「嗚呼、鏡の間が……」ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人 映画イノッチさんの映画レビュー(感想・評価)
嗚呼、鏡の間が……
昔、ベルサイユ宮殿に行った時に満喫した鏡の間だけど
人生で1度行けたらLUCKY〜!
そのくらい庶民には貴重な旅なのに、もしこの映画撮影のためにそこに入れなかったとしたら……考えただけでゾッとする
個人的には映画を観て、懐かしむことは出来たので幸いだったけど
さて
自由奔放に生きたジャンヌ
愛人としての『人生』を選択したジャンヌ
ルイには、それが新鮮で魅惑的で開放感さえ味わえた相手だったのだろう
平安美人は現代人からすればパッとしないのと同じように、きっと本物のジャンヌも当時は美人だったのかも知れない
ただ映画は現代人が観て楽しむものなんだから、今の人が羨むような現代風の美人をキャスティングすべきなのでは?
誰もが憧れるはずの地位である国王
そのルイでさえ、いや、だからこそ、あれ程退屈で不幸な生き方を強いられていたのなら、現在の庶民に産まれて良かったと思う
今の日本に住む私達の方が、彼等より何倍も贅沢で幸せだと、ヨーロッパの歴史映画を見るといつも痛感するのだが、今回も然り
一夫多妻を羨ましいと感じる人や、煌びやかな貴族生活を夢見る人でなければの話だけどね
たとえ愛人を持つことがいくら公に認められていたとしても、会う回数をはじめ様々な秘めごとを全て細かく周囲が知ってるなんて耐えられないな
国王に背を向けないために、宮殿内では小刻みでバックするあの姿は滑稽でしかなかった
今回の映画の中で1番笑えたシーンだ
ルイを演じたジョニー・デップは、国王の苛立ちや奔放さを良く体現していたと思う
愛人でありながらも、誰よりも国王を愛したジャンヌが、感染を恐れもせずに死ぬ間際のルイに抱擁する姿がとても心に残った
悲しいのだけど1番幸福感に満ちたシーンでもあった
病死という悔しい死に方ではあるけれど、自分を愛する人の涙をそばで見つつ、愛を感じながら死んでいく、そんな人生の最後を送れたらどんなに幸せだろう