですって? 馬鹿言ってんじゃないよ、アマゾンのトップ、ジェフ・ペゾスの年収⇒日本円で4兆2000億円、月給⇒3500億円、時給⇒10億9000万円。呆れて物も言えないレベル。低価格でパワーを握れば一気呵成の搾取構造を構築する、それを成し得た功労者? だからそんな報酬は当然? これが資本の非情な論理なのです。
で、帰ってから調べたら、なんとTBSの複数のテレビドラマの合体ですって!!!!! シェアード・ユニバースですって。豪華出演者はこのためですって。実に馬鹿馬鹿しい、要はドラマの宣伝映画じゃないですか。これが大ヒットなんて国民も舐められたもので。ユニバースってマーベルよろしくろくなものはなし。バットマンとスーパーマンが共演したって大コケだったでしょ。歪はテレビ局だって問題ゴロゴロでしょ、現代の社会悪の根源みたいになってるでしょ。その制作体制の下請けいじめ、視聴率のためなら国民はみんな馬鹿になれ、政権忖度、スポンサー最優先、嗚呼溜息しか出ません。
もとよりクオーターの満島ひかりの美しさは分かってますが、ほとんど赤で統一したファッションで、米国企業のエキスパートともなれば嫌味なくありそうな雰囲気ですが、嫌ですねぇ、あんな独り言を終始つぶやくような上司は。対する部下役の岡田将生が冴えないのは何故? いかにもタイプキャストのような阿部サダヲの活き活きぶりと比べて。セリフにありますよね、日本的企業の組織に辟易して転職したと。この環境に対する批判がないから、作品のベクトルと相反するから冴えなく見えてしまう、のでしょう。
それでもあなたはネットで買い物しますよね、だって安いし早いし面倒なしですから。問題はそこではない、そのプロセスを末端までもっと成熟させないと。でもきっと成熟したら別の奴がかいくぐってもっと過酷なシステムを構築するでしょ、競争なんですから。
座席が振動した!
そういうスクリーンでの上映ではないのに、爆弾が爆発するたびに座席が揺れた。
満島ひかりさん、どんな時もかわいかった。
すごい海外かぶれって感じで。
いつだって、どこに出向くときも、海外のファッショニスタばりにおしゃれすぎるし。
これは家ではなくて映画館で観たい作品だな、いい意味で。
倉庫だから映像の規模が大きくて。
小さい画面で見たらこちゃこちゃしちゃっていろいろ伝わらないリアリティがあると思う。
最後、火野さんの息子さんが無事でほんとに救われた。
あの部屋のお母さんが、洗濯機、まだ使えますかねって聞いたのは、シーンとしてちょっとできすぎ感があったけど。
家に帰ったら置き配がしてあって、開けるときすごい気をつけて開けた。
爆発しなくてよかった。
届けてくれたかた、いつもありがとうございます。
エンドロールまでひとつの物語
アクション映画でもないのにスピード感がすさまじく、ぎっしり詰まった内容で満足度が高いんだけど、見終わった直後に犯人の感情描写が少なかったなという違和感のようなものがあった。
シリーズものの利点を活かして、MIU404やアンナチュナルのメンバーをメインに据えることで、説明が省略できる舞台装置にして犯人の心情や動機に重きをおけば観客も感情移入しやすいところ(イメージは容疑者Xの献身)、メインキャラも新キャラでそこを掘り下げないといけない。しかも他にも多くの人物が絡まり合って複雑になっているのが本作の肝なので、犯人だけを深掘りするには尺が圧倒的に足りない。
物語を構成する上で最低限必要な動機は過去の回想からで、リアルタイムでは犯人の口から語られることはなく、最後は登場人物が概ね、劇的に何かが良くなったわけじゃないけどそれでも明日を生きよう、という少し前向きな印象。ところがどっこいエンディングで米津玄師の「がらくた」が流れ出す。
この曲については映画を観る前からアルバムを買って曲も聴いていたけど、ラストマイルのエンディングで流れる場合にのみ、印象がガラッと変わる。ここでは犯人の遺書とも受け取れる。「例えばあなたがずっと壊れていても 二度と戻りはしなくても 構わないから僕のそばで生きてよ」「許せなかった何もかも全てを ずっとあなたを否定してきた その全てを」
この曲が流れるのであれば劇中の犯人の深掘りはたしかにあれくらいでいいとさえ思えた。
テレビドラマでは終盤の盛り上がる場面で主題歌が流れるところ、本作はエンディングでだけ流すのに意味があると思えた。
文字だけのエンドロールなのに、それも含めて一つの物語になる、素晴らしい体験だった。
結論は何?
