「今、意思疎通の難しさ。「ふれる」の本当の機能がテーマ!」ふれる。 ITOYAさんの映画レビュー(感想・評価)
今、意思疎通の難しさ。「ふれる」の本当の機能がテーマ!
子供の頃、島の伝説、触れた者同士の意志をテレパシーで伝える不思議な生き物「ふれる。」を介して親友になった三人。
常にずっと一緒にいた彼らは、成人して上京してからも同居する仲は変わらない。
永遠に思えた三人の友情にも、ある日、かすかな波風を起こす事件が起きる。
主人公が大人になっても「思ったことが口で説明できないと手が出る」なんて、幼児か!
危ないし近寄りたくないのが本音。
ただ、そういう人も排除しないで受け入れないといけない。
意思疎通の難しさ。
こういう話をテーマに映画ができることが面白い。
さらに「ふれる」が「考えたことを伝える」だけではないところがミソ。
人同士を争わせないようにするために、ネガティブな感情は伝えないという。
一見良さそうだが、ちゃんと言い伝えでもそれを続けると大変なことになる、と言ってる。
その話の教訓は、ただ仲よくしようではなくて、良くないの感情も口に出して伝えて、大変であっても話し合うことが大事だということ。
幼少時から、それを訓練せずに育つと、その部分が欠落した大人になる。
そんなことを考えさせる点が面白い。
今ならさしづめ、SNSだけでの意思疎通ではだめだということか。
あと、三人の「通常エピソード」が回想シーンのカットで創造させるだけで、実際に描かれない。
さらっと2,3の蜜月エピソードを語らないで、いきなり「崩壊」を描かれても伝わってこない。
派手な見せ場の「ふれる最終形態」(長い)より、そっちにもう少し時間を割いた方がいい。
最近、そういう工夫や練り込みの努力を怠って、セリフやあったことにして、言いたいこと、核心だけを伝えるダイジェスト映画が多すぎる。(それには相当の技術か執念が必要だから。あと配信世代相手だとそうなるか。)
他にも、女性二人との共同生活が強引すぎるとか、いろいろあるけれど…
(俺も「どこまで流されやすいんだよっ!」と思う!)、
唯一、ほっとできる先生の存在は大きい。さすがの猿時!
あ、ベテラン声優の老夫婦も。
さらに、エンディングテーマもいい。
それにしても同時期に、実写映画「ふれる」も公開で、紛らわしい…。
もちろんそっちには黄色いハリネズミもどきは出てこない。