「結局、主軸は何だったのか?」映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記 🙂↕️🙂↕️🙂↕️さんの映画レビュー(感想・評価)
結局、主軸は何だったのか?
たまたまテレビをつけて、相棒とか科捜研とか、
基本を一話完結とするシリーズ物の一話を
たまたま後半の15分を見たとして。
話の前後を自分が理解していなくても
犯人役の涙ながらの演技であったり
暗い生い立ちの回想一枠で感情移入して泣いてしまう、
そんな経験が度々あるのですが、
今回のクレヨンしんちゃんの映画でも
それに近い泣かされ方をしたなと感じています。
良かった点
■現代に恐竜が蘇る、という設定
→結局ドラえもん映画と比較してしまうのですが、
恐竜のいる時代まで自分たちが行くのがドラえもん映画、
恐竜を現代に蘇らせちゃおう、が
今回のクレヨンしんちゃんの映画、ということで
上手く差別化ができていたと思います。
ロボットとはいえ、恐竜って最終的に
生身非武装素人の人間が対抗出来る
レベルの存在感なのか……?という点では、
ドラえもんとおなじくらいのSF度合いかもしれません。
■アニメ映画で恐竜を描く、上での映像美
→他のアニメ映画×恐竜物 は、どうしても
CGで描かれる恐竜と他のキャラクターとの
ミスマッチ具合が気になってしまうのですが、
違和感なく見終わることができました。
■他作品との繋がり
要所要所に、他作品との繋がりが……!
売間さんとか、こんなに映画で見られると
思っていなかったのでちょっと胸熱でした。
親戚のおばさんが銀幕デビューした気持ちでした。
あと、シロがはじめてナナと会ったところ、
ケツだけ爆弾とシロがしんちゃんのために
離れていった あの高架下と場所では……??!など。
気になったところ
■幼稚園って夏休みがある上に宿題まで出てるんですか?
今の5歳児大変ですね
■シロってこんなに放し飼いだったっけ
犬飼ってて犬小屋に飼ってる犬居なかったら
めちゃくちゃ慌てます。私だったら。
■服のバリエーション
濃い紫の服とか、いままでのみさえさんが
着そうにない服来てたり、ショートパンツだったり、
かすかべ防衛隊の子達の服もデザイン凝ってたり、
日が変わる事にお着替えがあって楽しかったです。
ボーちゃんの最終日の服、主張強くてイイ。
説明が欲しかった/自分の中で納得できなかったところ
■結局、起承転結が上手く掴めない映画でした。
例えば、カスカベボーイズで言うと、
起
遊んでいたら古びた映画館に迷い込み、
映画の世界に取り込まれてしまった。
承
ずっと暮らし続けていたら 映画の世界の住人に
なってしまい、素の自分を忘れてしまう現象の中、
解決策を模索する。
転
世界からの脱出方法が分かり、
映画を終わらせるために奮闘する。
結
映画の世界から解放され、日常生活に戻る。
起承転結の起の部分は
「映画の世界に迷い込んでしまったこと」だけ。
シンプルですが、めちゃくちゃわかりやすくて
しっくりきます。
では、今回の映画は?
起
現代に恐竜が蘇る?
承
ナナと出会って 一緒に生活するが、
オドロキーの野望のため
ナナを捕まえようとする?
転
ナナの暴走をしんのすけが食い止めようとする?
結
ナナが死に、恐竜は現代から居なくなる
私の理解力の問題かもしれませんが、
全体を通しての起承転結が全然上手くまとまりません。
理由は、今回の映画の主役が結局誰なのか、
個人でなくても何を主軸にしたいのか、
場面場面によってのパワーバランスに強弱が
あるからだと思います。
先述した映画の主役/映画の主軸候補
①姉弟/兄弟のような関係
→アンジェラ・オドロキーとビリー・オドロキー
シロとナナ
シロとしんのすけ
(しんのすけはナナに対し「友達」としての
関わり方をしていたと思うので
しんのすけとナナはここに記載しない)
②カスカベ防衛隊の「ひと夏の成長」
→大事な友達の死を乗り越える、
窮地を切り開くための行動
例 ボーちゃんのパワープレイ、
風間くんの自己犠牲(不発)
ネネちゃんの類を見ない優しさ(圧) など
③親子の関係
→ナナとビリー/野原家/オドロキー家
子にとっての親とは何か?
子は親にとってどのような存在か?
もし、シロとナナを中心とした兄弟のような
あり方を主軸として描くのであれば、
ビリー・オドロキーとアンジェラ・オドロキーは
対立したまま映画を終える方が
シロとナナの関係を際立たせる役割として
分かりやすいし、
カスカベ防衛隊にとってナナの存在が
畏怖の対象であれば、
ナナを受けいれた野原家の特別感が際立ちます。
絶対上手く纏まっていないと思うのですが、
全員が全員ナナの存在を受け入れて、
悪役サイドでは無い全員で恐竜に立ち向かって
全員で泣きに来てるところが違和感でしかない、
といったところです。
そこにマイナスの要素が無さすぎて、
恐竜が現代にいるというインパクト以外で
ストーリーの補完ができていない。
確かにナナが死んでしまったことは、
カスカベ防衛隊にとっては悲しく辛いことでしょう。
ただ、ラストシーンは夢に向かって再出発する
ビリー・オドロキーの出港でした。
あんなにみんなで泣いて、あんなにナナと楽しく
過ごした様子を映像にしておきながら、
結局はビリー・オドロキーの夢の為の話だったのか?と。
カスカベ防衛隊がナナの為のお墓を作って、
この夏を通じてちょっとは成長できたかな、
くらいの締め方の方がしっくりきます。
話の題材が面白かっただけに残念です。