「脚本しっかりしてお願い」トラペジウム さぐさんの映画レビュー(感想・評価)
脚本しっかりしてお願い
まず、私はアイカツやラブライブなどのアイドルアニメが好きなので、主観的な部分もあります。その上で以下見ていただけると有難いです。
元々原作は読んでいたのですが、数年前なので内容は忘れていて、特にあらすじも軽く知っているくらいの状態で鑑賞しました。良かった点と悪かった点書きます。
①よかった点について。まず、主題歌が素晴らしいです。MAISONdesさん作曲、歌が星街すいせいさんの「なんもない」という曲で、映画が始まって割とすぐ流れるのですが、映画館の音響で音が流れた瞬間鳥肌がすごかったです。すいせいさんのことは元々知っていて、歌もYouTubeであがった時から何回も聴いていましたが、曲は映画館で聴けて本当によかったと思いました。期待も高まりました。ただ、ぶっちゃけここが最高でした。ここから、映画が進むにつれてどんどん悪い意味で期待を裏切られます。次に映像についてです。全体的に悪くなかったと思います。キャラクターの表情や動き、情景描写も綺麗でした。3DCGの4人のライブステージもよかったです。違和感なく見れました。
②悪かった点について。
映画が終わって最初に思ったことは「もったいない」です。本当にもったいないです。これだけいい曲で映像も悪くなくてキャラクターも可愛いのに脚本が本当に残念です。不自然な点が多すぎるのと、いろいろ段階を飛ばしすぎていてストーリーが破綻しています。主人公は元々アイドル志望だったからいいとして、主人公がアイドルやらない?と誘うシーンもなければ、他3人がアイドルについて話し合ったりするシーンも1秒もありません。なんかいい感じにテレビに出てそのままアイドルになってますが、他3人は、そこに対して何の疑問も持たずにただ流れでアイドルやったの??この時点でよく分からなかったです。高校生という年齢で、よく分からないままじゃあアイドルやりますとはならないでしょ。いくら高校生といえど、その判断ができないのは流石に不自然だと思います。後に主人公以外の子が彼氏の写真アップしたり、テレビで目立つのが嫌で泣き叫んでいる描写がありましたが、何となくやり始めて、別にプロになろうとかじゃないのにそういう風になるのは当然のことじゃないの?そこに対してキレてる主人公もよく分からないです。最初からアイドルしようって声をかけたわけじゃないのに自分の思い通りにいかないことに対して何でそんなに怒ってるの?と思いました。明らかに説明が足りてないと思います。
続いて。華鳥蘭子という長髪の女の子がいます。この子の発言が矛盾してて気持ち悪いです。この子はアイドルに対して肯定的な姿勢で、流れに身を任せていこうぜ的な感じだったのに、先述したテレビを嫌がって泣き叫ぶ子と話そうとする主人公に対して急に手を引いて、あの子はもう限界なんだよという発言をして急に否定的な姿勢をとります。意味がわかりません。お前乗り気だったじゃん。どういうこと?最終的には結局グループ解散するんですけど、解散した後4人が集まった時に主人公に対して感謝する流れもわかりません。あれだけ揉めておいて、泣くほど嫌だったのにアイドルできてよかったの発言は都合いいです。というか、全体的にものすごく都合がいいです。素人の4人が集まってテレビでステージを披露してるのもすごく違和感がありました。世の中そんなに甘くないです。いくらフィクションでも流石に都合良すぎます。テレビに出る、ステージを披露するってそんなに簡単なことじゃないです。絶対。いろんなことがとんとん拍子にうまくいきすぎて置いてかれてる感がすごかったです。そのへんの努力する過程だったり、全員で何かを成し遂げたりするようなシーンが皆無だったので全然感情移入できないし。揉めるのも当たり前じゃんという感じで流れがわかってしまうので、予想外な展開もなく、え?え?となっているうちに終わったという感じでした。
