「ある人はエモく感じ、別の人にとっては苦い思いを思い出すかも」ふれる。 Micoさんの映画レビュー(感想・評価)
ある人はエモく感じ、別の人にとっては苦い思いを思い出すかも
この映画からなにを受け取るか、どんな感想を持つかは、見る人の過去に大きく影響されるように思った。
ずっと3人で仲良くいる未来しか想像できてなかった3人だけど、社会に出てズレが生じ始めている。
家という閉じた空間に異質な2人が入り関係性が変わっていくことで、なにかがおかしいと少しずつ気付き始める。
さらに、ふれるの本当の力を知り、3人のこれまでが虚像のように感じられ、そのまま崩壊してしまうかと思ったけど、やっぱり過ごした日々はかけがえのないものだったと…
監督が言っていたように、ギミックとして異性2人の介入が必要だったように思う。
嘘をついてるわけではないけれど、意図的に隠された気持ちがあって、お互いのことをわかったつもりでいた3人だけでは子供のまま成長しなかったと思うし、本当の意味で向き合えなかったと思う。
3人の子供時代からの成長過程は、切り取った場面が音楽と共に流れるだけで、詳しい説明やセリフはないので、きっとこんな会話があったんだろうな…と想像しながら見てた。
思い出アルバムを見るようなエモい感覚。
そして、後半にこの成長過程のシーンが、3人が過ごした日々が確かにあったこと、ふれるで繋がった3人だけど、全てがふれるの存在で成り立っていたわけではないことを表しているように感じた。
ふれるは架空の生き物として語り継がれていたけど、ふれるだって生きていて誰かと繋がりたい。気持ちをわかってほしいと思っていたのかな…と。
ふれるは色々な感情の受け皿のようにも思えるけど、目からこぼれ落ちたそれは、ふれるの感情だったと思う。
ふれるそのものの感情が大きく動いた時の目の表情が素敵だった。
作画は美しかったし、料理のシーンでは普段使う調味料が出てきて勝手に親近感を感じながら見た。
エンディングで流れたYOASOBIのモノトーンが映画の内容にすごくあってて、映画を振り返りながら聞くことができた。