先週劇場で鑑賞した際も、お客の入りが良かったので、大ヒットというのも分かります。
「お客様のために」と言っても、真逆の立場を包含しうる都合の良いキーワードであるというのがテーマのように感じました。
サスペンスとしては、お約束通りの展開で、被疑者が二転三転する中、次第に真相が明らかになってくる展開は、のめり込めて良かったのですが、すべてが終わった後、「それで、結論は何? どうすれば良いと言いたいの?」という疑問が残りました。
要するに、安く早くを求めるお客が悪いとでも言いたいのでしょうか?
社会派サスペンスなのですから、結論を観客に放り投げないで、製作者側のメッセージを明示して欲しかったところです。
いくつかのテレビドラマとのコラボ作品ということは後から知りましたが、それを知らない者としては、鑑賞中には大物俳優の無駄遣いにしか見えませんでした。
私は、劇場作品は劇場内で完結して欲しい派です。
なんだろう、、、
野木亜希子さんの脚本のドラマのファンで、この映画も楽しみにしてきた。
でも、ワクワクもドキドキもせず、通販の現状を説明されている感じで過ぎて行く。
本当に大変な時代だと痛感するのだが。
ラスト近くの、宅配親子がギリギリ人助けをする場面は良かった。
MIU404、アンナチュラルのメンバーも懐かしいなと思いはしたが、付け足し感が拭えず。
映画としては、2.5。現状の問題を提示したところを➕0.5で、この評価。
日本の映画の進歩を感じた。
最後はセンター長をすると自殺するほど大変だということに落ち着くのか。
それをずっと見てきた岡田将生くん演じる彼が、今後どうなっていくのか、という将来を想像しながらのエンディング。
売上重視の会社、その下で働く安い配送料の配達員。
現在の社会のドキュメンタリーのようだ。
火野正平親子の場面は良かった。
役者が良い。
他のドラマからの出演も良く、安心して観れる配役陣。
ちょっとしか出ないのに、うまい役者がそろっていた。
ぶっ飛ぶわよ
2024年映画館鑑賞82作品目
9月7日(土)イオンシネマ石巻
通常価格1800円
監督は『コーヒーが冷めないうちに』『わたしの幸せな結婚』の塚原あゆ子
脚本は『図書館戦争』『図書館戦争 THE LAST MISSION』『俺物語!!』『アイアムアヒーロー』『罪の声』『カラオケ行こ!』の野木亜紀子
粗筋
ショッピングサイト「DAILY FAST」から配達された荷物が配達先で次々と爆発する連続爆破事件
ラストマイルとは物流の最終拠点
マイルという単位は日本ではあまり馴染みがないがそれは然程重要ではない
シェアード・ワールドとは同じ制作チームの別作品のキャラがゲスト出演することらしい
ドラえもんに星野スミレが登場したりまあそういうことだろう
しかし僕は『アンナチュラル』も『MIU404』も全く観ていない
テレビ局が映画制作に関わるようになってたぶん半世紀近く経つかもしれない
そのためかよくTVドラマを観てるという前提で映画を創る傾向がもはや当たり前になっているがそれは多少疎外感を感じる
豪華な顔ぶれの俳優陣
極端な話だが娯楽映画としてそれだけで及第点
人気ドラマ?2番組のメンバーも加わり贅沢な極み
そういえば『シン・ゴジラ』でも『進撃の巨人』でも石原さとみがわりと重要な脇役として登場していたな
最近いつのまにか満島きょうだいのじゃない方になった感もある満島ひかりだがいやいやそんなことはない
