「「ふれる」という神サマ?の力を借りて親友になった若者たちの生きる姿を描いた作品です。本当に大切な事は自分の口で伝えるのが良いのかもしれません。」ふれる。 もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
「ふれる」という神サマ?の力を借りて親友になった若者たちの生きる姿を描いた作品です。本当に大切な事は自分の口で伝えるのが良いのかもしれません。
長井龍雪監督、岡田麿里脚本の作品です。ふむ。
長井龍雪作品は「空の青さを知る人よ」以来
岡田麿里作品は「アリスとテレスの-」以来です。
それ以前の作品も(秩父三部作など)観てはいるので
この作品も観ておこうかなというわけで鑑賞です。
鑑賞開始。
舞台はとある島。八丈島…とかなのか?
島に昔から住む小学生男子が二人。祖父江諒と井ノ原優太。
外からやってきた転校生男子が一人。小野田秋。
口下手で直ぐに手が出てしまう性格のため馴染めずにいる秋の
面倒をみてくれと、先生に頼まれる島の子二人。
だが、なかなか上手くいかない…。
ぞんな折、秋が海岸にある祠(?)を見つける。
石の壁を崩して中に入ってしまう秋。
そこで出会ったのが「ふれる」だった。
「ふれる」は島の伝説にも登場する神?物の怪? らしい。
「ふれる」には言い伝え通り不思議な力があった。
ふれるに触ると「ふれる」を通して繋がりができ、相手の考えが
分かるようになるのだ。
相手の考えがすぐに分かるようになった三人、急速に親密さが
上がっていく。中学校に上がっても、高校に進んでも。
二十歳の現在、三人は島を出て東京で暮らしている。
古い一軒家を共同で借りている。シェアハウスだ。
そこには島から連れ出してきた「ふれる」も居た。(いいのか?)
小野田秋はバーでアルバイト。
祖父江諒は不動産屋に就職し営業。
井ノ原優太は服飾専門学校の生徒。
三人の進路は違ったが、ふれるのおかげで生活は順調だった。
そんな折、秋の働くバーの近くで事件が起きる。
若い女性からバッグを引ったくり逃げ去ろうとする男。
たまたま店の外にいた秋、犯人を追いかける。
走る。速…くは無いが頑張る・-・;
追いつき、もみ合った末に取り戻すことに成功。
バッグの持ち主とその友人、二人の女性と知り合う。
奈南。バッグの持ち主。ストーカー被害にあっている。
樹里。友人。ストーカーに悩む奈南のことが心配…
この女性二人との出会いが、男性三名の良好な関係に変化を
もたらすことになる。
それぞれが思っていることが相手にちゃんと伝わっている限り
深刻な問題など起きない と思っていたのだが…。
さあどうなる?五人の未来は?
そして「ふれる」の隠れた力とは?
と、話は続きます。
◇
えー。
心に思ったこと。頭に浮かんだこと。
その中から選んだモノを言葉にすること。
人がフツウにやっているコトだとは思います。
ただ、簡単な事に見えて、実はそう簡単でもないという。
言葉が足らない人。
無口な人。静かな人。
しゃべりすぎな人。
すぐに手が出る人(…これは嫌)
誤解を招いたり
不信を抱かせたり
何を言ってるのか分からないヤツと思われたり…
そういった、人との意思疎通で困った事が起きないようにと
「ふれる」は仲立ちしてくれているのだそうです。
そんな「ふれる」のいる生活を描いたお話なのに。なのにです。
うーん。
この作品の登場人物の会話がかみ合わない。
そんな印象が、最後まで拭えませんでした。・_・;
” なぜ 今のセリフに対してそのセリフ? ”
そんな風に感じた場面が、あちらこちらにありました。
男女五人の間の、
” 誰が誰に好意を寄せているか ”
というベクトル(矢印)も、ストーリー上予想できた方向とは
別の相手に向いていて「えっ そうなの?」となることが しばしば。
そのため、登場人物への共感という点では、ほとんどの登場人物
に共感できないという、なんだかとても悲しい結果に終わって
しまった感じがしています。T_T …しくしく
その後、もやもやした感じのまま鑑賞終了。
うーん。
※途中居眠りした記憶もないので、大事な場面を見落したとかも
無いと思うのですが…。
◇あれこれ
■白いモコモコ
針ネズミが最後にケサランパサランに変身。
黒くなったらまっくろクロスケになりますね。ススワタリ?
■ふれる様
生き物なのか神様なのか。はて。
そもそも、島から連れ出されて問題なかったのでしょうか?
余りにもあっさりと本土(東京)に来ていたような…
■「ふれる」 とは「さとる」みたいなもの?
” さとるのおオバケ ” というのが世の中にいるそうです。(何処?)
「さとる」には、こちらの考えたコトが分かってしまうのです。
そして、こちらが口にする前に先に言われてしまう。
# お前、今 こう思っただろう?
# なんか気味が悪いヤツ と思ったな?
「ふれる」は触ったみんなを ” さとる ” にするのでしょうか。
考えが周りに丸分かりになるのって、そんなに良いモノかなぁ…
思っても隠しておきたいコトってある気がするのですが… ・_・;
◇最後に(鑑賞後思ったコト)
鑑賞後にしばらく考えて辿り着いた事なのですが、この作品は
「ふれる」の糸に触れながら鑑賞しないと、登場人物の心理や
行動の理由が理解できない仕様なのかもしれません。・_・;;;;;
私の鑑賞したシアターには「ふれる」は居ませんでした。なので
色々なコトを頑張って理解しようとしたのですが、伝わってくる
ものが「なぜそうなる?」と思ってしまう場面等がとても多く、
帆殆どの登場人物に感情移入が出来ないまま終わってしまった…
そんな感じがしています。…うーむ。
◇最後に(だそく)
さらに考えました。
脚本が岡田麿里さんですから。そんな簡単に皆が理解できるお話を
書くだろうか? いや 書かないハズ。…・∨・
あ。そうか
「ふれる」がいないフツウの人達からすれば、あの男3人と女2人
の行動や言動が何を考えてのモノかなんて、分からなくて当然。
彼らの世界には、言葉足らずを補ってくれる「ふれる」がいるから
くどくどとセリフにする必要なんかないということか。@_@
悔しかったら「ふれる」を見つけて糸に触ってご覧あそばせ。
そういうことか。なるほど。納得です。 (←きっと違う・^・)
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。