「誰の人生も母の愛に包まれている?」ぼくが生きてる、ふたつの世界 三輪さんの映画レビュー(感想・評価)
誰の人生も母の愛に包まれている?
静かな感動が、後からジワリと湧いてくる素晴らしい映画でした。ろう者とそれに関わるコーダ(耳が聞こえない、または聞こえにくい親のもとで育つ聞こえる子ども。日本では2万数千人いるそうです)がテーマですので、若干重い感じがしましたが、見終わった時にはろう者は決して不幸でもないということがよくわかりました。それは障害者を軽んずるという意味ではなく、同じ人間としての、喜怒哀楽を楽しむ人生を過ごしていることを、この作品からストレートに感じたからです。「コーダ あいのうた」という海外作品の影響を受け、監督は作られたということですが、登場するろう者の明るさ、人間的な大きさに心打たれます。母親の愛は海よりも深いと言いますが、ろう者の母親であるが故の、増幅された愛に泣かされました。主人公は赤ん坊から青年時代まで、淡々と描かれていきますが、吉沢亮はなんと中学生の時代から演じます。そして母親や父親を演ずる人はろう者ですが、その自然な演技に心が癒されました。この両親の生き方はまるで天使のよう。健常者より数段精神的レベルが高く、優しい振る舞いに断然リペクトしたくなります。そんな素晴らしい両親の元でも、思春期の主人公は拒否をしたり疎ましく思ったりしますが、時間をかけて学びに学んでやっと本当の人間愛というものに気づくのです。その学びのステップアップに大拍手したいです。私の泣いたツボは、母親と主人公がスーツを買いに行くシーンです。上京する息子のために一着のスーツを買います。そしてレストランで食事。これってまるで自分が体験してきたことですの号泣です。母の愛って本当に純粋です。駅での見送りのシーンも、自分の人生と重ねてしまいました泣。いずれにしても、母と息子の間にある愛情は宇宙一だということを知るために人生にはさまざまな苦難が起こりますが、それはやがて偉大な果実になることを教えてくれます。この作品はそんな傑作と言えるかもしれません。
スーツは確かに おふくろと買いに行きました。今は亡き人ですけどね。うん十年前 思い出しました。
イイねありがとうございました😊。最後は『バーミヤン』ですけどね。
共感ありがとうございます。
あれ? 時系列・・そうか上京前か、と思いましたが、その後のイカ墨とアラビアータの他愛ない会話が肩の力抜けてて逆になんか沁みましたね。