劇場公開日 2024年3月15日

「エリーは自己顕示欲の強い「オタク」。」恋わずらいのエリー ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0エリーは自己顕示欲の強い「オタク」。

2024年3月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

これぞラブコメの王道的な作品である。可愛らしくて一所懸命なエリーを好きにならずにいられない。原菜乃華をヒロインに持ってきたのは大正解である。「ミステリと言う勿れ」で、感情豊かでインパクトのある少女を演じた原は、まさに恋わずらいのエリーにぴったりである。
ラブコメに真実味を与えるのは、自分の正直な気持ちに従った行動である。それが、周囲とずれていたり、常識からちょっと外れていたりしておかしさが生まれる。エリーも、オミくんといい仲になったらと想像しているうちは、アイドルの推しと同じで普通である。エリーは怪しげな妄想に浸りきって、SNSに発信しまくっている。自己顕示欲の強いオタクと言えよう。一方オミくんは容姿端麗で女子からモテモテ、テニスの才能も抜群と、恵まれ過ぎている。それなのに、面倒くさがって何かに真剣に向き合おうとしない。そんな欠けたところのある二人だから、お互いを補い合う形になるととても面白い化学反応が起きる。
エリーはオミくんと偶然のきっかけで仲良くなり、妄想の世界が現実に変わっていく。自分を「透明人間」と言って、人とあまり関わらなかったのが、友達ができて、文化祭のリーダーにもなって、現実世界とうまく付き合えるようになっていく。一方オミくんも、エリーの熱気(?)に当てられて、エリーやテニスと真剣に向き合い始める。そんな二人がとても好感持てる。
原菜乃華の、感情がストレートに表情に表れる演技は、見ているだけで楽しい。彼女のキャラクターが十分に生かされた役であった。次回は、また違った原菜乃華を見せてほしい。

ガバチョ