「ふれるの視点で見るのが個人的最適解」ふれる。 Micoさんの映画レビュー(感想・評価)
ふれるの視点で見るのが個人的最適解
ふれるの視点で確認したいことがあったので2回目見てきました。
「秋、諒、優太の3人をふれるが繋いだ物語」ではなく
「ふれるが秋のために3人を繋いだ物語」として見た方がしっくりきた。
ふれる視点をおすすめしたい。
ふれる視点で見ると…
閉じ込められていたふれるは、秋との出会いがあって外の世界へ。
秋がはじめてふれるの糸にふれた時、秋の言葉にできない苦しさや願望を受け取ったんじゃないかな…と
秋とふれるに共通する孤独が共鳴した?
その結果3人を繋げて、秋が笑っていられるようにしたかったのかな、そうすることでふれるも秋と、3人と一緒にいられると思ったりしたのかな?と考えたりした。
秋、諒、優太の3人は子供のころからふれると一緒にいたから、あえて口に出さなくても大丈夫と言うのが染み付いてしまった。
しかも、ふれるで繋がった場合はフィルターを通してるから、複雑な思春期でもそりゃ居心地が良いはず。
ずっと3人と1匹の世界だったらそれでも良かったかもしれないけど、やっぱりそうはいかない。
秋がなんでそんなにすぐ彼女に惹かれたのかもふれるがいた環境が長かったからかな…
ふれるで繋がった諒と優太とはわかりあえたけど、その他の人と通じあうことなんてできなかった(できないと思ってしてこなかった)のに、
話を聞いてくれて、理解を示してそれを言葉にしてくれて、偶然同じタイミングで空を見て、こんなことあるんだ!と…
初めてときめいちゃったんだろうな。
相手にとってはただ会話をしただけなのに。
本来なら中高生でそのフェーズは終わるはずだけど、秋はある意味子供のまま大人になった感じだから…あえて子供っぽく描かれたのかなと思った。
ふれるは家に3人以外の誰かが入ることを良く思ってないように見えた。
3人だけならふれるを介して会話してくれるからなんとかなったけど、他者が入ってきたことで言葉に出して伝えることが増えてきた。
他者が入ってこなくても、外の世界での経験によってズレが生じ始めていた3人は、いずれ破綻してたと思うけど、それが早まった感じ。
そして、ふれるの思考はやっぱり秋中心な気がする。
ふれるの感情が大きく動いていたのは、秋の言葉や感情の動きに対してのように見えた。
ふれるはこれまでの経験上、自分のせいで人が
傷つくこと、いずれ必要とされなくなることを知っているように思う。
だからこそふれるが恐れていたことは、環境の変化による3人の成長なのかな…と。
ふれるは人と人の間に存在するけど、ふれる自身がどう言う気持ちなのかは言葉では語られない。トゲトゲで刺して抗議したり、くるくる楽しそうにまわったりはするけど、具体的にはわからない。
でも、秋の「一緒にいたい」を聞いて、こぼれた涙は間違いなくふれるそのものの感情がのった涙だったと思う。
ふれる目線だとここが1番の泣きどころ。
居場所が欲しい、能力じゃなくて存在を必要としてほしい、一人は寂しい、一緒にいたい…がふれるの根底にあるとすると、今回のエンディングはふれるにとって予期せぬハッピーエンド。
なので、よかったねふれる!と言う気持ちになった。
登場人物はみんな良いところと悪いところが見えて、あぁいるいるこんな人とはなるけど、私は人間のだれか視点より、ふれるの気持ちを想像しながら見た方がドラマチックで楽しかった。
ポケモンの映画でポケモンに感情移入して泣くし、もののけ姫ではヤックルの視点で見て泣いてる人間だから普通ではないかもしないけど、
1度ふれる視点で見てほしいな。
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1回目の感想
ある人はエモく感じ、別の人にとっては苦い思いを思い出すかも。
この映画からなにを受け取るか、どんな感想を持つかは、見る人の過去に大きく影響されるように思った。
ずっと3人で仲良くいる未来しか想像できてなかった3人だけど、社会に出てズレが生じ始めている。
家という閉じた空間に異質な2人が入り関係性が変わっていくことで、なにかがおかしいと少しずつ気付き始める。
さらに、ふれるの本当の力を知り、3人のこれまでが虚像のように感じられ、そのまま崩壊してしまうかと思ったけど、やっぱり過ごした日々はかけがえのないものだったと…
監督が言っていたように、ギミックとして異性2人の介入が必要だったように思う。
嘘をついてるわけではないけれど、意図的に隠された気持ちがあって、お互いのことをわかったつもりでいた3人だけでは子供のまま成長しなかったと思うし、本当の意味で向き合えなかったと思う。
3人の子供時代からの成長過程は、切り取った場面が音楽と共に流れるだけで、詳しい説明やセリフはないので、きっとこんな会話があったんだろうな…と想像しながら見てた。
思い出アルバムを見るようなエモい感覚。
そして、後半にこの成長過程のシーンが、3人が過ごした日々が確かにあったこと、ふれるで繋がった3人だけど、全てがふれるの存在で成り立っていたわけではないことを表しているように感じた。
ふれるは架空の生き物として語り継がれていたけど、ふれるだって生きていて誰かと繋がりたい。気持ちをわかってほしいと思っていたのかな…と。
ふれるは色々な感情の受け皿のようにも思えるけど、目からこぼれ落ちたそれは、ふれるの感情だったと思う。
ふれるそのものの感情が大きく動いた時の目の表情が素敵だった。
作画は美しかったし、料理のシーンでは普段使う調味料が出てきて勝手に親近感を感じながら見た。
エンディングで流れたYOASOBIのモノトーンが映画の内容にすごくあってて、映画を振り返りながら聞くことができた。