ちょっとトゲのあるイケメンがよく似合う岡田将生
連続爆破事件に関わった俳優がWikipediaやレビューサイトでは紹介されていない
ネタバレになるからだろうか
たとえネタバレしても面白いものは面白いと証明されているのに無駄に保守的な連中だ
別に福岡と偽らずはじめからアメリカ本部でも良かった気もするがまあいいだろう
ロッカーの暗号は最後までピンと来なかった
筧まりかは自ら爆発物で火だるまになるわけだが明らかにVFXだ
その点ではハリウッドも然程変わらない
『吉原炎上』で着物の背中に火をつけて川に飛び込んだスタントマンの女性の方がよっぽど迫力がある
筧まりかの復讐劇だが何もそこまでしなくてもの感はある
他に法的手段はいろいろあるだろうに
株が多少下がった所で世界規模の大企業は倒産しないだろうし
どちらかというと傑作の部類なんだけど上手く言えないけど多少いろいろと不満点はあるので星5には抵抗を感じる
だから星4で
配役
ショッピングサイト「DAILY FAST」の西武蔵野LCセンター長の舟渡エレナに満島ひかり
DAILY FAST西武蔵野LCのチームマネージャーの梨本孔に岡田将生
5年前は西武蔵野LCのセンター長だったDAILY FAST日本支社の統括本部長の五十嵐道元にディーン・フジオカ
DAILY FAST西武蔵野LCのチームマネージャーだったが5年前に西武蔵野LC内で飛び降り現在は植物状態で東央医大に入院中の山崎佑に中村倫也
運送会社佐野運送を営み羊急便の委託ドライバー契約をしている佐野昭に火野正平
家電メーカー日ノ本電機に務めていたが倒産し現在は父親の運送会社である佐野運送の配達員見習いをしている佐野亘に宇野祥平
バイク便のドライバーの白井一馬に望月歩
運送会社羊急便の関東局局長の八木竜平に阿部サダヲ
八木の部下の熊田恭二に水澤紳吾
羊急便の荒川区羊集配センターのスタッフの犬岡純也に岩谷健司
志摩とバディを組む警視庁刑事部第4機動捜査隊刑事の伊吹藍に綾野剛
伊吹とバディを組む警視庁刑事部第4機動捜査隊刑事の志摩一未に星野源
毛利とバディを組む警視庁刑事部捜査第一課の刑事の刈谷貴教に酒向芳
刈谷とバディを組む警視庁西武蔵野署の刑事の毛利忠治に大倉孝二
田島とバディを組む警視庁西武蔵野署の刑事の刑事の向島進に吉田ウーロン太
向島とバディを組む警視庁刑事部捜査第一課の刑事の田島雄介に永岡卓也
警視庁西武蔵野警察署署長の桔梗ゆづるに麻生久美子
勝俣とバディを組む警視庁刑事部第4機動捜査隊刑事で一連の事件の班長の陣馬耕平に橋本じゅん
陣馬とバディを組む警視庁刑事部第4機動捜査隊刑事の勝俣奏太に前田旺志郎
警視庁刑事部第1機動捜査隊刑事でサイバー関連調査班班長の糸巻貴士に金井勇太
警視庁警備部爆発物処理班班長の小田島に丸山智己
不自然死究明研究所(UDIラボ)の法医解剖医の三澄ミコトに石原さとみ
UDIラボの法医解剖医の中堂系に井浦新
三澄班の臨床検査技師の東海林夕子に市川実日子
中堂班の臨床検査技師の坂本誠に飯尾和樹
UDIラボ所長の神倉保夫に松重豊
元UDIラボのアルバイトで現在は東央医大の研修医の久部六郎に窪田正孝
フォレスト葬儀社のスタッフで同社の跡取りの木林南雲に竜星涼
ミコトの養母で弁護士の三澄夏代に薬師丸ひろ子
2人の娘を育ててるシングルマザーの松本里帆に安藤玉恵
里帆の娘で中学生の松本海空に根本真陽
里帆の娘で保育園児の松本七海に磯村アメリ
