ラストマイルのレビュー・感想・評価
全672件中、221~240件目を表示
2時間ドラマ
物流センターという、一般には馴染みのない空間が舞台であり、見慣れない景色が次々と映されるだけで、観客は非日常の中に放り込まれた感覚になり、ワクワク感と不安感が募り緊張感が煽られます。
但し、物流センター内の複雑で高度なシステムとメカニックの片鱗は見せつつも、異様さや不気味さはあまり醸されず、また物流業界のブラックな側面が本作の根底にありながら、その根源的な本質をクローズアップすることなく、物語はあくまでエンターテインメントとして軽快に進みます。
本作は、「シェアード・ユニバース」作品という位置づけで、製作元・TBSの人気番組(「アンナチュラル」・「MIU404」)のストーリー設定と配役を、そのまま本作に嵌め込んで、オリジナルストーリーを展開するという、ユニークな構成になっています。
各々の番組のファンには垂涎の作品になっているのでしょうが、全体の印象がやや散漫になり、少なくとも観客の視線と関心が浮遊してしまったように感じます。
本作の宣伝キャッチコピーは、“ノンストップ・サスペンス・エンターテインメントムービー”と謳っていて、確かにノンストップでドラマは進行しますが、観客は比較的落ち着いて観ていたように思います。
残念ながら、息をつかせぬ連続アクション、恐怖感をそそる緊迫シーン、次々と謎を解き明かしていく、というような観客がいつの間にかスクリーンにのめり込むようなシーンがなかったためでしょう。
それなりに変化のあるエピソードをテンポよく次々と見せていき、観客は上映中飽きることなく、それなりに満足して観終えたと思いますが、これはテレビの2時間ドラマの手法のように感じます。つまり茶の間で寛いでボーっと眺めエンジョイする感覚です。
“シェアード・ユニバース”によって、豪華な俳優陣が揃っていましたので、この点でも観客は堪能したことでしょう。
ただカメラの視点は、2時間ドラマでの観客目線のようでいて、実は満島ひかり演じる主人公・舟渡エレナの視点であったことが、ラストでのやや呆気ないような謎解きで分かります。
無難に巧く観客を惹き付ける作品に仕上がっている快作ですが、不満な点が一つ。
ラストで、悪役に決定的なドキュメンツを提示するのが、本作の主張したいコアだとすると、それまでのプロセスがあまりにも迂回し過ぎて婉曲されてしまったため、その真意が何だかぼんやりと茫漠感に包まれてしまい、勧善懲悪のカタルシスが満たされなかったことです。
社会派だ!
まず言っておきたいのだが、満島ひかりは可愛い。広瀬すずとか浜辺美波とかの正統派ではないが、ちょっと捻った可愛さである。
で、恋愛要素がまったくないこの作品。分類すると社会派サスペンスだ。
冒頭から事件が発生する。そこからの場面の切り替えが早く、ちょっと『シン・ゴジラ』の手法を思わせる。やがて、犯人像がだんだんと浮かび上がってくると、その意外さに観客は驚かされるのである。たくさんの伏線が最後に回収されるのは心地よいが、ちょっと強引に感じられるところもあった。
登場人物が社会に向かってぶちまけたとしか思えない台詞がたくさんあった。
私たちが当たり前だと思っている生活が、実に多くの人の仕事で支えられていることを改めて思い知った。それは、カスタマーであるわれわれのワガママに企業が寄り添ってくれたおかげである。もっとも、企業はそのワガママを下請けに押しつけただけという見方もできるけど。
この映画とは関係ないけれど、むかしA●azon関連の仕事をしたことがあって、電話の向こうの“社員”の人が、なんだか啓発セミナーを受けたばかりの人みたいなしゃべり方をするのが面白かった。
流通批判なのだろうか?
