「ポップコーンムービーではありません」ラストマイル じょんさんの映画レビュー(感想・評価)
ポップコーンムービーではありません
結論から言うと、ラストマイルは、良い映画とは言えません。
良い映画の定義は人それぞれなので、私からするとと言うことになりますが、視覚的驚きも、新しい視点も、カタルシスも、生きとし生けるものの情動も、何もありませんでした。
たとえば、サッカーの強い国は、全国民がサッカーというものに理解があり、サッカーの観戦の仕方を心得ています。何回シュートしてどちらが勝っただけでなく、ナイスアシストだね、あそこのディフェンスが良かった、監督の采配が素晴らしい、フォーメーションが斬新だなどと言った見方をすると深く楽しめるものです。
ラストマイルを、面白い映画という風潮は、サッカーに明るくないサッカー観戦者であり、とても良くない傾向だと思いペンを取りました。
昨今の映画は、伏線回収に心血を注いでいるきらいがあり、この映画も類に違わず、そこに終始してしまっているのです。物語が進むにつれ人々の背景が明らかになり、受け手の感覚が変わっていくと言う脚本の面白みを出すために、当初はみんな怪しい人物として存在します。それ故に、中盤まで登場人物の誰にも感情移入することができません。これは致命的です。その現象に加担しているのが、テレビシリーズの二つの物語と同じ世界線の部分です。アンナチュラルもMIUも、その実はこんな人というストーリーは済んでいるので、誰も伏線を張ることはできないため、映画の新たな登場人物しかそれをすることができないからです。人気ドラマのおなじ世界線ということで集客はあったかもしれませんが、映画として、薄っぺらくなってしまったことは、残念でなりません。世界線の集結は、不要だったと思います。
映画序盤で出てきた母子ですが、この登場の仕方だと、後で事件に巻き込まれ、仲直りをするんだろうなとわかってしまいます。
配達員の親子も、最初は振るわないけれど、後で活躍するんだろうなとわかってしまいます。
そして、極め付けは、みんなそれぞれに抱えている心の病に至る出来事をきちんと描かれていないため、命の冒涜とすら感じます。
流通に対するアンチテーゼと、題材は意義のあることだと思うので、もう少し描きようがあったのではと勿体ない気持ちです。
シンパシーはないため、ドキドキハラハラするポップコーンムービーには程遠く、ハッキリ言って、企画プロデュースの失敗なのではないでしょうか。
コメントありがとうございます。
このテーマのみなら2時間で良かったと思いますが、登場人物たちが精神的に追い詰められていく過程がドラマだと思うので、そこを描いた方が物語に深みを増すと思いました。社会派にするつもりは無いですが、エンタメをきわだ出せる意味でも誰もが通販に関わる時代の切実な問題だと思うので。
はじめまして!
じょんさんの感想に激しく同意した者です笑
満島さんを主体にして背景や感情の部分をもう少し深掘りしたらまた違ったんですかねー?
2時間にまとめるには欲張り過ぎたか?
いろいろ惜しかった作品ですね