「デイリーファスト」のアメリカ本部の幹部でアジア担当のサラ・グリフィンにサラ・マクドナルド
山崎佑の恋人の筧まりかに仁村紗和
まりかに協力し爆発物を製作した技術者に宮崎吐夢
2.7m/sで駆け抜ける社会派サスペンス
はじめからつきまとう〝ある違和感〟。
言葉としぐさに本当の姿の無さが見え隠れするわけはなんだ?と探りながら観る。
繰り返す空振りと途切れない緊張を載せていくベルトコンベアのせわしなさが胸のざわつきを煽り続ける。
歪んだ秩序
連鎖するあやまち
麻痺を葬る組織
それらを理解するほどに辛いのは、失う自分をのみこむ自分がここにいるからなのだろう。
完璧な速度を保つために置き去りにされたものを叫ぶ命が、それさえも歯止めにならないことを知った悲哀はゼロを〝通り過ぎた〟。
腑に落ちていくあれこれがようやくエンディングの歌詞に溶け込む。
誰かの思いの過去と未来。
そこに思いを馳せる人がうやむやにしない行動がある限りはまた違う誰かの道を繋ぐことがあるのだ。
生きて、切り込む
彼女はそれを選び繋ごうとした。
そして体験した闇の辛さを共有する彼にバトンを託しこの先は「孔次第」だと言う。
そこに落とし込まれたメッセージは重く深く、まぎれもなく〝あなた〟に向かっているのだろう。
なかなかないキャストの豪華さ、脚本や演出の巧さと美味さを堪能。
そして忘れられないエレナのまなざしに宿る強い意志を思い出しながら、またしても米津さんの楽曲を含めて完成される傑作ふたたび、と感動している。
非常に良くできたドラマ
配達物の爆発という1つの事件からあらゆる問題が派生していき、否応なしに様々な不安や大きな影響を及ぼす。
1つのシステムに依存することがどれだけ危険か、そんな気もなしにどれだけ思考停止に陥っていりのかあぶり出され、現実世界ともリンクしている。
でも、根底にあるのはそのシステムを支えているのにどれだけ多くの人が関わっているのか、その仕事にどれだけの想いや苦悩が加わっているのか、全てが機械で賄えないからこその人の力、等身大な生活があるからこそで、そこには必ず肯定的な物語があることも教えてくれた(もちろん、等身大な絶望もあることも)。
脚本が素晴らしく、ミスリードと伏線もよく効いている。ミステリー的な要素もありながら、文句なくヒューマンドラマとして完成されていると思う。社会人として仄暗いものまでも含めた共感ができたし、舟渡エレナのそれでも正しさを求める姿勢はもちろん、配送業に関わるすべての登場人物にも尊敬でき、現実への見方も変えてくれる良い映画だったと思う。
ただ梨本孔のキャラクターだけがちょっと微妙だった。現代らしいキャラクター、しかも後を継ぐような人物像となるとこうならざるを得ないのかというようなありきたり感? 優秀でギャップもあるけど、だからこそ作られた人物像的な感じがしていまひとつ共感が持てなかった。ラストで彼がバトンを受け取ったとき、そこにいまひとつ気持ちが乗らなかったのはそこなのか……。その先のビジョンがあまり見えなかった。
爆発する前に食い止めよ
気になっていた作品がアンナチュラルとMIU404の制作チームが再集結したシェアード・ユニバース作品ということで、両作ともに好きだったので期待値高めで鑑賞
(アンナチュラルとMIU404の登場人物は出てくるけど
あくまで同じ世界線だよの紐付けに過ぎません。
おかげでめちゃくちゃ豪華だけど予習はいらないです!)