終盤になるに連れて、謎がどんどん明かされるサスペンスの王道で、割と最後までドキドキさせる展開が続き面白かった。
無理矢理感のあるECサイト企業が舞台で、この業界の闇を指摘する声もあるみたいですが、あまり闇らしい闇は描かれていない気がする。
劇中、「ブラック・フライデーが怖い」という下りと、センター長になって年数を経ると責任感で押し潰されそうになるという描写しかなく…
まして自殺未遂者はセンター長でもない。
それよりも、20円単価が上がり、100個で1,000円という下りもおかしく、20円の単価アップがそのままドライバーに行く訳ないのでしょう…。せいぜい10円?
それは良いとして100個で17,000円の仕事が存在することと(100個配るのに何時間かかるか知らないけど)、その仕事を70歳の親が40歳の子供に教えていること。そして、その子供が60分の昼休憩がないと文句を垂れているところに日本の闇を見た気がする(ユニクロの柳井さんではないが…)。
劇中、犯人に対して「そんな根性要らない(というニュアンス?)」のセリフがあったが、渡米費用、戸籍購入費、爆薬の購入費、偽広告の発注費、そして爆弾にした商品の購入費と、まあまあお金も使って、もう少しなんとかならなかったのだろうか…
まあ、でも、まあまあ面白かったかなぁ
色んなドラマと連動しているみたいだけど、全く見たことがなく、そこは琴線に触れませんでした。
そして、あのロッカーの中の暗号?が意味不明。遺書とか、そういう類とは思えないなぁ…
物流社会への問題提起も感じる作品!
「悪い羊がいるみたいね」
物流倉庫を舞台にしたサスペンス映画!
▼感想
映画館で鑑賞!
今の日本には欠かせない「物流」を題材にした作品!
この映画はサスペンス映画。ストーリーは展開が早く冒頭からすぐに引き込まれた。犯人が分かって「はい解決!」ではなく、そこからさらに展開を見せた!シェアードユニバースのドラマは見たことはなかったけど、問題なく楽しめた。
主演の満島ひかりは「ごめんね青春!」を見て以来好きな俳優。ハキハキとした話し方が好きで、今作のセンター長の役もすごい合っていた!食えない感じで刑事や部下をかわしたり振り回す姿が記憶に残った。衣装は何を着ても似合っていたけど、特に赤い服が凄く似合っていた。
BGMも印象的で「アー!アー!」っていう曲が緊迫感を増し、不安を煽った。
今作は日本の物流社会への問題提起にも感じた。自分もトラックのドライバーと関わる仕事をしているから色々なことを考えさせられた。
▼お気に入りのシーン
ある人物が止めたベルトコンベアがすぐに動き出すシーン!
このシーンは、今の社会では例え人の命でも物流は止めることはできない。止めると社会が機能しなくなってしまう暗喩に感じた。
ドラマは観ていないけれど
最後まで楽しめる娯楽作品
考察が楽しい
黒い金曜日のブラックな話。
物流倉庫ラプソディー
どいつもこいつも…
何か腹立つな……と思いながら見てた。
登場人物にいちいちイラっとくる奴が多すぎる……監察医チーム、警察チームはドラマからのクロスオーバーらしいけど、前からそういうキャラなのかな……何だあの白い……警官……刑事? そんな勘と語彙力で仕事になるのか……?(追記:MIU404は見ました。主に星野源のおかげで仕事になってました)
そんな中、うだつの上がらない中間管理職・阿部サダヲが颯爽と登場した。実家のような安心感だった。作中めちゃくちゃ応援してた。拙者、群像劇大好き侍なので、ああした市井のしがない中年がささやかに活躍すると、作品の評価が爆上がります。運送親子もとても良かった。父ちゃん元気で長く楽しく仕事してくれ。
ちゃんと全ての伏線が回収されていて、とても満足した。昨今、説明してくれない作品が多い中、とても分かりやすくてありがたい。遅延のメーターがそんなに怖いんだなあ。「消すなよ」って後続に言い残してくれた最初の人は、もしかしたらあの人なのかもしれないけど、それが精一杯の「できること」だったんじゃないのかなあ。
それにしても、ひとりの力ではどうにもならんことを「責任」とか言ってひとりに押し付ける社会は、本当に嫌なものだ。「責任取れんの?」って何度も台詞に出てきたが、個人で取れる奴なんかおらんやろ。賠償にしたって金払ったことが責任取ったことになるんか? ひとりでは到底取れない責任を根拠に詰めてくる上司は、「責任取れんのか?」「取れません」って返してくるのが分かってて詰めているので、総じてクソ野郎である。
スタッフロールの終わりに、最近よく見る例の文言を見て、自分もパワハラクソ野郎の下で働いているので、胸と涙腺に来た。
だからみんな、何かあっても気にせず唾吐くくらいの気持ちでいこうな。
俳優達の演技は高評価なんだけど
アンナチュラルもMIU404pも大好きで何回か見直してるくらいだったので期待を込めて鑑賞してみたが、どうなの❓面白くないって事はないけどめちゃくちゃ面白いか❓と言われればそうでも無かったような。気がするなぁ。ハードル上げて見ちゃダメだね。やっぱり。スッキリ感もそれほど感じられなくなるべくしてなるようになったなぁって感じかな?
