「モノトーン」ふれる。 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
モノトーン
超平和バスターズの新作は男性メイン、今までとは違う方向性に舵を切ってきたなというところに期待を込めて鑑賞。
特典はメッセージリーフレットでした。A4サイズなのでデカすぎんだろ…と思いながらバッグに詰め詰め。
期待はしていたんですけど…。
序盤のきな臭さから怪しさを感じて悪い方向へ行かないように行かないようにと思っていたのにどんどんダメな方向へいってしまってとても残念でした。
フィクションの人物の行動に文句を垂れるのは野暮だとは思うんですが、看過できないくらいイカれた行動の連発だったので絶対にやめろって行動以上の事をするのでほとほと呆れてしまいました。
メイン3人にちっとも魅力を感じれなかったのは本当に致命的で、秋は口下手なのはまだしも家庭環境が原因とは思えないくらい手より先に口が出るキャラ構造が不可解すぎて、接客業をしているのに愛想がない事を注意されたら殴りかかろうとする行為はなんかしらの検査を受けた方が良いのでは?と思ってしまいました。
諒はトラブルメーカーだし自分1人で判断しちゃうしで3人の仲の亀裂を産んでしまうし、優太は優柔不断な性格かと思いきや目当ての女子がいたら尻尾ぶんぶん振り回して近づいて行ったりとブレがひどかったです。
ストーカーに追われてるからといって成人男性3人の家に転がり込む理由が秋と諒がデキてるっぽいってだけで判断してるのは危機管理無さすぎない?と思いましたし、諒が家の鍵をそそくさと渡して家に入ってきたらそりゃ何も知らない秋はビックリしますし、そもそも伝えなかった理由が謎でしたし、勝手に家でのルールを樹里が決めていきますし、料理とか秋に全部任せってのもなーんか転がり込んだ割には自由だなと思ってしまいました。
恋愛模様のドロドロさを描きたかったのはまだ分かるんですけど、いささか幼稚すぎないかなってレベルでくだらない事ばっかしていてキツかったです。
家に男女同じ空間で住んだらそりゃいざこざ起こるよなと思っていたら速攻で優太が奈南を口説きにかかりますし、2人っきりの空間になったらキスしようとするしで軽いわ〜ってなりました。
キスしたからってわざわざサプライズパーティしてネームカードまで作るなんて行動をする20代は見た事ないですし、そもそも1回キスしたからってそんな関係性になったと思い込む3人が抜群に気持ち悪かったですし、迫られて断ったら傷つけちゃうからキスしたという奈南の性格も?でしたし、それに対してビッチじゃねぇーか!と言い放つ秋の言葉選びの下手くそさも腹立ちましたし、全員が全員身勝手すぎて何これ?って観ながら思ってました。
本当にキツいというか鳥肌が立ったのが奈南が秋を好いていた理由が顔と身長という、理由こそ分からないわけではないんですが、秋が色んなところに頭をぶつけるのは何かしら理由があるのかなと思っていたらこのためだけの設定って…とキャラ付けの面倒さに絶句しました。
後半のふれるの糸含めたファンタジー展開にはもう振り落とされてしまいました。
ふれるによって憎悪の感情も伝わるようになったまでならまだしも、地獄へ行って蜘蛛の糸を伝ったり、思った空間に速攻で飛べだと思ったら陸海空飛び回りますし、なぜか落下していく様子を延々と見せられますし、雲を綿飴だと思えば良い!というもうよく分からん理屈が提示されたりで脳が追いつかなかったです。
「天気の子」と似たようなことをやってるのも中途半端だなと思ってしまいましたし、これまでの超平和バスターズの独自性がどこかへ行ってしまった気がして寂しくもありました。
そこからの和解から離れ離れになる展開もそこまでのギスギスは一体なんだったんだ?ってくらいトントン拍子に進んでいくので情緒もヘッタクレもありませんでした。
物語の肝であるふれるがキャラ的特徴が無くてそれでいて可愛くないというのも致命的な弱点だなと思いました。
喋れないから感情は読み取れないし、飯食ってトゲ刺して大きくなってくらいしかアクションが無いのでこれで愛情を持てという方が無理です。
でも主人公たちの被害者ではあるよなと思うと可哀想にも思えてきて大変でした。
主演3人の声の演技もなぁ…となってしまいました。
仮面ライダーシリーズから前田くんは追いかけているので若干贔屓目なところはありますが、ライダーのアテレコをしていたので違和感はまだ少なかったです。
永瀬くんはなんでこんなに声の仕事があるんだろう?ってくらい超下手ってわけではないけど上手くない感じなのがどうにもノイズなのが今作でも変わらなかったです。
坂東くんが一番難ありで…。
もう棒読みも棒読みで、感情の起伏が激しいキャラであり常識的な面を持ち合わせるキャラクターだからこそ声の演技が大事なのにもう違和感だらけでしたし、本職の白石さん演じる樹里との掛け合いが多いからこそちゃんとした人を選んで欲しかったなと思いました。
絶対オーディションなんかしてたらこの3人になる事は無いと思うので事務所パワーだなぁと思いました。
本職の面々はさすがといったところで、石見さんの愛らしい声が堪能できたのは良かったですし、白石さんは毎キャラ演じるたびにガラッと変わるのも凄いなと改めて思いました。
ただこれまでの超平和バスターズ作品に出演していた声優陣を作品に入れるのは良いと思うんですが、なんか悪サイド側ばかりで起用されていたのはちょっと腹立ちました。
これまでの作品を紡いできた人たちなのに扱いが雑だなーと不信感を抱いてしまいました。
アニメーション自体は綺麗ではあったんですがCloverWorksにしてはアニメーションとしての凄みを背景くらいしか感じなかったのも違和感の一つだったなと思いました。
良い悪い含め青春を感じさせてくれた超平和バスターズの作風と、少年少女のエグさを感じさせる脚本を書いてきた岡田麿里さんの噛み合わせが悪い方で化学反応を起こしてしまったなと思いました。
男子だけの空間に女子が入ると学生時代のようにうまくはいかないというのを体現しているようでしたがわざわざアニメでやらんでも…と思ってしまいました。
今作とは真逆をいく「きみの色」が欲しくなってそのまま「きみの色」を観て浄化されました。
男子3人はルイくんを、女子2人はトツ子ときみちゃんを見習ってください。あの子らの方がしっかり大人です。
鑑賞日 10/6
鑑賞時間 18:35〜20:35
座席 M-14