少しコミカルに描かれているのに題材はしっかり重い
怖いし泣けるのに、笑えるところもある
さすがだなと思いました。
すべての伏線がしっかり回収されて気持ちよかった。
今回は資本主義による社会問題を提起した悲劇の話
とても便利になった現代の物流
少し昔までは頼んだものがその日のうちに届くなんて
魔法のようなことで驚いていたのに
今となっては「当たり前」のことになってしまった
その物流の流れを止めないために
どれだけの人々の力があってどれだけの犠牲があるのか
「すべてはお客様のため」という魔法の言葉にのまれ
溜まる疲労や不満、耐えきれない重圧。
生活には欠かせない物流だからこそ
過度なサービスを追求してはいけない
誰かが歯止めをかけ安全に遂行しなくてはならない
爆発する前に。
だけど、2人のように命をかけてまで止めようとするのは
「そんな度胸ならないほうがマシ」ですよ
〈おまけ〉
最後のザワザワする音の音響がすごいよかったです
2024年問題を扱った意欲作
塚原あゆ子×野木亜紀子のヒットメーカーが生み出した傑作。野木亜紀子さん、社会問題をストーリーに取り込むのが本当に上手いですね。今回は2024年問題でした。
なんかさ、物流を末端で支えるトラック運転手に対して世の中厳しすぎませんか?運賃安すぎますよね。
特にストを敢行して同業他社の協力まで取り付けたのに、コストアップは20円/荷物のみというところが悪い意味でリアル。
それに対し、+1600億円/年もコストアップになったと言い放つ本社幹部。ラストマイルやその従業員をコストとしか思っていないのでしょう。もともとどんだけ荒稼ぎしていたのかと、反吐が出ます。
世の中便利になり過ぎました。家に居ながら欲しい物が買えて、それに対して手数料が低過ぎる。
エッセンシャルワーカーがもっと大事にされる世の中になりますように。
とても面白かったです
シェアード・ユニバースという形式は初めて知り、そのドラマ群は見てないものの、それ故の豪華キャスト揃いで楽しめました。米津玄師の歌含めて良かったです。
今年見た中では上位です。
大手ショッピングサイトから発送した荷物の連続爆破事件。ほぼ同時期に赴任した関東センターのセンター長と2年目社員の2人は事件の解明に尽力する。。。
今や暮らしに欠かせないネットショッピング及び宅配。我が家もだいぶお世話になってますが、現代ならではの様相を呈した作品と思いました。実際にあったらとても怖い。
一つトラブルが発生すると、契約している他社との関係や雇用、現場の労働者(Wショウヘイ親子)、消費者までリンクしていて大事になる。いったん走り出したら止めるのが大変(というか取り返しがつかない)なのはネットの世界と同じかもしれません。
ラストの洗濯機は、爆弾あんなに破壊力あるはずなのにうーん?と思ったものの、実際の業界の問題も垣間見れたようで、全体的に面白く鑑賞しました。
主演2人がgood!
中村倫也の声が聞きたかった。
*****
パンフは売り切れでした(ーー;)
令和のモダン・タイムス
前評判通りの面白さ。社会問題を織り交ぜながら、説教臭くなりすぎず、エンターテインメントとしてまとめる手腕は特級。横綱相撲だ。
物流をまるで都市の血流のように表現したモチーフ的な映像で始まる。そして映画が始まってすぐに宅配便の荷物が爆発する事件は起こる。以降、荷物を開けるシーンのたびに心がザワザワする。うまい仕掛けだ。優秀だが大企業病に罹患し、株価のためなら隠蔽も辞さないセンター長と、そこまで会社に魂を売り渡してはいないその部下、という構図を最初に見せる。明らかに何かを隠しているセンター長の尻尾を掴み、問い詰め、いよいよ真実が明らかになると思いきや、すぐさま別の爆弾騒ぎをかぶせ、ブラフだったと気づかせる。ブラフといえば、爆弾は12個と思わせといて、実は11個だった、全部見つけたぞ、バンザーイと安心させて、やっぱり12個だった、なんて。そして、クライマックスに向けて、開けた時に爆発する荷物だったはずが、衝撃を加えただけで爆発する荷物に進化し、ゲームの難易度を上げてくる。さりげなく撒かれた伏線はていねいに回収される。ヒノモト(日の本)電機の洗濯機がここで効いてくるとは!日本の家電が強かった、昭和生まれの心もくすぐられ、もう作り手の思い通りに転がされてしまった。参りました。