お客様の欲望のために私たちは商品を届け続ける
お客様ファーストですべての商売が進む、現代日本。夜中に頼んだ本や日用品が、半日も経たずに送料無料で届く。便利だよなあ。安いよなあ。こんな行き届いたサービスが成立するのは日本くらいだよ。だけど、裏を返せばその便利さの代りに犠牲になっている、人、もの、時間、金、がある。僕は、この映画のハラハラドキドキ展開にワクワクする気分よりも、そっちの、犠牲になっている方へついつい感情が引っ張られてしまう。満島ひかりや岡田将生の危難をかいくぐる爽快感もいいんだけど、阿部サダヲや火野正平や宇野祥平たちの抜け出せない徒労感の方に、シンパシーを感じて止まない。
だから、あれで終わった、よかったね、って僕の中ではならない。このままずっとこんな社会でいいのか日本、って気分のまま。それじゃ映画見てもつまんないでしょ?って言われたとしても。だって日本は、”人が飛び降りてもベルトコンベアが数秒間止まっただけの現実”はこの先もかわらないんだろうな、って思うから。
そうか、2024年問題だったか
「うわー、すっごいありそう」
途中まで観てて思ったこの感想がなにか頭に引っかかっていたのだが、他の方のレビューで気づいた。
「そうか、2024年問題だったか」
満島ひかりが好き。
こういう脚本好き。
ちょっと最後はショックだったけど、やっぱりそういうことだよな。
最初ですんごい伏線張りまくってるんだけど、それが「これ伏線なんだろうなぁ」と思わせたところがメインのストーリーで、そう感じさせなかったところが本当は伏線で。
こういう「そっちだったか」と思わせるのが、前回観た「ザリガニの鳴くところ」と似た雰囲気があってすごく好き。
でも、病院にいる彼、最後はどうなっちゃうんだろう。
どうするんだろう。
観了後そこに引っかかっていたから、一番感情移入してたのは彼だったらしい。
見事な伏線回収
シェアドユニバースというから
LAST SMILE 最後は誰が笑う?
巨大通販サイトの物流センターで荷物に爆弾が仕掛けられると言う社会派サスペンスで、なかなか見応えがありました。女性センター長が着任早々起きる爆弾事件に、警察や下請先、通販会社本社を相手に丁々発止とやり合うのは小気味いいです。爆弾探しや犯人の狙い、主人公の隠された秘密などサスペンスの要素を巧く散りばめ、しっかりと伏線を回収し、さらに2024年問題やブラック企業、過剰な消費社会への批判等の社会派的側面もあり、なかなか盛り沢山な内容です。一方で、無差別テロに走る犯人のキャラクターに感情移入できず今ひとつしっくりきませんでした。通販会社の悪玉も生き残っているみたいだし、結局,勝利者がはっきりせず、モヤモヤ感が残りスッキリしないのが残念。役者では、満島ひかりが八面六臂の大活躍でカッコよかったです。タフネゴシエーターでいながら、かつてメンタルを患ったと言う複雑なキャラを好演してました。意外と儲け役は阿部サダヲで、外資系キャリアウーマンの満島ひかりと対照に中間管理職のサラリーマン役がハマってました。
全672件中、221~240件目を表示