「クリーンな歴史絵巻」ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人 すーちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
クリーンな歴史絵巻
フランスの好色王、ルイ15世の最後の愛人だったジャンヌ・デュ・バリー夫人の波瀾の生涯を描いた映画。
フランス映画だし、題材が題材だし、コッテリした映画かな?と想像していましたが、女性監督自ら主演のせいか過剰なエロ演出もなく、安心して見れる大河ドラマのような作品でした。
ストーリーもジャンヌ視点で進むので、とてもわかりやすい。
(といっても当方、ベルサイユのばらや、マリー・アントワネット関連の映画にはひととおり触れてきたせいかもしれません。)
見どころはやはり、スクリーン一杯に広がる本物のヴェルサイユ宮殿。
格調高い映像と衣装の豪華さにため息。
細かく描かれるヴェルサイユの風習、風俗も面白い。
(ソフィア・コッポラ監督のマリー・アントワネットより、きちんとしているかと 笑)
しかし、デュ・バリー夫人。
過去の漫画や映画では、出自の卑しい狡賢い悪女、みたいな描かれ方しかしてなかったような気がするんですが、この映画でそのイメージを払拭。
生まれは平民でも教養に触れて育ち、読書を欠かさず、周囲の勧めでヴェルサイユにあがって王に見初められた後、最後まで純愛をつくす、というシンデレラみたいなキャラ。
公妾となったジャンヌを陰で支える国王の従者ラ・ボルドの存在も良かったです。
マリー・アントワネット登場後、苦しい立場に追い込まれるデュ・バリー夫人ですが、アントワネットが悪役に見えてしまうという…
立場変われば、見方も変わる、という見本のような演出でした。
最後に。
監督兼ジャンヌ役の方、ここで色々言われてますが、知的な美熟女という感じで、説得力がありました。
ジョニー・デップに関しては…フランス語が上手、ということ以外は印象に残らず。
マリー・アントワネットやフランスの王朝時代に興味がある方におススメいたします。