配送センターの描写はチャップリンのモダン・タイムスを思わせる。あの映画も家畜の群れのような労働者の通勤風景から始まる。経営者の指示に従って屈強な男が大きく重たいレバーを操作してベルトコンベアの速度を上げる。労働者は仕事を失う恐怖から、速度の上がったベルトコンベアに必死についていくが、弱いものから精神が壊れる。この映画では同様に会社都合の(日本にはなんのゆかりもない)イベントの名の下にノルマを積み増しされる。経営者がテレビ電話を通じて指示を押し付けてくるところもそっくりだ。ただ、ポジションを失う巨大なプレッシャーで壊れたのは、チャップリンではなく、指示を受けてレバーを操作する人間だったが。そして、壊れたチャップリンが機械に吸い込まれてもベルトコンベアが止まらなかったように、人一人が身を挺したところで配送のベルトコンベアが止まることはない。
この映画では、別のテーマとして、流通がamazonに独占されている危うさも伝えようとしている。宅配の下請け業者はもはやamazonに脅されるがまま、低価格で振り回され通しで疲弊している。ひとたびamazonに不祥事が発生すれば、下請けは責任を転嫁され、クレームが直撃する。医療用具すら配送されず、手術も止まってしまい、インフラを外資に支配されるとこうなるのだと見せつけられる。あからさまなamazonへのネガキャンだけど、半年もすれば臆面もなくamazonプライムビデオで配信されるのであろう。われわれはそれをありがたがって見るのだろう。だって「カスタマー・セントリック」の会社だから。
流通業界の闇を見事に再現
ショッピングサイトで購入した荷物が配達後に連続爆発、出荷を止めようとする警察と何とか出荷を維持しようとする企業側の駆け引きが凄いスピードで展開してゆき序盤からストーリーに引き込まれます。
その合間に救われない末端の運送業の人たちの現状が描かれます。
”たった10分で昼食を終え1日200個の荷物を配達する毎日”これが、現実と思うと悲しくなってきます。エレナ(満島ひかり)、梨本(岡田将生)の行動力で何とか出荷をし続けることに成功するが、全ての手柄を自分のものとして報告する上司の五十嵐(ディーン・フジオカ)。こんな人いるなと思いながら中盤が展開。
終盤、犯人の特定と山崎(中村倫也)事件の真相が明らかになってゆく中での謎解きの展開がとても良い。また、爆弾の数読みの伏線がお見事です。ラストの運送会社の運送報酬の見直しは、数年前に同じような事が実際に発生していたと思いながら鑑賞。
その他、阿部サダヲさん、火野正平さん、安藤玉恵さんなども良かったのですが、その中でも宇野祥平さんが素晴らしかったですね。
「アンナチュラル」「MIU404」共に見ていました。野木亜希子脚本の世界観が見事に再現されています。素晴らしい作品でした。
ほんとに見易い
アンナチュラルが大好きで、映画の話を聞いた時からずっと待ってました!
今回は事前に予告など見ずポスターのみの情報だけ確認してたので、どんな内容か全く知らないまま見てきました。
内容は大手ショッピングサイトのブラックフライデーと物流スタッフの苦悩にフォーカスが当てられ、それらに纏わる事件や問題に対し、色んな職種の人たちが立ち向かうものとなっており、自分たちの日常生活の裏でたくさんの人が動いてくれている。自分含め、1人1人の仕事が社会を回していて繋がっている。ことが改めて目に見えた作品で凄く感慨深い作品だったなと感じました。
また、アンナチュラルやMIU404の世界観も違和感なく取り入れられててすごく嬉しかったです!
そして、ストーリーの展開の仕方、撮影のされ方(見せ方)が凄く好きでまだMIU404は見ていないけど、塚原監督、野木さんのファンになりました!!
また、アンナチュラル続編や最新作など期待して待ちたいと思います😊
映画は良い出来栄え。
映画は良い出来栄えだが、「アンナチュラル」「MIU404」と繋がるシェアード・ユニバース・ムービー!!というには、物足りない。「アンナチュラル」「MIU404」の見せ場が少なすぎ。全話を鑑賞してから劇場へ足を運んだだけに残念感が。「アンナチュラル」「MIU404」の劇場版に期待したい。ラストマイルのテレビ版もよいかな。
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