劇場公開日 2024年8月23日

「配達員さんありがとう!!」ラストマイル ごはんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0配達員さんありがとう!!

2024年8月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ドラマ「アンナチュラル」「MIU404」どちらも鑑賞した上で臨む本作!
一時も退屈する事なく楽しめたし、ある意味では自分もこの物語の一部でもあるような気がして考えさせられるような作品でした!
本作と世界を共有しているドラマ2作品も見て損はないと思うので余裕があれば見て欲しいけど、本作見るに当たっては地上波ドラマとのシェアードユニバースなんだって事くらいでもストーリーを楽しむ上では問題ないかと思う。
ドラマ全く知らないとなんでちょい役にこの俳優?とかなんか意味ありげなセリフだったけどなんだったの?ってのはありそうだけど…

「配達員さんありがとう!!」
まずはなんと言ってもこの一言を先に言いたい!
いつも荷物受け取る時はありがとうございます。と言っているし思ってる、不在で受け取れないってことにはならないようにしているけど、暑い日も雨の日もホントありがたいよ!
どんなにシステムで効率化されても今の所まだまだ最後の受け渡しは人だもんなぁ。
いつかドローンで配達とかできるようになるのかなぁ?マシンで配達になったとしてもそれを管理する人は必要なんだろうけど…
これまでドラマでも末端の組織のようなものを描いていたので本作もブレずに末端を描いていますね。

「シェアードユニバース」
きっとドラマファンで見に行く人も多いであろうこの作品。
もちろんドラマの面々も出てきて活躍するけど、またあの人たちの活躍が見れるってあまり期待すると、期待ほどではないかもしれないので、まぁそれなりの期待で!
でもファンサービス的なことだったり、ドラマの顔ぶれが見られるのは嬉しい。
あくまで本作はラストマイルそこにちょこっとファンサービスあるよ。くらいで楽しみにするのが多分ちょうど良い。

「巨大ネットショッピングサイト」
本作で扱われる架空の大型ネットショッピングサイト、架空とは言うものAmazonって捉え方で問題ないでしょう。
川口にAmazonのでっかい倉庫あるし。
頻度の差はあれどきっとほとんどの人が使ったことがあるAmazon。
実際に身近なサービスだからこそ、爆弾事件の報道があったら自分ならしばらく買い物やめるかな?届いた箱は開けずにしばらく放置するかな?気にせず開けるかな?とか考えたりした。

「悪はなんだ?」
本作一見すると悪いのは皺寄せを末端組織に押し付けている大企業や企業の上層部にも見える。
だけど本当にそうだろうか?
企業はあくまでも“お客様のため”にサービス向上をし続けただけ、お客のニーズ、「安く早く良い物を手に入れたい」欲望に応えた結果だと思う。
お客が求めるものを提供する、商売としては当然のことだと思う、そしていろいろな物を欲するお客が悪なわけでもない。
でもどこか人それぞれ少し欲深くなりすぎているのが現代なのかも。
それは自分もそう。
便利でとてもありがたいけど、どこかいろんなところでサービス過多になっているのかもしれない。
本作爆弾を仕掛けた犯人、そういう意味では悪は存在するけど、この問題に対しての悪というものは存在しないのかもしれない。
強いて言えば物事スピードが求められ過ぎる時代そのものなのかも。
今後企業はお客よりもしくは同じくらい末端組織の声を聞くことをより一層求められるのかも。

「少し高くても品質の良いもの」
ラストはとあるセリフの伏線回収をしつつ、高品質(サービス)は低価格では提供出来ないって事を物理的に示すような出来事が起こる。
言わんとしていることはわかるが、ややそうはならないだろ…という気もするが、ちょっと笑える気もする。
まぁ爆発に耐えるほどの◯◯はさすがにメーカーも強度とか過剰設計し過ぎている気はする笑
ムダに高品質過ぎる必要はないけど、安い物には安いなりの理由(材質の質が悪い、末端の人材が安く使われているとか)があるし、
高価なものには、品質を保つための検査をしっかりしているとか、材質も良い物だとか大抵の場合ちゃんと理由があるもので、
その上でさぁ何を重視して買い物しますか?

「安くて良い物、良いサービスを求めすぎているのかも」
現在円安の影響でますます出来るだけ出費は抑えたい、安く、でも良い物を…って考えが加速している気がする。
100円ショップ(最近は100円以上の商品も多いけど)のものにさえ、ある程度の耐久性や品質を求めるのが現代の消費者だと思う。
“安かろう悪かろう”の考え方はいつしかなくなってしまったのかもしれない。
もちろん良いものが安く買えるほうが良いのかもしれないけど、なんだか少し私たちはわがままになってしまっているのかも…

「それでも私は買い物をする」
本作別にネットショッピングを悪にしているわけではないが、サービス過多になりすぎているような現代に問いかけるものがあった気がする。
それはまさに最後の最後に機械音声のような英語で問いかけられる「あなたは何が欲しい?」という問いでもあると思う。
欲しいなぁと思ったらポチッとすれば翌日に届く便利さ、サービスが提供されている限りはそのサービス利用して買い物してしまうなぁ。
もちろん不在とかにはならないようにはするけど、一度知ってしまった便利さからはなかなか抜け出せない。

本作ドラマ2作品とのシェアードユニバース作品だけど、取り扱っている社会的な問題的にもフィクション作品とは言え、ある意味現実のこの世界ともシェアしている世界観だった気がする。
また「アンナチュラル」の第4話「誰かため働く」が本作に通じるものがあった気がする。

物流ではないけど、ある業界の末端的な場所で睡眠時間を削ってでも仕事していたこともあるし、今は何かにつけてコストダウン、値下げする事を気にする、末端とは真逆の大きな企業にいるので、なんだか心に引っ掛かるというか、考えさせられることが多かった気がする。

荷物がすぐ届くとか、メールやチャットですぐ連絡できるとか、技術の進歩なんかでいろいろ便利にはなって、仕事とかも円滑になったとは思うけど、何か効率良くなったからそのぶん労働時間が短くなるわけじゃなく、その分1日の仕事量が増えるのが現代なんだよなぁ…
1つ3時間かかってたことが、1時間でできるようになったらじゃあ3時間で3つできるね!じゃなく少し時間に余裕もって働けるね。ってなると良いのにと常々思うがそんなんじゃ企業として生き残れないんだろうなぁ…
世界がもっとゆっくり動けばいいのに…

世界でも睡眠時間が短い日本
自分も眠れなくなり、眠っても夢の中でも働いているような時期があったけど、ぐっすり眠れる人が増えると良いですね…
そしてなんと言っても配達員にも感謝!!!

ごはん