個人的にもやっとしたところについて。主人公が性格悪いのに対して、リアリティがあると言えばあるのですが、周りに対してあまりにも態度が悪いです。誰もみてないところならいくらでも悪口でも言えばいいと思うけれど、自分が強引にアイドルやらせておいて思い通りにならないと当たり前のように目の前で舌打ちするし、機嫌悪い態度とるし、もやもやしました。1番納得できなかったのは、文化祭のコスプレして写真撮るところのシーンです。途中で知り合う車椅子の女の子がアイドル好きでアイドルっぽい可愛い衣装があってそれを着たいと言った後に義足であることから躊躇って、結局その衣装を主人公に着て欲しいという発言をしたら、主人公が何の躊躇いもなくじゃあ着るねと当然のように衣装を受け取っていて、えーーーー?!!!と思いました。そのシーンで主人公は本気でアイドル目指してるの??と思ってしまいました。アイドルって誰かの背中を押したり、笑顔にしたり、そういう人間であるべきではないの?主人公はただ舞台の上で歌って踊って目立ちたいだけなのか。私がアイドルを目指している立場だとしたら、衣装を着るのを諦めようとする子に対して、自分の好きとか憧れの気持ちを大切にするよう助言して背中を押すとか、絶対似合うよ可愛いよ等の言葉をかけると思います。なぜ、当たり前のように自分が着る??本当にアイドル目指してるの?不自然だと思います。作中の発言でもあったけど、目の前の人1人笑顔にできないのにという言葉がその通りすぎました。周りを勇気付けて引っ張っていくどころか、泣かせるまで自分の都合を押し付ける所が、なんかもう悲しかったです。わざわざ自分の足でメンバーを探してまでアイドルをやりたい思いが強いはずなのに、そう思えないような言動が多すぎて、応援したいとか1ミリも思えなかったです。アイドルという言葉をそんな簡単に使わないで欲しい。アイドルに対する愛が全然ないと思う。
主人公の性格の悪さばかりが目立って、本人が1人で歌やダンスの練習するとか、泥臭く足掻いているようなシーンもないので、全然感動できない。布団に寝っ転がってばっか。人のコメント数見てないで、自分をもっと高めたら?だから、オーディション全落ちするんだろうなと思いました。確かに行動力はあるのかもしれないけど、自分の価値観を強要したり、あたかも全部人のせいのようにして、自分はなにもしないのがどうしても本気でアイドル目指してると思えない。あと細かいところでお爺ちゃんの声が若い人が頑張って出してる感があったのと、女装した男の子が一切恥じらいを見せないところに違和感感じたのと、黒髪の子の「友達って言ってほしかった」発言のシーンもいるか?と思いました。以上です。
まとめ
よかった点もあったけれど、脚本が残念すぎてこの評価です。アイドルに対しても鑑賞者に対しても失礼だと思います。主題歌がとても良くて、アイドルアニメも好きなので期待していただけにイライラを通り越して悲しかったです。結局なにを伝えたいんだろう。途中まで都合良くいったけど、やっぱり気持ちだけじゃ難しいってこと?行動力?そもそも4人全員がアイドル目指してない時点で、うまくいかないのなんてわかりきってるのにね。あと、最近まで高校生だったから言いますが、高校生はそこまでバカじゃないと思います。やりたいことがないならアイドルでも何でも挑戦すればいいかもしれないけれど、ロボットやボランティア活動など興味がはっきりしてる子たちが当たり前のようにダンス練習してる場面は笑いました。意味がわからなさすぎて。些細なことでいいから、主人公以外の3人がなんでアイドル活動OKしたのかわかるシーンが欲しかった。それともテレビって本人の意志を無視して無理やりアイドルやらせるのかな。映画見てる途中でお金と時間と期待を返してと思いました笑。曲はこれからも聴きます。主題歌を聴きに行く価値はありますが、内容は期待しないほうがいいです。アイドルが大好きなだけに、残念でした。
オープニング、映像も含めてYouTubeで観返すくらい好きです。
蘭子の件は、アイドルに肯定的というより流れに身を任せようということなので、耐えられなくなったら辞めるのも自然なのかと。
素人企画で甘めに見てもらえたにしても、数ヵ月じゃ文化祭レベルですよねぇ…