「恐竜という生物として捉えるか、人間的なものとして捉えるか、疑問も……」映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記 nakadakanさんの映画レビュー(感想・評価)
恐竜という生物として捉えるか、人間的なものとして捉えるか、疑問も……
子供たちの描写は明るく楽しくテンポよく、マサオ君はやはり良いキャラクターだなと思いました。
ゲストキャラではアンジェラが良かったです。
アンジェラ関連での、親子の関係や自分の行動意志についてのセリフなども共感できました。
恐竜の描写はリアルで迫力がありましたが、個人的にはアニメ的な動きでの面白さというか、クレヨンしんちゃんならではの荒唐無稽な動きの面白さというか、そういうところが物足りなかったような。
恐竜をアニメで表現というところは成功しているのでしょうし、求めるところが違っているのかもしれませんが。
ストーリーとしては、モヤっとする部分も。
恐竜・ナナの生物としての本能というか凶暴性というか、そういう部分の描写がどうも……
しんのすけをうっかり傷つけた時、しんのすけがナナを庇うのは分かりますが、父ヒロシがスルーするのはどうなのかと。
ナナのことを、野生ではないものの危険な凶暴性のある生物として捉えるなら、それを踏まえたうえでどう共存するのか。
しかし、故意ではなく反省してるからみたいな、ちょっとヤンチャな友達がうっかり怪我させてしまったみたいな、話して分かり合える人間的に扱っているようで。
アニメなので、人間の感情が理解できて、人間のような感情がある恐竜というキャラクターとして描かれていますが、人間のように捉えるというので良いのか。
とすると、凶暴性を発揮する部分は、ドラマを盛り上げるためだけの設定のようにも感じてしまい……、モヤっとします。
ビリーが凶暴化したナナを止めようとするところも、野性的な生物とどう共存するのかという部分に触れてゆくのかと思われましたが。
感情論で収めようというのもうーん……となりつつも、シロとの経験を繰り返してという流れはまあ良いかと。
しかし、その後の取ってつけたようなヒロイックな展開は、完全にお涙頂戴に感じてしまい、うーーーーーんと……
野性的な生物と共存できるのかという部分も、結局向き合わずに済む状況に。
こういう子供向け作品でヒロイックな死によって感動させる展開には、ちょっと疑問を感じてしまいます。
「クレヨンしんちゃん」の映画は何作か見たことがありますが、こういう展開はほぼなかったと思いますし。
ラクガキングダムでこういう展開がありましたが、その時もうーん……と感じましたので。
ついでに、悪の親玉に息子と娘がおり、息子が逃げ出す、息子と娘が主人公側の味方になってくれる、母親は病気で亡くなっている、昔は優しかった父親が母親の死を切っ掛けに変わって悪の親玉になる、という設定。
どこかで見たような、と思っていたところ、ドラえもんの映画「のび太の宝島」かと。
あるといえばある設定だとは思いますが、子供向けのアニメ映画ということで連想してしまいました。